ワイン生産量世界1位! ワイン王国「イタリア」
“ワイン”と聞くと、多くの人はまず「フランス」を思い浮かべるのではないだろうか。その歴史や文化ゆえ、ワイン生産もフランスが最も盛んだとイメージされるだろう。
だが意外なことに、「国際ぶどう・ぶどう酒機構(OIV)」が発表した2018年の世界のワイン生産量で1位に輝いたのは「イタリア」であった。実はイタリアは、世界の約17%を占めるワイン生産王国なのである。
ブーツのような長い地形は、さまざまなブドウが栽培できる恵まれた風土を育み、それぞれの食材・料理にあったワインを誕生させている。
イタリア大使館公認ソムリエが語る、イタリアワインの特徴やトレンドとは?
そんな、ワイン大国イタリアのワインはどんな特徴や魅力があるのだろうか。また、いま注目すべきワインについても知りたいところだ。
2019 年に日本人では初めてとなる「イタリア・ワイン・アンバサダー」の称号を取得し、イタリアワインの啓蒙活動をおこなっている、イタリア大使館公認ソムリエの福村真弓氏に伺った。
――イタリアワインにおける、特徴や魅力はどんな点にあるのでしょうか。
福村:「ワイン産地としての大きな特徴は、品種が豊富なことです。生産する500以上の品種が「National Registry of Grapevines 2018」(国際ぶどう・ぶどう酒機構)に登録・認定されており、北から南までのさまざまな風土が多くの品種をつくりあげているのです。また、それ故にブドウの多様性にも富んでおり、これがどんな食材にも合うワインを探すことができるというイタリアワインとしての個性にも繋がります」
――そんなイタリアワインで、いま具体的に注目しているワインはありますか。
福村:「なんといっても、スパークリングワインの『プロセッコ』です。ベネチアを州都とするヴェネト州で栽培されている品種・グレーラ種を使った、アロマティックなワインです。シーフードをはじめとした多彩な料理に合わせられる包容力も魅力のワインです。
「日本は、フランス・シャンパーニュ地方からの輸入金額・輸入量において世界第3位(シャンパーニュ委員会 2017)を誇る、スパークリングワイン愛好国です。『プロセッコ』は、シャンパーニュに比べて1/3程度の価格で気軽に飲めるのが魅力なワイン。また、スパークリングワインで人気のあるスペイン『カヴァ』の有名生産者が『プロセッコ』の生産を始めるなど、今や世界で最も売れ、注目されているスパークリングワインと言えるでしょう。今後は、日本でもより一層人気が高まると感じています」
夏に飲みたい、シチリアの「エトナワイン」
――これから夏を迎えるにあたって、おすすめのイタリアワインはあるのでしょうか。
福村:「やはり地中海最大の島であるシチリア州のワインでしょう。アフリカから吹くシロッコと呼ばれる風の影響で年間を通して温暖なエリアではありますが、標高の高い地方もあったりと、1つの州で豊かな風土を持っているのもシチリア州の特徴です」
「そのシチリアワインでも特におすすめなのが、エトナ山の東側で作られている『エトナワイン』です。近年イタリアで最も注目される産地のひとつであり、寒暖差のある環境はブドウ作りにも最適なんです」
「エトナ山では、ネレッロ・マスカレーゼと呼ばれる黒ブドウと、カッリカンテと呼ばれる白ブドウが栽培されています。世界中で栽培されているシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンとは異なる”土着品種”と呼ばれ、その地方に根付いた地ブドウですが、その地ブドウによるワインがいま注目されています。特にエトナは”イタリアのブルゴーニュ”と称され、高い酸と繊細な赤いベリーや香りがあるものが多く、骨格のあるワインとして高い人気を誇っています」
イタリアワインの魅力についてざっくり把握できただろうか。次のディナーでは、ワインリストからぜひ気になるイタリアワインをチョイスして、その魅力を体感してみてはいかがだろう。