どうも、料理芸人のクック井上。です!
いきなりですが、若者の街「渋谷」とファッションの街「原宿」のちょうど真ん中あたりに、創業50年以上の歴史を誇る、老舗町中華があることをご存じでしょうか?
昔からの常連客からの支持はもちろん、とあるファッション雑誌の「渋谷系ショップスタッフの男メシ」というアンケートで、人気NO.1になったメニューもあるという、若者にも大人気のお店なんです。
今回は、そのお店が半世紀守り続けてきた餃子、そしてショップスタッフにも大人気なメニューなど、盛りだくさんでご紹介しちゃいますよ!
創業50年以上の歴史ある『天宝 渋谷店』
やってきたのは『天宝 渋谷店』。創業は半世紀前の1968(昭和43)年。男性ファッションでは長髪やパンタロン、女性ファッションではサイケやラメが流行った年だって。時代を感じさせますなぁ。
お店は、暖簾分けに暖簾分けを重ね、一時期は全国で29店舗もあったそうですが、こちらの渋谷店が第1号店。そう、渋谷店こそが総本山です!
▲清潔感のある店内。カウンターとテーブルで計30席あります
2代目店主・浜口宏さんは、子どもの頃から渋谷に住んでいるため、時代とともに移り変わりゆく渋谷周辺の街の様子を見てきた貴重なお方。昔は、明治通りには木造アパートがずらりと並び、砂利の駐車場があったんだとか。そして、なんとお正月には原宿の竹下通りでお餅つきをしたり、野球をしたりして遊んでいたんですって。
なんて贅沢な遊び場! 今じゃ、絶対考えられない(笑)
そんな、大らかな時代から愛されてきた『天宝 渋谷店』の餃子、少し取材させてくださーい!
創業時からレシピを変えていないという、こちらの餃子。餡の具材は、キャベツ・ニラ・長ネギを、少し大きめに手切りして、豚挽き肉に加えているのが特徴。
醤油・塩・コショウ・ニンニク・ショウガ・ごま油で味付けし、大判の厚めの皮で包んでいきます。ご覧のとおり、餡はぎっしり。
▲穏やかな人柄の店主・浜口宏さん。『天宝 渋谷店』はご家族で経営されてるんです。
▲奇をてらわない王道スタイル!
そして包んだ餃子を鉄板にオン…
▲蒸し焼きに…
▲キタキタ…
▲よいしょー! キター!! カリっとした焼き目が美しい!
アツアツのうちに、いっちゃいましょー♪
うひょ~! モチッとカリッとシャキッと~!
皮のモチっと&焼き面のカリッとの中から、大きめに切った手切りのキャベツとニラがお出まし。シャキっとした歯ざわりが最高ですね。餡は野菜多めなので、フレッシュでジューシーな仕上がり。
噛むたびに、擦りおろしではなく刻んだショウガの良い香りが弾けます。ニンニクも使っていますが、それほど強くないので臭いも気になりにくくて良いですね。
1個1個が大きめで餡は歯ごたえ十分、ガッツリ食べたい渋谷の若者たちも満足するボリュームです!
▲ご飯だけじゃなく、もちろんビールとの相性も最高!
ちなみに『天宝 渋谷店』では、お持ち帰りもやっています。このコラムでは何度も申し上げておりますが、“餃子をお持ち帰りができるお店はウマいの法則”が僕の中にあり、これは滅多に裏切られることがありません(一部例外はありますよ)。
ぜひ、このお店のフレッシュでジューシーな焼き餃子を自宅でも味わってみてください!
一番人気は、オリジナルメニューであるピリ辛な「特丼」!
さてさて、餃子のおいしさもさることながら、『天宝 渋谷店』には押しも押されもせぬ、看板メニューがあるんです。
それが、こちらの「特丼」(写真下)。
「特丼」は『天宝』のオリジナルメニューで、三元豚とタマネギ、ピーマン、炒り卵を豆板醤の一種であるラージャンで味付けし、それをご飯の上に乗せてあるんですが、いやぁ、これ何杯でもイケちゃうやつだ。
上の炒め物が、ご飯泥棒過ぎる! 淡路産タマネギの甘み、ピーマンのシャキッと感、肉のボリュームとうまみ、卵のまろやかさ、少しピリ辛な味付け、これら全てが相まって、絶妙の更に上、極・絶妙です。
浜口さんいわく、新タマネギが出てくる4~5月は、やわらかさ&甘さが際立って、最上級においしく作れるんですって! さらにうまい「特丼」へ出逢いに、春には絶対行かなくちゃ!
嗚呼、ご飯がご飯がススム君! 糖質制限なんて言葉、どことやらです(笑)
ちなみに「特丼」、創業初期は、従業員用のまかないメニューで、まだメニューには載っていなかったそうで。でも、「それ、食べたい!」と言い出したお客さんがいたのをきっかけに通常メニューとなり、今では看板メニューになっちゃったんだって。ナイス、そのお客さん!
そんな経緯で約50年前に生まれた「特丼」ですが、数年前には某ファッション誌で実施された「渋谷系ショップスタッフの男メシ」というアンケートで、ランキング1位に輝いたのだとか。
アパレルショップ店員さんは立ち仕事、ファッショナブルさからは想像できないくらい、体力勝負の肉体労働ですからね。エネルギーチャージするには、ボリューム満点で、短い時間で肉も野菜もとれる「特丼」がぴったりなんでしょうね。
それにしても、50年前のお客さんも今の若者も虜にしちゃうって凄くないですか!? いや、皆さんも一度食べてみてくださいよ。あなたも、もう「特丼」から離れられない体になっちまうことでしょう。
自家製麺を使った「宝麺」も食べておきたいメニュー
さてさて。もう1品、『天宝』のオリジナルメニューがあるので紹介させてください。
それが、こちら「宝麺」(写真下)。
自家製の細麺を使った醤油ベースのピリ辛ラーメンです。麺の上には、豚肉、白菜、タケノコ、ピーマン、キクラゲと具材たっぷり!
食べてみると、食感の良いシャキシャキ野菜とうまみたっぷりのスープ、溶き卵でまろやかになった程良い辛さがあって、こりゃやみつきになる味ですね!
「昔は辛いラーメンってあまりなかったんです。それで、辛口の変わったラーメンを作ろうと思い、誕生しました」(浜口さん)
普通のラーメンだと罪悪感があるけど、これは野菜も豊富なので、男性だけでなく女性にも嬉しいですね。
そういえば最近、老舗の町中華は男性からだけでなく女性からも、その存在が注目を浴びているそうですよ。先ほど、『天宝 渋谷店』は、男性ファッション誌でその人気が紹介されたとお伝えしましたが、最近は女性誌などに紹介される機会も多いそうです。
更に…
「ひと昔前は、お客様の大半がサラリーマンでしたが、女性客も増えましたよ。お洒落なアパレル業界の方や芸能関係の方も多いですね。」(浜口さん)
(オフレコですが、あの、飛ぶ鳥落とす勢いの超絶人気若手俳優さんも来ているとか来ていないとか…)
▲最後は、奥様の千代さん&息子の昭宏さんも一緒にパシャリ!
創業から半世紀、今や老若男女問わず幅広い方から愛されている『天宝 渋谷店』は、写真のとおりの昔ながらの家族経営店。しかし、家族はここに写っている4人だけではありません。
先ほど「暖簾分けに暖簾分けを重ね、一時期は全国で29店舗もあったそうですが…」とご紹介しましたが、暖簾分けの際、加盟金やロイヤリティ、なんちゃらフィーなどのお金は一切取らなかったそうです。
それは、従業員という“家族”に対しての無償の愛だったのではないでしょうか?
そういう愛が、お料理の味にも出ているし、自然とお客にも伝わっているんだと感じました。
嗚呼、あったかいよ『天宝 渋谷店』!!
皆さんも、お洒落な街に佇む「家族愛」と、その愛が溢れ出るお料理、味わいに来てみてはいかがでしょうか?
撮影:佐々木雅久
【メニュー】
焼き餃子(4つ) 380円
焼き餃子(6つ) 570円
特丼 840円
宝麺 840円
ビール 380円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。
天宝 渋谷店
- 電話番号
- 03-3462-0622
- 営業時間
- 月~金曜 11:00~16:00(L.O.15:40)、17:00~21:00(L.O.20:40)/土曜・祝 11:00~17:00(L.O.16:40)
- 定休日
- 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。