麻布十番のフレンチ『カラペティ・バトゥバ』の姉妹店がオープン
気の合う仲間と切磋琢磨しながら成長できることは幸せだ。価値観や目指すところが同じ人とはそうそう出逢えるものではないし、出逢えたとして同じ船に乗れるとは限らない。
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その点、2018年8月にオープンしたイタリア料理店『ALTRO!(アルトロ)』のマネージャー・小池純平氏とシェフの榎大輔さんは恵まれている。
代官山の名イタリアン『CANOVIANO(カノビアーノ)』(現在は目黒に移転)の同僚時代から馬が合ったうえ、理想の店を麻布十番のフレンチ『カラペティ・バトゥバ(QUAND L'APPETIT VA TOUT VA!)』とする点も同じだった。
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しかし、『カノビアーノ』退職後、ふたりは別々の道を歩むことになる。小池さんは憧れだった『カラペティ・バトゥバ』にサブマネージャーとして勤務。榎さんはNYの『バスタパスタ』で腕を磨くため渡米することとなったのだ。
将来の夢の話で意気投合したふたりに、待ち望んだ未来が訪れた
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しかし、離れている間にもふたりは同じ夢を見続けた。小池さんはNY在住の榎シェフを何度も訪ね、そのたびに現地の人気店に来店。独立した暁にはどんな店でどんな料理を出すかを思い描き続けると同時に、『カラペティ・バトゥバ』のオーナーにその夢を明かした。するとこれが契機となり、「じゃあうちの会社でやったら?」と背中を押してもらえることに。
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夢の実現への切符を手に入れた小池さんは、すぐさま榎さんに報告。さらに、『カノビアーノ青山』(現在は閉店)や白金台のフレンチ『CIEL ET SOL(シエル エ ソル)』で研鑽を積んだ山口美穂シェフにも声をかけ、3人で念願の店をスタートさせることとなった。
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『カラペティ・バトゥバ』同様、カウンタースタイルの店内はナチュラルであたたかみある雰囲気でまとめられているが、インテリアのちょっとした差し色などに小池さんのセンスが現れている。
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また、お客さんがコミュニケーションをとりやすいよう、カウンターにシェフの名刺を常備したり、黒板にそれぞれのワインの特徴を記したりといった心配りもさすがだ。
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ワインは、イタリアのものが中心。赤・白で約20種類、デザートワインは約10種類、さらにスパークリングワインも常備するなどかなりの品ぞろえだ。ペアリングはコースとしての用意はないが、料理に合うものを楽しんでもらえるよう小池さんからも提案するし、半分の量でも注文OKなど臨機応変だ。
定番メニューもオリジナリティ抜群!
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料理は、山口さんが主に前菜やドルチェを手掛け、榎さんはパスタやリゾット、メインディッシュを担当する。
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寒さ厳しい今の時期におすすめの前菜は、「カステルフランコとゴルゴンゾーラのサラダ みかんのドレッシング」(写真上)だ。カステルフランコとは、バラの花のような見た目のイタリア野菜。この葉っぱ一枚一枚にゴルゴンゾーラとマスカルポーネをクリーム状にしたものを塗り付けてお皿に盛り、ピスタチオと松の実を散らしたら、みかんを皮ごと使って作ったドレッシングをたっぷりとかけて完成だ。
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カステルフランコのほろ苦さとナッツの香ばしさ、さらに果実の甘酸っぱさが三位一体となった味わいは寒い冬からのギフト。この時期に来店するならぜひ試してほしい一品だ。
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定番メニューとして用意している「ALTRO!ボロネーゼ、手打タリアテッレ、黒トリュフ」(写真上)は、赤ワインではなく白ワインを使って、牛肉と豚肉、鶏肉の砂肝やハツを煮込んでいるのが特徴。肉やチーズのうまみがよりはっきりと際立つのに、重さがないからあっという間に一皿平らげられてしまう。
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冬野菜の恵みを堪能したいなら、メインディッシュには「富士幻豚パラ肉と白菜のブラサートコンパンナ」(写真上)をチョイスしてはいかが?
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富士幻豚バラ肉をタマネギとチキンブイヨンで柔らかくなるまで煮込み、くたくたに煮たオレンジ白菜と生クリームを合わせたクリーム煮の下から顔を出すのは、輪切りにした大浦ごぼうの柔らかなソテー。千葉県匝瑳市(そうさし)大浦地区で江戸時代から栽培されてきたといわれるこの伝統野菜は、直径が30cmほどもある大柄なゴボウである。
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さらにサイドには、富士幻豚のもも肉で作ったスパイシーなポルペッタ(肉団子)も添えられ、食べごたえ十分。お腹も心も満たされる一品だ。
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デザートの定番は、小池さんと榎さんがNYで出逢ったドルチェに惚れ込み、山口さんに再現してもらって完成させた「キャラメルプリン」(写真上)。サワークリームとバニラ、生クリームをブレンドした酸味のあるクリームをトッピングして、ヘーゼルナッツをキャラメリゼしたものをトッピングした愛らしいこのプリンのことは、榎さんら自身も「本家超え」と評すほどお気に入り。
食後のコーヒーまで満喫してほしい
食後の〆には、中目黒『オニバスコーヒー』のコーヒー各種も用意されているので、ぜひともおいしいエスプレッソやカプチーノと合わせて楽しんでほしい。
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「イタリアンで最後のカプチーノが残念だとがっかりなので、コーヒーにはとことんこだわりたかった」という小池さん。開店にあたって導入した備品の中で一番高いものはエスプレッソマシンだったと明かすが、そうした繊細な配慮こそが、お客さんが心地よく過ごせる空間・時間を生み出しているに違いない。
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3人が織りなすやさしい空気の中でなら、旬の味覚やおいしいワインとのマリアージュも一層すてきなものになりそうだ(写真上・左から山口さん、榎さん、小池さん)。
【メニュー一例】
▪APPETIZER
カステルフランコとゴルゴンゾーラのサラダ みかんのドレッシング 1,500円
真鱈白子のポワレ 聖護院大根のズッパ 2,160円
イタリア産黒トリュフと百合根のアランチーノ フォンデュータソース 2,980円
▪PASTA & RISOTTO
タコのアラビアータ 手打ちピチ 1,800円
北海道産ヒグマのラグー リガトーニ 2,160円
ALTRO ! ボロネーゼ 手打ちタリアテッレ 黒トリュフ 4,980円
▪MAIN DISH
エゾシカのサルシッチャ スパイス香る金時人参のピューレ 3,240円
富士幻豚バラ肉と白菜のブラサートコンパンナ 3,240円
黒毛和牛ランプ肉のグリル、マルサラソース(イタリア産黒トリュフがけ +1,500) 4,980円
*すべて2名2皿の料金。1名分や3名分以上での提供も可
▪DESSERT
濃厚ミルクアイスのアフォガート 760円
キャラメルプリン 870円
りんごやSUDAさんの紅玉のソルベ アールグレイのジュレ 870円
*すべて1名1皿の料金
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です
ALTRO!
- 電話番号
- 03-5962-7924
- 営業時間
- 17:30~24:00(L.O.)
- 定休日
- 毎週日曜日
- 公式サイト
- https://ebisu-altro.com/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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