人気観光地「沖縄」は、異国情緒を気軽に味わえる街
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エメラルドグリーンの海、色とりどりに輝くサンゴ、亜熱帯の温厚な天気と、他国の影響を受けた多様性ある文化。沖縄が私たちを魅了する理由は、数え出したらキリがないだろう。
私は、日本国内47都道府県すべてに足を運んだが、日本で最も日本らしくない都道府県はどこかと聞かれたら、「沖縄」と即答する。故に、沖縄へ行く前夜は、どこか海外旅行をする時と似たような気分になる。そんな異国情緒溢れる地に、パスポート無しで行くことができるのだ。旅行好きであれば行かない手はないだろう。
飲み歩き上級者が、「那覇」のおすすめ3店をナビゲート
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そんな沖縄の県庁所在地である那覇に、初めて訪れた時の衝撃は忘れられない。南の島の楽園のような雰囲気かと思いきや、中心地は全国の主要都市と変わらないほど混沌とした街並みだったのだ。実際に、国土交通省による「県庁所在地別人口密度(2019)」でも、新宿区・大阪市・横浜市に次ぐ第4位というから驚かずにはいられない。
そんな、観光客も多く人口密度も高い街が那覇だ。繁華街の那覇市国際通り商店街付近には、おびただしい数の飲食店が立ち並ぶわけだが、これほどの数ある選択肢から、自分に合った店を選ぶのは、観光客のみならず、地元民でも至難の技だ。
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そこで今回は、年に4回程飲み歩くためだけに那覇に足を運ぶ私が、個人的に最も好きなおすすめ居酒屋を3店紹介する。
沖縄らしい名産や郷土料理、そして個性的な店主。一度知るとハマってしまう独特な雰囲気に、きっと誰しもが魅了されることだろう。
2,000円で食べ飲み放題!? 沖縄初心者にもおすすめな名おでん屋『おふくろ』
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私は、那覇にいるときは基本的に、ゆいレール・牧志駅のある「第一牧志公設市場」付近か、安里(あさと)駅のある「栄町市場」付近で飲み歩くことがほとんどだが、那覇旅行の初日であれば、県庁前駅にある『おふくろ』でスタートすることをすすめたい。
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その理由は、この店の最大の特徴が、2時間食べ飲み放題を2,000円で楽しむことができることにある。これは物価の安い沖縄といえども破格で、沖縄料理を一通り楽しむには最適な一軒だ。特に初めて沖縄に来る人は、自分の好みの料理を見つけておけば、その後の飲食店選びにも困らなくなるだろう。
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「2,000円で食べ飲み放題」と聞くと若干クオリティに不安を感じるかもしれないが、料理はもちろん全て作りたてで、ドリンクは「オリオンビール」や泡盛をはじめ、酎ハイやソフトドリンクなど、一般的な飲み放題と変わらないラインナップ。むしろ食事に関しては、大満足できるほど手間ひまかけた逸品がずらりと並ぶ。
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まずは店のウリでもある「沖縄おでん」だ。「沖縄でおでん!?」と首をかしげる方もいるかと思うが、沖縄のおでんは個性的でうまい。
沖縄は「アグー豚」でも知られるように、豚がおいしく育ちやすい環境が整っているため、ラフテーやテビチ汁(豚足の汁物)などの豚肉料理が数多いのだが、おでん屋もその例外ではない。
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特に豚足は、地元民がおでん屋の良し悪しを判断する大きなポイントであり、各店が気合いを入れる定番のタネだ。主に腕部分の「テビチ」と足先部分の「チマグ」に分かれているが、味や食感も異なる。どちらも共通するのは、泡盛に合うよう昆布だしの効いた濃いめの味付けをされていることだろう。
肉肉しい食べごたえを求めるなら前者、プルップルのコラーゲンで食感を楽しむなら後者がおすすめだ。
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また、おでん以外の手作り沖縄料理も外せない。「ゴーヤチャンプル」や、「もずく天ぷら」をはじめ、貴重な「海ぶどう」や「島らっきょう」までが食べ放題に含まれているのは、にわかに信じがたい。那覇の初日は2,000円を握り締め、自分好みの沖縄料理を探してみてはいかがだろう。
【メニュー】
食べ飲み放題 2,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです
おでん専門 おふくろ
- 電話番号
- 098-868-6721
- 営業時間
- 月~金曜 17:30~24:00、土曜 17:30~23:00
- 定休日
- 木曜、日曜、祝日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
独特な郷土料理を食べたければ、『山羊料理さかえ』名物女将のもとで「山羊刺し」を!
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個性的なものが多い沖縄料理だが、慣れてくるとどハマりする人も少なくない。アイゴの稚魚を塩漬けした珍味「スクガラス」(写真上)や、沖縄の代表的な発酵食品「豆腐よう」などは、好き嫌いが分かれる郷土料理だが、何度か食べているとおつまみとして欠かせなくなってしまうほど。そんなクセの強い珍味が好きな方は、ぜひ山羊(ヤギ)肉を食べて欲しい。
台風などによる自然災害が多い沖縄では、かつて食料を安定確保するために庭先に山羊を飼っていた人が多かったという。今では、その数こそ減ってしまったが、いまだ山羊食の文化は残っている。確かに山羊は、豚や牛と比べると匂いが独特で万人受けする食べ物とは言い難いが、刺身で食べるとその概念は180度変わるという。
需要が減った現在、山羊料理を食べることができる店は、那覇でもだいぶ減ってしまった。特に、鮮度が重要な刺身を食べられる店は数えられる程しか存在しない。
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そんな希少価値の高い山羊刺しを食べに訪れて欲しいのが、『山羊料理さかえ』だ。
実は、山羊肉好きで知らない人はいないほど、予約必須の人気店である。その理由は、山羊を知り尽くした名物女将・通称”ねーね”にある。暖簾をくぐると「はーい、いらっしゃーい」とハスキーボイスで歓迎してくれる。
いつ行っても店は混みあっているのだが、どんなに忙しくても、基本的にねーね一人で切り盛りをしているため、「山羊刺し食べる人、手あげて!」などと、威勢良く注文を取ったかと思えば、「これ、あのにいちゃんに運んで」なんてお願いをされることもある。
お客は皆楽しそうにねーねと会話し、いつしかお客同士も仲良くなってしまう。これぞ「イチャリバチョーデー」(沖縄のことわざ:「一度会ったら皆兄弟」の意)を感じる瞬間だ。注文に困ったら、そんなフレンドリーなねーねにおすすめを聞くと良い。
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この日のおすすめは「山羊刺し」と「山羊のたまちゃん」だという。「山羊刺し」(写真上)は、主に赤身で、ニンニク醤油や生姜醤油を好みで作ってシンプルにいただく。
目の前でねーねが切ったばかりの山羊刺しは歯ごたえがあって、噛んでいると山羊特有の匂いが少しだけ現れる。このクセが、泡盛と抜群の相性を誇るのだ。
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また、月に1~2度しか入らないと言われている「山羊の玉ちゃん」(睾丸:写真上)は、入荷していたら確実に頼みたい逸品だ。常連客は確実に狙っているので、ねーねの掛け声にすぐさま反応し、手を上げることをおすすめする。
食感はふぐの白子より少し歯ごたえがあり、味は赤身と異なりクセはなく、和牛のホルモンのようなうまみがある。
ねーねがつくり出す沖縄らしい空気感に、時代と共に消えゆく山羊食文化。大都市へと発展を遂げた那覇にも、リアル沖縄はまだ残っている。
【メニュー】
山羊刺し 1,500円
山羊の玉ちゃん 1,800円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです
山羊料理さかえ
- 電話番号
- 098-866-6401
- 営業時間
- 17:00~23:00
- 定休日
- 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
知る人ぞ知る”呑める鮮魚店”『節子鮮魚店』で、海の恵みに舌鼓
四方八方を海に囲まれた沖縄では、グルクンやイラブチャー、ヤコウガイにシャコガイなど、沖縄ならではの魚介類が獲れる。これらの多くは沖縄県内で消費されるため、本土で出回ることはほとんどないだろう。せっかく沖縄に足を運ぶのであれば、これらをぜひ体験してみて欲しい。
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意外にも沖縄県民は魚介類をあまり食べないため、海鮮を多く揃える居酒屋はあまり多くない。そんななか、私が魅了された店が『節子(せつこ)鮮魚店』だ。
名前の通り鮮魚店であり、扱うものの9割は魚介類である。一見普通の小売店に見えるが、実はイートインコーナーがあるのだ。
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プロの魚屋が営業するだけあって鮮度が高く、その質は折り紙つきだ。加えて、仲介業者が入らないため、値段が手頃なのも嬉しい。ドリンクは、缶のビールやチューハイをセルフで取りに行くという、なんとも味のあるシステムだ。
そんな人情味あるスタイルで毎日大賑わいなことを考えると、その時点で期待が大いに膨らむ。
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席に着いたら、まずは缶のオリオンビールで乾杯。お通しはないので、すぐに来るツマミを頼みたいところだ。沖縄らしいものとして、「なまこ酢」(写真上)に「シャコガイ」でどうだろう。なまこは沖縄を含む南西諸島に生息しており、酒のアテとして強い人気を誇る。
特に近年、「黒いダイヤ」という別称を持つほどの高級食材とされているが、同店ではなんと500円でいただける。
新鮮であるのは言うまでもないが、海鮮を知り尽くしたオーナーによる味付けによって、素材の味が最大限に引き出されている。噛めば噛むほどうまみが口の中に広がり、気がついた頃には次の酒を取りに行くことになっているだろう。
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こちらが「シャコガイ」。シャコガイは、熱帯から亜熱帯の珊瑚礁付近に生息する巨大な2枚貝で、日本では沖縄や小笠原諸島など限られた場所にしか生息しないため、希少価値も高い。
コリコリとした歯ごたえが特徴的だが、味は牡蠣のように濃厚で、磯の香りが漂った直後に甘みが広がる。
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沖縄ならではの肴で気分が良くなったら、最後は〆だ。同店で〆と言ったら、「もずくのしゃぶしゃぶ」(写真上)が定番。火を通すことでまろやかになったもずくが胃に沁み渡り、飲みすぎた罪悪感を帳消しにしてくれる。もずくの出汁と、昆布から出た汁は捨てずに、最後に飲み干すのがおすすめだ。
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沖縄の魚介以外にも、全国から時季に合わせて旬のものを取り揃えるため、幅広い食材を同時に楽しむことができるのも、魚屋ならではの強みだ。豊富な新鮮食材に〆まで楽しめる『節子鮮魚店』で、旅行の思い出に浸りながらじっくり飲むのも良いだろう。
【メニュー】
ドリンク 300円
赤なまこ酢 500円
シャコガイ 時価
もずくのしゃぶしゃぶ 900円
刺身の盛り合わせ 1,300円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです
節子鮮魚店
- 電話番号
- 098-868-3919
- 営業時間
- 12:00~21:00
- 定休日
- 木曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。