幻のうなぎ「共水うなぎ」が味わえる、目白に誕生した『うなぎ 目白ぞろ芽』
「共水うなぎ」をご存知だろうか。
静岡県焼津(やいづ)市で養殖される国産ブランドうなぎである。生産量が少なく、味わえる店は全国でも少ないため、“幻のうなぎ”の異名をもつ。
養殖のうなぎは通常1年前後で出荷されるが、共水うなぎは1年半ほどかけて大切に飼育される。自然な環境に近い水質や温度を作り出すことでストレスをなくし、天然に近い味わいに育てられたうなぎだ。
この共水うなぎを常時扱っているという貴重な一軒が、東京・目白で2018年7月にオープンした『うなぎ 目白ぞろ芽』。共水うなぎに魅せられた代表の岡田芳昭さんが独立開業したお店だ。
共水うなぎの美味に惚れ込んだ職人が、念願の開業
岡田さんは、東京・神楽坂のうなぎ屋『かぐら坂 志満金(しまきん)』にて25年ほどうなぎ職人として腕を磨いた。
「共水うなぎを初めて食べた時、身が筋肉質でうまみの強いおいしさに感銘を受けました。知人の紹介で、生産者さんに会いに行きましたが、生産量も限られていたため一見は仕入れさせてくれない。
そこで1年半弱通い、どうしても共水うなぎを使いたいという熱意を理解していただいたことで、お店を開くことができたのです」と岡田さんは言う。
お店はJR山手線目白駅から徒歩1分と好立地。一人で気軽に利用できるカウンター席を中心に、テーブル席、接待やファミリーでも利用できる小上がり席までを揃える。
清潔感のある白木のカウンター席は、かぶりつき席。目の前で岡田さんの焼き技を観られる他、芳ばしく焼き上げられる香りや音まで楽しめる特等席だ。
職人技光る3度焼き、最高の仕上がりで供される「共水うなぎ」
共水うなぎは注文ごとにさばき、串打ちしてからまず白焼き(しらやき:タレなどを付けずに直火焼きすること)に。そこから蒸してやわらかくし、タレをつけながら焼き上げるため、提供に30~40分を要する。この蒸してから焼くスタイルは、伝統的な関東風の焼き方だ。
「うなぎのタレは3回に分け、付けては焼くを繰り返します。1回目は身を焼き、2回目は味を含ませ、3回目は照りをつけると、それぞれに意味がある伝統的な手法です」と岡田さん。
タレは濃口醤油と煮切ったみりんで作り、うなぎの脂やうまみを加えながら『ぞろ芽』ならではの味に仕上げていく。特にみりんは3年熟成と1年熟成のものを掛け合わせることで、味に深みを出している。
タレ自体はさらりとしたテクスチャー。味わいも甘さ、塩辛さどちらにも偏らない、バランスのとれているもの。共水うなぎのうまみをとことん味わってもらうため、あえて主張しすぎないタレに仕上げているという。
ふわっふわの食感と濃厚なうまみ! 「共水うな重」で美味に酔いしれる
共水うなぎの神髄を味わうなら、やはり「共水うな重(肝吸付き)」(写真上)がおすすめ。
うなぎは1尾をまるごと使用。さばきたてで鮮度が高いためクセがなく、さらっと口のなかで溶けるような食感だ。
ご飯は甘さが控えめな香川米を使用。ごはんの上にかけるタレは、蒲焼に使うタレだけでは味が濃いため、継ぎ足し用の新しいタレを1対1の割合で合わせる。うなぎ、タレ、ご飯が三位一体となりバランスの取れた味わいになるよう、計算し尽くされている。
また、間にすする肝吸のすっと染み入る滋味深い味わいに、心も自然と落ち着いていく。
箸ですっと切れてしまうほどやわらかな身の食感は、蒸してふっくらとさせたことによるもの。口のなかでじゅわっと広がる脂のうまみも感じられる。
卓上には和歌山産の山椒が置いてあるが、客自身がミルで挽いてかけられるのも同店の特徴。挽きたての香り高い山椒は、臭み消しに用いていた昔の用途とは全く異なり、新たなおいしさへと導く名脇役となっている。
うなぎ料理と日本酒を嗜む”うなぎ居酒屋”としても
夜はうなぎ料理や一品料理とお酒を楽しみ、うな重でシメる”うなぎ居酒屋”として使えるのも同店の魅力だ。
うなぎ料理は、国産うなぎを塩や酒に漬け込んでから干した「うなぎの一夜干し」や、生の国産うなぎを低温調理した「うなぎハム」など、様々な形でうなぎの美味を楽しめる一品が用意されている。
なかでもおすすめが、「うなぎ串焼 三種焼」(写真上)。うなぎの肝と鮎の魚醤を合わせた「魚醤」、イギリス産「岩塩」、そして「蒲焼のタレ」と3種類の味が一度に楽しめる。
うなぎ串は蒸さずに生のまま焼く“地焼き”を採用。皮目がパリッと仕上がる様は、うな重とはまた違った味わいが楽しめる。
うな重と刺身のセットが人気なランチ、うなぎを味わい尽くすコースも魅力
お得にうなぎが食べられるランチも人気。ランチの「うな重」は共水うなぎではないが、愛知や静岡、鹿児島、宮崎など厳選した各地の国産うなぎを使用する。また、愛媛の漁港から直送する魚介を使った刺身とうな重のセットも用意し、近隣の方を中心に人気を博しているという。
さらにコース提供も行っており、前菜からお造り、煮物、茶碗蒸し、うな重など、うなぎをメインとした料理構成で、大・小宴会にも対応。グループ宴会もできるテーブル席や小上がり席は予約必須だ。
「共水うなぎは飼育尾数に制限があるため、現在は全国で約40軒、都内だけだと10数軒のうなぎ屋でしか食べられません。まだまだ共水うなぎを知らない方も多いため、ぜひ一度そのおいしさを感じてほしいですね」と岡田さん。
うなぎ屋というと、ハードルが高そうと思われがち。だが、気軽なおひとり様から宴会グループまで幅広く受け入れてくれる『ぞろ芽』であれば、そのハードルも下げてくれることだろう。
希少な共水うなぎの美味をぜひ味わっていただきたい。
【メニュー】
共水うな重(肝吸付き) 5,800円
うなぎ串焼 三種焼 1,800円
うなぎ一夜干し 1,500円
うなぎハム 800円
ぞろ芽コース 6,000円
ランチ(税込)
ぞろ芽御前 3,000円
うな重(上) 3,800円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
うなぎ 目白ぞろ芽
- 電話番号
- 03-6908-3653
- 営業時間
- 11:00~14:0(L.O.)0、17:00~21:00(L.O.)
- 定休日
- 水曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。