これが「餃子」の名店だ! ”酢コショウ”発祥の店、赤坂『珉珉(みんみん)』の焼き餃子がとにかくうまい

餃子で巡る世界の旅in東京 #45

2019年09月15日
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これが「餃子」の名店だ! ”酢コショウ”発祥の店、赤坂『珉珉(みんみん)』の焼き餃子がとにかくうまい
Summary
1.伝説の店『珉珉羊肉館』の直系である、東京・赤坂の中華料理店『珉珉(みんみん)』
2.”酢コショウ”発祥の店!「焼き餃子」「みそ餃子」は絶対食べておきたいメニュー
3.「ナスカレー」「ドラゴンチャーハン」も人気メニューだからおさえておきたい!

どうも、餃子大好きの料理芸人のクック井上。です!

日本全国に「珉珉(みんみん)」という店名のお店が多数ありますが、「同じ会社?」と疑問に思ったことのある方も多いのではないでしょうか。
もちろん、全ての「珉珉(みんみん)」が、同じ会社という訳ではありません。
しかし、その歴史は東京・渋谷の恋文横丁にあった、ある一つの「珉珉(みんみん)」が源流だと言われています。

その名は『珉珉羊肉館(みんみんやんろうかん)』。
このお店が暖簾分けなどで派生していき、店名に「珉珉(みんみん)」と付く餃子屋が多くなったのです。

現在、東京・渋谷の恋文横丁にあった『珉珉羊肉館』は閉店していますが、その直系にあたる希少なお店がコチラ。

1965年創業、東京・赤坂にある「珉珉(みんみん)」

▲なんとも歴史を感じさせる、重厚な建物です。

あらゆる雑誌や番組で、餃子の名店としてご存知の方も多いでしょうか。
今回、過去のどの雑誌や番組でも語られなかった歴史や、餃子の秘密まで、深堀りさせて頂きました。
是非、最後までお付き合いください。

最寄り駅は、東京メトロ・赤坂駅or乃木坂駅or青山駅一丁目。
全ての駅から、徒歩で約10分。お世辞にもアクセスが良いとは言えませんが、毎日満席大盛況。
1~2人なら飛び込みで入れる時もありますが、大人数の場合は、予約なしで入るのはほぼ不可能な大人気店です。

この取材ロケの当日も、お昼から何組もの女性のみのお客さんが。中華料理屋さんでは、なかなか見かけない光景です。
というのも、とある男性アイドルがテレビ番組で紹介したことがきっかけで、若い女性客の予約が殺到しているとのこと。

ただでさえ人気店なのに…、人気が人気を呼び、さらに予約がとりにくくなっている状況です。

そんな赤坂『珉珉(みんみん)』、早速店内へ入ってみましょう!

店内はコンクリートの打ちっぱなしで、メニューは漢字表記のみ。
場所は赤坂ですが、まるでアジアの大衆食堂に迷い込んだような雰囲気です。

そして、看板名物ママがこの方、清水和子さん。

元々は、ママのご主人である秀夫さんが『珉珉羊肉館』で働いていて、独立する際に、自宅を改装して『珉珉』をスタートさせました。(凄い、かっこいい自宅だ!)
そして秀夫さんが亡くなった今、息子さんが2代目店主として継いでいます。
他にも、長く働いているスタッフさんが多数いらっしゃり、まるで本物のファミリーのような雰囲気です。

今や大流行 “酢コショウ” 発祥の店! 肉汁あふれる『珉珉』の焼き餃子とは?

さて、赤坂『珉珉(みんみん)』と言えば餃子ですが、餃子が焼きあがる前に、ビールを頼みたい。
酒類を頼むとお通し(チャージ代として100円)が付いてくるんですが、これが絶品!

大根キムチと白髪ねぎ、そこに自家製肉みそが添えられたものが、お通しです。
これを、全部混ぜ合わせて食べるのが『珉珉』流なのですが、これが、まぁビールに合う!

グビグビグビ…、プハー。
あっ、すいません、餃子が焼きあがる前に、このお通しのせいで、ビール1本いっちゃいました(笑)
「これ、大皿でください!」と言いたくなる程のビール泥棒です。

さてさて、ビールで軽く喉を潤おすはずが、完全にほろ酔いになったところで、目的の餃子をいただきましょう!

『珉珉』では、「焼餃子」「水餃子」「炒餃子(揚げ餃子)」「炒醤餃子(みそ餃子)」の4種類がありますが、餡はどの餃子も同じです。
豚肉と白菜、ねぎ、ニラを使用し、ニンニクとショウガ、醤油でシンプルに味付け。

まずは定番の「焼餃子」からご紹介。
今まで、たくさんの媒体で紹介されてきた名物餃子ですが、どこよりも深堀りさせていただきます。

それを、特製の伸びやすくやわらかい皮で1個ずつ丁寧に包んでいきます。
その数、1日1000個! たった1店舗で1000個! こりゃ、当コラムでは、過去最多数レベルかもしれない…

「1日1000個も巻かないとならないので、自分で食べるのがもったいないですよ(笑)」とスタッフさん。
賄いで食べたいけど、その分また包むことを考えると、なかなか手が出ない…、ということらしいです。
僕らお客は、パクパク食べちゃうけど、作る方は大変だよなぁ…、感謝です。

と言っている間に、いい香りと湯気が…

そしてチリチリと焼ける音に変わり…

キターーーーーーーーーーーー!

見た目と香りだけで、すでにノックアウト!
可愛らしい丸みを帯びたフォルム、 しっかりついた焼き目、たまらんです♪

はい、ここでご存知の方もいらっしゃるかと存じますが、あらためて『珉珉』流の餃子のタレの作り方、食べ方を紹介します。
普通なら酢醤油で食べることが多い餃子ですが、『珉珉』では、酢&コショウでいただきます! 

最近、「酢コショウで食べてください!」というお店が増えてきましたが、餃子を酢コショウで食べることを考案したのがココ、赤坂『珉珉』。 
2000年頃に誕生し、それが徐々に世間にも広まり、今や大流行となったという訳です。

酢コショウの総本山、ココにあり。

「醤油だと餃子の味が消えてしまうので、酢コショウでさっぱりと。お酢は、脂っこさをやわらげる効果があり、餃子の肉汁とも相性バッチリ。酸っぱさも感じさせません。コショウは遠慮なしにたっぷりと!」とスタッフさん談。

ちなみに、「酢醤油でも食べてみたい」と思ったとしても、そもそも卓上に醤油が置いてありません。キッパリ!郷に入れば郷に従え!
粗挽きコショウのスパイシーさとお酢のさっぱり感がクセになりますよ。お好みでラー油を加えてもOKです。

あっ、“コショウは遠慮なしにたっぷり”って言ったって、どれくらいコショウを入れたらいいか分からないって方には、「あら、あんた初めて?」と、看板名物ママの清水和子さんが、優しく作ってくれますよ♪

さて、その酢コショウをつけてパクっ。はぁー、相変わらず美味い、美味すぎる!
焼き目はパリっとしつつも、なめらかな歯ざわりの皮の中に、餡がぎっしりたっぷり詰まっています。

餡のお肉は、やや粗挽き。ニラの香りとシャキシャキ感も良いアクセントですが、最大の特徴は、噛むとブシャーっと溢れ出てくる肉汁。

ん? これ、肉汁か?
この肉汁、脂っこくないし、サラッとしていて全くこってりしていない。いやそれどころか、むしろサッパリしている。
こりゃ、単なる肉汁ではないような…、秘密を探りに厨房に潜入捜査させて頂きました!

これは、仕込み中の白菜です。

約1mはあろうかという、大きなハンドミキサーのような機械をスタッフさんが両手で持ち、白菜をカットしているではありませんか!

細かくみじん切りされた白菜からは、凄い量の水分が出てきているけど…、な、なるほど!
巷のお店では、キャベツや白菜の水気はギュッと絞られるところが多いけども、『珉珉』では、この溢れんばかりの、旨味と甘みがつまった白菜のジュースを余すところなく使い切るんですね。
そして白菜のジュースとお肉を混ぜて、乳化させるようにして一体化させていたのか!

今まで、多くの媒体で「溢れ出る肉汁」と称されてきたものは、豚肉の汁「肉汁」と白菜の汁「菜汁」が混ざり合ったもの「溢れ出る肉菜汁」だったのです。

旨味はあるが、決してこってりしていない餃子、そこに、更に何個でも食べられるように工夫されたタレ「酢コショウ」…

アクセスが良くなくても大人気という事の最大の理由、それはこの「酢コショウ」×「溢れ出る肉菜汁」×「ビール」の三連コンボで完成する、全てが計算し尽された餃子です。

「みそ餃子」もマスト! つるんとした水餃子と濃厚なみそがたまらない

酢コショウで食す名物の焼き餃子のお次に紹介するのは、変わり種の「炒醤餃子(みそ餃子)」

つるんとした水餃子に、自家製のみそを使った肉みその餡がかかっています。
くぅー、見ただけで、勝手によだれが溢れてきやがるぜ!

肉味噌の餡かけが濃厚でコクがあり絶品! これはビールが進みますが、シメのご飯や麺料理にかけても◎。
餃子は4種類全部味わってもらいたいですが、「焼き餃子」と「みそ餃子」はマストです!
大勢で訪れて、「水餃子」「炒餃子(揚げ餃子)」も頼んで、結局全種類食すのがベストですけどね♪

あっ、肉味噌の餡は、ちょっと残しておいてください。それは後ほど。

餃子以外にもまだまだある! 食べておきたい『珉珉』の人気メニュー

餃子を堪能したところで、人気の変わり種メニューも紹介しましょう。
それが「茄子咖哩(ナスカレー)」です。

ラーメンの中華スープを使った中華系カレーで、元々はまかないだったのだとか。
具材は、ナス・ピーマン・鶏のささみと、これまた珍しい組み合わせ。

「油と相性がいい具材を選びました」とスタッフさん。
1回揚げた鶏のささみはふんわりとやわらかく、また1度油を吸い取ったナスはジューシー。
こちらも計算し尽されいてます。

カレーソースは、中華スープのダシを感じ、ニンニクも効いたパンチある味わいです。
ご想像のとおり、こちらもビール泥棒の味付けですが、ご飯をつけて「茄子咖哩丼」にするのも◎です。

このカレーソースも少しだけ残しておいてください。

そして最後に紹介するのが、餃子と並ぶ『珉珉』の看板メニューである「ドラゴン炒飯(チャーハン)」。

表の看板に「DRAGONビール」の文字があるから、それと何か関係あるのかな?

と思ったら全くの無関係。「DRAGONビール」は、今は無くなってしまったけど、かつてあったビールメーカーとのこと。

チャーハンに、風味づけとしてたっぷりのニンニクを使っているから、食べたらパワーが付きそうってことで、お客さんが命名したそうですよ。(こういうエピソードを知ってから食べると、また一段とうまし!)

たっぷりのニンニクを使っていると書きましたが、食べてみると、ガツンとニンニク臭いということは無くて、ふんわりマイルドに漂う感じで、口当たりもあっさりしています。

ご飯はパラっと&しっとりな仕上がりで、具材は分厚いチャーシューとネギ、卵とシンプル。

そして、残していた「炒醤餃子(みそ餃子)」の肉味噌餡や、「茄子咖哩(ナスカレー)」のソースがここで登場。
ちょいがけしてアレンジしても最高! 味変する必要もないくらい、完成されたチャーハンですが、味変&ちょっとした遊びとして試してみてください。

くぅー、食った食ったー、飲んだ飲んだー。余は満足じゃ!

それにしても、餃子といいカレーといいチャーハンといい、どれも見た目も味も特徴的で、THE男メシっぽいんですけど、実はクドくなくて品がある。
だから、沢山食べても胸焼けしないし、女子でも何回でも食べに来たくなっちゃうんですよね。

「ここにしかない味で、クセになる。しかし、誰が食べても食べ飽きない」

そういう風に重ねられた工夫と研究が、人気の理由だと感じた次第です。

全国に「珉珉(みんみん)」という名のお店が拡げることとなった伝説の店『珉珉羊肉館』。
直系としてその跡を継ぐこのお店に、まだ行ったことのない方はもちろん、すでに行ったことのある方も、当コラムで明らかになった味の秘密を知った上で、再度訪れてみてください。
複数人で訪れたい方は、予約必須ですよ。

撮影:佐々木雅久


【メニュー】
焼餃子 540円
炒醤餃子 920円
茄子咖哩 1,410円
ドラゴン炒飯 810円
※ディナータイムは、別途チャージ代100円(お通し付き)
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです

みんみん

住所
〒107-0052 東京都港区赤坂8-7-4
電話番号
03-3408-4805
営業時間
11:30~14:00(L.O.13:55)、 17:30~22:30(L.O.21:30)
定休日
日曜・祝日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/9y1me6cr0000/

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