どうも、料理芸人のクック井上。です!
芸人イチの餃子好きを自負している僕が皆様にオススメしたい餃子をお伝えする当コラム。
今回ご紹介するのは、京王井の頭線・下北沢駅から程近い、新代田駅からすぐの町中華『吉田屋』。
餃子以外のお料理もさることながら、常識はずれなサービス精神をお持ちの店主のお人柄や、昭和44(1969)年創業の歴史を感じざるを得ないお店の風情も魅力的なお店です。
まずは、半世紀の歴史と温かさが溢れている店構えからご覧いただきましょう。
どうですか、この店構え。そそられまくるでしょ?入る前からワクワクが止まらないと感じたそこのあなた、正しいです。
そしてショーケースを覗いてみると『吉田屋』の特徴が見えてきますよ。
そう、中華だけでなくカレーライスやかつ丼、牛丼、オムライスなどのメニューも豊富なんです。純粋な中華料理屋というよりは、大衆食堂に近いかもしれません。
「『おすすめは何ですか?』と聞かれるのが一番困るんだよね。あははは!」と、穏やかな笑顔で答えてくださったのは、創業者であり店主の山田亨(とおる)さん。
あっ、「あれ?『吉田屋』なのに、店主の名前は山田さんなんか~い!?」と、心の中でツッコミを入れた方、正しいです(笑)。その理由はのちほどお伝えしますね。
店名への疑問は置いといて、まずは店内へGO!
店内は、4人掛けテーブル席が4卓。カウンター席もあるのですが、今は完全なる荷物置きになっています(笑)。僕は夏になると『吉田屋』に来て、餃子とビールを煽りながら、店内上部に設置されたテレビで高校野球を観戦するんです。
今年2018年に準優勝を果たした秋田県立金足農業高校の活躍も、実はここで見届けていました!
(暑い暑いマウンドの上で、熱い熱い投球を続ける吉田投手を、大の大人が、昼間からエアコンがきいた『吉田屋』で観戦…、全ての高校球児たちに敬礼&腰を90度に曲げて謝罪!)
▲歴史を感じさせる壁紙やお品書きは雰囲気バツグン!
半世紀もの間、多くの人に愛され続けてきた王道の焼き餃子
さて、前置きはこの辺りにして、さっそくお目当ての餃子をオーダーしちゃいましょう。
こちらも店構えと同様、懐かしさと温かさが溢れているフォルム。餡もオープン時からずっと同じ味だそうです。
半世紀もの間、愛されている餃子のこだわりを聞いたところ「こだわりはありません(笑)」と、亨さん。
再び謙虚でシャイにお答えになられていますが、小細工無しの自信の表れです。
と言ってる間に、餃子が焼けるいい音と、食欲をそそる香りが…
キタ…
キタキタ…
キターー!!
今日もビールとともに♪
ん~っ!うまい!うまいうまい、うまーーい!
懐かしさ炸裂、ホッとする気持ち爆発!
たぶん初めて食べる人でも“どことなく、おかんの餃子に似ているんだよな~。”と感じさせる、そんな餃子です。
具材はニラ・キャベツ・豚挽き肉といたってシンプル。大きめにカットされた野菜が、ザクザク食感で心地よく、そして口の中でほろほろと解けていくんです。味付けも塩コショウ、ニンニク、ショウガなどを少々程度。だからニラの香りと、キャベツの甘みがダイレクトに感じられる、やさしい味わい。
半世紀もの長い間、多くの人に慕われ続けてきた餃子は、変化球ではなく直球勝負! 夏の甲子園の吉田投手の最速150km/hのストレートど真ん中に勝るとも劣らぬ美味さです。
ちなみに、餡の下味は強くありませんが、タレは醤油多めよりお酢多めがオススメ。お好みでラー油を加えてもOKですが、酸味強めのタレをつけるのがおすすめです!
ここにビールがありゃ、そこが楽園の入り口です(笑)
ところで、ビールに合うのは餃子だけではありません。『吉田屋』はビールを注文すると無料のお通しが付いてくるんですが、これが気前良すぎなんです。
お通しは日替わりですが、この日のお通しがコチラ!
ドドーンと、ぶ厚いチャーシューとシャキシャキの自家製のお新香! いやいやいや、これを無料でサービスってのはダメでしょー! ビールとセットなら1,000円の「お疲れセット」で出すやつですよ。こりゃ、サービス精神旺盛オブザイヤー受賞、間違いなし。
▲見て、この大きさ!
「だから儲からないんだよね(笑)」と、これまた人柄最高の町中華オブザイヤー受賞、間違いなしの亨さん。
半世紀以上愛されるお店の神髄、ここに見たり!
でも、このお店を開店する前は、今とは全く違う人生を歩んでおられたのだとか。
実は亨さん、元々は和菓子職人。かつて東京・青山にあった『吉田屋』という和菓子屋で、職人として12年も修業しておられたのだとか。しかし洋菓子人気の高まりに和菓子が押されてきたことから、考えた末に、全く違う業態の中華料理店として独立することにしたんだって。
ここで出ました、店名の謎。そう、山田さんなのに『吉田屋』なのは、この和菓子屋からそのまま取ったからでした。
招き猫の横には、『吉田屋』という屋号と山田さんのお名前が同居したお札が鎮座しております。
▲創業から半世紀の間、ずっとお店を見守っている招き猫。マジックで髭とアイシャドウを足すの巻(笑)
「お店を作った当時は店名を考える余裕もなかったね。中華料理は初心者で、修業経験もゼロ。だから洋食もある、”なんでも中華食堂”になったの。息子からは『こだわりがないから商売にならないんだよー。』と怒られてますけどね(笑)」と、三度(みたび)愛らしい笑顔の亨さん。
ちなみに『吉田屋』は親族で経営しており、奥さんのシズエさんと、弟の健作さん・文吉さんの4人がお店に立っています。
▲中華鍋を振るう、弟の健作さん。一皿に歴史と哀愁と温かさと家族愛…、色んなものが込められています。
人気メニューは、ボリューム満点の「半チャーハン半ラーメン」
さて、続いて紹介するのは、『吉田屋』の人気メニュー「半チャーハン半ラーメン」。
写真で伝わるかな…?“半”とは思えない量。正直、チャーハンもラーメンも1人前ずつ入ってるって言っても過言じゃないボリュームで、お昼時によく注文が入るそうです。
ここで発表! こちらのお値段、このボリュームに冷奴とお新香付で、780円!
今は平成30年、ここは東京都世田谷区ですよ! 爆安過ぎる…
チャーハンの具材には、卵・長ネギ・先ほどのチャーシュー、そしてナルトを使用しています。町中華のチャーハンには、ナルトかかまぼこが欠かせませんね。こちらも餃子同様、味があっさりなので、すいすいと食べられます。
ネギがたっぷり乗ったラーメンは、昔ながらの醤油味の東京ラーメンで、もやし、メンマ、チャーシューがトッピングされています。こちらも150km/hのストレートど真ん中!
いやー、ホッとする味のチャーハンとラーメンでしたが…、ホッとする気持ちを上回るボリューム!
無料のお通しといい、セットの価格設定といい、儲け優先の現代ではなく、昭和の人情味が感じられます。
半ラーメンのセットには、チャーハンがカレーにバトンタッチした「半カレーライス半ラーメン」もありますよ。
カレーの具材は、タマネギとニンジン、豚肉とこれまた昔ながらのメンツ。カレールウにはカレー粉を足し、さらにウスターソースなどで味付けしているんだそう。なじみのあるカレーライスだけど、味わいに奥行きもあって、カレーの香りも立っているんです。
こういうカレーって、今ではなかなか外食で食べられなくなってきてますよね。だから、庶民カレーのお店としても貴重かもしれません。
余談ですが、常連さんたちの間では、この器のことをなんて呼んでると思います?
答え:「ブラジャー丼」!
……確かにブラジャーっぽいか(笑) 一度聞いたら、もうそう見えてくるビジュアル! ナイスネーミングでぇ~す!
▲左から文吉さん、健作さん、シズエさん、亨さん。おみやを持ってパシャリ!
美味しいお料理でお腹いっぱい、皆さんの笑顔とサービス精神で胸もいっぱいな取材でした。ご協力いただき、ありがとうございました!
ちなみに、取材ロケしたこの日は、創業当初から通っているという70~80代の常連さんがいらっしゃいましたよ! 飲食店の35%は1年以内に、50%が2年以内に潰れると言われている世の中で、お客さんに50年も愛されるお店って、本当に凄いですよね。
そんな奇跡のような存在『吉田屋』は、ニコニコ笑顔の亨さんを筆頭に、サービス精神旺盛で気さくな皆さんからできています。皆さん、ご自愛いただき、まだまだ元気でいてくださいね。
僕はいつまでも、『吉田屋』でテレビを見ながら、餃子を食べたりチャーハンを食べたり、実家の居間みたいな時間を過ごしたいです。
君と好きな人と『吉田屋』が100年続きますように…。
※『吉田屋』の「吉」の字は、下の線が長いものが正確な表記になります。
撮影:佐々木雅久
【メニュー】
ぎょうざ 450円
生ビール 600円
半チャーハン、半ラーメン 780円
半カレーライス、半ラーメン 780円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
吉田屋
- 電話番号
- 03-3460-9036
- 営業時間
- 11:30~22:00
- 定休日
- 第1・3木曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。