ホテル内にオープンした『現代里山料理 ZEN HOUSE』
都営地下鉄東銀座駅から徒歩1分。「ミレニアム 三井ガーデンホテル 東京」の地下1階に、『現代里山料理 ZEN HOUSE(ゼンハウス)』が2020年3月1日にオープンした。
ホテル内レストランであることから、朝食、ランチ、ディナーと多様な食事シーンに対応するほか、ホテル宿泊客以外にも気軽に利用してほしいと、夕方からは立ち飲みできる「角打ち」や、土日祝日限定でアフタヌーンティーも提供している。
ホテル入口から入り、階段を降りると開放的な店内が広がる。店頭や階段には松の盆栽や苔のディスプレイを配置、日本らしさを感じられる。中央のダイニングテーブルは、漆喰塗りの特注品。周囲の白木のテーブルも、店内の雰囲気に合わせて特注で製作されたものだ。
開放的なダイニング空間のほかに、のれんで仕切った半個室も用意。会食やカップルの大切な日の利用にも最適で、いろいろな食シーンに合わせて利用できそうだ。
フレンチシェフが作る“イノベーション日本料理”
店名にある「現代里山料理」とは、日本の食文化の精神である“里山思想”を表した料理のこと。日本各地から取り寄せる旬の素材を使い、和食の枠に捉われずフレンチなどの技法を取り入れることで、素朴な食事を現代風に昇華させた、“イノベーション日本料理”という新たなジャンルを提案する。
ディナーはコースとアラカルトを用意。コース内容は月替わりで、8,000円と10,000円の2種を揃える。料理長でユニットマネージャーの中島伸仁さんは、フランス料理で35年研鑽を積んだシェフ。そのため、料理にはフレンチのエッセンスが随所に感じられる。
では、さっそく四季の食材を大切にする日本の食文化精神を感じる料理を紹介しよう。
こちらは4月のコース「夕餉」より「弐の前菜 サヨリの昆布締めとわらびのマリネ」(写真上)。愛媛産のサヨリを昆布締めにし、カルパッチョ仕立てに。上品であっさりとしたサヨリに、春を象徴する苦味を合わせた一皿だ。ひと口サイズのサヨリを小石の上に乗せ、赤しそと穂じそで彩る。東北から仕入れるワラビは、酢でマリネ。単体で食べると苦味が強いが、ギリシャの濁りオリーブオイルとワラビエキスで作る「ワラビオイル」、昆布パウダーを口のなかで合わせることで苦味が緩和。この意外な口中調味が驚きを与える。
コースの前菜は4皿あり、3皿目には「参の前菜 蛍烏賊焦がしバターソース 新牛蒡のピューレとフォアグラ」(写真上)が登場。内臓まで味わう富山県産ホタルイカと、同じ内蔵のフォアグラを合わせ、宮城・山形県産新ごぼうの土の風味を添えた一品だ。ホタルイカはバターで香ばしく焼きあげ、昆布だしで炊いて砂糖でキャラメリゼした新ごぼうを添える。フォアグラの濃厚なうまみには、新ごぼうのピューレで複雑なうまみを表現する。
「完全に洋食にならないよう、ブイヨンやフォンドボーといっただしは使わず、同じ旨味成分を持つ昆布や野菜のだしで代用するようにしています」と中島さん。見た目は洋食だが、あくまで和食の組み立てで料理を提供する。
昆布の雨が降るメインディッシュ?!
メインは「お肉料理 羅臼昆布水を纏った『特選黒毛和牛』 焼きホワイトアスパラと太白ごま油とわけぎのソース」(写真上)。九州産の黒毛和牛のロース肉の表面をバーナーで炙り、300℃のオーブンで一気に焼成。周りを焼き固めることでうまみを閉じ込め、なかをレアに仕上げてジューシーな味わいに。白野菜はホワイトアスパラガスのバター焼きと、新じゃがいものペースト、グリルしたゆり根を添える。わけぎの風味が香るオイルソースは、脂分の多い和牛と合わせることで、口の中をさっぱりさせる効果も。
見どころは、提供時にお客の前で羅臼昆布から抽出した「昆布水」を全体に吹きかけるパフォーマンス。ふわりと舞う昆布の雨が見た目にも楽しませてくれるほか、香りによる刺激で食欲を刺激する。
最後は「甘味 デコポンジュレ・シャルトリューズソルベ マスカルポーネのムース・オレンジの泡」(写真上)。炭酸ガスを注入したマスカルポーネのムース、九州産デコポンのジュレ、デコポンアイス、そしてデコポン果汁で作った泡を順番に重ねた一品。器の周囲にはデコポンパウダーを振りかけ、風味を強める。デコポンの爽やかな味わいが特徴で、なんとも締めにふさわしい。
食材を大切に扱う、日本の心を一皿に
「食材は全国の生産者さんと取引しており、契約農家さんも長野県、宮城県、神奈川県と3社おります。僕らの役割は生産者さんの伝道師。食材を大切に扱う日本人の心を大切に、一皿一皿を組み立てています」と中島さん。今回紹介したコースは春らしく山菜などを多用しているが、季節に応じて、グリーンピースやえんどう豆といった緑の素材を活かしたコースなどが登場する。
旬素材を素朴に味わうランチコース「昼餉」
ランチコース「昼餉」(写真下)でも、存分に現代里山料理を堪能できる。
木箱に入った、ひと口サイズの8品は「前菜 焼きそらまめ、独活のグレープフルーツ和え、山芋大葉胡椒、アスパラガス黄身酢、筍若芽、平川豆腐白和え、高菜きくらげごま炒め、わらび餅」。「素材の味を尊重するため、味付けは素朴に」という中島さんの想いから、グレープフルーツ果汁に漬けただけのウドや、濃厚な黄身と酸味のある酢で食べる茹でアスパラガスなど、素材を丸ごと味わう前菜が顔を並べる。
メインの料理は3品から1品選べ、取材時は「銀鮭柚庵焼き」(写真上)。魚は170gとボリュームがあり、男性でも食べごたえ十分だ。ちなみに、山形県産「はえぬき」を使ったご飯と、肉そぼろは食べ放題。国産の生ショウガと北海道産の生醤油、徳島産の和三盆を使った肉そぼろは自家製で評判が非常に高い。やさしく上品な味わいの調味料を使いながら、ショウガのピリっとした風味はご飯がすすむ。
甘味も3種類からセレクト可能で、取材時は「焙じ茶プリン」。プリン、クロカン、キャラメルソース、パウダーすべてほうじ茶を使った、ほうじ茶づくしの一品で、芳ばしい香りが満足度を高めてくれる。
アフタヌーンティーで優雅なひと時を
そしてデザートを楽しむなら、アフタヌーンティーがおすすめ(土日祝日限定)。
例えば、1日に1個しか産まない希少な卵「ネラの卵」を使ったクレームブリュレや、イチゴのわらび餅など、旬の素材を使ったデザートから、セイボリーの段にはいなりずしや自家製のお漬物などの軽食も盛り合わせる。
ドリンクは全国各地から厳選した煎茶の他、世界のホテルで愛される最高品質のドイツ紅茶「ロンネフェルト紅茶」も提供。時間を気にせず、じっくりと味わってほしい。
銀座の新しい粋なスタイルは「ホテルで角打ち」
入口正面には、漆喰塗りのカウンターが鎮座。ここは17時より角打ちが楽しめる場所だ。
カウンターにはお茶を点てる茶釜があり、まさに古き良き日本の土間のような趣が感じられる。ここでは誰かに紹介したくなるようなストーリー、味わいを持つ、希少な焼酎や日本酒を取り揃える。
ドリンクに合うアテも豊富にラインナップ。「鯖リエット」(写真上)は、刺身で使う新鮮なサバをマリネした後に焼き、身をほぐしてエシャロット、トマト、ネギ、ビネガー、濁りオリーブオイルと和えたもの。洋食スタイルだが、食べた雰囲気は〆サバを彷彿とさせ、日本酒との相性もぴったりだ。
朝食に昼食、ティータイム、角打ちとディナー……。一軒でさまざまな表情を見せる『ゼンハウス』。日本の四季を反映させた料理に、今後も注目したい。
【メニュー】
▼ディナー
・夕餉 8,000円、10,000円
▼ランチ
・昼餉 3,500円
▼アフタヌーンティー
・茶寮 3,500円
▼角打ち
・焼酎 680円〜
・日本酒 700円〜
・鯖リエット 700円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です
※詳細は店舗にご連絡ください
現代里山料理 ZEN HOUSE(ゼンハウス)
- 電話番号
- 050-5488-3014
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- モーニング 6:30~10:00
(L.O.9:30)
ランチ 11:00~15:00
(L.O.14:30)
カフェ 15:00~17:00
(L.O.16:30)
ディナー 17:00~22:00
(L.O.21:00)
<テイクアウト>
上記営業時間内で販売いたします
- 定休日
- 無
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※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。