中世のフランス料理とは…
フランス料理は華やかな料理を一品一品味わい、きちんとしたマナーでいただく、というイメージが強いが、実は中世12世紀頃のフランス料理とは、大皿に盛られたロースト肉と茹でた野菜を手づかみで食べるという、とてもシンプルなものだった。
しかし14~15世紀頃になると、新しい料理法として現在のシチューに近い、肉や魚類と野菜を煮込んだ料理が登場する。これが食材の保存性も上がり、おいしく画期的な料理法としてフランス各地に広がった。
その「煮込む」という料理は各地方で現地のエッセンスが加わり、海産物と煮込んだり、現地で採れた乳製品や酒類と合わせたり、地方の数だけのレシピが生まれた。
地方といえば、フランスには18もの地方(地域圏・州に相当するもの)があり、日本国内でもよく名前が知られている地方をあげるなら、やはり「ブルゴーニュ地方」は欠かせないエリアだろう。
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その「ブルゴーニュ」の名を店名に冠し、ブルゴーニュ地方郷土料理が味わえるお店が、東京の“リトル・パリ”こと神楽坂にある。それが『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』だ。
おしゃれなテラス席が目印! フレンチのエッセンスに溢れる店内
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神楽坂下から神楽坂上方面に向かう途中、「見番横丁」と呼ばれる脇道に入ると、店名を記したテントとテラス席が目に入る。
見番(※芸者衆の手配や稽古を行う場所)から時折聞こえる太鼓の音と、まるでフランスに瞬間移動したようなおしゃれな店内のミスマッチ感がなんとも、フランス文化と和文化の融合エリア・神楽坂らしい情緒を感じさせる。
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中に入ると飴色のカウンターがあり、その後ろには大型のワインセラーが鎮座している。
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そもそもこちらの『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』はフランス人のオーナーがブルゴーニュ地方のワインや食文化をもっと日本の人に知ってほしいという想いからオープンさせたそうで、ブルゴーニュ地方の有名ワイナリーから、地元で愛される小規模のメゾンのものまで、数多くのワインがそろっている。
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ランチタイムにもグラスワインを提供しており、昼間からブルゴーニュワインと料理のマリアージュを楽しむ方も多いそうだ。
ワインを生かし、ワインを引き立てるブルゴーニュ郷土料理
こちらで頂ける料理は、ブルゴーニュ地方の郷土料理レシピを中心に、日本人にも食べやすいフレンチのエッセンスを生かした料理。指揮するのはシェフのシリルさん(写真下)だ。
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今回は『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』でおすすめのブルゴーニュ郷土料理を紹介してもらった。
ブルゴーニュ地方料理の特徴は?
ブルゴーニュ地方はフランスの東部にあり、パリからは高速列車TGVで1時間ほどの距離にある。中心都市はその名を冠したマスタードで有名なディジョン。西は丘陵が連なり、東はソーヌ川、その間に高原や台地が広がっている。古来から交通と商いの要となる土地であり、そのこともあってフランスの食文化においても、確固たる地位を築いてきた。
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天候は日当たりがよく日照時間も長い。また丘陵地帯で水はけもよいため、ワインの材料であるブドウの栽培に適している。こうした環境のよさから、フランスでも有数のワイン産地となり、「ブルゴーニュといえばワイン」というほどになった。
その質は世界的に見てもとても高く、飲料としてはもちろん、フランス料理においても重要な役割を果たしている。
【主な郷土料理】
エスカルゴのブルゴーニュ風(ニンニクや香草などを効かせたバターとエスカルゴを焼き上げたもの)、グジェール(小型のチーズ風味のシュー生地)、ブルゴーニュ風ポテ(塩漬けの豚肉と野菜を水から煮込んだもの)、鶏肉や牛肉の赤ワイン煮込み、マコネ(山羊乳のチーズ)、ディジョンマスタード、リゴドン(ブリオッシュを使ったシナモン風味のパンプディング)など
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「ブルゴーニュ地方は素朴な煮込み料理からワインに合うようなフィンガーフードまで、さまざまな郷土料理があります。ワインもロマネコンティのような高級ワインから、ボジョレー地区で造られているボジョレー・ヌーヴォーまでさまざまな種類が作られています」(シリルさん)。
『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』で食べられるブルゴーニュ郷土料理とは?
ランチやディナーでもブルゴーニュ郷土料理が味わえるという『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』。今回はブルゴーニュ地方の代表的な料理を紹介してもらった。
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▲ムレット
ブルゴーニュ地方では前菜として食べられるという「ムレット」は卵に赤ワインを煮込んだソースをかけたもの。こちらでは卵は温泉卵にして口当たりよく、きのこなどの野菜と赤ワインを煮込んだソースはさらっとしたテクスチャーに仕上げている。
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赤ワインを使った料理らしいコクが食欲をそそり、食事のスターターとしてぴったり! 卵と野菜、ソースとそれぞれの食感や組み合わせを楽しみながら頂ける。
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▲エスカルゴのブルゴーニュ風
丸いくぼみのあるお皿はブルゴーニュ現地でもエスカルゴ料理によく使われる。エスカルゴをくぼみにいれ、ニンニクやパセリなどの香草を加えたバターをたっぷりのせて焼き上げ、専用のフォークでいただく。
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そしてエスカルゴの風味が移ったバターもまたごちそう。こちらのお店でも現地でも、この料理にバケットは欠かせないそうで、エスカルゴをオーダーした人はみんなバケットも一緒に頼むのだとか。
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パンにバターを染み込ませてお皿が空になるまで食べるのがブルゴーニュ通!
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▲ブッフ・ブルギニヨン
「肉類とワインの煮込み料理」はフランス各地にあるが、中でもこのブルゴーニュ地方の「ブッフ・ブルギニヨン」は知名度も人気も高い、フランス煮込み郷土料理の代表格。ブルゴーニュ産赤ワインで牛肉をじっくり、ホロホロになるまで野菜などと煮込んだ、大人も子どもも大好きな味。
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『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』では肉の下にポテトのピュレを合わせているが、この組み合わせが現地流。ソースとポテトを絡めながら食べるのもまたおいしい。マッシュルームやベーコンなどを加えて味に深みを出したブッフ・ブルギニヨンは、週末のランチでも人気のメニューなのだとか。
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こうしたブルゴーニュ郷土料理と合わせるなら、やはりブルゴーニュワインで! 味はまろやかで飲みやすく、フルーティーで豊潤な香りが特徴だ。赤ワインが中心だが、料理に合わせてブルゴーニュ産白ワインを試すのも面白いだろう。
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ワインと食が寄り添い合う文化を持つ「ブルゴーニュ地方」。ワインが苦手という人にも、ブルゴーニュワインを上手に使った料理はどれも食べやすく、ブルゴーニュという土壌の味の深さを感じることができるだろう。
プチ・バカンス気分になれる『メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ』でゆったりとブルゴーニュ郷土料理とワインでフランスのガストロノミー(美食)文化を体験してみるのはいかがだろうか?
【メニュー】
▼料理
平日のランチセット 1,000円~
週末ランチ 2,500円~
ディナーコース 5,100円~
他アラカルトメニューあり
▼ドリンク
グラスワイン 900円~、グラススパークリングワイン 950円~
他 ボトルワインやウイスキーやハイボールなどアルコールメニューやソフトドリンクなど
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税・サービス料別です
MAiSON DE LA BOURGOGNE (メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ)
- 電話番号
- 03-3260-7280
- 営業時間
- 月~金11:30~14:00(L.O.)/18:00~22:00(食事L.O.)24:00閉店、土・日・祝11:30~14:30(L.O.)/14:30~17:00(Tea Time)、土18:00~22:00(食事L.O.)24:00閉店、日・祝・連休の場合最終日18:00~21:00(L.O.)22:00閉店
- 定休日
- 無
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。