2019年注目の「グルメトレンド」を、dressing編集部が大予想!
「平成最後の年」として何かと注目を集めた2018年も終わり、迎えた2019年。新たな元号の初年として、昨年以上に話題の多い一年になることだろう。
そんな2019年は、どんな「グルメトレンド」が生まれるだろうか。日頃から”食の現場”を見ているdressing編集部スタッフが、2019年に盛り上がるであろう「グルメトレンド」を大胆に予想してみた!
日本の中に「リアル・アジアン」が増加。よりディープでマニアックな食体験がトレンドになる予感
食通たちが注目しているジャンルのひとつ、それはズバリ「リアル・アジアン」。まるで現地の店で食事をしているような錯覚を覚えるほどに本格的な”地方の郷土料理”を提供する店である。
例えば、三軒茶屋にオープンした『香辣里(シャンラーリー)』は中国湖南料理(写真上・左)。発酵や燻製した食材を様々なハーブで調理するのが特徴で、「中国料理というくくりに入るのか?」と迷うほどに個性がある。
中国の地方を食べ歩き、3つの中国南部料理の食材を融合するという天才的な凄腕シェフの店『南方中華料理 南三(ミナミ)』(同右)も登場した。
「こんな食材見たことない!」「この味付けは何だろう?」そんなサプライズ感満載な料理との出逢いは実に楽しいものだ。
六本木のベトナム南部伝統料理『フーンナム』(写真上・左)や、神奈川にあるリアル・ベトナムの店(同右)など、都心・郊外を問わず、このような現地さながらのメニューを出す店が増えている背景には、在留外国人数の増加がある。
2018年9月19日法務省が発表した在留外国人数(速報値)は、過去最高の2,637,251人。留学中や留学後の就労者が増加しているという。国籍・地域別にみると、中国が741,656人で最多。以下、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールと続くが、近年はベトナムとネパールの増加が顕著だという。
「故郷の味」が楽しめる店は大事。日本在住のアジアの人々を対象に、本場の味の店が増えるのは自然な流れだ。そこへ、食に敏感な日本人が通い、日本に居ながらにして新しい食材や料理と出逢う。さらにはインバウンドの需要もあるだろう。
モンゴル料理やミャンマー料理など、まだまだ知られていない料理もより注目されそうだ。現地ではヤギ肉で作る料理も、日本では羊に置き換えられるものが多いが、国内できちんと育てられたヤギが飼育され流通すれば、ヤギ料理も広がるかもしれない。
おいしさを実感した途端、驚きと興奮に包まれる。そんな食体験が叶うディープでマニアックなアジアンの店に魅了される人々が、今年は益々増えるだろう。(dressing編集部:堀本)
「量り売りビール・グロウラー」の広がりによって、良質なビールをもっとカジュアルに!
アメリカでは一般的な「ビールの量り売り」。「グロウラー」(写真上)という専用ボトルを買い、その後はお店でビールのみを買って詰めてもらうという画期的なスタイルだ。鮮度抜群のおいしいビールを、どこでも楽しめるのである。
日本においても、2018年3月、下北沢に誕生した量り売りビール専門店『TAP&GROWLER(タップ&グロウラー)』を良例として、量り売りビールやグロウラーを扱う店が近年増えてきている。
そもそも、日本におけるクラフトビール自体がここ数年大きな成長を見せており、昨年誕生した『トウキョウエールワークス(IBU)』『アンドビール』のようなマイクロブルワリー(ブリュワリー/小規模醸造所)やブルーパブ(ブリューパブ/醸造したオリジナルビールを飲める店)が全国に急増しているのは周知の通りだ。
これにより、センス溢れるオリジナルビールはもちろん、国内外の珍しいビールもゲストビールとしてセレクトされ、気軽に楽しめるようになった。このような企業や店舗が、オリジナルのグロウラーを販売したり、量り売り業態を始める流れも生まれているのだ。
さらにビール市場を見ても、2018年4月の酒税法改正によるビールの定義緩和や今後の消費税増税という背景も手伝って、2019年は中食感覚(中食:調理済み食材を持ち帰り家などで食べること)でビールを楽しむシーンが自ずと広がることだろう。
ちなみにグロウラーは、水筒のように自ら買ったビールやドリンクを詰めることも可能なため、コンビニやスーパーで買ったビール等をも劣化させずにおいしく飲むことができる。これだけでも大きな利用価値があるはずだ。
良質なクラフトビール、それを扱う店が更に増えるであろう2019年、グロウラーにお気に入りのビールを詰め、楽しい時間を過ごしてみてはいかがだろうか。(dressing編集部:道岡)
2019年は「ラム肉」ブームが本格到来する!
いま食ツウの間でにわかに盛り上がりを見せているのが「羊肉」だ。昨年、16年ぶりにフランス産のラム肉が輸入解禁となり、著名シェフをはじめグルマン達に大歓迎されたのは記憶に新しい。
思い起こせばジンギスカンブームが起こったのは約15年前のこと。当然ながら流通技術は当時と比較にならないほど発達しており、フランス産に限らず、羊肉はかつての“クセ”は軽減、いまや羊肉独特の香りはむしろ「おいしい香り」に進化している。
事実、日本における羊肉の輸入額は上昇傾向にあり、多彩な料理、ユニークな食べ方・スタイルがじわじわと登場し、2019年はいよいよ「ラム肉」ブームが本格到来すると筆者は予測している。
そもそも世界中で広く親しまれている食肉は何か……? と、訊ねられたら真っ先に挙がるのが「羊肉」だろう。羊肉は宗教上の制限がほとんどなく、いろいろな国、さまざま人種に“広く”食べられているからである。そして何より、商材としてのポテンシャルがきわめて高く、あらゆる料理ジャンルでお目見えすることもラム肉人気を後押ししている。
羊は最も古い家畜のひとつであり、羊肉料理が豚・牛などの肉料理の基礎となったと言われているが、そのバリエーションはジンギスカンやラムチョップはもとより、ラム肉煮込み、串焼き、カレー、しゃぶしゃぶ、サンドイッチなど、欧州・中東・アジアまで各国郷土の代表的な料理ばかり。
最近では日本独自のアレンジで、ハンバーグや餃子など日本人の馴染みの深い料理として飲食店で供されるようになってきている。
インバウンドによる食のボーダレス化を鑑(かんが)みても、ラム肉料理は“グローバルスタンダード”として日本に定着することが予想される。また周知の通り、牛や豚と比較してラム肉は鉄分を多く含み、栄養面でも世界中から注目されている。
おいしさ、バリエーション、食べ方、そして健康面など食のトレンドを包括している「ラム肉」。2019年はさまざまな「ラム肉料理」が登場しトレンド視されるに違いない。(dressing編集部:大澤)
スパイスの魅力はカレーだけじゃない! お酒のおともに「スパイス料理」がもっと身近に!
近年カレー界が大きな盛り上がりをみせており、少し前まで聞き馴染みのなかった「間借りカレー」「大阪カレー」「南インドカレー」などというワードも十分な市民権を得てきたといえるだろう。
しかし、”スパイスといえばカレー”というイメージはまだ根強く、カレーにはお酒よりもご飯、ディナーよりもランチに座を奪われてしまっているのもまた事実。
そんななか、数年前からじわじわと盛り上がりをみせているのが「スパイス料理で飲める店」だ。カレーを提供するだけでなく、インドをはじめとした南アジアの現地料理や、スパイスを巧みに使った創作料理など、お酒とともに楽しめるスパイス料理を推す店が増えてきている。
「カレー以外のスパイス料理とは?」と思う人もいるかもしれないが、日本のインドレストランでも供される「タンドリーチキン」もそのひとつと言える。さまざまなスパイスとヨーグルトで鶏肉を漬け込み、“タンドール”と呼ばれる窯で焼き上げた北インドを代表する料理だ。ジューシーな肉に芳ばしいスパイシーな香りは、間違いなくお酒と相性抜群のスパイス料理といえる。
他にも、インドやその近辺で親しまれている「パニプリ」(写真上・左)は、穴の空いたピンポン球サイズのスナックで、その穴に豆や芋でつくられた具材や酸味のあるスープを入れて食べる一品。ネパールの鶏やマトンの干し肉「スクティ」を野菜と一緒に甘辛いスパイスソースで炒めた料理(同・右)もビールにバッチリ。
南インドの「アチャール(ウールガイ)」と呼ばれるスパイスオイルで漬けたピクルスは、野菜だけでなく肉や魚介を使ったものまで存在し、ワインや日本酒との相性もいい。
また一方で、日本食とスパイスを融合させた創作料理も存在する。例えば、おでんや焼鳥にスパイスを利かせてアレンジしたものや、スパイス煮卵・スパイスポテサラのように、日本人に馴染み深い料理とスパイスを組み合わせたつまみなど。新感覚でありながらも、慣れ親しんだ味をベースにしているので日本人の口に合わないわけがない。
“スパイスといえばカレー”という固定概念を覆す「スパイス飲み」。2019年はそんなスタイルの店が増えるだけでなく、和食や中華、フレンチやイタリアンなどさまざまなジャンルから、もっと自由な発想でつくられたスパイス料理が生まれるのではないだろうか。
2019年はスパイスがもっと身近になるはず。まずは新年会から「スパイス飲み」はいかが?(dressing編集部:吉沢)
2019年も豊かなフードライフを送ろう!
以上、dressing編集部員による大予想はいかがだっただろうか?
今年もdressingでは、グルメ好きな読者の皆様方へとっておきの情報をお届けしていく。食に関するいろんな知識を吸収して、2019年も豊かなフードライフを送ろう!