【保存版】 鮨のマナーを総ざらい!
職人が握ってくれるカウンターのお鮨屋さん。それが高級になればなるほど鮨の食べ方、細かいマナーが気になる人も多いのでは?
お鮨は箸で食べてはいけないの? 醤油のつけ方は? お鮨を食べる順番は? 本稿ではカウンター鮨店が初めての人も、あらためて復習したい人も、お店では聞きにくい「22の鮨マナー」についてQ&A方式で公開。
昭和15年創業の老舗・鮨店『谷中 松寿司』の三代目であり、フードコーディネーター・料理研究家の顔を持つ、野本やすゆきさんに「カウンター鮨のマナー」について教えていただいた。
鮨屋訪問は予約から!~下準備編~
Q.行きたいお店に訪問する前には何をしたらいいでしょう?
A.ランチタイムでメニュー表と値段を表に掲示してあるようなお店は、そのまま入店しても大丈夫な場合もありますが、お店側には仕入れや準備、客側としては席の確保などのため、予約するのがベターでしょう。その際はランチタイム・ディナータイムのピーク時など多忙な時間を避けると、お店の方も対応しやすいと思います。
予約時は名前、人数、連絡先、あればメニューの希望や苦手な食材などを伝えます。また、万が一キャンセルする場合は常識を持って。連絡なしでドタキャンするなどの行為はお店にも迷惑がかかり、自身も再訪しにくくなるなど、お互いに悲しい結果になるので、最後までご注意を!
Q.初めてのカウンター鮨。服装のマナーなどはありますか?
A.高級フランス料理店などとは違い、ジャケットやシャツの着用といった服装のルールはありません。季節に合った清潔感のあるものならいいでしょう。ただし、気を付けたいのが香水! 鮨屋以外でも料理は香りも大事な要素ですからね。
Q.行きたいお店のメニューや価格がわかりません。電話で聞いてもいいですか?
A.ホームページなどを見ても書いてない場合、値段や内容などわからない点を問い合わせるのはOKです。その際も予約時と同様に、電話をする時間に気を付けましょう。
お店に入ってからの正しい振る舞いとは?
Q.入店したらまずはどうしたらいいでしょうか?
A.予約している場合は予約名を名乗ります。予約していない場合は人数など希望を伝え、入店できるか確認します。席に着いたら、だいたいお店の方がメニューや飲み物などを伺いますので、希望を伝えて。メニュー表がない場合は口頭で確認を。また、アレルギー食材や苦手なもの、サビ抜きなどの希望は、最初に伝えておくと安心です。
Q.おまかせで食べられないネタが出てきたとき、どうしたらいいでしょうか?
A.上で答えた通り、食べられないものなどはコースが始まる前に伝えるのが好ましいですが、途中で気付いた場合はお店の方にひと言伝えてみてください。取り下げや交換など、適宜対処してくれると思います。
Q.オーダーは何と言えばいいのでしょうか?
A.メニュー表があればそこから選び、ない場合は口頭で「おまかせで」または「お好みで」と伝えます。おまかせはお店のおすすめの構成。お好みは自分の好きなものが頼めます。また、おまかせでも、つまみから始めるか、握りからいくかは事前に伝えましょう。
Q.お好みの場合、どうオーダーしたらいいのでしょうか? また、最初は何から食べ始めたらいいですか?
A.刺身などおつまみが欲しい場合、握りから食べたい場合、ネタ札を見て自分の好みのものを伝えます。ネタ札がない場合は「おすすめはありますか?」「貝類はありますか?」など、ちょっと絞って質問するとお店の方も答えやすいかもしれません。ちなみに、ネタ札にあるものは“つまみで”“刺身で”と言えば刺身などで、“握りで”と言えば鮨飯と握って出してくれます。また、最初に食べたほうがいいなど食べるネタの順番にルールはありません。好きなものを頼んで大丈夫です。
撮影していい? 私物はカウンターの上? 食事中の正しい振る舞い方
Q.撮影したい場合、どうしたらいいでしょうか?
A.お店の方に「お鮨を撮影していいか?」を確認してからにしましょう。また、基本的に撮影していいのは、自分のオーダーしたもの。他のお客がいる店内の様子や、他の席で頼んだ飲食物は撮影しないのがマナーです。飲食店は基本、食事をする場所。食事より撮影を重視すると、せっかくのおいしい食べ頃を逃しちゃいますよ。
Q.「あがり」「ムラサキ」「おあいそ」など、鮨屋用語は使ってもいいですか?
A.使ってもいいですが、元々はツケ場で職人内が伝え合う言葉。普通に「お茶」「お醤油」「お会計」で大丈夫です。
Q.カウンターにあるゲタやお皿はそのままにするものですか?
A.基本的にカウンター上にあるゲタやお皿は職人が握りなどを置く場所なのでそのままにします。ただし、どうしても取りにくい場合は自分のほうに寄せてもいいでしょう。
Q.カウンターでいただく場合、携帯など私物はどこに置けばいいでしょうか?
A.できればカバンの中や洋服のポケット、椅子の背中と背もたれの間に置くなど、出さないほうがいいですが、置く場合は並びの方や料理の邪魔にならない、またカウンターの板を傷つけないように気遣いを。他にバッグや上着などの大きな荷物はお店に預かってもらうのも策です。
煮切り? 醤油? 箸? 手? 食事中はどうしたらいい?
Q.握りは手と箸、何で食べたらいいのでしょうか?
A.答えは両方OKです。手を汚したくないときや、接待の席などで相手に合わせたほうがいい場合は使い分けるなど、その場その場で決めて大丈夫です。基本、手で食べる方でも、ツメが塗ってあるものは手がベタつくので箸を使うなどといった場合もよくあることなので、両方使い分けてください。
Q.握りを手で食べた場合、何で指先を拭けばいいでしょうか?
A.お店で出されたおしぼりや指拭きが主流ですが、気になったら手を洗いに行っても大丈夫です。いずれにせよ、ハンカチは持参すると安心ですね。
Q.飲み物はお茶やお水でもいいものでしょうか?
A.お鮨でこれを飲まないといけないというルールはありません。お茶やお水はもちろん、お店にあるお好みのもので大丈夫です。ただし、最近鮨屋で見かける、ペアリングコースを頼んでいるときはメニューに合わせた飲み物が提供されます。
Q.煮切りが塗ってある場合でも、追加でお醤油をもらって大丈夫ですか?
A.大丈夫です。「お醤油を頂けますか?」などと伝えればいいでしょう。ワサビやガリなども同様に、声をかけると追加してくれる場合がほとんどです。
Q.無口な職人さんのカウンター鮨に緊張します。サビ抜きなど希望を伝えにくいのですが……
A.無口でも、お店はお客さまの要望にはできる範囲で応えてくれるもの。サビ抜きなど、気にせず伝えて大丈夫です。もし緊張する場合は「よかったら…」「申し訳ないのですが…」などと、最初に言い添えるといいでしょう。
Q.小皿にとった醤油などを自分でつける場合、どのようにしたらいいですか?
A.ワサビは風味を楽しむため、醤油と溶かないで、ネタに直接少量乗せます。握りは鮨飯に醤油が染み込むとしょっぱく、またボロボロと崩れやすくなるので、ネタ部分に醤油をつけます。
Q.握りが口に運ぶまでに崩れそうになります。どうしたらいいでしょうか?
A.鮨飯を上に、ネタを下にしてひと口で食べると崩れにくいです。
Q.握りがひと口で口に入りません。対処策は?
A.鮨飯を小さくしてほしいと伝える、または、車海老など大ぶりなネタの際は切ってほしいなど伝えるといいでしょう。
Q.添えてあるガリやツマは食べなくてもいいのでしょうか?
A.それらはあくまでも口直しや彩りのために添えてあるもの。食べても食べなくても自由です。
Q.おつまみやお刺身にあしらってあるものは食べてもいいのでしょうか?
A.基本的に食べられないものをあしらうことはあまりないので、食べて大丈夫です。また、お店の方に「これは食べていいですか?」と聞いてもOKです。
Q.出されたものはすぐ食べるべきでしょうか?
A.出された瞬間がベストな食べ頃です。おしゃべりや撮影はほどほどに、あまり間をおかずに食べたほうがいいですね。
Q.コースが終わる前にお腹いっぱいに。その場合はどうしたらいいでしょうか? また、逆にもう少し食べたいときは?
A.満腹具合にもよりますが、ストップしたり、鮨飯を少な目にしたり、残りがどれくらいか聞き、「あと○貫くらい食べます」と伝えるなどすれば大丈夫です。また、足りない場合は「追加できますか?」と聞き、希望のネタや貫数を伝えましょう。その日の仕入れによってはできない場合もありますが、気軽にお店の方に相談するといいでしょう。
マナーは知っておくと安心! でも一番大事なことは「おいしく食べること」
いかがでしたか? 鮨のマナーはお店によるものも多く、一概に「正解はこれ!」とは言えませんが、知っておくだけで安心して食事にのぞめるかもしれません。
いま東京には”新世代の鮨店”が続々オープンしているので、ぜひホントにおいしい「鮨の名店」に出かけてみては?
今回教えてくれた方は……
▲『谷中 松寿司』の店主・野本やすゆきさん
東京の“谷根千”エリアで人気の『谷中 松寿司』三代目。フードコーディネーター、料理研究家の顔も持つ。お店は地元の方を中心に、海外旅行客から鮨ツウまで幅広く人気。
撮影:岡崎慶嗣
写真提供(一部):PIXTA
谷中 松寿司
- 電話番号
- 03-3821-5087
- 営業時間
- 昼 12:00~14:00(最終入店13:00)、夜 18:00~22:30(最終入店19:30)
- 定休日
- 不定休 ※営業日はホームページを参照
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。