カジュアルな街、三軒茶屋に誕生したコスパ抜群の本格フレンチビストロ
東京には数多くのグルメタウンがあるが、東京・三軒茶屋は普段着でもぶらりと立ち寄れる気軽なレストランが揃っている。
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その中でもキラリと光るフレンチビストロ『bistro Vas_y(ビストロ バジー)』が2019年4月にオープンした。普段使いできる価格でありながら、本格フレンチを楽しみたいシーンにも応えてくれるビストロだ。
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田園都市線・三軒茶屋駅前から南に向かって伸びる栄通り商店街。昼夜を問わず多くの人が行き交う賑やかな通りから、路地に入ってすぐ、真っ白い壁が印象的な店が現れる。
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照明が明るく活気ある店内は、入るとすぐに、キッチンと向き合うカウンター席が出迎えてくれる。シェフが忙しく立ち働くキッチンからは、食欲をくすぐる香りが漂ってくる。
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席は、カウンター席の他に、テーブル席16席と6人まで使用できる個室がある。一人でふらりと晩ご飯を食べに訪れたり、大切な人との会食に使ったりするなど、店の規模は大きくないが、さまざまなシチュエーションで活用できそうだ。
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シェフの藤井将也さんは、都内のホテルやレストランでフランス料理の修業をスタート。広尾にあるフレンチ『アーティショー』では、一人で厨房を切り盛りするなど学びも多く、成長の糧になったという。
その後、食への探求心が旺盛な藤井さんは、フランスに渡り、各地でさまざまな料理を食べ歩きながら、ブルゴーニュ地方シャブリ村のミシュラン掲載レストラン『Au Fil du Zinc(オ・フィル・デュ・ザング)』で二番手として活躍。そのとき得た豊富な経験は今の店に生きているという。そして、帰国後、白金高輪の『レストラン フェ メゾン』などの勤務を経て、満を持して『ビストロ バジー』をオープンした。
リーズナブルでもクオリティに妥協無し!絶妙なバランスのフルコース料理
料理はお通しからデザートまで7品で4,000円というお値打ちのコースが大人気。全体のバランスを大切にし、本格的な料理を楽しんでほしいというシェフの思いが詰まったコースは、それぞれの皿が絶妙なアンサンブルを奏でる。
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スタートは、遊び心あふれた一品に心をつかまれる。「フォアグラボンボン」(写真上・下)と名付けられた、一見かわいらしいキャンディのようなお通しだ。貴腐ワインでこっくり煮たマンゴーを、フォアグラのテリーヌで包み、ココナッツのジェルとココナッツファインをまぶしている。
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ていねいに下ごしらえをしたフォアグラのテリーヌは、とろけるように柔らかく、濃厚なうまみがあり、コクのある甘さのマンゴーとの組み合わせは抜群のおいしさ。ひと口食べると、口福に包まれる。
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前菜は、本場仕込みのシャルキュトリー「北海道蝦夷夏鹿のバロティーヌ きこり風」(写真上・下)。フランスでの修業中、職人から直接学んだシャルキュトリーは、シェフのスペシャリテだ。
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バロティーヌとは、薄く広げた肉でひき肉などのパテ生地を巻き、筒状にしたもの。同店では、エゾシカのバラ肉を使い、中身にも角切りにしたシカ肉を混ぜている。じっくりと1時間ほど蒸し上げた後、さらに3日間寝かせて味をなじませるという、手間も時間もかかる料理だ。
シカ肉の脂身はしつこさがなく、パテ生地と相まって、奥深い味わい。鹿に合わせ、森をイメージした滋味豊かなキノコを詰め物や付け合わせに使っている。小さな皿の中に、シェフの創意工夫がギュッと詰まっている。
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「2皿目は遊び心があってもいいと思います」(藤井さん)という「高知完熟パプリカの冷製スープ、トリュフカッペリーニを浮かべて」(写真上)。現れたのは、まるでパスタ料理のようなスープ。完熟して甘みの濃いパプリカを自家製のチキンブイヨンで煮たシンプルなスープに、トリュフオイルで和えたカッペリーニと自家製生ハムチップを添えている。
ビジュアルが華やかなひと皿だが、口にするとパプリカが主役であることがはっきりとわかる。同店では、シェフがこれまで培ってきたネットワークから、その季節に一番おいしい野菜を厳選して仕入れ、そのおいしさを存分に生かすことにこだわっている。野菜そのものが肉や魚に負けない存在感を放っている。
コースのおいしさの秘密は丁寧な仕事にあり
クラッシックと遊び心を取り混ぜた料理の後には、いよいよメインのお出まし。メインは魚と肉の2種類用意されているが、今回は肉料理を紹介しよう。
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「ニュージーランド産羊モモ肉のロティー焼きナスとミントを添えて」(写真上)。ブルーの皿にロゼ色の羊肉が映える。同店では、ぜひ器も楽しんでほしい。例えば、2名でコースを注文したら、それぞれ違う器で料理が供される。盛り付けは、器から受けるインスピレーションで決まるとか。同じ料理なのに、異なるビジュアルという楽しさに、会話が盛り上がること請け合いだ。
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羊肉はクセがなく、うまみがしっかりと感じられるニュージーランド産をチョイス。塩漬けにした肉を、53℃の低温調理で5時間、じっくりと加熱。テーブルに出す直前に、厚手の鉄板でジュッと香ばしく焼き付ける。
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添えられているのは、羊の骨から取っただしを煮詰めたソースと、ミントと赤からし菜、焼きナスのピュレ。シンプルな味付けの肉は、ミントと一緒に食べると、臭みが全く感じられず、爽やかな余韻を残す。
アンサンブルの要となるのは、しっかり作られた料理のおいしさと考える藤井さん。メインから付け合わせに至るまで、丁寧に仕事が施された料理は、フランス料理を食べ慣れない人にも、すっと馴染む味ばかりだ。
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フィニッシュに登場したのは「渡り蟹と赤海老のビスクカレー」(写真上)。ワタリガニと赤海老をふんだんに使ってうまみを凝縮させたスープに、ベシャメルソースをプラスして仕上げたビスクソースは、それだけでもうっとりするぐらいクリーミーで芳醇な味わい。このソースに本格的なスパイスをブレンドして仕上げたカレーは、ひと口食べると思わず顔がほころぶ。
コースの〆にご飯を持ってきたのは、しっかり満腹になってもらいたいから。お腹も心も満足してほしい。そんな藤井さんの願いが込められている。
ワインはビオからグランヴァンまで多彩な品揃え
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フランス料理のベストパートナー、ワインは、気軽に楽しんでもらえるよう軽やかな味わいのものを中心にビオからグランヴァンまで、地域はフランスからニューワールドのものまで揃えている。種類は赤白それぞれ3種類ずつ。南仏のビオワインは500円~ととてもリーズナブルだ。スタッフと料理談義に興じつつ、ベストなワインを選ぶのもまた楽しい。
シャルキュトリーにジビエ。経験豊かなシェフの作るメニューにワクワクする
コース以外にアラカルトも用意されている。アラカルトのコンセプトは、一皿でも満足感があること。量もたっぷり2人前用意されているので、グラスワインを傾けながら、シェアして食べるのも楽しい。
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ちなみに、店内にオブジェのように飾られているのは、フランスの赤豚を使った仕込み中のシャルキュトリー(写真上)。出番を待機中だ。秋には、本場仕込みのジビエ料理も用意したいという。
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日頃からおいしいものに出逢うと、「それをフランス料理に見立てると、どうなるだろう、どの手法を使えばいいだろう」と考えるという藤井さん(写真上)。
店名の『Vas_y(バジー)』は、フランス語のスラングで「行け! 行け!」「やれ! やれ!」という意味で、日常的によく使われているという。そんな身近な存在になれればと願いを込めて名付けられた。いつ訪れてもワクワクがとまらない、カジュアルなフレンチレストランだ。
【メニュー】
コース 4,000円
グラスワイン 500円~
そのほかアラカルトも用意
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜です
bistro vas_y
- 電話番号
- 03-6804-0299
- 営業時間
- 17:30~24:00(L.O.23:00)、ランチ(土・日曜のみ)12:00~15:00(L.O.14:00)
- 定休日
- 火曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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