土鍋に野菜がぎっしり…!露地栽培の生命力あふれる旬野菜に感動 西原の隠れ家 割烹『代々木上原 ゆう』

特集:西原の気取らない良い店

2019年07月22日
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土鍋に野菜がぎっしり…!露地栽培の生命力あふれる旬野菜に感動 西原の隠れ家 割烹『代々木上原 ゆう』
Summary
1.ひっそり通いたい店が集結! 大人のグルメエリア「西原」に注目【特集・西原の気取らない良い店】
2.今が旬の食べごろ野菜を使った料理と、こだわり抜いた日本酒が揃う創作割烹『代々木上原 ゆう』
3.野菜の力を信じ、その真価を引き出す料理は幅広い年齢層から支持されている

違いのわかるオトナが喜ぶ、本物志向のグルメエリア「西原」

小田急線の代々木上原駅と京王新線の幡ヶ谷駅の間に広がる街、渋谷区西原。この西原エリアには、こだわりのある個人経営の飲食店が多く集まり、グルメな大人たちを毎晩楽しませている。この小さなエリアの中に集まる飲食店は実に多彩。代々木上原界隈と大きくくくるには勿体無い、西原ならではの街の魅力をさぐってみよう。

野菜が食べたいときはここに決まり! 違いを知る大人のための割烹『ゆう』

落ち着いた佇まいに、入り口階段下の清楚なロゴと中から外を見ている置き物がふと気になる店、『代々木上原 ゆう』。その日においしい旬の野菜と繊細な日本酒をとことん愉しませてくれる、大人のための小料理屋だ。

店主の井本有祐さんは、もともとイタリアンの料理人。表参道の名店『リストランテ濱崎』で約5年間イタリア料理に従事していたが、あるとき、和食の調味料をイメージすると新しい料理のアイデアが豊富に湧いてくることに気がついたという。そこでイタリアンを離れ、心機一転、和食へ転身することを決意する。厳選された旬の食材のあしらいに定評がある『銀座KAN』、予約の取りづらい人気店である神泉『ぽつらぽつら』と2軒の創作和食店での修業を経て、2014年に独立した。

賑やかで華やかなエリアでなく、落ち着いて食事を愉しむ人の多い場所を探し、今の代々木上原・西原と出逢った。最初は40代くらいの方が気軽に食べて飲めるような料理と価格を想定していたが、実際に開店してみると客層はずっと幅広く、60~70代を超える方も多かった。
ご夫婦や女性同士などプライベート利用がほとんどなことから、価格を上げる代わりに、その時季本当においしいものをたっぷり用意しクオリティを高め、食事時間は制限されることなく会話をじっくり愉しんでいただけるスタイルにしたという。

料理の特徴

井本さんは「『ゆう』の料理の長所はなにかと聞かれたら、迷いなく野菜と答えます」と胸を張る。

肉や魚料理の添え物としての野菜ではなく、野菜がメインに主張する料理を得意とする。使う野菜は露地栽培の旬のもの、化学肥料や農薬をなるべく使わず丁寧に育てられたものばかり。千葉や鹿児島、福岡などからこだわりの野菜を取り寄せる。

また、井本さんはイタリア料理店でのバックグラウンドを持つことから洋風野菜の扱いに長けており、それが、『ゆう』の料理の独自性を高めている。常連も多く、「野菜が食べたい時には『ゆう』へ来るんですよ」と言ってもらえることもあるそうだ。

では、初夏のコースメニューより、おすすめの料理をご紹介しよう。

▲「季節のスープ」
コースの最初に出されるのは野菜のスープで、本日は「トマト」。時季によりトマト、トウモロコシ、カブ、ビーツ、ニンジンなど旬の野菜を使用するが、加えるのは水と塩のみ。

「コースの冒頭、一番味覚を感じやすいときに野菜の力を存分に味わってほしい、そこで店の姿勢を見せたい」という井本さんの狙いだ。
青さも甘さも酸っぱさも全てを内包した、力のあるトマト。普段食べ慣れたハウス栽培のトマトとは、ひと味もふた味も異なる。

▲「旬の豆皿」
前菜の4種盛り合わせは、それぞれ素材の味が鮮やかに引き立つ。「チャンバラ貝と冬瓜の旨煮」(写真上・前右)。チャンバラ貝とは高知県や長崎県五島列島で食べられる貝で、コリっとした食感が特徴。貝から出たエキスを冬瓜が吸い、うまみたっぷり。「アオリイカの揚げ真丈(しんじょ)」(同前左)はカリッと揚げられた表面にカレー塩が振られ、食欲をそそる。

「大根のタコそぼろ煮」(写真上・正面)は大根をダイス状にカットし、タコそぼろと煮込む。大根は異なる4種類を混ぜており、それが食感や味わいのリズムを生んでいる。「ちりめんキャベツ、春菊、青パパイヤ、ヤングコーン、オクラのゼリー寄せ」(同右奥)は上層にヤングコーンとオクラと青パパイヤ、下層にちりめんキャベツと春菊の、2層に分かれる。ゼリー寄せされた上の野菜から食べると、途中で下層のちりめんキャベツと春菊がゼリーに混ざりあう。食べ進めながら食材の組み合わせが変わることで、味の変化を愉しめる。

▲「愛媛産真鯵の炙り 白胡瓜、みょうがだけ、枝豆のサラダ仕立て」
おまかせコースとアラカルトのメニューより。香ばしく表面を炙った真アジの下には、白キュウリ、みょうがたけ、枝豆が敷かれ、白ポン酢で味がつけられている。白キュウリのシャキッとした食感とみょうがたけの爽やかな味わいが、鯵をさっぱりと食べさせてくれる。キュッと冷えた日本酒がぴったり、食欲をますます増進する一皿だ。

▲「カニクリームコロッケ」
同店大人気の一品。「カニクリームコロッケって、中身がほとんどクリームで、カニは少しだけ、みたいなものが多いじゃないですか。それに納得がいかなくて」と話す井本さんの作るカニクリームコロッケは、フィリングのほとんどがカニという贅沢なもの!

カットすると断面からふんわりとカニの香りが立ち上り、カリッとした衣とホクホクのフィリングがバランス良好。手前のタルタルソース、茶色いカニ味噌、またはソースのいずれかで食す。タルタルは刻んだ“いぶりがっこ”がふんだんに入り、それだけでもつまみになる。

▲「たっぷり、とうもろこしの土鍋炊き込み御飯」
一点ものの美しい土鍋で提供される土鍋ご飯は、コースの〆の一品。数種類から好きなご飯を選択できる。こちらは2人前につきトウモロコシ1〜1本半を炊き込んだ、季節の炊き込みご飯。

ゴボウが一緒に炊き込まれていることで、トウモロコシや枝豆の甘さに奥行きが加わり、なんとも滋味深い。米は全体が均等にふっくらと炊き上がり、土鍋ご飯ならではの極上の質感だ。

日本酒は、清く島根『王祿(おうろく)酒造』のみ!

アルコールは各種あるが、日本酒は島根県『王祿酒造』の作る酒しか扱わない。王祿酒造の酒は様々な種類があるが、どの銘柄もすべて料理に寄り添ってくれる味わいなのだという。おまかせすれば、その日の料理それぞれに合う銘柄をペアリングしてくれる。

井本シェフが語る、「西原」の魅力

「西原エリアは、チェーン店がとても少なく、こだわりのある個人店が多い街で、私が出店するのに理想的だと思いました。実際出店してみると、食べることが好きな方が多くいらっしゃる印象です。店の盛衰はあまり激しくなく、長く愛される店が多いですね」と井本さんは話す。近隣に住む方々はおいしいものをよく知っており、開店当初は厳しい意見をもらうこともあった。そんなお客も、丁寧に期待にこたえていったことで、いまでは馴染みとして通われているとのこと。ただ馴染みとはいっても、店と客との距離感がほどよく、それが良い関係が続く理由のようだ。

木目を生かしたナチュラルな店内、シェフの優しい笑顔が映える

代々木上原駅からほど近く、落ち着いた通りに面する『ゆう』。シェフの手元まで見えるライブ感溢れるオープンカウンターと、ゆったり過ごしたいときに最適な奥のテーブル席の全18席を用意。

全体的に上品で優しい味わいながらも、素材自体のもつ魅力や強みを存分に引き出す井本マジック。露地栽培の旬の野菜を生かした料理は、目に美しく、舌に優しく、体も喜ぶ料理に虜になるのもうなづける。

▲井本有祐シェフ プロフィール
千葉県船橋市の出身。イタリア料理の料理人を目指し表参道の名店『リストランテ濱崎』で修業後、和の魅力に目覚め和食に転向。銀座「KAN」、神泉「ぽつらぽつら」などの創作割烹店で経験を積んだ後、2014年12月代々木上原・西原に『ゆう』をオープンした。圧倒的な料理センスと素朴で飾らない人柄に、ファンも多い。

編集協力:Yayoi Shinya

【メニュー】
定番コース 5,500円
おまかせコース 6,500円
本日のお造り 盛り合わせ 4点 2,600円
旨い野菜の出汁よせ 1,200円
畑の野菜の唐揚げ 1,200円
名物 カニクリームコロッケ 2ケ 1,600円
日本酒 王祿酒造 グラス 800円~
スパークリングワイン グラス 1,000円~
ビール 中ジョッキ 700円
グラスワイン 1,000円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

代々木上原 ゆう

住所
東京都渋谷区西原3-22-12
電話番号
050-5487-0447
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
17:00~24:00
(L.O.23:00)
定休日
月曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/ndk4uck40000/

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