よそ行きだけど気取らない。居心地抜群の空間で堪能するイタリアン
東京メトロ銀座駅から新橋方向に歩くこと5分、中央通りを『ビヤホールライオン 銀座七丁目店』で左折し、2つ目を右折して約30m。
銀座にこんな場所が!? と驚くほど静かな通り沿いの階段下に『GIAGGIOLO GINZA(ジャッジョーロ銀座)』はある。
お香の芳香漂うエントランスは幽玄の趣で自然と心穏やかになる。隠れ家好きの美食家を案内すれば喜ばれるに違いない“おこもり感”がなんとも魅惑的だ。
温かみを感じるやさしいトーンの照明と重厚感あるデザインの店内。カウンター8席、テーブル24席と広く、30人程度の貸し切りパーティーもできる。カウンターでシェフと語らうひとり客、女子会、若いカップルや年配の夫婦、会食らしきグループなど、多様な客層がそれぞれに笑顔で集う。
創業400年以上、世界最古の薬局『サンタ・マリア・ノヴェッラ』の癒やし
『ジャッジョーロ銀座』のシンボルマークはイタリア・フィレンツェ市章のモチーフでもあるアイリス。店名は、そのトスカーナ地方を代表するアイリスの花の愛称=Giaggiolo(ジャッジョーロ)である。
フィレンツェには1612年創業という世界最古の薬局『サンタ・マリア・ノヴェッラ』があり、現在も観光客のお買い物スポットとして人気を博す。そのショップを日本で展開する会社が『ジャッジョーロ銀座』を運営しており、「ハーブや薬草など自然の豊かな力を活用して癒やす」という思想をコンセプトにしたメニューを展開しているのだ。
生産者から直送される新鮮なハーブ15種で作る、山盛りサラダをお目当てに
人気の店には必ず名物がある。
『ジャッジョーロ銀座』の名物は3つ。常連諸氏なら「もっとある!」と愛情込めて反論されるかもしれないが、今回は初めての方にもおすすめしたいメニュー3選を紹介しよう。
ひとつ目は、「15種類のハーブサラダ」(写真上)。ミズナ、ルッコラ、ディル、レッドアジアンマスタード、デトロイト、ミントといった色とりどりのハーブにフルーツを美しくあしらったアンティパストで、このサラダを目当てに通う人も多い。
ハーブの生まれ故郷は茨城県南東部に位置する鉾田(ほこた)市。海に近い農場にて、水耕ではなく土耕で丁寧に栽培された選りすぐりを直接届けてもらっているという。
ハーブ自体のおいしさを味わえるよう、味付けはシンプルを極める。あらかじめかかっているのは塩とエクストラヴァージンオリーブオイル、バルサミコヴィネガーとコショウ。好みで味を変えられるよう、赤ワインヴィネガーをベースにしたオリジナルのドレッシングと、ブルーベリー、パルミジャーノ・レッジャーノが添えられる。
見た目の美しい素材は味もいいというが、このサラダはまさにそれ。口に含んだ香りとシャキッと小気味よい歯ごたえだけでフレッシュさが実感でき、噛みしめるうちにハーブの味が濃いことに感動する。ミネラルの豊富な海辺の土壌で育ったがゆえの力強さなのかもしれない。
厨房で繰り広げられるダブルシェフのチームワーク
次なる名物の前に、2人のシェフをご紹介しよう。
川島雅光さん(写真上・左)と、柳田誠さん(同右)。このほど、同店での経歴も長い若手のダブルシェフへと体制が変わったばかりだ。
川島さんは、「丁寧な仕事をする職人」と絶大な信頼を受ける人物。素材本来の味を大切にしながら、「そのおいしさをさらに引き立てる調理法で、体に優しく、心に残る料理を」と、日々真摯に向き合っている。
柳田さんは、イタリアでの4年間をはじめ国内でもさまざまな修業を積んできた。ワインの銘醸地として知られるイタリア北西部・ピエモンテ州で過ごした経験からワインの魅力にも開眼し、マリアージュも考えながら厨房に立つ。
息の合うふたりが共にシェフを務め、これまでの味を大切に守りながら、新しさも追究していく料理にますます期待したい。
さて、名物の紹介に戻ろう。2つ目は、濃厚な卵で作る絶品「カルボナーラ」!
素材の主役は新鮮で味のいい卵だ。ストレスのない飼育環境で暮らす親鳥が産んだ鮮度抜群の卵、大阪『セラ・ルージュ』のその名も「こだわり家族のこだわり卵」という逸品を、このひと皿のために選び抜いたという。
「この卵は、卵黄だけだと濃厚すぎてカルボナーラのソースが濃くなってしまうので、うちでは全卵を使っています」(川島シェフ)
最高級の卵、カリカリに炒めたパンチェッタ、パルミジャーノ・レッジャーノと塩少々。そしてたっぷりのブラックペッパーに、なめらかさを保持するためにほんの少しの生クリーム。
一つひとつ吟味された素材をシンプルな調理法でまとめあげた「濃厚こだわり卵のカルボナーラ」(写真上)。火の入り方が絶妙で、この上なくクリーミー。コクがありながら、同時に上品で飽きない後味を保っているのが特徴だ。
口に運ぶたびにただようパンチェッタの芳醇な香りがまたすばらしい。パンチェッタ自体はもちろん良質で美味だが、ソースにしたときにそれが際立つのは、やはり卵との合わせ技。パンチェッタと卵のうまみやコクの絶妙なバランスが見事である。
500gのTボーンを炭火でじっくりグリルした垂涎必至のメイン料理
3つ目は「炭火で焼いたTボーングリル」(写真上)。
この極上ステーキのうまみは、イタリアの希少牛「キアニーナ」に近い。「キアニーナは個人的には好きですが、肉質は脂肪の少ない赤身肉でわりと噛みごたえがあるんです。年配のお客様も多数いらっしゃるので、脂の甘さや肉自体のうまみではキアニーナに匹敵しながら、やわらかさも併せ持つ牛肉を探し、現在はフランス産のTボーンをお出ししています」(柳田シェフ)。
厳選したTボーンをセージ、ローズマリーとオリーブオイルで真空パックし、1日以上マリネ。「ハーブの仕掛け」で素材の味と香りをさらに高める。
火を通しすぎずにミディアムレアに仕上げるのがおいしさのポイント。炭の遠火で時間をかけてじっくり焼き上げる。
炭火のいい香りに食欲が激しく刺激される。遠赤外線効果で表面はカリッと香ばしく、中はしっとりジューシー。塩とコショウだけで、肉のうまみをストレートに味わうのがおすすめだ。
500gと食べごたえがあるので、同店自慢の「プチプチ粒マスタード」をのせて変化を楽しむのも乙なもの。複数人で取り分ける人が多いそうだが、がっつりひとりで食べたい!という男性にも好評だという。
さっぱりとした上品な肉質なので、「軽めの赤ワインはもちろん、白ワインにも合いますよ」と柳田シェフ。
食後酒には、美と健康によいといわれ固定ファンも多い『サンタ・マリア・ノヴェッラ』の薬草リキュールを。フィレンツェの修道院を発祥とする深紅の「アルケルメス」、高貴なバラの香りが女性に人気の「ローザ」などをストレートで飲んだりスプマンテで割ったり。タイミングや気分に合わせ、飲み方を相談してみよう。
コースのラストは、選べるハーブティーですっきりと
食後の一杯はぜひハーブティーでしめくくりたい。フタを取って香りを試し、その日の気分で選んでみよう。自らハーブティーの調合も行うという笑顔のスタッフが薬効の説明もしてくれる。
この日は、有機ジャーマンカモミールをベースにルイボスグリーンやラズベリーリーフ、ローズヒップなど7種のハーブをミックスした「ベネッセレ」をチョイス。うまみたっぷりの料理を堪能した後の口中をさっぱりさせてくれる。カリッとした食感のビスコッティとも好相性。
「何かお土産を買って帰りたい」という声にこたえて店頭で販売もしている(2種類セットで3,400円)。ちなみに、名物「15種類のハーブサラダ」も通販や持ち帰りが可能。店頭と同じフレッシュなハーブを自宅で味わえるとあって、サラダだけを買いにくる人もいるとか。
ハーブサラダで幕開けする癒やしのイタリアン。銀座の隠れ家でご堪能あれ。
撮影:SHIge KIDOUE
【メニュー】
平日ランチ
Aコース(サラダとパスタ) 2,160円
Bコース(メインディッシュ付きの基本コース) 3,780円
Cコース(全6品、4皿からなるコース) 5,800円
ディナー
プリフィクスコース(前菜・パスタ・メインディッシュ) 7,800円
シェフおまかせコース 10,800円〜
※全コースに食後の飲み物(ハーブティーまたはコーヒー)とお茶菓子付き
※カルボナーラは+500円、Tボーンは+3,000円
グラスワイン 1,300円~
薬草リキュール(グラス) 1,200円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です
ジャッジョーロ銀座
- 電話番号
- 050-3467-7971
- 営業時間
- 月~土 ランチ:11:30~14:30(L.O.13:00) 月~土 ディナー:18:00~22:30(L.O.20:00)
- 定休日
- 毎週日曜日 ※※翌日が祝日の場合、営業
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