予約困難店『はっこく』がついに待望のランチメニュースタート
鮨界の新レジェンドと称される『はっこく』がSNSにアップされるときによくついてくるハッシュタグといえば……「#予約困難店」だろう。
人気も高く、今までディナータイムが中心だった(夜と同メニューでランチ帯の営業はあった)『はっこく』が、ついに2019年1月17日よりランチメニューの営業を開始した。
「『はっこく』をオープンさせたときからずっと思っていた、“若手を育てたい”という気持ち。オープンから約1年が経ち、ここらへんでチャンスの場を積極的に作りたいと思って始めたのが、ランチメニューです」。そう語るのは店主の佐藤博之さんだ。
ランチタイムのツケ場に立つのは、矢澤大地さん(写真上)。弱冠26歳だが、都内の老舗鮨店や、佐藤さんの出身店でもある『鮨とかみ』で修業し、『はっこく』に入店してからはディナータイムで“はっこくイズム”を学んだ、期待の星だそう。
「好きな食べ物がお鮨だったので、その道に進もうと……」と、恥ずかしそうに語る姿はまだ20代の若さがにじむ。が、しかし、ツケ場に立つと一転、表情が引き締まる。
始まりは、『はっこく』の顔「突先」から
「はっこくの定番、突先です」
夜よりシャリが多め、ボリュームもあるという『はっこく』の定番「突先」(写真上)から始まるランチ。
マグロのうまみ溢れるネタに、赤酢を2種類使用したキリッと締まったシャリ、東京・東糀谷の寿司海苔問屋『田庄』で焼いてもらっているという味の濃い有明産の海苔。「これぞ!」と言いたくなる味わいに1貫目からグイと掴まれる。
「ランチは握り15貫とお口直しの野菜が2点、そして玉とお椀。なので、ディナーより1.5倍くらいシャリを大きくし、食べごたえを出しています。ランチタイムは、ディナーの銀座鮨は緊張するという方や、女性同士でも入りやすいと思います」(矢澤さん)
そしてなんと、ランチなのに大間産の「鮪のジャバラ」(写真下)も登場!
「一番腹側にある部位です。コクが強いでしょう?」
じわっと口内にマグロのエキスが充満する。そしてその脂を帯び、ほろっとほぐれるシャリが心地いい。これほどのネタをランチに出している店はそうそうないだろう。
ランチ限定! 大きめのシャリで米のうまさを口いっぱいに味わう
「シャリは大将がオープン後も吟味を重ねて選んだもの。日本の米の原種で、無肥料無農薬で幻の米と言われている熊本県産『旭1号』を使っています。うちのうまみいっぱいのネタを受け止める力のあるお米だと思います」(矢澤さん)
黄身酢おぼろを噛ませた「春子鯛(かすごだい)」(写真上)もふんわりとおいしい。
インパクトのある強いネタと、優しい味わいのネタの対比も見事だ。
提供時にほの温かくベストな状態になるよう茹で上げ、ツケ場で剝いた「車海老」(写真上)は『はっこく』でも人気のネタ。
「歯ごたえや柔らかさ、甘さがすばらしい、大将の車海老に負けずとも劣らないものを……と一生懸命勉強しました」
「小肌」や「穴子」など江戸前の古典ネタも登場
「小肌」(写真上)はシャリにそっと寄り添うような柔らかさに仕上げてある。すっきり酢で締めたネタでありながら優しさも感じる、これはなかなかない絶妙な仕上げだ。
途中に挟まれる口直しの野菜(写真上)。実はこちらのファンは多い。「今回はケールとクレソンです」。
野菜の“青さ”と歯ごたえ、シンプルな味付けはここからの鮨をより爽快に盛り上げてくれる。
後半は煮物も登場。今回は「穴子」(写真上)。上に塗られたツメは、炊いた穴子の煮汁を使った共ツメを使っているそう。味の調和が良く、身のうまみを消さないなんともいい塩梅だ。
ランチの締めを飾るのは夜と同じく人気の「玉」
そして締めには夜と同様に、“極上のスイーツのよう”とも評される、するんと口どけのいい「玉」(写真上)で終わる。昼からなんという口福。値段以上のバリューを感じる内容だった。
「ランチタイムは、私はサービスに回りますよ(笑)」という佐藤さんの言葉に、そんな……と恐縮する矢澤さん。取材中も佐藤さんの仕草をしっかりと見て、懸命に握る姿はもっともっと上昇したい! という熱を感じる。
銀座の“昼鮨”の楽しみがまた一つ増えた。
【ランチメニュー】
・おまかせ(にぎり15貫・野菜2品・玉子・お椀) 12,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税・サービス料別(サービス料10%)です
※席数:カウンター6席(ランチタイムのみこちらの席数)
はっこく
- 電話番号
- 050-3313-3397
- 営業時間
- 18:00~23:00
- 定休日
- 毎週日曜日 祝日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。