名フレンチ『オストラル』『クレッセント』で研鑽を積んだシェフが独立
ここ数年、自然派ワイン(ナチュール)を楽しめるお店が増えている。化学肥料、農薬を使用しない、身体にやさしいワインがオンリストされているとそれだけでも気持ちが上がるが、「ラインナップすべてがナチュール」で、しかも「ワインがほしくなる本格派のメニューぞろい」となると盛り上がりも最高潮だ。
そんなナチュールファンにとって待望の新店舗が2019年4月、東京・東日本橋にオープンした。
店を切り盛りするのは、東京・平井のフレンチ『レストラン コバヤシ』、銀座のフレンチ『オストラル』(現在は閉店)、芝公園のフレンチ『レストラン クレッセント』などで研鑽を積んだ後、フランスで腕を磨いた千葉稔生シェフ(写真上)だ。
帰国後しばらく勤めた三軒茶屋のワインビストロで一緒だった奥様と一緒に、「ワインを楽しんでもらえるお店をつくろう」と目標を掲げて数年。ついにその夢を実現した。
突き出しから前菜、メインまでゆっくりと時間をかけて味わえるのはもちろん、ふらりと立ち寄ってワイ1杯だけ楽しむのもOK! 前菜やメインは一皿が2人前量に設定されているが、お客が自分たちで取り分けなくていいよう、人数分のお皿にキレイに盛りつけてくれる。
「フランス料理は見た目の美しさも大事なので、シェアせずに盛り付けの美しさを独り占めしてほしいんです」と千葉シェフ。また、一人での来店の場合、ハーフサイズにも対応してくれるのもうれしい。
一品250~600円の突き出しは一皿にまとめて盛り付けてくれる
コンパクトなサイズの突き出しは、いろいろな種類を注文すると見た目にも楽しい。
「玉ネギとベーコンのファーブルトンサレ」(写真下)は、ブルターニュの焼き菓子を食事風にアレンジしたもの。通常、レーズンなどのドライフルーツが入るのだが、千葉シェフは、炒めた玉ネギとベーコン、パルメザンチーズを入れて焼き上げている。
ほっくりとしてジューシーなファーブルトンサレとは対照的に、生地のサックリ感が印象的なのは「サーモンのエクレア」(写真下)。シュー生地にサワークリームを塗り、タラゴンやエシャロットが効いたサーモンのマリネをサンドした逸品はサクッと軽やかで、ロゼや白ワインがほしくなる。
ひんやり涼しげな「とうもろこしのヴァバロア」(写真下)は、フルーティなオリーブオイルごと口に運ぶと、果実の香りが鼻から抜けていく心地よい一品だ。
「ノーザンルビー」の天然ピンクの美しさにほれぼれ
白ワインの余韻に浸りたいなら、前菜一品目に「真イワシとノーザンルビー」(写真下)をチョイスしてはいかがだろう?
鮮やかなピンクのノーザンルビー(じゃがいもの品種)にゆっくりと火を入れ、粒マスタードやバター、エシャロットを加えたじゃがバター、水分を飛ばしてカリカリに仕上げたノーザンルビーの間にグリルした真イワシを挟んだ一皿は、見た目の美しさも第一級。崩すのがもったいなく感じられるが、いざひと口目を味わうと、イワシのうまみ、じゃがいものコク、マスタードの酸味が三位一体となる快感にフォークが止まらなくなること必至である。
赤、白どちらとも相性がいい前菜をお求めなら、上質なフォアグラのために肥育された鴨「マグレ・ド・カナール」を使った「鴨とフォアグラのパテ」(写真上)はどうだろう。しっとりとして濃厚な味わいのフォアグラを、キュウリの自家製ピクルス、カリフォルニア産黒イチジク、セルバチコのサラダと合わせながら、大好きな一杯を心ゆくまで堪能してほしい。
「牛ランプ」はやわらかな肉質としっかりとした味が特徴
メインのイチオシは、食べごたえも満点の「アイルランド産ヘアフォード種牛ランプロースト」(写真上)。オーガニックの牧草を食べて完全放牧で育ったヘアフォード種は、肉質のやわらかさと豊かな香り、しっかりとした味が特徴。
低温で時間をかけて火を通すことで豊潤な味わいがさらに増した肉の下には、「青い足」と和訳される「ピエブルー」や「クロット」などのフランス産キノコ(写真上)、ラディッキオ、万願寺唐辛子などの彩り豊かな食材のソテーが敷かれ、栄養バランスよく食べ進めることができるのもうれしい。
ナチュールには「造り手」「地方名」「品種」を記したタグをセッティング
これだけワインと相性のよいメニューぞろいだと、いろんなナチュールを試したくなって当然。千葉シェフは普段ひとりで店を切り盛りしているため、一人ひとりのワイン選びにたっぷりと時間を割けられないときもあるが、お客自身で納得いく一杯を選べるよう、セラー内のすべてのワインには、造り手、地方名、品種などを記したタグをかけている。
さらに、お客が料理人との距離感を意識して緊張することがないよう、カウンターの奥行きを深めにとるなどの工夫も功を奏し、オープンから間もないながらじわじわとリピーターが増えてきている。
「24時まで営業しているので、仕事で遅くなったけどちょっとだけ飲みたいときなんかにもぜひ立ち寄ってほしいですね」と千葉シェフ。ワインだけでも気軽に楽しんでもらえるよう、オーガニックのチーズなどもバラエティ豊かにそろえている千葉シェフ自身、ナチュールとおいしい料理が大好きだという。
【メニュー】
▼突き出し
玉ネギとベーコンのファーブルトンサレ 250円/1個
サーモンのエクレア 350円/1個
とうもろこしのヴァバロア 350円/1個
▼前菜(約2人前。1人で来店の場合はハーフサイズでも注文可能)
鴨とフォアグラのパテ 1,500円
真イワシとノーザンルビー 1,400円
▼メイン(約2人前。1人で来店の場合はハーフサイズでも注文可能)
アイルランド産ヘアフォード種牛ランプロースト 4,200円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また価格はすべて税込です
mille(ミル)
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