四川料理の名料理人・井桁良樹シェフ直伝レシピ
本場中国でさらなる研鑽を積み、六本木ヒルズ内に話題の新店をオープン。今ではおなじみとなった「よだれ鶏」を日本に紹介したことでも知られる『老四川 飄香(ピャオシャン)』オーナー、井桁良樹シェフ。
「棒棒鶏(バンバンジー)も日本ではよく知られる代表的な中国料理ですね。鶏肉をしっとり仕上げて、ご家庭で本格的な味を再現してください」
まずは作って食べてみることからスタート。その味わいを体験してみましょう!
本場中国の「バンバンジー」は…
「棒棒鶏」と書いてバンバンジーと読む料理。なぜこの名前がついたかというと、肉質の硬い雄鶏をバンバン!と棒で叩いて調理した、というのが由来だそう。現地の「棒棒鶏」は鶏肉と長ネギの細切りで作り、キュウリは入りません。四川では野菜を生で食べる文化がないからです。
鶏肉をゆでるときは、お湯がたっぷり入った大きめの寸胴鍋がベスト。爽やかな香りと舌のしびれるような辛みが特徴の花椒(ホアジャオ)の粒をゆで汁に入れて香りをまとわせます。花椒は大きめのスーパーや百貨店、中華食材専門店などで購入できます。
プロの味に近づく、3つの秘訣
自家製だれの配合と鶏肉をしっとりと仕上げる方法を説明し、彩りよくキュウリも盛り付けた「棒棒鶏」レシピをご紹介します。
次の「3つの秘訣」でおいしさアップ。省くことなく、実践しましょう。
【その1】鶏肉は骨付きを
骨付き肉を使うと熱を加えたとき肉が縮みません。
【その2】鶏肉の火入れ
鶏肉はたっぷりの熱湯で5分ほど煮て火を止め、余熱で中までじっくり火を通すことでしっとりやわらか。冷めたスープに漬けておけば冷蔵庫で2~3日保存できます。
【その3】タレのベースは豆板醤
豆板醤をじっくり炒めて香りを立たせ、風味よく仕上げます。
材料(2~3人分)
・骨付き鶏モモ肉 … 1本
・キュウリ … 1/2本
・長ネギ … 20g
・香菜 … 適量
・ピーナッツ … 適量
■ 鶏の茹で汁
・水 … 2L
・塩 … 30g
・紹興酒 … 小さじ4
・長ネギの青い部分 … 1本分
・生姜 … 1片
・花椒(粒) … 10粒
■ タレ
・サラダ油 … 大さじ3
・豆板醤 … 小さじ2
・醤油 … 小さじ2
・砂糖 … 大さじ1と1/2
・黒酢 … 小さじ2
・芝麻醤(白練りゴマで代用可) … 大さじ2
・ラー油 … 小さじ2
・ゴマ油 … 小さじ2
・花椒(粉) … 少々
・炒りゴマ … 少々
・生姜 … 小さじ1
・ニンニク … 小さじ1
作り方(調理時間:約15分)
■下準備
・鶏肉は、冷蔵庫から出し常温にもどし、骨に沿って軽く切れ目を入れておく。
・材料を計量する。
・キュウリと長ネギは、5cm長に切りそろえたあと、千切りにする。
・鶏の茹で汁用の長ネギの青い部分と生姜を、包丁の背で押すようにしてつぶす。
・タレ用のニンニクと生姜を、極みじん切りにする。
準備完了。調理スタート!
① 【鶏肉】深鍋に鶏の茹で汁の材料を入れて火にかける。沸いたら鶏モモ肉を入れ、弱火で5分煮て火を止めて蓋をする。そのまま余熱だけでゆっくりと火を入れる。25分経ったら鶏肉を取り出して冷ます。
- ポイント
- ・上記は、たっぷりのお湯が入る寸胴鍋で作る場合の時間。大きな鍋がなく水の量を半分で作る場合は、長めに10分ほど火にかけ、20~30分ほど余熱で置いておくなど、加減をする。
② お肉の裏から骨に沿って包丁を入れる。関節を切り、骨同士を切り離す(間節は簡単に切れる)。大きな骨を外す。
- ポイント
- ・その後、軟骨も丁寧に取り除く。
③ 肉を半分に切り、厚みを半分にスライスする。皮目を上にし、細切りにする。
④ 【タレ】鍋を弱火にかけ、サラダ油と豆板醤を入れる。香りが出て油がオレンジ色になるまで炒め、豆板醤の香ばしさを立たせたらボウルに移す。
- ポイント
- ・豆板醤は炒めることで香り高くなる。
⑤ ④が冷めたら、まず醤油、砂糖、黒酢から加えて混ぜる。
- ポイント
- ・早く冷ましたいときは、氷水の入ったボウルにあてる。
⑥ 残りのタレの材料を全て入れてよく混ぜ合わせる。
- ポイント
- ・ニンニク・生姜と油分のある調味料は、あとから加える。
⑦ 【仕上げ】器にキュウリ、長ネギ、鶏肉の順に向きをそろえてのせる。上から⑥のタレをかけピーナッツをちらし、香菜を添える。
完成!
「鶏肉は、冷蔵庫から出して常温に戻したものを使います。そして骨に沿って切れ目を入れておくとよいでしょう。火にかけて茹でる時間は短く、スープの余熱でゆっくり火を入れることで、しっとり仕上がります」と井桁シェフ。なるほど、実は先日作ったとき鶏肉の骨まわりに少し生の部分が残ったのです。冷蔵庫から出したてで調理してしまったからですね…次回は温度にも気をつけて作ってみます!
四川の伝統の味を継承し、伝えていきたい。その想いを貫く井桁シェフが、2018年9月六本木ヒルズ内に、アラカルトから気軽に楽しめる店『老四川 飄香小院』をオープンしました。
新店ご紹介記事はこちら!
■井桁良樹シェフの「基本の四川料理レシピ」配信中
シェフのレシピには、おいしい理由がいっぱい!
・超本格・麻婆茄子
・鶏肉とカシューナッツのピリ辛炒め
その他にも、井桁シェフのレシピを楽しみたい方はこちら
【記事提供元】
プロから学ぶ簡単家庭料理「シェフごはん」
老四川 飄香小院
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