新しいガストロミーの世界に出逢える! フレンチの実力派シェフとソムリエが表現する表参道『élan』

2020年04月01日
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新しいガストロミーの世界に出逢える! フレンチの実力派シェフとソムリエが表現する表参道『élan』
Summary
1.表参道の複合施設「ジャイル」のレストランフロアに広がる、エレガントな食空間
2.伝統的なフランス料理に新鮮なビジュアルと軽やかな味わいを融合!
3.10皿と12皿の2コースのディナーを用意。ワインペアリングも存分に楽しめる

表参道の複合施設「ジャイル」内にオープンしたガストロノミー『élan』

都会の森・明治神宮への参道、けやき並木通りに面した複合施設「GYRE (ジャイル)」の4階「GYRE.FOOD」は、2020年1月10日にグランドオープンした注目のスポットだ。階下のにぎわいを離れ、植物を多く配置したのびやかな趣に包まれている。

今回紹介する『élan (エラン)』は、エスカレータを降りて右手。看板はなく、天井まである大きな木の扉をゆっくり押し開くとエントランスがあり、奥にメインダイニングが広がっている。

絨毯敷きのメインダイニングは、渋谷の夜景を望む16席のゆとりたっぷりの空間。開店時間のタイミングで予約すれば、夕暮れ時の空のグラデーション、さらにポツポツと点り始める街明かり、美しい夜景をも満喫できる。

開放的なダイニングとは雰囲気が一転、4〜6名まで利用できる個室は、洞窟のような趣だ。

若きシェフが生む、想像力羽ばたく料理

シェフは、信太竜馬(しだ・りょうま)さん(写真下)。生まれも育ちも東京都渋谷区富ヶ谷だ。

料理人としての豊富な経験は、フランス・ロアンヌの三つ星レストラン『トロワグロ』から始まった。研修後は帰国し、三つ星レストラン銀座『ロオジエ』へ。再び渡仏した際は、パリの『オテル・ド・クリヨン』に勤務。そして再び帰国して二つ星レストラン銀座『エスキス』でリオネル・ベカシェフに従事した。

あまり知られていないが、長野県の大規模農家で働いた経験もある。料理人として農業の現場も知りたいとの思いからだ。また、スーシェフとして活躍中、U-30の世界大会「サンペレグリノヤングシェフ2015」に初代日本代表として参加。このように常に、新しい技術を吸収しながら、時代の流れを受け止め模索しながら、料理人としての道をコツコツと歩んできた。

前菜より、早春の3皿を召し上がれ!

メニューを開くと、書かれているのは食材名のみ。一体どんな料理が登場するのだろう? ますます期待が膨らむ。「レンコン 雲丹 金柑 百合根 からすみ」は、白い陶器で登場だ。のぞき込むと……

淡い色にまとまった、うっとりするほど愛しい前菜だ。加賀レンコンのブランジェに、北海道産の雲丹と百合根、金柑が重なり、仕上げにユズのオイル、からすみ、アニスクレスがあしらわれている。口溶けの滑らかさ、軽やかさ、食材使いのバランスの妙に驚く。『ロオジエ』や『オテル・ド・クリヨン』で経験したクラシカルな調理法をベースに、『エスキス』でリオネルシェフのもとで学んできた哲学や繊細さが、ひと皿ひと皿に反映されているのだ。

「金柑を届けてくださる鹿児島の生産者は、加賀レンコンを送ってくださっている能登の生産者の奥さんの実家なんです」と、信太シェフ。食材を大切に選択したいという信念のもと、自身が知っている生産者、自身のことを知ってくれている生産者が手掛けるものを使いたいと考えている。

控えめに寄り添う、ワインペアリング

ソムリエは、支配人でもある高橋大樹さん。『カンテサンス』のシェフソムリエとして活躍してきた高橋さんが、今回、信太シェフとタッグを組んでいるのだ。「信太シェフの料理は、バランスの良さと繊細さが魅力です。そこに寄り添うワインをセレクトしています」(高橋さん)。

「レンコン 雲丹 金柑 百合根 からすみ」には、アルザスより、ゲヴェルツトラミネール100%の「ジェラール・シュレール」。口当たりがふわっとやわらかく、香りや酸味が控えめで、うまみが深いのが特徴だ。アルコール度数も12.5%と低めでスタートにもぴったりだ。

「優しい仕立てが特徴の料理ですので、個性が強いワインではなく、風味が優しくうまみがしっかりあるワインをそろえています」と、高橋さんは説明する。

続く料理は「白魚 しじみ 大葉」。島根県・宍道湖の白魚としじみが主役のひと皿で、旬の白魚を大葉に包んで香りづけをしてから、フリットにしている。ソースには鶏のコンソメ、かつお節と煎り酒のだしが使われているが、この和の風味は、後に登場する「鰻」を使ったメインディッシュへのクッションとなる。

さて、高橋さんが選ぶワインは何だろう。

「レモンの皮がアクセントになっている料理なので、このレモンの皮にピンポイントで同調するワインを選びました」と、高橋さん。レバノンのワイン「シャトー・ミュザール」で、シャルドネとセミヨンの祖先と言われる土着品種、オバイデとメルワーが使われている。柑橘の香り、パッションフルーツのような柑橘の香り、かすかに塩味を感じ、うまみもたっぷり。ひと口含むと、白魚としじみの風味が、さらに奥深く広がっていく。

貝と春菊、湯葉が織りなす、春の味

3つ目の前菜は、「コキアージュ 湯葉 春菊 エストラゴン」。旬のホタテやミル貝、ツブ貝、ハマグリをオイルで焼き、そのジュを煮詰めた“貝のジュース”を豆乳と合わせて、さらに春菊のエッセンスを加えてソースに。

貝とウルイの葉を炒め合わせた上に、自家製湯葉を覆いかぶせ、エストラゴンを使った緑のソースをあしらっている。春菊やウルイといった春らしい味をまとった湯葉を開くと、貝の濃厚なうまみが溢れ出す。

こちらの皿の後、「鰻 トリュフ 菜の花」、「真魚鰹 根セロリ 蕾菜 そら豆」と、メインからチーズ、デザートへと続くが、すべての皿が終わっても食後感の軽やかなこと!

自らの料理について、信太シェフはこのように語る。「スタイルとしては、意識して軽く仕上げています。食材そのもの、自然の持ち味を大切にしたいからです。また明日にでももう一度食べたくなるような、日常に寄り添う料理を目指しています」。

店名はフランス語で「飛躍」を意味する。が、「辞書的な解釈から離れて、言葉はあらゆるイメージをもたらすでしょう。『élan 』という言葉が刺激する想像力も千差万別でしょう」と、信太シェフ。

そうだ、想像力だ! メニューに並ぶ食材の名前から、どんな料理なんだろうとあれこれ想像するのが新鮮でとても楽しかったではないか。信太シェフの表現には、おいしいだけでない何かが秘められている。

さて、こちらのレストランフロア「GYRE.FOOD」全体のコンセプトを担当したのは、「HiRAO INC」の平尾香世子さんと、「restaurant eatrip」の野村友里さん。さらに現場のディレクションには新宿ゴールデン街でレモンサワー専門店を手掛けた田中開さんが参加。空間の設計はフランスを拠点に活躍中の田根剛さんだ。4階には、『élan 』のほか、オールダイニング、バー、グローサリーで構成されている。

予約時間より早めに訪ねて、館内の雰囲気をたっぷり体感してから、ディナーを味わってもいいだろう。

【メニュー】
▼料理
12皿のコース 20,000円
10皿のコース 15,000円
▼ドリンク
ワインペアリング 8,000円〜

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、サービス料10%別途。価格はすべて税別です

elan エラン

住所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE4F
電話番号
03-6803-8670
営業時間
18:00~21:00
定休日
毎週水曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/jtrkvuf40000/

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※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。