生菓子も焼菓子も、できるだけ当日に味わってほしい。常に“作りたて”のおいしさを追求
京都・賀茂御祖(かもみおや)神社、通称下鴨神社の境内にある、古代原生林の名残をとどめる糺の森(ただすのもり)のそば。清らかな空気が流れ来るような下鴨本通に、2018年8月30日オープンしたパティスリー『La KLASSIQUE(ラ・クラシック)』。惜しまれつつ引退した京都の伝説的パティシエである西原金蔵氏の一番弟子だった加藤雅也さんの独立店とあってオープン前から話題を博し、その人気はさらに上昇し続けている。
▲パティシエシェフ・オーナーの加藤雅也さんと、奥様の喜子さん
何より素材の味を重視する西原マインドを引き継ぎ、クラシカルでありながら、店名に加藤の「K」の字を込めた「加藤らしさ」を貫くケーキは、今までありそうでなかったものばかり。この店のためだけに糺の森まで足を運ぶ価値があるパティスリーだと言える。
扉の向こうには、季節の生菓子をはじめ、焼き菓子や半生菓子がずらり。美しい焼き色と芳ばしい香りに溢れた店内にいるだけで幸せな気分になる。
「焼き菓子や半生菓子は、日持ちがするから手土産に、というイメージがあると思いますが、僕は日持ちよりも焼き立てや本当においしい食べ頃にこだわっています。脱酸素材といった、保存のための材料は一切使用しないため、小麦やバター、卵など、素材の風味を存分に楽しんでいただけると思います」と加藤さん。
焼き菓子は焼き立てを並べてその日に売り切るのが基本。それは生菓子と同じだ。そしてケーク オ フリュイなど日を置くほうがおいしものは少し寝かせてから店に出すという。
農家直送、マイヤーレモンの爽やかさが広がる看板商品「レモンケーキ」
焼き菓子・半生菓子のなかでも特に看板商品としているのは、奥様の喜子さんも大好きという「レモンケーキ」(写真上)だ。店先にはレモンの木も飾られている。
「フランス菓子のみならず、日本生まれのショートケーキからイギリス、イタリアのお菓子と、いろいろな国の、素材のおいしさを感じられるお菓子を揃えています。日本のケーキと言えるレモンケーキもそのひとつです」。
できる限り国産、地元産のレモンを使うことも大事にしている。このケーキに使うマイヤーレモンは三重県『小畑農園』から直接仕入れている。酸味のまろやかさが特徴だ。
果汁たっぷりの生地はふわっとしてしっとり。表面にはレモンのチョコレートをコーティングするのではなく、うっすらとドラジェ(糖衣)をかけているのでシャリ感も楽しめる。口いっぱいに広がる爽やかな甘酸っぱさに、このレモンの特徴である“まろやかな酸味“がうかがえる。まるで果実そのもののようなみずみずしさがあり、まさしくここにしかない、大人のレモンケーキだといえるだろう。
リンゴの品種により作るお菓子を変える。本当の旬を大事に
旬のものを本当の旬の時にしか使わない。西原氏からポリシーを受け継いだ加藤さん「らしさ」が最も光るのは、リンゴのケーキ。時期ごとの品種によって作るケーキを変えているそうで、つがるが旬の夏~秋はアップルパイ、秋の紅玉はタルトタタン、同じく秋の青リンゴはクラフティ、年明けの冬の時期はふじを使いアップルクランブルを作るという。
この日、登場したのは「アップルクランブル」(写真上)。クッキー生地にカスタードアーモンドクリーム、そしてコンポートやジャムではなくフレッシュなリンゴを重ね、クランブルをかけて焼き上げる。とにかくジューシーなリンゴとカリカリのクランブル、さっくりとした生地との食感のコントラストが楽しい。
クッキー生地にカスタードアーモンドクリームを絞って焼き上げ、贅沢にも7~8種類の果物をトッピングする「タルト オ フリュイ」(写真上)は、季節によってはマスカットやキウイで緑のグラデーションになるなど色彩も変わるので、四季ごとに購入するファンもいるそう。目で季節感を楽しんだあとは、フレッシュなフルーツと香り高いバター風味の生地、コクが豊かなクリームとのハーモニーを楽しみたい。
こちらの「ショートケーキ」(写真上・中央)は、春イチゴの季節以外は夏秋イチゴ(すずあかね)に変えて提供。ケーキのスポンジ生地は“しっとり”というよりも、カステラに近い“しっかり”。小麦の風味をより生かしている。
小麦と牛乳の風味が生きる、カスタードクリームたっぷりのスペシャリテ「シュークラシック」
さらに、店の名を冠したスペシャリテ「シュークラシック」(写真上)にも自慢のカスタードクリームがたっぷり。小麦粉、脂肪分4.0%の濃厚牛乳を使い、小麦の風味を損なわず、コクがありながら驚くほどなめらかな舌触りを実現している。生地にはあられ糖をまぶしてあり、サクサクとした食感と香ばしさが特徴だ。
ほかにも小麦の風味が際立つクッキー類などが、ずらりと並ぶ。一見素朴でありながら、各種クッキーはバラエティに富んでいる。それこそが『ラ・クラシック』の真骨頂。「クッキー詰め合わせ」(写真上・左)は、焼き色が美しく映えるシンプルなパッケージも洗練されており、オーナーのセンスがうかがえる。
イートインも可能で、グレーのグラデーションがやさしい店内にはウッディなテーブルが並ぶ。自分へのご褒美に、あるいは大切な方への贈り物を買いに訪ねて、好みのスイーツとカフェで優雅な午後のブレイクタイムを過ごしたい、そんな場所である。
撮影:前田博史
【メニュー】
レモンケーキ 324円
アップルクランブル 486円
タルト オ フリュイ 1,620円
シュークラシック 378円
クッキー詰め合わせ 2,160円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
ラ・クラシック (La KLASSIQUE)
- 電話番号
- 075-746-3059
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 日曜(他に月2回不定休あり)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。