スパイスカレーの激戦区・大阪の『ゼロワンカレー』が、東京に完全移転!
大阪発祥の「スパイスカレー」ブームにより、今や“カレーの聖地”とも呼ばれる大阪・谷町四丁目。
その中でも特に人気を博していたのが、「ミールス(南インドのカレー定食)」を提供する個性派店として支持されていた『ゼロワンカレー』だ。そんな同店が2019年7月に突然閉店したのは、ファンにとってはショッキングなニュースだったはず。
しかしその後、『ゼロワンカレー』は場所を変えて新たなスタートを切ることとなる。選んだのは東京・三田。『ゼロワンカレーA.o.D』の誕生だ。
多種類の副菜とともにカレーを味わう「ミールス(定食)」スタイルが南インド流
『ゼロワンカレー』店主の立田侑志さんは、店を始める前から、スパイスを自己流で調合して料理するのが趣味。大阪でスパイスカレーが流行り始めた頃には、「これなら自分にも作れる」と確信していたそう。
週末だけの副業として、2011年に大阪・南森町でスパイスカレーの間借り店を始めたところ、すぐさま人気店に。だが、同時期に南インドを旅したことで、“南インドのカレー”の魅力に開眼。2014年8月に構えた大阪・谷町四丁目の店ではスパイスカレーを捨て、南インド風のカレーを提供するようになった。
『ゼロワンカレーA.o.D』のカレーは、カレーとライスに多種類の副菜がついていて、すべてを少しずつ混ぜながら味わう南インドのミールス(定食)スタイル。
大阪店では5種類だった副菜を9種類に増やし、内容もより手が込んだものにグレードアップ。さらには、ライスと2種類の汁物「ラッサム」「サンバル」、豆のカレー「ダール」はおかわり自由だ。
「本場・南インドのミールスも基本的におかわり自由。そのスタイルを自分の店でやってみたかったんです」(立田さん)
目指しているのは “南インドの高級リゾートホテル”のカレー
移転を決意したのは、「南インドの高級リゾートホテルで出されているカレーにより近づけるため」。それを叶えるには広い厨房が必要だった。
▲席数も、大阪店の2倍にあたる26席に
「広いキッチンを求めて物件を探したのですが、大阪では見つからず、東京まで手を広げたらこの物件に出逢ったんです。元々のスパイスカレーのイメージが根強く残っている大阪より、東京でイチから始めたほうが、自分のやりたいことがより伝わりやすいのでは、と思い決意しました」(立田さん)
▲店主の立田侑志さん(左)、奥様の桃子さん(右)
選べるカレー4種、ライス3種からお好みをチョイス!
選べるカレーは全4種で、定番「チキンマサラA.O.D」、週替わりの肉系カレー、日替わりのフィッシュカレー、「ベジミールス」(野菜カレー)。2種盛りはもちろん、ミニサイズの2種盛り「レディースセット」も用意されていて、すべてのカレーに9種類の副菜が付いてくる。
ライスも、インディカ米とジャポニカ米を半々で炊き上げた「ゼロワンベーシック」、スパイスとレモンで風味付けした「レモンライス」(+100円)、南インドの西海岸沿いで食べられている「レッドマッタライス」(+250円)の全3種から選ぶスタイル。
立田さんによると、同店のカレーに最もよく合うのは、カレーと同じ地域で食べられている「レッドマッタライス」(写真上)。粒が大きくて丸く、古代米のような独特の香りとしっかりした噛みごたえがある。
本格的な南インド風カレーには、築地で仕入れた上質食材がたっぷり!
この日選んだのは、同店の定番メニュー「チキンマサラA.O.D」(写真上・右)と、「本日のフィッシュカレー(炙りハラスと白子)」(同・左)の2種盛りミールス。
まずは「チキンマサラA.O.D」から。インドカレーと聞くと、スパイスの主張が強いカレーをイメージするが、「チキンマサラA.O.D」のカレーソースはマイルド。ココナッツオイル特有の濃厚なコクがありながら、ソースに小麦粉を一切使用していないため、さらりと食べられてしまう。
何よりも驚くのは、鶏肉のやわらかさ。使用しているのは、築地の鶏の名店『鳥藤』の特選鶏。ミートボールと胸肉の2種類が入っていて、ミートボールは肉の粒感がしっかり感じられ、胸肉は肉汁をたっぷり含み、驚くほどにしっとりしている。
聞けば、60℃の低温で数時間かけてゆっくり煮込み、一晩マリネしているそう(写真上)。それを、注文が入ってからさっと炙り、カレーソースで軽く煮込んでから提供してくれる。
「南インドでこんな手の込んだやり方をしている店はないですし、日本のカレー店でもうちだけではないでしょうか」(立田さん)
つまり、南インド風にして、南インドのカレーを超えた味なのだ!
週替わりのフィッシュカレーには、新鮮な白子と鮭ハラスがゴロゴロ!
「フィッシュカレー」は、南インド・ケララ州で有名な、ココナッツミルクとココナッツオイルをたっぷり使ったマイルドなフィッシュカレー「フィッシュ・モリー」をイメージ。チキンよりさらにまろやかな味わいだ。四季のない南インドでは、一年中同じような魚を使って作っているが、同店では旬の魚介を厳選。
取材日は築地で仕入れた「炙りハラス」と「白子」。炙りハラスは皮がパリパリと香ばしく、内側がしっとり。濃厚な白子も、クリーミーな味わいがカレーとの相性抜群。どちらも絶妙な火入れが施されている。フィッシュカレーは週替わりなので、どんな魚介と出逢えるかは一期一会の楽しみ。
9種類の副菜とカレー、ライスのミックスが楽しい!
カレーそのものも絶品だが、豪華な副菜が楽しいのも同店の魅力。いずれの副菜も野菜たっぷりで、それぞれが一品料理として成立するクオリティ。副菜とカレーを、少しずつライスにミックスしながら食べるのが南インド風だ。
▲すべてのカレーに9種類の副菜が付いてくる
①ダール・タルカ(ケララ州スタイルの豆カレー)
②ラッサム(酸味のあるスープ)
③カルナータカ・サンバル(カルナータカ州スタイルのインド風味噌汁)
④ココナッツ・チャトニ(ココナッツとスパイスのペースト)
⑤メドゥ・ワダ(豆の粉で作る甘くないドーナッツ)
⑥乳酸発酵アチャール(インドの漬物「アチャール」を乳酸発酵でうまみをアップさせたもの)
⑦3種類のトーレン(ココナッツとスパイスを使った野菜のさっぱり炒め)
⑧バンガロール・ベジヌードル(糸状に切った野菜をマンゴーソースとスパイスで炒めたもの)
⑨季節フルーツ入りベルプーリ(ジャガイモの揚げ麺入りのスナック)
カレーと副菜をライスに次々に混ぜながら味見していくと、まるで万華鏡のように味がクルクルと変化していき、「こんなに食べられるだろうか…」と思っていたボリュームがあっという間に消えてしまう。ちなみに、やや酸味の強い「ラッサム」をシメにライスにかける食べ方が立田さんのオススメだ。
とはいえ、これだけ副菜が多いとライスが足りなくなるのでは? と心配になるが、同店ではライスのおかわりが自由。
「遠慮せずにおかわりしてほしいんです。そのほうが、このカレーを楽しんでくれているのがわかり、僕たちも嬉しいです」(立田さん)
お楽しみはまだまだ続く! 奥さまの手作りスイーツ「オカシモアルヨ」
季節のフルーツを使ったスイーツを手作りしているのは、パティシエ歴10年の奥さまの桃子さん。
大阪店オープン当初は出していなかったが、桃子さんと結婚した後、店でも出すようになったそう。今では「オカシモアルヨ」のブランド名で、カレーと並ぶほどの人気を集めている。
この日のスイーツは、「ジャガリーのババロワ」(写真上・左)、「洋梨の焼タルト」(同・中)、「和栗と洋梨のモンブラン」(同・右)。カレー店らしからぬラインナップに驚かされる。
ハチミツのような独特の風味があるインドの粗糖「ジャガリー」を使った「ジャガリーのババロワと季節のフルーツ」は、素朴でありながら奥深い不思議な甘み。ぜひ食べてほしい逸品だ。
▲ブランド名「オカシモアルヨ」のかわいいイラストは、桃子さんが描いている
お酒も充実!「国産クラフトビール」から「インドワイン」まで
「カレー飲み」がしたい人にオススメなのが、島根県西部の江津市の『石見麦酒』で作られているクラフトビール(写真上・左)。シーズンごとに味が変わる限定醸造で、同店では樽と瓶で数種類そろえている。
「チリワインの次はインドワイン」といわれるほど人気が高まっているインドワインがグラスで飲めるのもうれしい。なかでもインドワイン「スーラ」(写真上・右)は、フルーティな味わいで、スパイス料理と相性抜群。
立田さんによると、小麦の生産が多いインド北部ではナンやチャパティでカレーを食べることが多いが、米の生産が盛んなインド南部では米でカレーを食べるそう。そのため、南インドカレーは、自然と米に合う味になったのだとか。本格インド料理なのに、不思議なほど日本人の口に合うのはそのためかもしれない。
刺激の強い味が苦手でインド料理を敬遠気味の人こそ、ぜひこの店を訪れて欲しい。本格インド料理の新しい魅力を知り、きっともっと深く知りたくなるはずだ。
【メニュー】
二種盛りミールス 2,100円
※ご飯、サンバル、ラッサム、ダールのおかわり無料
※レッドマッタライス +250円
洋梨の焼タルト 495円
ジャガリーのババロワと季節のフルーツ 550円
和栗と洋梨のモンブラン 605円
石見麦酒のクラフトビール (大)800円、(小)600円
南インドのワイン「Sula(スーラ)」 グラス650円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込(10%)です
ゼロワンカレーA.o.D(ZERO ONE CURRY A.o.D)
- 電話番号
- 03-6722-6380
- 営業時間
- ランチ11:30〜14:30、カフェ14:00〜16:30、ディナー17:30〜20:30
- 定休日
- 水曜・木曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。