8品7杯のイタリアンコースが7,800円! 和を取り入れたコスパ最高の懐石イタリアン『Fukuju』

和の素材を用いた独創的な料理が楽しめる“懐石イタリアン”が東京・北品川にオープン。その名は『Fukuju(フクジュ)』。本格的なコースは8品で4,800円とリーズナブル。ワインとイタリア料理のペアリングも用意しており、8品7杯のイタリアンコースは7,800円とコスパ最高です。カジュアルな雰囲気でありながら本格的なイタリア料理が楽しめる『Fukuju』。時間によってはワインバーとしても利用できます。

2020年06月02日
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8品7杯のイタリアンコースが7,800円! 和を取り入れたコスパ最高の懐石イタリアン『Fukuju』
Summary
1.和の素材を用いた独創的な料理が楽しめる“懐石イタリアン”
2.本格的なコースは8品で4,800円とリーズナブル
3.使い勝手のいいワインバーとしても楽しめる
※取材・撮影は3月23日に行いました。

「日本のよさ」を伝える懐石イタリアン

2020年2月、東京・北品川に開業した『Fukuju(フクジュ)』は、夫婦で切り盛りする一風変わったイタリア料理店だ。

オーナーシェフの福壽拓也さんは、専門学校卒業後、東京都内のイタリア料理店を経て、神楽坂にあるヴェネチア料理のリストランテ『ステファノ』に6年間勤務した人物。一方、接客を担当するのは女将の涼乃さん。拓也さんと同じ専門学校を卒業後、レストランのサービスを担当したのちにワインの専門商社に勤務していたという。

「商社に勤めていたときにたくさんの飲食店とおつき合いしましたが、そのなかで感じたのは人を雇うことの大変さ。ですから、夫婦2人で営業できるお店を開くことにしたんです」(涼乃さん)

1階のエントランスから螺旋階段を下りていくと、着物姿の涼乃さんが出迎えてくれる。

カウンター8席と4人用の個室を備える店内には生け花を飾って随所に「和」の要素が散りばめられている。和洋折衷といっていいのか。イタリア料理店というより、割烹といったほうが雰囲気は近いかもしれない。

品川は東海道の第一宿場町。そうした由緒ある立地もあって、外国人も含めたお客さんに『日本のよさを発信するレストラン』というコンセプトを掲げることにしたそうだ。

料理に合わせた変幻自在のペアリング

拓也さんが作る料理も、和素材を効果的に用いている。その独創的な料理にお酒選びのプロである涼乃さんがセレクトした一杯を合わせるのが、『Fukuju』の醍醐味だ。

料理は8品4,800円のコース1本だけ。「レストランに慣れていない若いお客さまにも来ていただきたいので、高品質な食材を使いながらも価格は極力リーズナブルに抑えました。これも人件費をかけずに、夫婦2人で営業しているからできることですね」と涼乃さん。

ドリンクは、3,000円で7杯のペアリング+コーヒーなどがつくコースを用意。ペアリングは、ワインのみならず、純米酒やクラフトビール、ときには紹興酒など、ジャンルにとらわれずに柔軟な発想でチョイスする。もちろんグラスやボトルのワインにも注力しているが、お客の約半数がペアリングコースを注文する。涼乃さんへの信頼の高さがうかがえる。

それでは、女将が合わせるドリンクとともにシェフの料理を紹介していこう。

まずは、カツオのコンフィと2種のチーズ、ブリオッシュを合わせた「アンティパスト」(写真上)。素材の組合せだけを聞くと「?」となるが、実際に食べてみるとほんのり甘いブリオッシュとカツオの風味がマスカルポーネチーズを媒介にして見事に調和。ロビオラ(ヤギのチーズ)の青臭い香りと塩気がアクセントとなって、涼乃さんが合わせてくれたオーストリアの白ワイン「グリューナーフェルトリーナー」をおおいに進めさせる。

この料理をふくめ、拓也さんの料理は、複数の素材を組み合わせた重層的な仕立てがほとんど。そのなかでとくに意識しているのが、いかに最後まで飽きさせずに一皿を食べさせるか。「この前菜も4つの素材をさまざまなパターンで組み合わせて食べて、いろいろな楽しみ方をしてほしい」という狙いがある。

めずらしい「孔雀」のパスタも用意

「いろいろと遊べるから」と拓也さんがコースに組み込むことが多いのが「ラビオリ」(写真下)。

取材時はサフランが香る魚介だしのトマトスープにハマグリとリコッタチーズを詰めたラビオリを浮かべ、贅沢にも生ウニをトッピングした一品。この幾重にもうまみを重ねた料理には、フランス・プロバンスではブイヤベースに合わせるのが定番であるロゼワインをセレクト。すっきり辛口のロゼと濃厚な魚介のうまみの相性は、言わずもがなだ。

パスタの2品目は「孔雀(クジャク)のタリオリーニ」(写真上)。「孔雀?」と聞くとびっくりするかもしれないが、その肉質は弾力があり、味わいは淡泊で思いのほか食べやすい。それを6~7時間煮込んでラグーに仕立てて自家製の生パスタにからめ、レモンの香りをまとわせたさわやかな後味のパスタだ。

ワインは柑橘の香りが特色のイタリア・マルケ州の白。鉄板の組合せである。

メインの肉料理は、九州鹿の「カツレツ」(写真上)。ロース肉を大葉と生ハムで巻いて、カラッと揚げている。あっさりとした味わいの九州鹿をカツレツに仕立てることで、しっかりとした食べごたえの一品に。つけ合わせはヘーゼルナッツオイルを加えて風味を高めたマッシュポテトなど。

ワインは豊富なタンニンが油を流してくれるイメージのあるフランス・ローヌの「クローズ=エルミタージュ」を。レアに火が入った鹿肉は赤身肉ならではのムギュっとした噛みごたえ。生ハムで塩気とうまみを補いつつも、大葉の風味によってさっぱりといただける。

以上4皿だけを抜粋したが、実際には8皿に8杯がついて7,800円。なんというお値打ちのコースだろう。

ワインバーとしても楽しめる!

今回の4品にはいずれもワインを合わせたが、前述のとおり料理によってはワイン以外のアルコールをすすめることもある。たとえば、魚料理。炙ったクロムツに葉山葵や松の実を合わせた料理には、純米酒をセレクト。「料理が8品あるので、途中でワイン以外のお酒を挟むことで変化をつけています」と話す涼乃さんは、ご自身もお酒を飲むのが好きだそう。お酒の楽しみ方を熟知しているからこそ、ペアリングの引出しが豊富にあるのだろう。

さて、同店では、ワインバーとして利用可能(※お店に問いあわせください)。ピクルスやローストポーク、カルパッチョといったワインのアテを10品程度(500円~)のほか、パスタも10品程度用意。「近くにお住まいの方や、お勤めされている方、そして同業者の利用も多いですね」と涼乃さん。

ワインだけでなく、ウイスキーのハイボールやテキーラなんかもよく出るというから、リストランテの落ち着いた雰囲気から一転して「飲み屋」の空気になるのだろうか。自分に合ったスタイルで、エッジの立った料理と女将がすすめるお酒を楽しめる。酒好きの食通ならば、ぜひともストックに入れておきたい1軒だ。

【メニュー】
コース 4,800円
ペアリング 3,000円
※本記事に掲載された情報は、取材日(3月23日)時点のものです。また、価格はすべて税込みです
※詳細はお店に問い合わせてください

撮影:浅山美鈴

Fukuju(フクジュ)

住所
東京都品川区北品川1-2-6 フローラルハイツ B1-1F
電話番号
03-6433-3411
営業時間
18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日
水曜
公式サイト
https://www.facebook.com/pages/category/Restaurant/Fukuju-103294347862976/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。