六本木のフレンチ 『ル スプートニク』 髙橋雄二郎シェフ
「食べ歩きが大好きな両親に連れられ、おいしいもの目当てに家族旅行をしていました」と子ども時代を振り返るのは、六本木のフレンチ『ル スプートニク』で腕を振るう髙橋シェフ。
料理人を志したのは、大学卒業後。料理上手な母に弟子入りし、その後、調理師専門学校へ。卒業後は地元福岡から上京、都内のレストランで3年半の修業を積み、さらに上を目指して渡仏。
『ミシュランガイド』掲載レストランから有名ブーランジェリー、パティスリーまで、幅広い分野のお店で研鑽を積んだ後、2015年に独立し、『ル スプートニク』をオープンしました。
“ル スプートニク”という店名には「フランスの伝統を重んじつつ革新・挑戦する」という、髙橋シェフの強い想いが込められています。
髙橋シェフから紹介いただくのは、「プーレ・ディアブル (鶏肉の悪魔風)」
「ディアブル=悪魔風」とは、マスタードをピリリと効かせたスタイルの料理のこと。
「鶏肉にマスタードを塗ってパン粉をまぶしたフランスの家庭料理で、ビストロのメニューですが、このソースが本当においしいんです」と髙橋シェフ。
ソースは、フランス料理の基本となる「ソース ロベール」。フォンドボー(子牛の肉や骨でとっただし汁)をベースに、エシャロットで食感をプラス。マスタードの適度な刺激がクセになるおいしさです。
はじめに紹介する「3つのコツ」が、おいしさの秘訣! 味を大きく左右する部分なので、省かずに実践しましょう。
プロの味に近づくための「3つのコツ」
【その1】鶏肉の皮目にカリッと焦げ目をつける
皮を焼き付けることで、仕上がりの香ばしさが格段にアップ! 鶏肉の表面はでこぼこしているので、上から押し付けるようにすると、きれいに火を入れた後は、溶かしバターをかけながら焼いてきましょう。
【その2】ソースはお酒がなくなるまでしっかり煮詰める
今回紹介するフランス料理の基本のソース「ソース ロベール」は、とにかく丁寧に煮詰めることが重要! 水分がなくなるギリギリまでしっかりと煮詰めるようにしましょう。
鍋肌から焦げやすいので、火加減に注意。焦げそうになったら一旦火からおろし、少し冷ましてからまた火に戻す、を繰り返すのが失敗しない秘訣!
【その3】ソースにエストラゴン・ディジョンマスタード・パン粉を組み合わせる
「ソース ロベール」を鶏肉に添えるだけでも十分おいしいですが、今回はさらにひと工夫。ソースを煮詰める際にエストラゴン(甘い香りのするハーブ)の茎を加えて香りづけします。
さらに鶏肉の皮目にもエストラゴンの香りをまとわせたパン粉とマスタードを塗り、オーブンでこんがりと焼き色を。
ソースと皮目それぞれに使ったエストラゴンの香りが鶏肉に偉大な魔法をかけ、絶品の味わいになりますよ。
材料(2人分)
■鶏肉
・鶏モモ肉、または鶏ムネ肉 … 2枚
・塩 … 適量
・黒コショウ … 適量
・ニンニク … 1片
・ローズマリー(枝) … 1本
・バター … 10g
・ディジョンマスタード … 大さじ2ほど
・パン粉 … 大さじ4ほど
・パセリ … 適量
・エストラゴン(タラゴン) … 適量
<下準備>
・鶏肉はすじ切り等の下処理をした後、両面に軽く塩・黒コショウをふる。
・ニンニクは包丁の背等で軽くつぶす。
・エストラゴンは葉と茎に分け、葉はみじん切りにする。茎はソースに使用するのでとっておく。
・パセリをみじん切りにする。
・パセリとエストラゴンをパン粉に混ぜる。
■ソース
・エシャロット(ない場合はタマネギで代用可) … 30g
・無塩バター … 10g+少々(2回に分ける)
・白ワインビネガー … 10ml
・白ワイン … 50ml
・エストラゴン(茎) … 2本
・フォンドヴォライユ(今回は市販のフォンドボーを使用) … 100ml
・塩 … 少々
・黒コショウ … 少々
・エストラゴンの葉 … 5g
<下準備>
・エシャロット、エストラゴンの葉をみじん切りする。
■盛り付け(例)
・ベビーオニオン … 適量
・ペコロス … 適量
・オリーブオイル … 適量
・塩 … 適量
<下準備>
・ベビーオニオンは、オリーブオイルと塩でゆっくりローストする。
・ペコロスは、塩で茹でた後、バーナーで炙る。
作り方(調理時間:20分)
<鶏肉をこんがりと焼く>
① フライパンを熱し、鶏肉の皮目から中火で焼く。ニンニクも入れ、ローズマリーを鶏肉の上に置き香りを付ける。皮目をカリッと香ばしく仕上げたら、反対側も焼く。
- ポイント
- 皮目がカリッとし、程よい色の焦げ目がつくまでひっくり返さない。
② オーブンがあれば途中オーブンに入れて、なければ蓋をして蒸し焼きし、中まで火を通す。
- ポイント
- ムネ肉は水分を霧吹きでかけながらゆっくり火を入れるとしっとり仕上がる。
③ 皮目を上にし、バター10gを加えて溶かし、バターをスプーンで鶏肉にかけながら焼いて仕上げる。
- ポイント
- こうすることで、皮がよりカリッと仕上がりおいしくなる。
<ソースを作る>
④ フライパンに無縁バター10gとみじん切りにしたエシャロットを入れ、弱火で焦がさないように炒める。しんなりしたら白ワインビネガーを入れ、煮詰める。
⑤ 煮詰まったらエストラゴンの茎を加え、白ワインを入れる。混ぜながら煮詰める。煮詰まったらフォンドヴォライユ(市販のフォンドボー)を注ぎ、再び煮詰める。
- ポイント
- 水分がなくなるギリギリまでしっかりと煮詰める。
⑥ 煮詰まったらバター少々を入れて鍋をふりながら混ぜ、塩コショウで味を調える。ソースをこし、エストラゴンの葉のみじん切りを入れて仕上げる。
<仕上げ・盛り付け>
⑦ 鶏肉の皮目全体にディジョンマスタードをぬり、パン粉(パセリ、エストラゴン入り)をたっぷりふりかけてオーブン(またはトースター)で焼く。
- ポイント
- マスタードとパン粉は上面全体にたっぷりつけたほうがおいしさがアップする。
⑧ 皿にソースをひき、カットした鶏肉を並べ、ベビーオニオン、ペコロスをあしらえば完成。
完成!
「『ソース ロベール』は、数あるフランス料理の中でも基本のソースなので、覚えておくといろいろなソースの作り方がわかりやすくなるんじゃないかな」と髙橋シェフ。
髙橋シェフが最初に修業に入ったお店で、料理長直々にレシピを教えてもらったのが、この『ソース ロベール』だったそう。言われた通りに作ったらとてもおいしく、髙橋シェフの初期の成功体験となった思い出の料理。
見た目もおしゃれで、パン粉の香ばしさが食欲をそそる一品。きれいに盛りつけたら、パーティーの主役にもぴったりですね!
髙橋シェフのお店『ル スプートニク』は東京・六本木からほど近い乃木坂にあります。店名は、旧ソビエト連邦の人工衛星「スプートニク」からインスピレーションを得たそう。
フランス料理の基礎を主軸としながら、自由な発想で攻め、新しい料理を生み出していくという髙橋シェフの料理を求めて、日々多くのゲストが訪れます。
髙橋シェフが腕を振るう、
『ル スプートニク』についてもっと詳しく知りたい方ははこちら!
その他にも、髙橋シェフのレシピを楽しみたい方はこちら!
【記事提供元】
プロから学ぶ簡単家庭料理「シェフごはん」
ル スプートニク
- 電話番号
- 03-6434-7080
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 火~日
ランチ 12:00~15:30
(L.O.13:00)
ディナー 18:00~23:00
(L.O.20:30)
- 定休日
- 月曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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