寿司の聖地・銀座で異彩を放つ、本格江戸前寿司店『銀座 坂本』
気軽に楽しめる店から歴史を誇る老舗まで、多種多様な寿司店がひしめく、寿司の聖地・銀座。その銀座に、金髪という風貌で異彩を放っている寿司職人の店『銀座 坂本』がある。
本格江戸前寿司や一品料理が楽しめるだけでなく、訪れる人への細やかな心配りも魅力的な一軒だ。
同店があるのは、銀座の中央通りの1本裏。高級バーやギャラリーが立ち並ぶ華やかなエリア・銀座8丁目の金春通りに面したビルの5階。
「出世街道」をご存じだろうか。ビルの合間の細い路地を通っていくと、どんどん道が広がり国会議事堂まで続くという道で、故・田中角栄氏が銀座からこの道を通って国会議事堂に向かったという逸話のある道だ。
『銀座 坂本』が入っているビルは、この出世街道の入口に立っており、なんとも縁起のいい場所にある。
大将自らが設計した、こだわりの空間
大将自らが図面を引いてデザインしたという店内は、大人の社交場・銀座にふさわしい高級感あふれる空間となっている。
職人の技を眺め、会話も交わせる10席のカウンターは何よりの特等席。木目のカウンターと革張りの椅子との組み合わせがシックで上品だ。
モダンな絵画が飾られた個室は4人用のテーブル席となっており、落ち着いた雰囲気が接待や会食にふさわしい。
“日本で一番幸せな寿司屋”を標榜する同店は、オシャレなだけではなく、訪れるお客への心配りが隅々まで満ちている。
入口から段差がなく、店内は完全なバリアフリー。カウンター席の後ろにあるロッカーは、お客一人一人に用意されていて、カバンからコートまでしまえる広さだ。
そして特筆すべきは、パウダールーム(写真上)。優に個室一つ取れるほどの空間に、豊富なアメニティも揃うなど、ホテル並みの設備が整っている。
“生涯鮨職人”として、いま一番おいしい寿司を届ける
大将の坂本忍さんは、江戸前寿司の老舗『築地寿司清(すしせい)』で職人としてのキャリアをスタート。11年修業した後、若干29歳で独立すると、西麻布『おすしやさん』、六本木『PREMIUM』を次々にオープン。渋谷・松濤に作った3店舗目には、自身の名を冠し『松濤 坂本』と名付けた。
独立8年目には、北海道の海の幸が集まる苫小牧(とまこまい)市にて『北海道 坂本』を開業。その後、2018年末、銀座に5店舗目となる『銀座 坂本』をオープン。待ちかねたように、西麻布以来の坂本さんのファンが多数訪れている。
のれんに鮮やかに染め抜かれたロゴは“生涯鮨職人”という落款(らっかん)。中国では、独り立ちするときに印章を作ると言われ、独立して初めて西麻布に店をオープンしたときに、常連客にいただいたという。
「『経営者ではなく、生涯鮨職人であれ』という願いが込められたロゴです。独立し店を構えるようになっても、寿司職人として、よりおいしい寿司を食べてもらうことを何よりも大切にしています」(坂本さん)。
旬の滋味溢れる料理に、寿司への期待も高まる
メニューはおまかせコースのみ。先付や刺盛、小鉢などの料理と寿司の両方が楽しめるコースと、寿司のみを堪能するコースがある。予算や品数、好みなどに応じて構成してもらうこともできるので、相談してもいいだろう。
寿司と料理のコースで10,000円~という値段も良心的。銀座の寿司となると身構えてしまいそうだが、自分へのご褒美や大切な人のおもてなしなどに、“手が届く”値段なのがうれしい。
では早速、旬の海鮮のおいしさが楽しめる料理をいくつか紹介しよう。
「あん肝のゆず煮」(写真上)は、”海のフォアグラ”とも呼ばれる冬の味覚・あん肝を甘辛に味付け、ゆずを効かせて上品に。しっかり味付けされ、ねっとりと濃厚なうまみのあん肝は、日本酒だけでなく、キリッと冷やした白ワインにも合いそうだ。
「まながつをの西京焼き」(写真上)はシンプルながら、カリッと焼かれた皮目とふっくらとした身がしみじみとおいしい一品。
皿の上に乗せられた、切り絵細工のような笹切りに思わず目が留まる。笹切りは、昔はどの鮨職人も持っていた技術なのだとか。寿司を詰める折に笹切りを入れ、「この笹が乾くまでに寿司を食べてください」というメッセージが込められている。
料理に添えられた細工から、昔ながらの職人の技を大事にしている坂本さんの心意気が伝わってくる。
おまかせで供される料理は、日本の四季の魅力をストレートに伝えてくれる王道の和食揃い。
「白子とウニの茶碗蒸し」(写真上)は、茶碗蒸しの優しい味わいの中に、ウニと白子の味わいが生き生きとした一品。
一さじすくうと、ぷるんと大ぶりな白子が現れる。ウニの甘みがきいた餡と共に頬張れば、一瞬で白子がとろけて、うまみが口の中に広がる。
自慢の「江戸前寿司」は、味の広がり、シャリの絶妙なほどけ具合にうっとり
いよいよ寿司の登場だ。真摯なまなざしで寿司を握る坂本さんの佇まいから、「うまい寿司が楽しめる」予感にあふれる。
本日は、最左からトロ、クエ、赤身漬け、アジ、車海老、煮ハマグリ、いくら、ウニといったラインナップ。上質な脂のうまみがにじむトロ、うっすらとした霜に仕事の丁寧さがうかがえる赤身漬け、噛むほどに上品な甘さが広がる車海老など、ネタの上質さに舌が喜ぶものばかり。
ハイレベルなネタが揃うのは、坂本さんが長年じっくり、名店と言われる仕入れ先の担当者と付き合いを積み重ねてきた賜物だ。
シャリには、銀座の有名レストランなどが御用達の米店が寿司用に選んだ米を使用。1年寝かせた米は、粘度がちょうどよく、ほろっとほどける。
24年間、一心に寿司を握り続けてきたという坂本さん。思わず見とれてしまうような華やかなパフォーマンスから、キリッと端正な寿司が生まれる。寿司をひと口頬張れば、シャリのほどけ具合が絶妙で、ネタの味わいと共に口の中に広がっていく。まさに口福の瞬間だ。
料理と共に楽しみたい! 大将手作りの器にも注目
寿司や料理が盛られた器や、湯飲みから醤油差しに至るまで、店で使う陶器はすべて坂本さんの手作り。日本全国から選んだ土を使って坂本さん自身がデザインし、一つ一つ焼き上げたという。
湯飲みなどの柔らかい白色の陶器は、北海道の白樺の釉薬(ゆうやく)を使っている。洗練された空間にいながら、温かみのある色合いに心が和む。
『ケンゾー エステイト』のワイン全種類をラインナップ!
『銀座 坂本』で外せないのが『ケンゾー エステイト』のワインだ。『ケンゾー エステイト』は、ヒットゲームメーカーである「株式会社カプコン」創業者、辻本憲三氏が手掛けた、カリフォルニア州ナパヴァレーのワイナリーで、世界中のワイン愛好家が絶賛するワインを次々に造り出している。
坂本さんは辻本憲三氏と古くからの知り合いで、『ケンゾー エステイト』取扱店の第1号なのだという。同店では、この『ケンゾー エステイト』のワインを全種類ラインナップ。エレガントな味わいは、繊細な和食や寿司にぴったり。ぜひマリアージュを楽しみたい。
もちろん、和食に欠かせない日本酒も、坂本さん自ら選んだ銘酒が揃う。日本酒のペアリングもあり、旬が香る料理や寿司と合わせて楽しんでもよいだろう。
“日本で一番幸せな寿司屋”として、心を込めてお客をもてなす
坂本さんと共に板場を守るのは、長年の付き合いがある吉田 明彦さん(写真上・右)。創業90年の老舗『旭鮨総本店』で修業をスタートした後、和食一筋に様々な店舗で研鑽を積んできた実力の持ち主だ。
「今日、目の前にいるお客様を楽しませたい」という想いが、店作りにも料理一つひとつにも、隅々まで行き届いている『銀座坂本』。銀座にふさわしい極上の寿司を、ぜひ楽しんでいただきたい。
【メニュー】
コース
松濤 10,000円
北海道 15,000円
銀座 20,000円
おすし
亀 5,000円
鶴 8,000円
坂本 10,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です
銀座 坂本
- 電話番号
- 03-6280-6222
- 営業時間
- 月~土曜 17:30~魚がなくなるまで ※平日のランチ、休日の営業については、2日前までに予約。席が空いていれば対応可
- 定休日
- 日曜、祝日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。