『目黒 鳥しき』分店第二弾は、六本木!
焼き鳥ラヴァーでなくとも、グルメ情報に敏感なフーディーなら必ずや耳にしたことがあるであろう“鳥しき系”というワード。これは『ミシュランガイド東京 2019』で一つ星に輝いた、超人気で予約困難の焼き鳥店『目黒 鳥しき』で修業をした職人たちがオープンさせたお店のことだ。
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が、しかし、今回紹介する『鳥おか』は“鳥しき系”ではない。純然たる『目黒 鳥しき』の分店だ。
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店頭にあるこの図(写真上)を見てほしい。『目黒 鳥しき』から始まり、『目黒 鳥かど』『鳥おか』に系譜が継がれた……。
なるほど。話題の3店の関係がよくわかる。
料理はおかませのみ! 試験的にランチ営業も
ところで、『鳥おか』の“おか”とは? と店主の黒崎法行さんに聞くと……
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「六本木の“丘”にあるからです」。なるほど! 「六本木ヒルズ」にあるからか。洒落がきいた名前にも名店の粋を感じる。
さて、こちらの黒崎さん。焼き鳥の道は『目黒 鳥しき』で作られたといっていいほどの経歴。最初は『目黒 鳥しき』で2年ほど修業し、次に『目黒 鳥かど』で立ち上げから関わった後、こちら『鳥おか』の店主を任された。
「スタイルは基本的に『目黒 鳥しき』と同じ、おまかせのみです。現在試験的にランチ営業もやっていますが、昼夜ともに内容は同じです」と黒崎さん。
“焼き”に向いた「伊達鶏」を秘伝の調味料で仕上げる!
使用している鶏肉は炭火焼きに適した東北産の「伊達鶏」を使用。味はそれぞれの部位の味わいが最大限に引き出されるよう、タレ・塩を中心におまかせで調味してくれる。
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味といえば、焼き台の正面、四角い筒らしきもの(写真下)が並んでいる。
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これが『鳥おか』の焼き鳥をより味わい深いものにする6種の調味料。内容は秘密だそうだが、部位ごとに使い分けているという。
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さて、『目黒 鳥しき』『目黒 鳥かど』などはあまりの人気ぶりに予約電話がつながっただけで奇跡! と言われるほどだが、こちらの『鳥おか』はまだ余裕があるのだろうか?
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一縷(いちる)の望みをかけてうかがうと……「ありがたいことに、オープン日よりほぼ毎日、満席を頂いております」とのこと。
客層はというと、『目黒 鳥しき』からの常連や、場所柄カップルも多いそう。
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店内はやや灯りを落としたシックな造りで、焼くさまを目の前で見ることができるコの字型のカウンターに、奥にかかるのれんは高級和食店にも引けを取らない重厚さ。
焼き鳥屋につきものの煙も、排煙は焼き台の下にいくように設計され、店内は至極快適だ。
炭の性質を知り、肉のポテンシャルを最大限引き出す
過ごしやすい客席とは打って変わり、焼き場では轟々(ごうごう)と炎が立ち続けている。使用している炭は和歌山県産紀州産の備長炭のみ。
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「火の安定感があって、持ちが違う。うちの焼き鳥の味を作る“近火の強火”でも、焦げずにじっくり火が通り、しっかり目に焼いても身はしっとりと仕上がるんです」(黒崎さん)
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そうして焼きあがった焼き鳥がこちら。
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まずは「かしわ(もも肉)」(写真上)。肉の脂のうまみを存分に堪能できる一品。ぎゅっとした噛みごたえに歯も喜んでいるのがわかる。
うまいだけじゃない! 目指すは香りもいい焼き鳥
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こちらは「なみ(首の皮)」(写真上)。他店の3倍くらいは焼いているんじゃないか、と黒崎さんも言う「なみ」は、驚くほどパリッとしていて、“皮”の概念を崩されるほど。
そこで気付いた。こちらの焼き鳥は味わいも極上だが、香りもいいのだ!
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その秘密をうかがうと、「火力を調整するためにうちわであおいでいるのですが、串に香りをつける意味もあるんです。炭火焼きは肉汁やタレが滴るときに煙が立ち上がる。そのときに紀州備長炭など香りのよい炭を使っていると、肉にもその香りがつくんです」。
なるほど。炭は焼き上がりや味に作用するだけではない、嗅覚にも訴える焼き鳥ができるのか。
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さて、『鳥おか』人気の部位、「血肝(レバー)」(写真上)の登場だ。ありがちな表現だが、極上のフォワグラのようなふんわり感! かつ臭みもない! これはレバー類が苦手な方にもおすすめできるのではないか。
ちなみに場所柄、レア仕上げの苦手な外国人の来客も多いため、『目黒 鳥しき』『目黒 鳥かど』よりよく焼いているそう。
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口直しというにはもったいない、ここでは野菜もごちそうだ。今日は千葉県産の「ししとう」(写真上)で。随時、焼きに向いた旬の野菜類・きのこ類が出されるのだとか。
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串類の最後は、血肝と人気を二分するという「手羽先」(写真上)。皮はパリッと、中は驚くほどのしっとり、ジューシーさ! この焼き上がりこそが“鳥しき流”であろう。すばらしいのひと言に尽きる。また、骨と肉の身離れがよく、鮮度のよさも伝わってくる。
六本木限定の締め「土鍋」が登場!
さて、おまかせ最後の締めは、ここ六本木ヒルズ『鳥おか』限定の土鍋ご飯で!
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ピッカピカに炊かれた島根県産コシヒカリのお供は、岩のり・小茄子のしょうゆ漬け・柴漬け・たらこなどなど、随時厳選された“飯友”が四品ほど出される。
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ここに鶏スープも揃えば、究極の晩餐の完成だ。
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「『鳥しき』『鳥かど』で学んだことを存分に生かし、毎日一生懸命調理していますが、炭の組み方や焼き方というものは個性が出る。技を伝承しながら、みんなそれぞれ味が違うんですね。それが面白い」
そう語りながら休まずうちわで炭をあおぎ、串の焦げを除き、ずっと面倒を見ている黒崎さん。そんな『鳥おか』の味は優しく、凛としている。
【メニュー】
おまかせコースのみ 7,300円
*お通し、串おまかせで11本、土鍋ご飯、鶏スープなど
ドリンク
ビール 780円~
日本酒 700円~
グラスワイン 900円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜きです
鳥おか
- 電話番号
- 03-6447-2933
- 営業時間
- 17:00~23:00(現在試験的に12:00~14:30でランチ営業中)
- 定休日
- 水曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。