関東の日本酒だけしかない! 銀座の日本酒バー『TOKYO SAKE DEPARTMENT』
前編では日本酒の「新酒」について解説した。では、実際においしい日本酒を飲みに行ってみよう!
やってきたのは、東京・銀座エリア。並木通りとみゆき通りの交差点付近にある『TOKYO SAKE DEPARTMENT(トウキョウ サケ デパートメント)』だ。2018年5月にオープンした日本酒バーで、路地裏にあり隠れ家的な雰囲気が漂う。
カジュアルで落ち着いた雰囲気の店内は、カウンター6席、スタンディングテーブル3卓で計12人ほど収容できる。
同店の特徴は、ドリンクメニューが日本酒しかないところ。ビールや焼酎など他のお酒、ソフトドリンク類も一切置いていない。とことん日本酒を堪能できるお店だ。そして銘柄の選定基準は、東京および関東エリアで造られたものに限られている。
「『東京で日本酒が造られているの?』とよく驚かれます。僕は東京で生まれ育ち、田舎は千葉。地元とその周辺エリアを応援したいので、このようなコンセプトにしました」。こう話すのは、マスターのティーヤさん(写真上)。
ちなみに支払いは、クレジットカードまたは電子マネーのみで、現金が利用できないのも同店の特徴の1つ。
日本酒おすすめのペアリング3選
今回は、おすすめの銘柄3種と、それに合うフードメニューのペアリングを教えてもらった。
まるで白ワインボトルのような見た目の「純米生アフス」(写真上)は、千葉県『木戸泉酒造』が造った純米生酒。口当たりが良く、柑橘系を感じさせる甘酸っぱさが特徴で、味わいもまるで白ワインのよう。日本酒ビギナーも飲みやすい一杯なのではないか。
そんな「純米生アフス」には、しっとりした「チーズ三種」(写真上)をペアリング。
写真手前から「カマンベール」「パルミジャーノ・レッジャーノ」「ミモレット」が盛られている。日本酒の甘酸っぱさと、チーズの酸味がマッチ。「ミモレット」は、熟成酒などうまみが濃醇なタイプの日本酒とも相性がよいという。
透明感ある青いボトルの日本酒は、東京都東村山市の酒蔵『豊島屋酒造』が造った「純米大吟醸 利他」(写真上/販売元は『神田豊島屋』)。華やかで上品な香りが特徴で、アルコール度数は13度と控えめ。けれども、やわらかなうまみと、おだやかな酸によるキレもある1杯。こちらのお酒は、神田にある一部の酒販店でしか販売していない「知る人ぞ知る」レア商品であるという。
そんな「純米大吟醸 利他」には、「シングルオリジンチョコレート」(写真上)を。こちらは同じく東京・銀座にあるチョコレート店『Minimal(ミニマル)』のもの。カカオを粗挽きにすることでザクザク食感を生み出し、香味も他とは一線を画す板チョコだ。
フレーバーは6種類あり、全てカカオと砂糖だけで作られ、その香味はカカオが持つ本来の物というから驚きだ。日本酒の味わいに合わせてティーヤさんがチョイスしてくれる。今回は、白ブドウを感じさせるフレーバーをペアリングしている。
そして最後に紹介するのが、先ほどと同じく『豊島屋酒造』が造った「屋守(おくのかみ)純米中取り無調整生酒」(写真上)。口あたりの優しい米のうまみと甘みを感じられる一杯。
こちらには、糖度が高めで凝縮感がある「枝つきレーズン」(写真上)を。口休めとしてところどころに酸味のあるクランベリーが入っている。「屋守」の香味とレーズンの甘みのハーモニーが心地いい。
「ペアリングを紹介しましたが、飲み方、合わせ方は自由です。要望があればお燗にもします。自由に楽しんでほしい」とティーヤさん。
そのほか、同店の目玉は『木戸泉酒造』が造った「ヴィンテージ古酒 玉響」。1974年から毎年造られている古酒も用意している。年代もののワインを選ぶように、日本酒も選んでみてはいかがだろうか?
日本酒コミュニティ「東京日本酒部」の存在
ティーヤさんは、日本酒好きが集まるコミュニティ「東京日本酒部」も運営している。会員数は約500名(2019年1月現在)で、年齢層は30~40代が中心とのこと。
以前は日本酒に対して“おじさんが飲むお酒”というイメージを持ち、敬遠していたというティーヤさん。しかし約10年前に会社員時代の社員旅行で、新潟県の酒蔵見学へ行き、そこで搾りたての生酒を試飲したところ「こんなにおいしい日本酒があるのか!」と衝撃を受けた。
そこから日本酒にのめり込み、知識を深めていった。2016年には「唎酒(ききざけ)師」を、その後も「日本酒学講師」「酒匠」という日本酒に関する資格を取得。しかし日本酒の勉強をすすめていくうちに、普段周りにいる人たちがいかに日本酒のおいしさや魅力を知らないかがわかってきたという。
「もっと日本酒のおいしさを広めたい」という想いから、2017年9月に「東京日本酒部」を立ち上げた。Facebookのコミュニティ運営をはじめ、飲み会や蔵人体験などのイベントを定期的に開催している。そして『TOKYO SAKE DEPARTMENT』は、「東京日本酒部」のオフィシャルBARという位置づけだ。今後は、「唎酒(ききざけ)師」「日本酒学講師」「酒匠」などの資格を生かして、店内で日本酒セミナーを開催する予定だという。
「2019年の目標は、東京日本酒部の会員数が2,000人突破すること。この記事を読んだ方も、ぜひ参加してもらえれば」(ティーヤさん)。
「東京日本酒部」に参加すれば、より一層、日本酒に詳しくなるのではないだろうか(下記の公式HPのリンクから入会可能)。
マスターのティーヤさんと話すのも楽しく、1人でも気軽に行ける『TOKYO SAKE DEPARTMENT』。日本酒初心者で、どの銘柄を飲んでいいのか迷ったときは、ティーヤさんに聞いてみよう。
普段飲んでいるお酒や料理の好みなどから、おすすめを判断してくれるはず。日本酒をとことん堪能できる銀座のバーなだけに、ぜひ覚えておきたいお店だ。
【メニュー】
ウォーターチャージ 500円
純米アフス生 1,100円
純米大吟醸 利他 1,300円
屋守 純米中取り無調整生酒 1,000円
チーズ三種 1,000円
チョコレート 1,000円
枝付きレーズン 800円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また価格はすべて税別です
編集協力:名久井梨香
TOKYO SAKE DEPARTMENT(トウキョウ サケ デパートメント)
- 営業時間
- 18:00~23:00(L.O.22:30) ※イベント開催などで変更になる場合もあり。公式HPの営業カレンダーをご確認ください
- 定休日
- 日曜、GW、夏季、年末年始 ※イベント開催などで変更になる場合もあり。公式HPの営業カレンダーをご確認ください
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。