フレンチファンに長年愛されてきた都内屈指の名店
非日常の空間や優雅なサービス。おいしい食事だけでなく、至福のひと時を過ごしたいとき、思い浮かべるのはフランス料理のレストランではないだろうか。
東京屈指のフランス料理の名店であり、ブルゴーニュの風を感じるかのような穏やかな佇まいを持つ『ル・ブルギニオン』は、華やかなグランメゾンとはまたひと味違うフランス料理の魅力を伝えてくれる。
オーナーシェフの菊地美升さんは、東京・六本木の老舗などで修業した後、1991年に渡仏。リヨンやモンペリエ、ボーヌなどフランス各地のレストランで腕を磨くとともに、ワインについて研鑽を積んだ。その後、イタリアに渡りイタリア料理についても学び、1996年に帰国、表参道『アンフォール』のシェフに就任。2000年に独立し、『ル・ブルギニオン』をオープンした。
今や日本のフランス料理界を牽引する存在である菊地シェフに、日本におけるフランス料理の移り変わりや、その中でシェフがフランス料理とどう向き合ってきたかについてお聞きした。
料理だけじゃない、食卓を楽しむフランスの文化を伝えたい
――まず、シェフが修業のためにフランスに渡られた当時(平成初期)のフランス料理について教えてください。
菊地:「料理人としてのキャリアをスタートさせたのは、昭和の終わりぐらい。その頃、東京の街中にはフランス料理のレストランができ始め、バブルの頃は大いに繁盛しましたが、食材に関して言えば、フランスからの食材はまだあまり入ってきていない時代でした。1991年にフランスに渡りましたが、日本で学んだこと、本で見たことがそのままフランスにはありました。例えば、トリュフなどは、当時の日本では少ししか使えませんでしたが、フランスでは山のようにある。本物の食材を惜しみなく調理している有様を目にしました」
――5年弱の修業を終えられて、日本に戻られたわけですが、帰国した当時の日本のフランス料理はいかがでしたか。
菊地:「帰国したのが1996年ですが、当時の東京は、フランスに負けないぐらい高いレベルのフランス料理店がたくさんあって、活気がありましたね。僕と同じように、フランスで学んできたシェフたちが、どんどん新しい料理を作っていました。お客様もフランス料理を食べ慣れている人が多いなと思いましたね。カエルのようなフランス料理独特の食材は、使うのが難しいかなと思ったのですが、そういった素材の知識も持っている方が東京にはたくさんいらっしゃいましたね」
――2000年に『ル・ブルギニオン』をオープンされましたが、フランスで学んだことをどう生かされましたか。
菊地:「食卓を囲んで、家族や友人と食事をし、ワインを飲み、会話を楽しみながらゆったりとした時間を過ごす。フランスの人たちはそういった時間を“文化”として大切にしていました。この文化を体験してもらいたいと思い、『ル・ブルギニオン』をオープンしました。ここに来れば、くつろいだ気分で、大切な人たちとともに食事を楽しむことができる。そのために、内装の色を明るい色合いにして、温かみのある雰囲気を持つ店になるように心掛けましたね」
時代のエスプリを取り入れながら揺るがぬ料理を作り続ける
――今でもご自身でフランスに行かれて、『ミシュランガイド』に掲載されているようなレストランや話題店で研修をされているとお聞きしています。
菊地:「研修を通じて受けた刺激や、さまざまなシェフたちの考え方から学んだことなどを、そのままではなく自分のフィルターを通して、少しずつ料理に落とし込んでいければと思っています。料理全体を変えるとか、レシピを真似するとかではなく、自分の料理を自然に進化させていきたいですね」
――現在のフランス料理は、シェフが修業されていた頃と比べて変わってきましたか?
菊地:「ここ最近のフランス料理はどんどん変化してきていますね。たとえばスペインで登場した、食感や温度を楽しんだり、液体窒素を用いたりするような料理が流行ったことがありますし、今は北欧スタイルを取り入れる店が多いですね。和食に興味があるシェフもたくさんいます。そういうシェフたちは、日本をリスペクトし、味噌や麹、醤油といった日本の食材をきちんと理解して使っています」
――今後、シェフはどんなフランス料理を作っていきたいですか?
菊地:「私はフランス料理らしいソースがベースのクラシックな料理が好きです。クラシックと言っても、盛り付けが時代遅れだったり、味付けが濃かったりするとお客様には受け入れられません。ですから、その時代ごとに気付いたことを取り入れながら料理を作っていきたいですね。『ル・ブルギニオン』から多くの若手シェフたちが巣立っていきましたが、彼らの作る料理もどんどん変わってきています。そういった変化を僕がやる必要はありませんが、毎年、フランスに行って、そのとき感じたことや、成長したことを自然に表現していきたいですね」
フランス料理ならではの華やかさやエスプリ溢れる極上のひと皿
――『ル・ブルギニオン』を代表するような料理をご紹介ください。
▲毛ガニと茄子とアヴォカドのミルフィーユ仕立て
菊地:「オープンしてすぐに作り始めた料理がこちらです。素揚げしたナスをシェリービネガーでマリネして、アボカドと毛ガニを和えたものを挟んで、ミルフィーユ状にした料理です。ソースはバルサミコ酢とトマトを使っています。私は重ねたり、丸めたりするなど立体感のある盛り付けが好きですね。ナスを層にすることでフランス料理らしい華やかさを出しました。コースの最初に登場する料理として、きれいだなと思ってもらえるように心掛けています」
▲ウナギとフォワグラの温かいテリーヌのパネ サラダ添え
菊地:「ウナギとフォワグラは相性のいい組み合わせです。ウナギは蒸してから、カリッと焼いて、カレー粉などのスパイスを加えた赤ワインとフォンドヴォーで煮ています。そのウナギと、フレッシュなフォワグラをサンドして、パン粉を付けて焼いたものを、サフラン風味のリゾットに乗せています。さらにすっきりさせるためにサラダもトッピングしています。ウナギとフォワグラ、お米といったいずれも相性がいいものを重ねました。一緒に食べたときに、おいしく感じられるように味付けをしています」
▲ブレス産仔鳩のロースト ジロール茸と万願寺とうがらし、パニス添え
菊地:「鳩は私が好きな食材のひとつ。フランスでも日本でもレストランに行けば、鳩の料理を食べることが多いですね。こちらの料理は、ブレス産の仔鳩をシンプルにローストしたもの。鳩のガラを炒めて、水を入れて野菜と一緒に煮詰めた鳩のジュ(出汁)をソースにしています。付け合わせは、今の時期おいしいジロール茸と、タマネギを詰めた万願寺とうがらし。豆腐みたいなものは、ひよこ豆ペーストをフライにしたパニスというものです」
――小規模ながら隅々まで心配りのきいたくつろぎの空間で供されるのは、これぞ“フランス料理”というクラシカルさと、時代のエスプリを取り入れたモダンさを併せ持つ料理。日々止むことなく前進し続ける菊地シェフの作り上げる料理の世界は、多くの人を魅了してやまない。
フレンチガストロノミーを讃えるスペシャルディナーのご案内
さて、菊地シェフが作る極上の一皿がいただける、1日限定のイベントが2019年9月19日(木)に開催される。「食事の時間を楽しむというのが『ル・ブルギニオン』のコンセプト。フランスの人たちは、イベントのときの食事をとても大事にしています。9月の旬を大切にしつつ、ブルゴーニュを意識したクラシックな料理を出せたらと考えています。より楽しい時間が過ごせるようなディナーを作りたいですね」(菊地シェフ)。日本を代表するシェフが作る至福のひと皿をぜひ体験しよう。
極上の料理に寄り添う至福のシャンパーニュ
おいしい料理を味わうひとときをさらに魅力的にするのは、やはり極上のワインやシャンパーニュ。今回のイベントで楽しめるのは「テタンジェ」のシャンパーニュだ。
「テタンジェ」は、世界中の高級レストランから愛されている、フランスを代表するシャンパーニュ・メゾンの一つ。1734年創業以来、社名に冠したテタンジェ家が経営する、今日では数少ない家族経営のメゾン。一番のこだわりはぶどう作りにある。自社所有畑の比率が、他のメゾンより高く、繊細でエレガントな独自のスタイルを象徴する良質なシャルドネを豊富に所有。これにより、安定した高い品質が保たれ、繊細で上品な味わいのワインが生まれる。
イベントでお楽しみいただける銘柄は「ブリュット レゼルヴ」。長期瓶熟成を感じさせる繊細な泡立ちと、ブリオッシュや桃などを思わせるアロマ、生き生きとした切れ味ある味わいを持ち、シャルドネ比率の高い「テタンジェ」の真骨頂が味わるシャンパーニュだ。サーモンなどのシーフード料理と合わせると、フレッシュで洗練された果実味が食材の味わいを一層引き立てる。
菊池シェフが手掛ける一皿とテタンジェのシャンパーニュとが奏でる至福のマリアージュを心ゆくまで楽しみたい。
▼テタンジェHP
http://www.sapporobeer.jp/wine/taittinger/
【イベント概要】
日時:2019年9月19日(木)19:00(18:30受付開始)~21:00
場所: ル・ブルギニオン
参加費:15,000円(税サ込)/お1人様
特別ディナーコース
シャンパン(テタンジェ)、白・赤ワイン込
ル・ブルギニオン
- 電話番号
- 03-5772-6244
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
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