2020年の食文化トレンド予測【マッキー牧元】
2019年のトレンドは、「タピオカ」「マニアック中国料理」「バスクチーズケーキ」「スパイスカレー」「チーズグルメ」「発酵食メニュー」「生食パン」「夜パフェ」「パン呑み」「定額制サービス(=サブスクリプションモデル)」といったところだろうか。
しかし中には、この中の一つも経験していないという方もいよう。
食文化は、年々嗜好が多様化し、細分化していく傾向にあり、タピオカがすでに下火になっているなど、トレンドの終焉速度は早まり、また各トレンド自体の規模も小さくなっている。
こういう状況の中で、2020年はどうなっていくのだろうか。いくつか予測をあげていきたい。
【1】GOOD FOOD志向
2020年最大のビックイベント、オリンピック・パラリンピックの選手村ほか施設では、牛肉以外ではGAP認証(食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証)を得た国産食材が使われることになったという。
その影響で健康にいい食品への志向と、食べることに関して地球環境改善につながる意識を持つ人が増えると思われる。
おそらくレストランでもSDGIs(Sustainable Development Goals~持続可能な開発目標~)の考え方を導入する店やチェーンが増え、それが結果としてインバウンドの需要とマッチングしていくと思われる。
またその一つの流れとして盛り上がりそうな予感があるのが、ヴィーガン料理である。
【2】ヴィーガン
ベジタリアンでなくとも、ヴィーガン料理を食べることがかっこいい価値観や、それに伴って、おいしいヴィーガン料理を開発し、出す店が増えてくる。台湾などの素食料理も増える。
【3】モダン大衆居酒屋
今年から増え始めた和洋の気のきいた肴をおく、若い店主による居酒屋が増え、同時にはしご酒の楽しみが若い人たちの間で流行るのではないか。
【4】BYOレストラン
海外に多くあるように“Bring Your Own”、つまりお酒の在庫を置かず、酒は持ってきてねというスタイルをとる店が増える。
【5】マニアック中華は続く
2019年に話題になった『サウスラボ南方』、『南三』のような街場の安い中国料理店で、本格的な広東料理や少数民族料理が食べられる店がまだまだ増える。
【6】ネオたこ焼き
たこ焼きはすでに大阪だけのものではなくなった。そのベースがあるので、さらに変化進化して、フランス風やベトナム風など、海外の食文化を取り入れたたこ焼きが流行る。
【7】台湾フード
『瑞鳳』、『明天好好』ほか多くの小さな台湾料理店ができている。またまだ日本でも食べることの叶わない、現地では一般的な料理も数多くあり、ますます盛んになっていく。
【8】ブルワリー併設レストラン
今ミニブルワリーができかけている。ビールが中心になると思うが、ジンのブルワリーも併設したレストランが増えていく。
【9】タコス進化
『ロス・タコス・スワーレス』『タコスショップ』など、今までにはなかったタコス店ができた2019年の影響を受け、さらに幅を広げた食材とカラフルなタコスが登場してくるだろう。
【10】新フムス
フムスとは茹でたヒヨコ豆に、ニンニク、練りゴマ、オリーブオイル、レモン汁などを加えてすりつぶし、塩で調味したペースト状の中東料理。ここにチョコレートやバニラ、あるいはタンドリー風味や麻辣風味など、各種スパイスを混ぜ込んだものが流行る。
【11】間借り店
ポップアップ店の増加。2019年に話題となった店もあったように、昼だけ営業の間借り店。期間限定のポップアップ店がかなり増えていきそうな予感がある。
【12】ミクストラン
もうすでに、スーパー、本屋、ジム、美容室、コインランドリーなど、飲食店と他業種が一緒になった複合型飲食店ができているが、さらに増える。
【13】動画映え
インスタの静画の時代からストーリーなどを使った動画で映える料理の人気が高まる。
以上、13のキーワードが2020年の食文化トレンド予測と考える。