【西麻布】そば好き必見! 日本古来そば「在来種」が味わえる『蕎麦おさめ』はおすすめの一軒

2019年06月10日
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【西麻布】そば好き必見! 日本古来そば「在来種」が味わえる『蕎麦おさめ』はおすすめの一軒
Summary
1.今注目される新世代のそば職人が独立!西麻布の路地裏に誕生したオトナの隠れ家『蕎麦おさめ』
2.挽きから打ちまですべてにこだわった、日本古来の品種、在来種のそばの極上の味に唸る
3.これぞオトナのたしなみ。極上の酒と至福の料理で過ごす“そば前”のひととき

粋なオトナの時間が過ごせる、西麻布の隠れ家のようなそば店

江戸の昔から馴染み深い食べ物、そば。創業100年以上の歴史ある高級店からワンコインで済む立ち食いまで様々なスタイルでそばを楽しむことができるが、品種にまでこだわって食べることはなかなか無いかもしれない。2018年11月、西麻布にオープンした『蕎麦おさめ』は、品種改良される前の在来種のそばにこだわってそばを打つ、新進気鋭の職人の技が光る店だ。

場所は、六本木通りの喧騒を背に、路地を曲ってすぐに現れるシックなビルの2階。ひっそりと隠れ家のような雰囲気がある。店名『おさめ』は店主の名前に由来し、「成功を収める」や「業を修める」などさまざまな意味合いを込めて名付けられた。

長いカウンターに8席、そのうしろにテーブル席6席の店内は、一見そば店には見えないモダンな雰囲気。和の落ち着きとスタイリッシュさが共存しており、粋なオトナの時間が過ごせそうだ。

日本そばの原点! 希少な”在来種のそば”とは

店主の納 剣児(おさめ けんじ)さんは、父親が洋食のオーナーシェフだったこともあり、早くから料理人を目指していたという。調理専門学校時代に専門料理をやろうと心に決め、卒業と同時にそば職人の世界に入った。市ヶ谷の『大川や』などでの修業を経て、神楽坂の『東白庵かりべ』では2番手を務めるなど活躍した。

料理人を目指した時から独立することを考えていた納さん。「こんな店を作りたいと明確なイメージを持つようになり、そのタイミングで独立しました」そのイメージの中心にあるのが、在来種を使ったそばだ。

在来種のそばとは、交雑していない日本古来の品種で、日本各地の気候風土に根付いて栽培されてきた。個性が豊かで風味や香りが強いのが特徴だ。納さんは数年前、静岡県にある『手打ち蕎麦 たがた』で在来種に出逢った。
「小粒なんですが香りが強く、そこで食べたそばのおいしさが忘れられませんでした。昔から改良されずに育てられてきたそばは、いわば日本そばの原点。その伝統を守り、おいしさをたくさんの人に知ってもらいたくて、在来種をメインにした店にしました」

『おさめ』では、日本そばのルーツと呼ばれる長崎県の対馬在来と、長野県の乗鞍在来を中心に福井県の丸岡在来や福島県、鹿児島県など日本全国の在来種を扱っている。この中から、その日の状態を見て2~3種類を選び、そばを打っている。

毎日、必要な分量だけ石臼で挽く。在来種は実が小さいだけでなく、粒の大きさもまちまちで、粒度をそろえるために常につきっきりで様子を見なければならない。
また、そばはわずかな湿度の変化にも影響される。そのため、そば打ち部屋には加湿器を入れ、一定の湿度を保つようにしている。

「そば打ちというと力強く打つというイメージがありますが、そばにストレスを掛けたくないので、あまり練らず、優しくゆっくりと伸していくようにしています。在来種が持つ力強さを削らないようにするためです」(納さん)

打ち上がったそばは細く端麗で見惚れるほど美しい。卓越した職人ならではの技だ。

店で用意されているそばは、殻を抜いて挽いた粉で作る十割そば(100%そば粉で作る)の「せいろ」と、殻ごと挽き、小麦粉を外一(そといち)で混ぜた(そば粉10に対して小麦粉1割を混ぜる)「玄挽き」の2種類。上品な風味の「せいろ」に対して、「玄挽き」は草やナッツのような穀物感があり、野趣あふれる味わいだ。

豊かな味と香りに酔いしれたい! 極上そばの数々

一番注文が多いのは「せいろそば」(写真上)だという。取材当日使われたのは、5日間熟成させた長崎県対馬在来。そばは熟成させるとうまみが増す。
熟成そばは、状態を見てから出すかどうか決めるため、常にあるとは限らない。「今日はあります」と勧められたら、ぜひ試していただきたい。

目の前に置かれたそばは表面に少しテカリがある。一般的に茹で上がったそばは水でしっかり洗い流してぬめりを落とすが、『おさめ』ではぬめりも在来種特有の味の濃さやうまみと考え、水で軽くしめる程度にとどめている。

「お客様には、最初そのまま食べていただき、そのあと塩で食べることをお薦めしています。」そばそのものの味をより深く感じてもらうためだ。

瑞々しくコシのあるそばは、つるりと喉を通っていく。噛みしめるとモチモチし、ほのかな甘さと香ばしさが口いっぱいに広がり、濃厚なそばの香りが鼻から抜けていく。塩をパラリとつけていただくと、穀物由来の甘さがより強く感じられる。

つゆは、鹿児島県枕崎でとれた本枯節と荒節がブレンドされただしを使った江戸前のつゆ。カツオだしのコクと香りがしっかりと効き、甘辛のバランスがとれたつゆは、そばの豊かな風味を引き立ててくれる。

温かいそばで人気なのは「かけそば」(写真上)。こちらは、当日打ち立ての長野県乗鞍在来を使用。玄挽きではないのに、野趣が感じられる力強いそばだ。

薬味は別添えになっており、最初のひと口では、カツオだしがしっかり効いたつゆと、温かいつゆに負けない風味を持つそばとの出逢いをシンプルに楽しめる。

かけ汁は、ソウダガツオから作られる宗田節と、サバ節をブレンドしてだしを取っている。うまみが濃く、香りが上品なかけ汁は、カツオ節の香りが主張し過ぎず、在来種のそばの香りを邪魔しない。

オトナの楽しみ、“そば前”で味わいたい絶品料理

「そばを食べる前に、酒を飲みながらちょっとした料理をつまんでいただく。そういった“そば前”を楽しんでもらう店にしたいと考えていました」(納さん)。
旬の素材を生かした一品からそば屋の定番まで“ちょっと一杯”が楽しめる料理が揃っている。

定番メニューから2品をご紹介。「お通しにしん」(写真上)は、5日間かけて煮込んだもの。アラスカ産ニシンは身がふっくらとしてボリュームがあり、箸ですっと切れるほどやわらかい。味がしっかりと染みているにもかかわらず、たっぷりと使った昆布のうまみがよく効き、味わいがまろやかだ。

人気メニューの一つ「鴨ロース」(写真上)。表面を焼き付けた後、タレに浸したまま低温でじっくりと蒸し煮している。ほんのりとタレが染み込んだ身は、食べごたえのある厚切りで、驚くほどしっとりとしていてやわらかい。

日本酒のセレクトは、一般社団法人日本ソムリエ協会の副会長、君嶋 哲至さんと納さんが、料理一つひとつを吟味しながら選んだ。冷酒でも熱燗でも楽しめる酒が揃っている。また、ちょっとした遊び心で、長崎と長野がメインの産地のそばに合わせ、同県産の銘酒もラインナップしている。

在来種は、栽培している生産者の規模も小さく収穫量も少ないため、あまり市場に出回ることはない。
「最初はツテも無かったので、諸先輩方に紹介していただきました」と語る納さん。現在、各地を訪れ、手刈りなどを手伝いながら、生産者と交流しているという。
「在来種の良さをお客様に紹介することで、生産者の力になればと思っています」。

新世代のそばを担う新星の誕生。予約困難になる前にぜひ風味豊かな絶品そばを味わいに行こう。

画像提供元(そば打ち画像のみ):蕎麦おさめ

【メニュー】
せいろそば 1,200円
かけそば 1,200円
お通しにしん 1,300円
鴨ロース 1,800円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

蕎麦おさめ

住所
東京都新宿区下落合3-21-5
電話番号
050-5487-7701
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
水~日
ランチ 11:30~14:30
(L.O.14:00)
ディナー 17:30~21:00
(L.O.20:00)
※お蕎麦がなくなり次第早めに閉店することもあります。
定休日
月曜日・火曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/87hhbxe40000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。