「お燗の魔術師」による燗酒と料理にハマること必至! 美人アナも魅了された池尻大橋『えんじゃく、』

利き酒師、一級フードアナリストの資格をもち、大の日本酒好きとして各メディアで活躍中のフリーアナウンサー・あおい有紀が、選りすぐりの和酒のお店を訪れ、お店とお酒、人の魅力に迫る!
# 和食×日本酒(燗酒) えんじゃく、

2019年03月20日
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「お燗の魔術師」による燗酒と料理にハマること必至! 美人アナも魅了された池尻大橋『えんじゃく、』
Summary
1.日本酒通が通う名店出身。「お燗の魔術師」の店で、燗酒の魅力にハマる!
2.独創的な酒肴の数々に合わせた絶妙な温度の燗酒と、細やかな心配りに感動
3.ローストビーフやタイカレーにもピタリと合う。お燗の新たな魅力に開眼するファンが続出

自他共に認める日本酒好きのフリーアナウンサー「あおい有紀」が“和酒”の魅力を発信!

いまや空前の和酒ブーム! 日本酒や焼酎、日本ワインなどの“和酒”が楽しめるお店が急増している。けれども本当においしい魅力的なお店は? そのお店のお酒や料理はどう楽しめばいいの?

利き酒師、焼酎利き酒師、一級フードアナリストなどの資格をもち、大のお酒好きとして各メディアで活躍中のフリーアナウンサー、あおい有紀さんが自分の足で探し歩いた「とっておきのお店」を訪れ、選りすぐりのお酒と料理を実際に味わいながらじっくりとその魅力に迫ります。

池尻大橋から徒歩3分。落ち着いたカウンター席はワインバーのよう

こんにちは。あおい有紀です。
今回ご紹介するお店は『えんじゃく、』。お酒仲間からお燗がとてもおいしいと紹介されて訪ね、すっかりファンになってしまいました。ここで燗酒の魅力、お料理とのペアリングを皆さんにたっぷりとご紹介したいと思います。

東急田園都市線・池尻大橋駅から徒歩3分ほど。国道246号線から斜めに入る路地に建つビルの2階です。うっかり通り過ぎてしまいそうな場所なのですが、一度覚えれば大丈夫。

さあ、中にご案内しましょう。

お店に入ると、13席のL字カウンターが現れます。白と木目を基調にした、ゆったりと落ち着ける空間です。日本酒は純米酒を主体に、15銘柄、60種類ほどを揃えられています。このほかにも、店内のセラーで自家熟成させているお酒が150本ほど眠っており、ビールやワインも用意されています。

日本酒通が通う名店出身。「お燗の魔術師」の店で、燗酒の魅力にハマる!

この店をひとりで切り盛りされるのは店主の高木晋吾さん。岐阜県出身の高木さんは、理工系の大学を卒業後、最初は都内の電機メーカーでエンジニアとして働かれていたそうです。退職されて故郷に戻り、食肉関係の家業を手伝われたあと、大好きな日本酒の仕事をしたいと、再び上京を決意。知人の酒屋さんや渋谷・神泉の人気和食店『うみとはたけ ぽつらぽつら』で経験を重ね、支店の日本酒専門店『うつらうつら』では“お燗番”を務められたのち、2017年に独立されました。
理系出身でもある高木さんの、緻密でていねいなお燗テクニックは話題を呼び、数々のお客さまを虜にしてきたことから「お燗の魔術師」というニックネームがついたのだそう。

ちろりで温めたお酒を徳利に移して、再びお湯の中へ。徳利で最終的に狙った温度にします。ワインのデカンタージュのように、お酒に空気を含ませることで、アルコールの角を取ってまろやかに。流れるような一つひとつの丁寧な所作から、お酒への愛情が伝わります。
高木さんはお燗用に60℃と80℃、2種類のお湯を用意して、お酒の種類や合わせるお料理ごとに、もっともおいしくなる温度を追求されているのです。

酒器も素敵。京都で作陶されている岳中爽果(たけなかさやか)さんの作品です。たしかに、横に広がった平盃は、お猪口よりもひと口目からお酒の複雑な味わいを舌全体で感じ取りやすいですね。

おひとりさまでも楽しめる酒肴をつまみながら、きりっと酸のある燗酒を

一品目は「前菜の盛り合わせ」(写真上)。ここへ来たらぜひ頼んでほしい、季節替わりの酒肴4種盛りです。
手前左が北海道産の北寄(ほっき)貝。愛媛『巽(たつみ)醤油』の醤油を使用した、自家製の醤油麹がのっています。その上が広島から直送の、大粒の牡蠣のオイル漬け。山椒が少し効かせてあります。右上がポテトサラダ。中にローストした帆立貝が練りこんであり、上にカニの餡をのせて北海道らしい組み合わせに。右下がフルーツトマトとうるいのおひたし。

こんなに手の込んだおつまみが800円なんて、お酒好きにはうれしい限りですね。

さっそくお燗をつけていただきましょうか。合わせたのは愛知県『長珍酒造』の「長珍 純米八反錦60 ささにごり生」。「長珍はぼくが思い入れのある銘柄の一つで、“ささにごり”は新酒です。お酒単体でも楽しめて、いろいろな味の前菜にも合わせやすいものということで、このお酒を選びました」と高木さん。

ひと口いただくと、ダイレクトな酸味が感じられ、ドライでシャープな味わいです。前菜と一緒に味わってみると、北寄貝や牡蠣、ホタテなどの貝の甘みとうまみにお酒の酸味がぴったり! うまみが口の中で何倍にもふくらみます。お酒に含まれる乳酸と、貝のうまみ成分のコハク酸の競演。貝だけでなく、おひたしのだしのうまみとトマトの酸味にもよく合いますね。

二品目は「香川産キウイとブルーチーズのオーブン焼き」(写真上)。カットしたゴールドキウイにブルーチーズをのせてオーブンで焼いたあと、はちみつと黒コショウをかけてあります。まずもって熱々のキウイが新鮮! 「チーズを使って焼いた料理は、温かいお酒のほうが合うと思います。冷たいお酒と合わせると口の中でチーズが固まってしまいますし。それに、山廃のような乳酸発酵させたお酒の味わいと、チーズの乳成分も非常に相性がいいんですよ」と高木さん。

合わせたお酒は同じく香川県『丸尾本店』の「悦凱陣(よろこびがいじん)八反 純米酒 無ろ過生」。温度はやや高めの50℃。しっかりした酸味が特徴的で、コクのある味わいのお酒です。

お料理とお酒を一緒に味わってみましょう。キウイは酸味がしっかりしているので、酸味×酸味で過剰になりそうですが、ブルーチーズの香りとうまみが、ちょうどお酒を引き立たせる感じ。お酒は後ろに下がって、下から支えるような役割になっています。ここは冷酒でなくお燗がぴったりですね。果物×ブルーチーズ×濃いめのお酒の組み合わせ、楽しいです。

三品目は「飛騨牛シンタマのロースト、ぽん酢とオニオンソース」(写真上)。牛モモ肉のシンタマという部位で、添えたのはおろしたタマネギ、ニンニクに、酒、みりん、醤油、リンゴジュースなどを加えて煮詰めたオニオンソース。オーダーが入ってから焼き上げるため、お肉がやわらかい!

合わせたお酒は岐阜県『大塚酒造』の「竹雀(たけすずめ)生もと純米酒 無濾過生原酒」。蔵の近くにお住まいの農家さんが栽培された、山田錦を使用しています。酵母無添加のため、発酵が始まるまでに1カ月かかり、じっくりゆっくりと発酵させたお酒です。『えんじゃく(燕雀)』というお店の屋号は、このお酒にちなんだものだそうで、高木さんの思い入れも深いお酒ですね。

お酒の温度は55℃。いちど60℃まで上げてから55℃に下げてあります。

口に含むと……。うん、お米の香りが膨らみ、奥深い味わいで、じんわりと体にしみわたります。酸味はあるのですが、丸みがあり、まろやかでコクもあって。上手にお燗をするとアルコールの角も取れるんですね。

お肉と合わせて一口。……あ、お酒の深い味わいにお肉のうまみと、オニオンソースの風味が口の中で混ざり合って、三位一体というか相乗効果というか、お互いをよりおいしくしていますね。もうこれは、燗しかない! エッジのきいたタイプのお酒よりも、こうしたまろやかなお酒のほうが合うように感じます。

スパイスたっぷり、〆のカレー。燗酒を合わせてみると?

四品目は、ここへ来たらぜひ召し上がってほしい一品、「えんじゃく、カレー」(写真上)です!
ココナッツミルクの入ったアジア風のチキンカレーですが、なんとペーストから自家製で作られています。たくさんの種類のスパイスに、ピーナッツバターやクルミでコクやまろやかさをプラス。隠し味には八丁味噌の複雑なうまみと、レモン果汁で酸味を加えます。レシピは高木さんが『うつらうつら』時代に考案されたオリジナル。目の覚めるようなスパイスの香味に意外なほどしっかり効いた酸味。飲んだ後の〆として召し上がる方もいますが、さらに日本酒を合わせる方も多数とのこと。難しそうな組み合わせですが、さて、これに日本酒が合うんでしょうか?

選んでいただいたのは、神奈川県『川西屋酒造』の限定品「隆 阿波山田錦55純米吟醸無濾過生原酒 緑」。2009BY(2009年醸造)ですから、10年ものの貴重な熟酒ですね。若いものはハーブや青草の香りがあるそうですが、こちらの香りをかいでみると、熟したフルーツのような香りがふんわりと漂います。味わいは穀物っぽさが感じられながらも、酸味があって、爽やかさもある。

さて、カレーと合わせてみましょうか。……うん、面白い! 結構酸味が強めで、辛みもあり、後からナッツの風味やコクが口に広がるカレーにこのお酒を合わせることで、スパイスやハーブの香りが際立ち、後味がすっきりします。油脂系のコクに合うようですね。エスニック系のカレーにお燗酒がこんなに合うなんて、合わせてみるまで想像できませんでした!

「お燗ってこんなに幅広く楽しめておいしいんだ!ということを伝えたい」という思いで、このお店をオープンされた高木さん。お燗好きな方は常連必至。お燗の初心者にも新しい楽しみ方を提案してくださいます。ひとりでも入りやすいお店なので、ぜひ“魔術師”の技を体感してみてください。

編集協力:糸田麻里子(フードライター・エディター)
撮影:佐々木雅久

【メニュー】
おまかせコース(お食事5品) 2,900円~
前菜4点盛り合わせ 800円
国産キウイとブルーチーズのオーブン焼き 850円
飛騨牛シンタマのロースト、ぽん酢とオニオンソース 2,200円
えんじゃく、カレー 850円
日本酒(半合) 500円~
ビール(サッポロラガービール・中瓶) 750円
グラスワイン 950円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

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※『dressing』プレミアム読者限定の読者プレゼントあり※

『えんじゃく、』高木さんに、dressing読者へプレゼントをご用意いただきました。
特典をゲットして、あおい有紀さんおすすめの店『えんじゃく、』の料理とお酒を堪能しましょう!

※取材時にいただきましたご来店時特典は、2019年4月30日(火)まで有効です。

ご来店時特典は…! (続きは「今すぐ続きを読む」へ)

えんじゃく、

住所
東京都世田谷区池尻3-19-3 ベルエア2F
電話番号
050-5487-8146
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
18:00~24:00

日・祝日
16:00~24:00
定休日
不定休日あり
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/cgdjh07j0000/
公式サイト
https://www.facebook.com/sakeenjyaku/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

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