スペイン料理の「セコ(seco)」「メロソ(meloso)」「カルドソ(caldoso)」とはなにか、ご存知だろうか。
これはスペインの“米料理”のバリエーションで、水分(だし)の量に応じて付けられた料理名である。例えばもっとも有名な「パエリア」は、“ドライ・乾いている”の意の「セコ」に当たる。
対してCaldo=“だし・スープ”の意の「カルドソ」は最も水分量の多い米料理で、日本でいう“おじや”のような仕上がりだ。
カルドソは米の中心に芯を残して作るため食感が良く、炊くというより煮る感覚で調理するのがポイント。スープのように前菜として、または料理の〆の一品としても食べられ、食材の組み合わせによってバリエーションも実に豊富だ。
今回は、日本ではまだあまり知られていないが、私たちには馴染みやすい米料理「カルドソ」の作り方を紹介する。
■マッシュルームの香りが上品に広がる 「マッシュルームと鶏肉のカルドソ」
基本のカルドソを習得するなら、シンプルな材料だけで作れるこのレシピが最適。マッシュルームの香りとエキスを米に浸透させ、食べる直前にオリーブオイルをまわしかける。よりおいしく食べるには、オリーブオイルの質こだわるのがオススメ。シンプルな調理だからこそ、素材の味で差が出る。
■材料 (2人分)
・ニンニク … 2かけ
・ブラウンマッシュルーム … 8個
・鶏モモ肉 … 100g
・オリーブオイル … 大さじ1
・米 … 70g
・水 … 700ml
・顆粒コンソメ … 小さじ1
・塩、コショウ … 適量
・エクストラバージンオリーブオイル(仕上げ用) … 適量
・チリペッパー … 適量
■作り方(調理時間:30分)
①ニンニクはみじん切りする。ブラウンマッシュルーム8個のうち、2個はみじん切り、6個は縦半分に切る。鶏モモ肉はひと口サイズに切る。
②フライパンにオリーブオイル、ニンニク、みじん切りしたブラウンマッシュルームを入れて中火で熱し、ニンニクの香りが立つまで炒める。
③縦半分に切ったマッシュルーム、鶏モモ肉、米を加えて米が透き通るまで炒める。
④水、顆粒コンソメを加えて強火で熱し、煮立ったら蓋はせずに弱めの中火で15~20分煮たら、塩、コショウで味を調える。
⑤器に盛り、エクストラバージンオリーブオイルをかけてチリペッパーをふる。
■エビの濃厚なだしとトマトの酸味が相性抜群「エビとトマトのカルドソ」
続いては、有頭エビの濃厚なうまみを活かしたアレンジレシピをご紹介。うまみたっぷりのエビだしとトマトの酸味を合わせると、相乗効果が生まれて互いの味を引き立て合う。
仕上げにサワークリームを添えると、爽やかな酸味のアクセントが加わってあとを引くおいしさに。
■材料 (2人分)
・ニンニク … 1かけ
・タマネギ … 1/4個
・有頭赤エビ … 4尾
・オリーブオイル … 大さじ1
・赤唐辛子 … 1本
・米 … 70g
・水 … 500ml
・トマト水煮缶(ダイス状) … 1/2缶(200g)
・顆粒コンソメ … 小さじ1
・塩、コショウ … 適量
・サワークリーム(もしくはクリームチーズ) … 適量
・タイム … 適量
・粗挽き黒コショウ … 適量
■作り方(調理時間:30分)
①ニンニク、タマネギはみじん切りする。
②フライパンにオリーブオイル、ニンニク、タマネギ、赤唐辛子を入れて中火で熱し、ニンニクの香りが立つまで炒める。
③有頭赤エビ、米を加えて米が透き通るまで炒める。
④水、トマト水煮、顆粒コンソメを加えて強火で熱し、煮立ったら蓋はせずに弱めの中火で15~20分煮たら、塩、コショウで味を調える。
⑤器に盛り、エクストラバージンオリーブオイル(分量外)をかけてサワークリームを添え、タイムを散らして粗挽き黒コショウをふる。
■白ワインとともに愉しみたい「ズッキーニとタラのカルドソ」
最後に紹介するのは、料理の〆にぴったりの「ズッキーニとタラのカルドソ」。
旬のタラとズッキーニをメイン食材にしたシンプルなレシピだが、クミンシードを入れることでエキゾチックな風味が加わる。飲み口がスッキリした白ワインとの相性は最高だ。
■材料 (2人分)
・ニンニク … 1かけ
・タマネギ … 1/4個
・ズッキーニ … 1/2本
・タラの切り身 … 1切れ
・オリーブオイル … 大さじ1
・クミンシード(お好みで) … 小さじ1/2
・米 … 70g
・水 … 700ml
・顆粒コンソメ … 小さじ1
・塩、コショウ … 適量
・エクストラバージンオリーブオイル … 適量
・イタリアンパセリ … 適量
■作り方(調理時間:30分)
①ニンニク、タマネギはみじん切りする。ズッキーニは縦4等分にし、1cm幅に切る。タラの切り身はひと口サイズに切る。
②フライパンにオリーブオイル、ニンニク、タマネギ、クミンシードを入れて中火で熱し、ニンニクの香りが立つまで炒める
③ズッキーニ、タラの切り身、米を加えて米が透き通るまで炒める。
④水、顆粒コンソメを加えて強火で熱し、煮立ったら蓋はせずに弱めの中火で15~20分煮たら、塩、コショウで味を調える。
⑤器に盛ってエクストラバージンオリーブオイルをかけ、イタリアンパセリを飾る。
「カルドソ」はスープの風味がおいしさの決め手になる。食材から出るだしや、スパイスを上手に活用することが成功の秘訣だ。
また、米を煮込みすぎず、芯をしっかりと残して食感良く仕上げるのも大事なポイント。
今回紹介したアレンジレシピはどれも作りやすいので、今までカルドソに馴染みがなかった人も、前菜や〆の一品としてぜひ活用してほしい。
【レシピ制作者プロフィール】
管理栄養士・料理研究家 五十嵐ゆかり
「ラク早ごはん」をモットーに、共働きで忙しい家庭でも作れる、簡単時短・ヘルシーでおいしい作り置きレシピを中心に提案している。
食の企画、レシピ・商品開発、執筆、動画制作、テレビ出演、イベント出演、インフォマーシャル出演、講演、料理教室、食品企業のレシピサイト制作やホームページ制作のディレクションなど、多方面で活動中。
著書に『食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖』や『発酵いらずのちぎりパン』、『塩レモンでつくる基本のおかず』など。
Twitter:https://twitter.com/igarashi_yukari
運営レシピサイト ラクつく:https://glutenfree-life.com/
Blog:http://lineblog.me/igarashiyukari/
【調理・撮影】
フードクリエイティブファクトリー
「あなたとあなたの大切な人との暮らしをもっと穏やかで創造的に」を企業理念とする食のクリエイティブに特化した企画制作チーム。
食の企画、レシピ・商品開発、執筆、メディア出演、
イベントなどを手がけています。
HP:http://foodcreativefactory.com/
Twitter:https://twitter.com/fcf_staff?lang=ja
Instagram:https://www.instagram.com/foodcreativefactory/