イタリア語が飛び交う賑やかな雰囲気の中で楽しむ本場の味
東京は世界中の料理を楽しめる街だと言われる通り、食材や調理法まで各国・各地域のそれと同じ店も多い。その中で、真に現地の味を楽しみたいときに訪れたくなるのは、その土地の空気感をまとった店ではなかろうか。
その点、東京・広尾の『La Trattoriaccia Roburone 1977(ラ トラットリアッチャ・ロブローネ)』は実にユニーク。代表を務める河合鉄兵シェフ(写真下)は、「うちは海外からのお客さんも多くて毎晩賑やか。イタリア人のうるささってBGMの一つになるよね」と豪快に笑う。
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河合シェフ自身のイタリア在住歴も長い。出身地・京都の専門学校卒業後、『リストランテ・タントタント』や『あるとれたんと』といった地元のイタリアンレストランで3年間研鑽を積み、その後イタリアに渡航。
当初は、イタリアだけでなく世界のさまざまな国で修業したいと考えていたが、イタリアンの魅力にどっぷりはまり、15年半もの間、同国に滞在することとなった。
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滞在中は、シエナ、フィレンツェなどがあるイタリア中部・トスカーナ地方周辺の4軒のレストランで修業。そのうちの1軒、レッジョ・エミリアエリアにある『ミシュランガイド イタリア 2019』にて一つ星の評価を受けたイタリアン『Ca' Matilde(カ マティルデ)』では3年間、スーシェフを務めた。
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その後イタリアから帰国し、東京・神保町が本店の『Napolistaca(ナポリスタカ)』をはじめとするレストランで約2年間シェフを務めた後、国際色豊かな広尾でようやく理想の物件に巡り合い、2018年9月、同店をオープンした。
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肌で感じたイタリア・トスカーナの郷土料理を日本でも
本場で研鑽を積んだ河合シェフが自身のお店で提供するのは、もちろんトスカーナ料理。
「トスカーナ料理の魅力はなんといってもシンプルなところ。旬の食材とフレッシュなオリーブオイルがあれば十分おいしくなるメニューがたくさんあります。僕があまり何もしなくても料理になってくれる。それと、日本とは異なる季節の食材が多いところもおもしろい。市場を訪れて、新鮮な果実の芳しさに驚かされたことも多々あります」とシェフは記憶をたどって顔を綻ばせる。
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ちなみに、修業時代からよく使っていた、イタリアでポピュラーな野菜のウイキョウ(フェンネル)や、キク科の多年生野菜の仲間であるトレビス、タルティーボなどは、今も現地から取り寄せているという。
うまみたっぷりの肉とスパイシーな香辛料は相性よし
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「自家製ソップレッサータ」(写真上)は、アンティパスト(前菜)の人気の一品。ソップレッサータとは、豚の頭部の肉をボイルして香辛料などとともに固めたもので、トスカーナではよく食べられている郷土料理だ。
「イタリアでは、豚は捨てるところがないと言われていて、ハムなどには使われない部位も大切に使います。うちのソップレッサータは少しだけ豚足も入れているので、ゼラチン質をしっかり感じていただけますよ」(河合さん)
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豚のゼラチン質のみで固まっているため、食感はやさしいのにうまみはたっぷり。口に運ぶと、一緒に混ぜ込んで固められたオレンジピールの爽やかな香りが鼻から抜けるところも心地よい。付け合わせの自家製ピクルスを合間に挟むと、あっという間に一皿平らげてしまいそう。
日本ではなかなかお目にかかれない伝統的なパスタメニューも用意
小麦の香り豊かな手打ちパスタが大好きなら、いくつかのパスタを頼んでシェアするのもいいだろう。
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まずおすすめは、トスカーナで作られているニョッキの一種「トピーニ」を使った「フィレンツェ風ニョッキ ラグーソース」(写真上)。トピーニの粉はジャガイモの1/4以下におさめているため、一般的なニョッキと比べてはるかに軽い食感ゆえ、合い挽き肉を使った濃厚ミートソースとのバランスが抜群だ。
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同じくトスカーナでよく食べられている、幅広いリボン状でもっちりした食感の手打ちパスタ「パッパルデッレ」を楽しみたいなら、大きめにカットしたイノシシ肉のポロポロとした食感を満喫できる「イノシシのラグーソースのパッパルデッレ」(写真上)はいかが?
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ローズマリーやジュニパーベリー(ヒノキ科針葉樹の果実を乾燥させたもの)などのスパイスをふんだんに使った一皿は、大胆な見た目とは裏腹に繊細さもはらみ、いつまでも後を引くおいしさだ。
肉がおいしければワインがすすむ!
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メインの肉料理は、インパクト大の「仔羊のすね肉のブラザート」(写真上)をチョイスすれば、赤ワインがすすむ。
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たっぷりの野菜と赤ワインなどを煮込んだソースとともにオーブンに入れて蒸し焼きした仔羊は、うまみが凝縮されていて味わい深くとっても柔らか。噛むほどに幸せな気持ちでいっぱいになる。
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横に添えられたじゃがいものピューレは、たっぷりのバターと牛乳のみを加えて作られたまろやかな味わいで、一緒に口に運んでもこれまた美味だ。
「トスカーナ料理は味がハッキリした料理が多いから、ワインと相性抜群なんです。だからワインを心ゆくまで楽しんでほしくて、ワインにも高値はつけていないです」(河合シェフ)
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▲イタリア産ワインを厳選しラインナップ
常連ともなると、最初の一品は「お任せ前菜の盛り合わせ」(写真下)でオーダーする客が多いが、「このあとどういうワインを飲みたいか」を確認してから盛りつけるものを決めるのが常だという。
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小さいこどもも大歓迎。家族で賑やかな空間を堪能してほしい
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「気に入って何度も足を運んでくださる方は多いですよ。うちは子連れも大歓迎なんで、家族でいらっしゃるお客さんもいますね。賑やかなお店でいいと思っているので、みんなでワイワイ楽しんでほしいです」と河合シェフ。
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少人数で静かに食べたい人には個室も用意。2~10名までに対応した部屋なので、特別な日にカップルや夫婦で利用するのももちろんOKだ。
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カウンターは5席あるので、一人でふらっと寄り、賑やかな雰囲気の中で美味に浸るのもおすすめ。話好きのシェフや陽気な外国人たちとのコミュニケーションを楽しめば、おいしい時間はもっと豊かなものになるに違いない。めいめいが思い思いの時間を堪能できるレストランなら、食事の時間だけでなく、人生そのものも味わい深くなっていくはず。
撮影:小野千明(お任せ前菜の盛り合わせ、個室の写真は同店提供)
【メニュー】
■グランドメニュー
自家製ソップレッサータ 1,400円
フィレンツェ風ニョッキ ラグーソースまたはトマトソース 1,900円
イノシシのラグーソースのパッパルデッレ 2,200円
仔羊のすね肉のブラザート 3,200円
お任せ前菜の盛り合わせ 3,500円~
■ランチコース
おまかせAコース(前菜/本日のパスタ/デザートとコーヒー/自家製パン) 2,800円
おまかせBコース(前菜2種/本日のパスタ/本日のメイン料理/デザートとコーヒー/自家製パン) 4,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です
ラ トラットリアッチャ
- 電話番号
- 050-3464-4005
- 営業時間
- ランチ:12:00~14:30(L.O.13:30)、ディナー:18:00~23:00(L.O.22:00)
- 定休日
- 毎週日曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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