大阪の下町に誕生した『ワインと炭焼き fusione(フゥジョン)』
大阪市旭区にある千林(せんばやし)は、大阪を代表する商店街「千林商店街」が目の前に広がる下町エリア。いわゆる”大阪のおばちゃん” に向けたテレビ取材でよく目にする地域だ。
この近辺は眠っている古家や長屋が多く、最近では地域活性化の一環として、古い建物の趣を活かした再生プロジェクトが繰り広げられている。
2018年10月にオープンした『ワインと炭焼き fusione(フゥジョン)』も、戦前からの建物をリノベーションしたレストランだ。外観は、白壁が映える蔵のような雰囲気で、扉を開けると開放的な吹き抜け空間が広がる。
大きな梁や柱を一部そのまま残した内装には、木の温もりを感じるどこか懐かしい空気が漂っている。1階にはカウンター席が8席とテーブル3卓、2階にはテーブル1卓がある。
オーナーシェフを務めるのは西岡勇輝さん。20年以上のキャリアを持ち、大阪のフレンチビストロ、イタリアンをはじめ、「ホテルニューオータニ大阪」「ザ・リッツ・カールトン大阪」といった有名ホテルで研鑽を重ね、大阪・福島区の『ビストリア 魚タリアン(ウオタリアン)』で料理長を務めた人物である。
特選素材を目の前で調理するライブ感も醍醐味
「古民家を思わせる雰囲気とともにこだわったのは、寿司割烹をイメージしたカウンター席です」と西岡さん。確かにシェフの手さばきが席からよく見える!
さらに食欲を刺激する炭焼き料理の芳ばしい香りが堪能できる特等席だ。
「初めて訪れた方はぜひカウンター席に座っていただきたいですね」(西岡さん)
イタリアンと和の”融合”に感動する料理の数々
では、備長炭にこだわった炭焼き料理と本格イタリアンを楽しめる『fusione』の魅力を紹介していこう。
写真上は「前菜6種盛り合わせ」(写真は2人前)。
その日によってメニューは異なるが、この日艶やかな緑色の器に盛られていた6種類は、マイルドな口当たりの「赤ピーマンのムース」、酸味とコクが絶妙な「フルーツトマトとモッツァレラのカプレーゼ」、淡雪の塩をちょこんとつけていただく「湯葉豆腐とキャビア」、塩味が食事のスターターとしてぴったりな「紅芋のフィナンシェ」、脂ののった「新潟県佐渡産ブリのカルパッチョ」、ムチムチとした食感がたまらない「イタリアン風イカめし」。
店名の『fusione』とはイタリア語でも英語でも”融合”を意味する。
「イタリアンと日本の良いところを上手く融合させる『fusione』の世界観を、まずこの前菜でご堪能いただけると思います」と西岡さん。
これぞ至福の時! 炭火でおいしさを昇華させた一品料理
続いて「活オマール海老のグリル」だが、まずは西岡さんによる調理前のオマール海老のプレゼンテーション。
カウンター席のみならずテーブル席でも食材を見せてから調理へと進むが、その大きさや活きの良さにゲストから感嘆の声が上がることも多いそう。これを豪快にカットしたあとは、味噌部分はソースに、身は殻ごと網の上に乗せてじっくりと火を通す。
こちらが「活オマール海老のグリル(一尾)」(写真上)。
オマール海老はプリッとした弾力が醍醐味。そして噛めば噛むほど甘みが口いっぱいに広がる。
そこへオマール海老の味噌を使ったアメリケーヌソース(エビなどの甲殻類からだしを取ったソース)が加わると、濃厚なうまみへと昇華。一尾丸ごと味わえるのも非常に贅沢だ。
そしてもちろん、炭火が活きる肉料理も忘れてはいけない。
「佐賀牛のマルシン」(写真上)は、マルシンというモモ肉の中央から取れる人気の稀少部位を炭火焼に。表面を焼き上げたのち、肉汁を逃さないように約30分かけて火を通していく。
食べてみると外側は芳ばしく、中はジューシーなレアに。マルシンならではの弾力の良さと上品な赤身の味わいを堪能することができる。
すりおろされたばかりの香り高いワサビやスモーク醤油、ルビーポートワインとマデラワインの2種を使用した甘みのあるソースを好みで合わせていただこう。
そして締めはデザート。この日は「紅茶とオレンジのムースタルトとローズヒップのアイスクリーム」(写真上)がテーブルへ。
イタリアンともよく合う、こだわりの日本酒も多数
同店は、ワインだけなく厳選された日本酒も並ぶ。イタリアンに日本酒の組み合わせは意外だが、「うちに置いている農口(のぐち)尚彦さん(※1)の日本酒は、まるで白ワインのような味わいなんです。華やかなのでイタリアンともすごく合うんですよ」と西岡さん。
確かに、写真上の「農口尚彦研究所 PREMIUM NOUVEAU(プレミアムヌーヴォー)2018」を口に含むと、洋梨のようなみずみずしく爽やかな香りが広がる。
他にも西岡さんの奥様の地元青森の希少な日本酒や、シャンパン、そしてもちろんワインも揃っているので、ぜひ料理と合わせながら楽しんでほしい。
素材のうまみを引き立てる炭焼き料理と本格イタリアンが楽しめる隠れ家。シェフの技とセンスが生み出す料理の数々を、古民家の雰囲気のなかで堪能してみては。
※1 『農口尚彦研究所』の杜氏(とうじ:日本酒の醸造責任者)。「現代の名工」の認定や「黄綬褒章」を受章し、酒づくりの神様との異名をもつ。
撮影:前田博史
【メニュー】
前菜6種盛り合わせ(1人前) 1,600円
活オマール海老のグリル(一尾) 3,200円
佐賀牛のマルシン 2,800円
本日のタルト 600円
ワイン グラス600円~
日本酒 グラス700円~
ワインと炭焼き fusione
- 電話番号
- 050-5492-4502
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- ディナー 17:00~23:00
最終入店は21:00となります。
- 定休日
- 不定休日あり
その他不定休をいただくことがございます。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。