本場のようなバルでスペイン郷土料理を。中目黒に誕生した『バル ポルティージョ』
ここ数年、日本でも「バル」を名乗る店が増えているが、本場スペインのそれとは利用方法が大きく異なるという。2つの違いを教えてくれたのが、東京・中目黒に2019年5月10日にオープンした『バル ポルティージョ デ サル イ アモール』オーナーであるビクトル・ガルシアさん。
代官山のスペイン郷土料理・お米料理(アロセリア)専門店『サル イ アモール』、同じくアロセリアとスペイン郷土料理を供する銀座『アロセリア ラ パンサ』のオーナーでもあるスペイン料理のプロだ。
ガルシアさんによると、スペインにはバルが“コンビニレベル”といえるほど数多く存在するという。「現地では、コーヒー1杯から気軽に利用できるので、待ち合わせに使う人も多いですね。一人客も多いですし、基本立ち飲みスタイルです」(ガルシアさん)
立ち寄る時間帯も日本とは異なり、昼夜問わず。出社前に朝食をとる人もいれば、ランチやカフェに利用する人、帰宅前の一杯でリフレッシュする人も。朝から晩まで、一日に何度も利用することも日常茶飯事だそうで、日本のバルとは利用方法がかなり異なるようだ。
スペインには、素朴でおいしい料理がたくさんあることを知ってほしい
それでも、代官山店・銀座店に続く3店舗目としてバルをオープンしたのは、多くの人に、肩肘張らずに楽しめる素朴なスペイン料理のおいしさを知ってほしかったから。
代官山店の『サル イ アモール』に行ったことがない人を含め、多くの人にスペイン料理の魅力を知ってもらうためのきっかけとなる店になりたい。“スペインへの入り口”のような存在になりたい。
その想いから、「小さな扉」を意味する「ポルティージョ」と姉妹店の名前を合わせた『バル ポルティージョ デ サル イ アモール』の店名を名づけたのだ。
どの料理もカジュアルな価格設定なので、「いろいろ試したい」という好奇心のままに注文できるのがうれしい。
「タパス」と呼ばれる小皿料理は300円(税別)から用意があるし、パエリアはグループ向けの3~4人分サイズの他にも、1日1回大皿で炊きあげる「その日のパエリア」を抱えて店内をまわるスタッフに声をかければ、600円~700円のタパスサイズのものも楽しむことができる。
他ではなかなかお目にかかれない、本場スペインで愛される「パエリアの卵とじ」
スペイン料理と言えば、なんといってもパエリア。
3~4名分の通常サイズのパエリアでぜひとも試してほしいのは、チョリソとひよこ豆のパエリアを卵でとじた「アロス コン コストラ」(写真上)だ。
スペイン南東部・アリカンテ県の郷土料理であるこのパエリアは、一見オムレツかと勘違いしてしまうが、スプーンを通すとたくさんの具と炊き立てのお米が顔を出す。
スパイシーなチョリソの他に豚バラ肉、ひよこ豆など具だくさん。スパイスの香りは感じられるが、決してスパイシーな辛口ではない。むしろうまみたっぷりでクセがなく、毎日でも食べたくなる味。食材から出る濃い塩味と卵のまろやかさがちょうどよい塩梅で溶け合っているため、日常的に食べたいと思わせてくれるのだろう。
いろいろなタパスを試したいなら、まずはこれ!
友人や家族と訪れたときには、どのタパスを頼むか迷うだろうが心配はいらない。ぜひ同店おすすめの、タパス数種を一度に楽しめる「コンビネーションプレート」を注文しよう。プレートは5種類あるが、中でもイチオシは「コンビネーション NO.5」(写真上)。
内容は、イベリコの生ハム、ピキージョピーマン(スペイン品種の赤ピーマン)のコンフィ、イカのフリット、焼きチョリソとフライドエッグ、マッシュルームのセゴビア風(生ハムやニンニク、白ワインなどとマッシュルームを煮込んだもの)、タラのグラティナード(タラの上にアリオリソースを乗せてオーブンで焼いたもの)の6種類の盛り合わせだ。
アンチョビとガーリックの風味が効いたピーマン、にんにくマヨネーズをたっぷり塗ってから加熱したタラをはじめ、濃いめの味付けでお酒が進むものばかり。
ちなみに、NO.5は人気タパスの盛り合わせとなっているが、NO.1からNO.4までは「お肉なしのタパス盛り合わせ」「揚げ物4種の盛り合わせ」などテーマがあるので、好きな食材や調理法に応じて、好みのバージョンを選ぶのもいいだろう。
食感も楽しい一品料理でお酒も進む
スタッフもみんなお気に入りという「ポルティージュ名物のナスのフリート サルモレホ添え」(写真上)は、南部アンダルシア地方の名物料理。
中はとろっと、外はカリっと揚げたナスに、トマトベースで酸味のあるサルモレホソースをたっぷりとディップしてスナック感覚で楽しめる一品だ。トマトの他にオリーブオイルやニンニクがふんだんに使われたサルモレホソースはドロッとしており、濃厚なガスパチョのよう。淡泊な味わいのナスとソースの濃厚なうまみが相性抜群。
豊潤な味わいがお酒を呼ぶ「豚耳の鉄板焼き」(写真上)は、スパイスに漬け込んだ豚耳を鉄板で焼き上げた一品。
豚耳はコリコリした独特の歯触りを楽しめるよう、一度茹でて臭みを抜き、パプリカパウダーをベースとするスパイス液に漬け込みやわらかく仕上げて、最後にカリっと揚げている。しかもコラーゲンたっぷりなので、女性には特に試してほしい。
本場で親しまれるアルコールも、豊富にラインナップ
お酒は、ハウスワインや自家製サングリアの他に、生ビールを甘めのレモンソーダで割って酸味を効かせた「クララ コン リモン」(写真上・左)や、ショウガを漬け込んだシェリー酒を炭酸で割った「ポルティージョ風ジンジャー香る“レブヒード”」(同・左から3番目)など、スペイン料理店ならではのメニューも豊富にそろう。
ちなみに「レブヒード」は、シェリー文化のあるアンダルシアの定番カクテルで、現地ではお祭りなどでもよく飲まれているという。
現在は、男女問わず2人以上での利用が多いというが、本場スペインのバルのように1人でも気軽に立ち寄ってもらえる店にしていきたいというガルシアさん。テーブル席やカウンター席はもちろん、立ち飲み席も用意するなど、現地の雰囲気を味わえる工夫も凝らされている。
満席の場合は「席が空くまでの間、いったん立ち飲みでどうです?」と声をかけることもあるとのことだが、立ち飲みしている人同士、意気投合して仲良くなるなんてこともあるのかも!?
フレンドリーなスタッフも多いので、料理やお酒について気軽におしゃべりしていれば、どんどんスペインが好きになるかもしれない。
撮影:岡崎慶嗣
【メニュー】
アロス コン コストラ 3,000円
コンビネーションプレート NO.1~NO.4=3,000円、NO.5=3,500円
ポルティージョ名物のナスのフリート サルモレホソース添え 800円(中)/1,400円(大)(記事中の写真は800円のもの)
豚の鉄板焼き 600円
自家製サングリア 600円
ハウスワイン グラス=550円、デキャンタ(375cc)=1,80000円、ボトル(750cc)=2,800円、1L=3,500円
クララ コン リモン 650円
ポルティージョ風ジンジャー香る“レブヒード” 650円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜です
Bar Portillo
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