シェフにも愛される“菜汁”たっぷりな「焼き餃子」! 中目黒で35年以上続く中華料理屋『高伸』

餃子で巡る世界の旅in東京 #44

2019年07月07日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • 東京
  • 中目黒・代官山
  • 餃子
  • 中華料理
  • 連載
シェフにも愛される“菜汁”たっぷりな「焼き餃子」! 中目黒で35年以上続く中華料理屋『高伸』
Summary
1.東京・中目黒に35年以上続く中華料理屋『中華 高伸』がある!
2.看板メニューは餃子とチャーハン。タンメンも野菜たっぷりで栄養満点!
3.女性店主が開業したワケとは? 常連が多い理由は店主の温かい人柄

どうも、餃子大好きの料理芸人のクック井上。です!

おしゃれタウン東京・中目黒。話題のお店が軒を連ねますが、中目黒がまだまだ下町だった頃から愛されている老舗町中華があります。

どのメニューも間違いなしの美味さで、某有名シェフも足繁く通うお店ですが、中でも餃子とチャーハンが最高! そして、お料理の味に勝るとも劣らぬ、味わい深きママの人生と人柄にもご注目です。

やってきたのは、東急東横線・東京メトロ日比谷線・中目黒駅から徒歩約5分の『中華 高伸(こうしん)』。
上品で高級感ある店構え、清潔感の中にほんのりシックさも漂う店内ですが、メニューは昔ながらの町中華そのもの。

令和元年の中目黒にあって、ラーメンのお値段、な、なんと、520円! 
皆さん、敬礼をお願いいたします。

創業者は女性の高木マツイさん。
現在は、マツイさんの息子である寛之さん、娘の真美さんを筆頭に数名で店を切り盛りされていて、マツイさんはお店の安定剤&看板ママとして活躍されています。

1日600~700個も手包み!“菜汁”があふれだすジューシーな焼き餃子

ではさっそく、お目当ての餃子からオーダー! 宜しくお願いしま~す!

35席の『中華 高伸』にあって、餃子は、なんと1日600~700個も作るそうです。餃子専門店ではないのに、凄い数ですね!
 
ちなみに当コラムで数々のお店を取材してきましたが、職人さんによって、餃子を「包む」「握る」「巻く」と、どう表現するか分かれるんです。『中華 高伸』では、餃子を「巻く」と言うそうですよ。
お店によって何と表現するのか、僕の密かな楽しみでもあります。

さて、一つひとつ丁寧に巻かれた餃子の餡の具材は、これまた丁寧に、全て手切りですって。具材を手切りして、1日600~700個も巻くなんて、こりゃ凄い重労働!

……皆さん、最敬礼でお願いいたします。

「絶対大変ですよね? 想像しただけで疲れてきました」とお伝えすると…
「作るのがイヤになることもありますね。仕込みだけでも忙しいし(笑)」と、娘の真美さん。

いや、思わず本音がポロリとこぼれてるがなー!!

それでも、お店にやってきてくれるお客さんに、毎日毎日巻き続ける。

愛ですよ、愛。
餃子は愛が無いと作る事のできないお料理なんです。

ほら、これが優しい愛の形。
手間ひまかけて巻いた餃子を、年季の入った鉄鍋でじっくりと焼いていきます。
そして、愛の結晶が焼きあがりました。

くぅー、愛がアツアツだぜ! 
しっかりとついた焼き目、そして皮の側面からうっすらと透けるキャベツとニラの緑色が特徴的な、懐かしい香りのする餃子が、食欲とビール欲をかき立てます。

こうしちゃいられない、焼きたてのうちにこの100点満点の餃子を、キンキンに冷えたビールと共にいただきまーす♪

ほふほふ…、くぅー!
カリッ&しっとりな皮の中から、ほろっとくずれる、エアリーでジューシーな餡!
こりゃビールに合う! いや、合うっていうか、ビールが恋してます。

餡の具材は、キャベツとニラ、そしてお肉と、かなりシンプル。ですが、それ故に、仕事の丁寧さが際立ちます。

具材を手切りしていることもあって、キャベツの食感がシャキシャキで、自然な甘みも残っています。
そして、キャベツはあえて搾って水切りしていないと言います。だから肉汁ならぬ“菜汁”がジュワッ!
そこに、ニラの香りがしっかり漂います。

味付けは、酒やお塩、砂糖とニンニクをほんの少々。こちらもシンプル。

最近、お洒落な餃子屋さんが増えていますが、『中華 高伸』は本当に、理想的な正しいバランスの餃子だと思います。
材料も味付けもシンプル、野菜と肉の割合も奇を衒うことはない。その代わり、丁寧な仕事とばっちりの塩梅。

……皆さん、二拝二拍手一拝を宜しくお願いいたします。

昔懐かしい”なると入りチャーハン”は、35年変わらぬ味

さて、正しい餃子を味わったところで、もうひとつの看板メニューでもあるチャーハンもいただきましょう! 
実は、チャーハンと餃子がセットになった「餃子セット」が一番人気のメニューだそうです。最強説ですね。

チャーハンの具材は、卵と肉、ネギ、そして…なると! これこれこれこれー、これよ、これこれ。
ピンク色のなるとが入ってないと始まんないぜ! これが、昔懐かしい昭和の時代のチャーハン。
ご飯はパラっとしつつも、ちゃんとしっとりさも残っているんです。

なると&しっとり、絶対に譲れないポイントがちゃんと入っている、有難いチャーハンです。

「コックさんは35年間同じ人なの。だから、この味はずっと変わっていないんですよ」とマツイさん。

さてここで、『中華 高伸』のお店の成り立ちについて紹介させてください。

元々はマツイさんのご主人が、中目黒のガード下で『高伸精機』というタイプライターを作る工場を営んでいました。
しかし、ご主人は48歳という若さで、病気でこの世を去ることに…。女手一つで、息子さんと娘さんを養っていくために、ラーメン屋を営むことを決意。

そして…、『高伸精機』の跡地に、中華料理屋を開業。
名前は、工場の名前をひきついで『中華 高伸』にしました。

「子どもたちを育てていくためにも、何かやらないと! と必死でしたよ」と当時を笑顔で振り返るマツイさん。

今見せてくださっている優しい笑顔の向こうには、たくさんのご苦労があった事でしょう。
色んな方を支え、そして支えられ、歩んでこられたのだと思います。
先ほども書いたとおり、特に従業員さんは開業当時から変わらぬまま…

立ち退きにより、開業当時のガード下から、現在の場所に移転しましたが、『中華 高伸』は当時の味、想い、ご縁を大事にし、それらを変わらず守り続けているんです。

昭和→平成→令和と時代が変わり、世の中の仕組みも中目黒の街も変わっていきますが、『中華 高伸』が35年以上も変わらず愛される理由は、変わらぬ味と人の繋がりにあるのでしょう。

1日分の野菜を摂取できる!? 野菜たっぷりのタンメンも食べておきたい逸品

そんなエピソードをご紹介したところで、ラストにもう一品紹介したいメニューが!

「これ、野菜スープ?」と思うほど、野菜たっぷりのタンメン。
キャベツ、もやし、ニンジン、タマネギ、キクラゲ、ニラと、大量の野菜を使っています。
上にのっかった野菜から食べていると、なかなか麺にたどり着けないので、某デカ盛りラーメン店っぽいやり方で、天地返ししてから食べるのがオススメ!(文字通り、麺を下から持ち上げることです…!)

「野菜を食べたくなると、うちに来るお客さんが多いですね」とマツイさん。
たしかに、その気持ちわかる…! これ一杯でヘルシー&お腹一杯に“1日分の野菜”が摂取できますね。

スープは優しい鶏ガラをベースに、塩とコショウで調えたシンプルな味わいなのですが、野菜から染み出した自然な甘みがあって、スープも飲み干してしまうはず。

麺は中太のちょいちぢれ麺で、スープとも絡みあうんです。
飲んだあとのシメにもぴったりな一品!(そしてまた飲みたくなるパターンですが、何か?笑)

▲最後に、娘さんの真美さんとパシャリ。マツイさんは、写真は恥ずかしいとのことでした(笑)

『中華 高伸』のお店の成り立ちとその歴史、温かい店主、繋がり、想い…
お料理の味はもちろんの事、たくさんの素敵な“味わい”が魅力だという事が伝わりましたでしょうか?

今回の『中華 高伸』の取材では、文字どおり“人に歴史あり”だという事を感じました。
店主・マツイさんの人柄に魅了され、話をしたくて、ついつい足が向くという常連さんも多いそうです。
おしゃれタウンとなった東京・中目黒ですが、まだまだこうした古き良き温かさも残っています。

『中華 高伸』は、餃子、チャーハン、タンメン…などのお料理はもちろんの事、店主・マツイさんをはじめとするお店の方々との交流も楽しんでほしい、そんなアットホームなお店です。

撮影:佐々木雅久

【メニュー】
餃子 470円
ラーメン 520円
チャーハン 650円
餃子セット(チャーハン+餃子) 880円
タンメン 650円
ビール 520円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです

高伸

住所
〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-18-9
電話番号
03-3719-9198
営業時間
11:30~14:00、18:00~22:30(L.O.22:30)
定休日
土曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/3ep0rhyk0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。