幅広い調理経験がもたらす自由な進化型中国料理 銀座『レンゲ エキュリオシティ』の絶品コース

【腕利き料理人が通ううまい店】世の食いしん坊たちを魅了する腕利き料理人こそ、選ばれし生粋の食いしん坊。好奇心を刺激しに、疲れた身体を癒しに通う店には、間違いない味と心意気がある。料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う。

2019年05月18日
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幅広い調理経験がもたらす自由な進化型中国料理 銀座『レンゲ エキュリオシティ』の絶品コース
Summary
1.魚介をとことん楽しめるカウンター割烹、銀座『割烹 智映』のオーナー北山智映さんが通う店
2.人気を博した新宿三丁目『チャイニーズタパス レンゲ』が進化し、銀座『レンゲ エキュリオシティ』として新たなるステージへ
3.培ってきた中国料理の技術と、素材への探究心から生まれる独創的なコース

連載 第15話:『割烹 智映』店主 北山智映さんが通う店

料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う連載【腕利き料理人が通ううまい店】。

広尾『GENEI.WAGAN』のオーナー入江瑛起さんからバトンを受け継いだのは、銀座『割烹 智映』のオーナー北山智映さん。『割烹 智映』は、魚介を中心としたオリジナルコースを展開するカウンター割烹。旬の魚のよさ、さらなる美味をとことん追求し、引き出していく智映さん。この技と味に魅了されるファンも多く、予約の取りにくい人気店として話題になっている。研究熱心な智映さんが通うのが、今回の店。10年来の友人と語る、その人、その味とは…。

では、ここからは智映さん自ら語っていただきましょう!

客席に囲まれたオープンキッチンは、まるでステージのよう

東京メトロ銀座線や日比谷線、丸ノ内線の銀座駅から歩いて5分ほど、1フロア1店舗のGINZA745ビル9階に『レンゲ エキュリオシティ』はあります。以前は、新宿三丁目に『チャイニーズタパス レンゲ』の名で出店していましたが、2015年にうちの店(『割烹 智映』)のすぐ近くに移転してきました。

店内は以前より広くなって、カウンター席のほかにテーブル席が5つ。空間にゆとりがあっていいですね。

オーナーシェフは西岡英俊さん。『割烹 智映』がオープンして間もない頃、別の仕事で出会ったのがきっかけでした。業種の垣根を越えた料理人の方との仕事は勉強になるし、何よりも私が中華料理好きで、お気に入りのレストランのひとつです。

『レンゲ エキュリオシティ』は、季節の食材を用いたおまかせコースひとつ。おすすめ3品をお願いしたら、なんとその前に「前菜の盛り合わせ」を出してくれました!

四川風よだれ鶏、自家製の豚の干し肉 辣醬(ラージャン)、三崎産鰆のタタキ、クラゲとニンジンのマリネ、ふぐ皮と春菊の和えものの5種。一つひとつ、とても丁寧に作られています。干し肉にかかっている辣醬も手作り。肉の風味を引き立たせる辛みとうまみ、目立たないところにも手間ひまかけているのが伝わってきます。

合わせて出してくれたのは、「CLOTILDE DAVENNE SAINT BRIS 2017」。フランス、シャブリ地区で造られるソーヴィニヨンブラン。グリーンを思わせる香りが春を感じさせます。

では、本日のコースから、3品をご紹介します!

第3位:「焼きとらふぐとツバメの巣、金華ハムのコンソメ」

コースの中盤で出てくるスープです。ふぐは大ぶりで、ふっくら。仕上げにかかった干し貝柱の油が食欲をそそります。

金華ハムのスープは、きれいな黄金色で、ほどよいコクがあります。フカヒレスープのあっさり版といった印象、このうまみはコハク酸かな?

「金華ハムから感じられるものだね。うまみの成分がかつお節と同じコハク酸だから」と西岡シェフ。こんな質問にもパッと答えてくれるのが、彼ならでは。料理を組み立てる時の考え方が似ているからとても勉強になります。食材だけでなく、調理の技術も、自分だったらどう仕上げるか、どんなメニューにするか、と考えることができるので、刺激になります。

第2位:「串本産 黒ムツの香り蒸し」

スープのあとに出てくる中華の定番・蒸し魚。最後に香り油で引き立たせています。

上にかかっている黒いものは何だろう? 早速いただきます。ん?ちょっと納豆みたいな味。油を絡めるとピーナッツの香りもしてきます。

「黒いのは豆豉(トウチ)、発酵した大豆だから納豆のニュアンスを感じたのかも。最後にかけたのは中国産のピーナッツ油。ピーナッツ油は2種類使っていて、生食のときはフランス産、加熱するときは中国産にしています」(西岡シェフ)。

研究熱心で、油や酢の絶妙な使い分け方がすばらしいです。

第1位:「明蝦のチリソース オールドスタイル」

蒸し物のあとのメイン料理は、フカヒレやアワビ、エビ、黒豚などを使った7種類くらいの料理のなかから選ぶそうです。今回は西岡さんが修業されていた時代から受け継がれる、明蝦(ミーシャー・車エビ)を使ったエビチリ。

「エビチリというと、一般にイメージされる赤色はケチャップによるものだと思いますが、それは近代の作り方。僕が教わったのは昔の上海の調理法で、エビの味噌がもたらす色なんです。コクのある味噌を頭にたっぷりそなえたエビが主役。以前は大正エビを使っていましたが、今はほとんど流通していないので、それに似た東シナ海の車エビで作っています。頭を殻ごとしっかり炒めて、うまみを引き出します」と西岡シェフ。

▲コク深いエビの味噌が味の決め手!

エビの味噌から得られる本来の色。プリッとした身にしっかり絡み、うまみが最大限に引き出されています。

こちらの料理に合わせて出してくれたワインは「San Giusto a Rentennano Chianti Classico 2015」。イタリア、トスカーナ州で造られる香りのよい赤ワインです。ほどよい果実味で、魚介系にも合いますね。

今日も納得の味でした。私が魚好きということもあって魚介を中心に出してくれましたが、西岡さんは野菜使いもすばらしい。野菜本来の味を立たせる塩使いのうまさを実感します。ゆっくり話もできて楽しかった! これからも、ともに食を追求していきましょう!

【編集後記】
取材中、食材の産地や仕入先について話が止まらないおふたり。近々一緒に秋田県をはじめ東北各地へ足を運び現地食材を視察する計画があるそうで、ふたりの探求心はとどまるところを知りません。素材を徹底的に掘り下げて、味を引き出す。『レンゲ エキュリオシティ』が人気店たる所以を肌で感じました。

撮影:千々岩友美

【メニュー】
おまかせコース 15,000円
グラスワイン 1,500円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別・サービス料(10%)別です

レンゲ

住所
東京都中央区銀座7-4-5 GINZA745ビル9F
電話番号
050-5494-8231
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
火~日・祝前日・祝日
ディナー 17:00~23:30

土・日
ランチ 12:00~15:30
定休日
月曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/npkgfnus0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。