冷めないうちに出したい、ダイレクトに伝えたい。だからカウンターフレンチ
近年増えているカウンターフレンチ。シェフの味を、ライブ感も含めてカジュアルに楽しめることが最大の魅力だ。
そんなカウンターフレンチのお店で、オープン直後から話題となっている一軒がある。2018年10月に北国の繁華街、札幌すすきのに誕生した『L’ORANGE(ロランジュ)』だ。繁華街のビルにひっそり佇む同店は、外観から大人の隠れ家のような雰囲気を放つ。
席はカウンター10席のみで、北海道の良質な素材を活かした極上のフレンチを味わえる。シェフの大原さん(写真上・右)は札幌出身で、フレンチの名店『ひらまつ』の関西系列店『ラ・フェット ひらまつ』で長年料理長をしていた経歴を持つ。いつか自分の故郷で店をかまえたいという思いから帰郷し、独立開店に至った。
なぜ敢えてカウンターフレンチのお店にしたのだろうか。理由は、大きくは2つだと大原さんは言う。
「できたての料理を冷めないうちに提供したい」
「生産者の想いが伝わる素材と、自分の料理をダイレクトに伝えたい」
これらの想いから、素材や調理過程はおろか、バックヤードまで丸見えのカウンターフレンチというスタイルにこだわったのだ。店舗デザインも、大原さんの世界観が伝わるよう自ら行ったという。
素材は信頼できるプロにお任せ。だから素材はいつも違う
素材は北海道のものにこだわる。大原さん自ら北海道内の畑や市場へ出向き、信頼関係を築いた生産者や仲買人の素材を使用しているが、その仕入れ方にもこだわりがある。毎月・毎日この素材を何キロ、ではなく、生産者や仲買人がその日よいと思った素材を送ってもらう、というスタイルなのだ。
▲みずみずしい野菜は北海道美瑛町(びえいちょう)などから
たとえば野菜なら、大原さんが「おまかせ10人前で」というオーダーをすると、生産者がその日・その時に最高だと思う素材、ぜひ食べてほしいと思う旬の素材を送ってもらえるのだ。こんなことが成り立つのも、現地に出向いて店の思いを伝え、理解と信頼を得たからこそである。
お肉は北海道滝川市産の子牛が入る日もあれば、野山で仕留められたエゾシカが入る日もある。はたまた、岩見沢市産のキジが入ることもあれば、赤平市産の小鳩が入ることも。
ジビエ料理は臭みがあると思われがちだが、良質な素材と大原さんの腕にかかれば臭みなど全く感じない。素材が持つポテンシャルを活かし、素材の状態とほかの食材とのバランスを考えてメニューを決め、きっちり調理をして提供してくれるのだ。
その日に最高の食材が届くということは、良くも悪くも、届く食材は毎回一緒ではないということ。素材が日々変わるので、料理メニューは必然的に日々変わる。何が出るかはシェフ次第、ひいては生産者や仲買人など信頼できるプロ次第なのだ。
大原さん自身も、昼に届いた荷物を開き「今回はこんな素材が届いたのか」とはじめて把握し、そこからディナーで提供する料理メニューを考えるのだという。
料理メニューはその日・その時の食材次第。だからいつ来ても目新しい
同店のメニューは、ディナーコースとワインペアリングコースの2種類のみ。ともに品数は、前菜3品、魚料理1品、肉料理1品、デザート2品の計7品。ワインペアリングコースは、料理7品に加えてシェフがその日の料理に合わせて選んだワイン5杯がセットになったマリアージュコースだ。
こちらが、ある日のディナーコース一部である。
▲前菜のポタージュ「美瑛の赤ピーマン 札幌黄 余市のトマト」
▲肉料理「赤平の小鳩 秋のトリュフ」
▲デザートは無花果(イチジク)のフレッシュタルト「無花果とよみつひめ ヨーグルトとポルト酒」
ぜひご自身の舌で、そのおいしさを確かめてみて欲しい。
また、ワインはフランス産を中心に常時20~30種類を用意。コース全体との調和がとれるよう、料理に最適なものをセレクトして提供している。ワインのほか、ビールやシャンパン、スパークリングワイン、ソフトドリンクも取り揃えている。
身も心も舌をも、シェフにゆだねて至福のひとときを
なお、来店する際は事前に予約を入れよう。飛び込みで訪問した場合、食材が足りないため残念ながら入店を断るということがよくあるというからだ。
カウンターフレンチというライブ感あるスタイルとともに、どんな料理が出るかもその時にならないとわからないという究極のライブ感も楽しめる『ロランジュ』。
身も心も舌をもシェフにゆだね、ゆったりと大船に乗った気持ちで極上フレンチを味わってみてはいかがだろうか。北海道に根付いたフランス料理、北海道キュイジーヌを堪能しよう。
【メニュー】
ディナーコース 8,000円
ワインペアリングコース 16,000円
※価格は税別、サービス料5%
L’ORANGE
- 電話番号
- 050-5487-8108
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 18:00~24:00
(L.O.22:30)
- 定休日
- 日曜日
※完全予約制で営業可
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。