15時から営業する角打ちワイン店が、東京・幡ヶ谷に誕生
京王電鉄・幡ヶ谷駅から徒歩約3分の商店街内、小田急電鉄・東京メトロの代々木上原駅からも散歩がてらに立ち寄れる場所に、『wineshop flow(ワインショップ フロウ)』はある。
2017年12月にオープンした同店は、自然派ワインが買えるワインショップでありながら、店頭でワインを楽しむことができる角打ちスタイルの店。近隣住民のみならず、遠方からわざわざやってくるお客も多く注目度も高い。
平日は15時~24時まで営業しており、夕食前のアペリティーボ(食事前に簡単な軽食を食べること)や、食事を済ませた後の2、3軒目にも、気軽に訪れることができる。
お店は半地下に位置。うっかり通り過ぎないよう、丸い看板を目指して入店しよう。
200種類もの自然派ワインを用意
店内に入ると、まず正面に飛び込んでくるのがトンネルの入り口のような “穴”だ。
凹凸のある木材の壁にぽかりと空いたその穴にはガラスが張られ、奥の空間とを仕切っている。その穴をくぐると、そこには常時200種類の自然派ワインがずらりと並ぶセラーが広がる。
「入口手前の角打ちとセラーでスペースを分けるのに、何かシンボルのようなものがあるといいなと、デザインしました。円形のガラス戸は、デザイナーから提案していただいたアメリカのショップデザインからヒントを得ました」とオーナーの深川健光(けんこう)さんは言う。
深川さんは、東京・六本木の予約必須の人気ビストロ・ワインバー『祥瑞(しょんずい)』にて約6年サービスマンとして勤務。『祥瑞』と言えば自然派ワインの名店としても知られており、深川さんも働いているうちに自然派ワインに魅了されていった。
「自然派ワインは身体にすっと入り込み、ほんわかとした酔いが楽しめます。初めて飲む方でも、酸化防止剤などがたっぷり入ったワインとは酔い方が違うとわかってもらえると思います」(深川さん)。
ワインは深川さんがテイスティングし「身体にすっと入り込む、おいしい」と感じたものを基準にセレクト。フランス産がメインだが、イタリアやスペイン、“ニューワールド”(近年ワイン造りが始まった、ヨーロッパ以外の新興ワイン産地の総称)など各国のものを揃えている。
販売価格はデイリーに楽しめるようにと、ボトル1本2,000円台の手頃なものから用意。一方で特別な日やパーティで飲みたい1万円以上のワインも扱っており、さまざまなシーンにピッタリな一本が見つけられる。
自然と会話が生まれる心地よい空間
角打ちスペースの心地よい空間も「また来たい」と思うポイント。
大きなダイニングテーブルの天板(写真上・左手前)は、ヨーロッパのチーズ工場で使用されていたという古材。知らない者同士が顔を合わせて飲めるテーブルにより、フレンドリーな雰囲気が生まれる。また、壁沿いにはカウンター席も設置(同・左奥)。カップルや一人でしっぽり飲みたいときにおすすめだ。
天井から吊るされているのは、廃材で作ったペンダントライト(同・右)。少しずつ形状が異なる、クラフト感満載のライトは温かな表情を生み出してくれる。
会話を妨げないようデザインされた音響
『wineshop flow』の魅力は、音響にもある。スピーカーは天井に6個設置し、音の鳴り方を綿密にデザイン。ハイクオリティな音響は、まるで小さなコンサートホールにいるようだ。
「例えばコンクリートの壁面だと、音がまっすぐワンバウンドした鳴り方をします。木材は音を吸収し、かつ拡散させてくれるため、木材を壁に使用しているのです」(深川さん)。天井に不規則に並んだ木材(写真上)も、音を拡散させるアイテムのひとつ。こうした音響デザインにより会話の邪魔にならず、心地よい音を感じることができる。
“ほんわか”と酔える自然派ワイン
ここからは、深川さんおすすめの自然派ワインを紹介していこう。
まずはフランス・ボジョレー地区『ドメーヌ・デ・コート・ド・ラ・モリエール』の赤ワイン「イザベル&ブルーノ・ペロー・モルゴン」(写真上・左)。
ピノ・ノワールとグエ・ブランの交配により生み出された「ガメイ」品種を100%使っており、「万能ワイン」と深川さんは評価する。ほどよい苦みを保ちつつ、しっかりとベリー感を味わうことができるエレガントさが魅力だ。食中酒として料理と合わせるのもいいが、食後にゆっくりと味わえば、優雅なひとときを過ごす最高のパートナーとなる。
次は『ラ・マリオーザ』による「ビアンコ 2016」(写真上・右から3番目)。
イタリア・トスカーナ地方でつくられるワインで、今注目を集めているオレンジワイン(皮由来の香りや、通常白ワインにない渋味を伴う複雑な味わいを持つワイン)だ。「プロカニコ」品種を主体に、収穫後のブドウをすぐに潰さず3日ほど寝かせ熟成。皮ごと漬け込むことで、オレンジ色の液体に仕上がる。
「ふくよかなうまみは味わい深く、食後にゆっくりと飲むのがおすすめです」と深川さんは話す。
店内ではグラスワインを日替りで
角打ちスペースでは、白3種、赤3種、泡1種の日替りワインを提供。全種類異なるニュアンスのワインを、バランスよく揃える。
とある日のおすすめは、イタリアの新興ワイナリー『チンクエ・カミーニ』でつくられた赤ワイン「アレテイア・ロッソ」(写真上)。
ガツンと濃厚なワインの味わいは、「マリオッコ」品種100%で醸造されたもの。まだ日本では珍しいワインも積極的に扱っているため、自然派ワイン好きを飽きさせないだけでなく、その奥深さを知ることができる。
人気店のメニューをお取り寄せ
軽くつまめるフードは、チーズやハム以外に、深川さんとつながりのある人気店から取り寄せたものも。
なかでも人気は、東京・中野のフレンチ『松㐂(まつき)』より届く、「松㐂(中野)の煮込み」(写真上)。ほろほろと崩れる牛肉のうまみと、細かくカットされた野菜の甘みが、上品にまとまった一品だ。赤ワインと合わせると、赤ワインの香りと牛肉のコクがマッチするが、しっかりめの白ワインとも相性がよい。
その他の人気店メニューは、宮城・仙台の居酒屋『のんびり酒場ニコル』から届く「牡蠣のオイル漬け」(冬期のみ)や、東京・下北沢のイタリアン『Cuore forte(クオーレ・フォルテ)』の「テリーヌ」など。『wineshop flow』で、人気店のお取り寄せグルメが楽しめるのも嬉しい。
ワイン以外のドリンクもラインナップ
ワイン以外には、アメリカのクラフトビールをラインナップ。定番2~3種以外は、月1回内容が変わるため、何度通っても楽しめる。
ビールもワイン同様、その場で飲むことも、購入して持って帰ることも可能。お酒好きなら“ワインときどき、ビール”という飲み方もおすすめしたい。もちろんアルコールが飲めない人のために、ブドウジュースやニンジンとリンゴのジュースなどのノンアルコールドリンクも用意。空間と音楽、そして角打ちならではのフランクな出逢いを愉しめる。
“家飲み”と“店飲み”、両方を欲張れる一軒を
「僕は元々家飲みが好きだったので、家飲み用のワインが買える店を考えました。同時に人が集まって交流できるといいなと、角打ちスタイルにしたのです。また、おいしい自然派ワインをご紹介したいという想いから、お客さまの好みに合ったワインをおすすめするようにしています。1人で飲むのか、皆で飲むのか、1日で飲み切るのか、数日にわけて飲むのか。
例えば数日にわけて飲みたいのなら、抜栓後でも味の変化が少ないものをすすめるなど、シーンに合わせたご提案で、少しでも自然派ワインを好きになっていただきたいと思っています」と深川さん。
実は深川さん、お店のオーナーでありながら、ミュージシャン「KENKOU(ケンコウ)」としても活躍。たまにご自身の音楽もBGMとして流れるという。深川さんおすすめワインと音楽で、上質なワインタイムを愉しみに行ってはいかがだろうか。
【メニュー】
松㐂(まつき・中野)の煮込み 800円
牡蠣のオイル漬け 800円
テリーヌ 1,000円
グラスワイン 1,000円前後~1,800円
※価格はすべて税込
wineshop flow(ワインショップ フロウ)
- 電話番号
- 03-6804-7341
- 営業時間
- 平日 15:00~24:00、土曜 15:00~20:00、日・祝 15:00~20:00(祝前日の日曜、連休中日の祝日は15:00〜24:00)
- 定休日
- 無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。