どこの町にも必ず一軒はあるのが、気取らない庶民的な味と価格、雰囲気で地元民に愛され続けている「町中華」。だがここ1~2年で、ホテルや有名店で修業を積んだ実力派シェフが営むハイレベルな「町中華」が続々オープンし、人気を集めている。今回はその中でも特に勢いのある3店をご紹介。
いずれも小さなお店でひとり利用もしやすく、多人数での飲み会を開きづらい今の状況でも訪れやすい。知っていると自慢できる穴場的なお店ばかりなので、まずはリサーチがてら、一人で訪れてみるのもオススメだ。
【1】看板料理は「飲める肉団子」!? 食通を唸らせる町中華『胡同三㐂』(祖師ヶ谷大蔵)
人気中華料理店『JASMINE(ジャスミン)』で修業を積んだ29歳の若きオーナーシェフ・大城昌宏さんが、2019年5月、祖師ヶ谷大蔵にオープンした町中華『胡同三㐂(フートンサンキ)』。
祖父は「日本中華料理協会」の初代会長、父は有名ホテルの料理長で「現代の名工」にも選ばれるなど、高名な料理人を祖父と父に持つ大城さんだが、目指しているのは「近所の人が気軽に食べに来られる店」。
「大城さん家の焼き餃子」(写真上)を始め、大城家の家庭料理として愛され続けてきたメニューをブラッシュアップした、町中華らしく親しみやすい定番の料理が中心だ。だがその中に、大城さんならではのオリジナリティが隠されているのが、この店の凄さ。
その代表ともいえるのが、箸の重さだけでスッと切れていき、舌で押すだけでとろけていく「おじいちゃんの肉団子」(写真上)。中国出身の祖父のレシピに、大城さんが修業先で身につけた技術が融合した、ここでしか食べられない逸品だ。
親しみやすい定番料理が多い一方、大城さんのオリジナル料理「本日のおすすめ」は、食通も唸るマニアックなものばかり。両方を味わえば、その間口の広さに驚くだろう。
中国料理 hutong sanki 祖師ヶ谷大蔵店
- 電話番号
- 050-3490-8298
- 営業時間
- 火~日・祝前日・祝日 18:00~23:00(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30) 火~日・祝前日・祝日 ランチ:11:30~14:30(L.O.14:00、ドリンクL.O.14:00)
- 定休日
- 毎週月曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【2】食材40種類のサラダと痺れる刺激の麻婆豆腐で地元民を魅了!『farm studio #203』(学芸大学)
オーナーシェフの濱田利彦さんは、『銀座アスター』出身。実家が農家であり、「新鮮な野菜を都会の人にも食べてほしい」と考え2019年5月23日、『farm studio #203(ファームスタジオ 203)』をオープンした。
その想いがこめられている看板料理のひとつが、トッピングだけでも十数種類、合計40種類以上の食材が使われた「detox salada(デトックスサラダ)」(写真上)。
ドレッシングに使うオイルの香りによって「葱」「山椒」の2種類があり、「山椒」は舌に電流が流れるような強烈な刺激。悶絶しつつも、ぐんぐんと食べ進めてしまう衝撃的な味だ。
もうひとつの看板メニューは、こちらも唇の痺れが止まらないほどに山椒を効かせた「阿波牛の麻婆豆腐」(写真上)。秋から冬にかけては鱈の白子と秋鮭の白子入り、春から夏にはシマチョウ(牛の大腸)入りバージョンがあり、より複雑で繊細な食感が味わえる。
店内はカウンターのみのわずか8席で、キッチンも驚くほどコンパクト。手が届きそうな近さで次々に料理が仕上げられていくライブ感が味わえるのも、この店の大きな魅力だ。
farm studio ♯203
- 電話番号
- 050-5488-3261
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月・金~日
ランチ 12:00~14:30
(L.O.14:00、ドリンクL.O.14:00)
※予約不可
月~土
ディナー 18:00~23:00
(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:00)
※予約可
日
ディナー 18:00~22:00
(L.O.21:00、ドリンクL.O.21:00)
※予約可
- 定休日
- 不定休日あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【3】本格的な「ホテル中華」を下町価格で提供。『Chinese Restaurant 漢』(三田)
『ミシュランガイド東京』で一つ星を獲得し続けている「マンダリン オリエンタル 東京」の広東料理店『SENSE』で、看板料理の焼き物を任されていた藤井寛さんが、2019年9月にオープンした店。
ホテルクオリティの本格中華が、アラカルト300円から、コース(5品)2,500円からと、驚きのコストパフォーマンスで食べられると注目を集めている。
『SENSE』仕込みの “焼き”の技を堪能できるのが、「広東式焼物盛合せ5種」(写真上)。藤井シェフが香港で食べて感動した味をそのまま再現した「香港ワンタンメン(鮮蝦雲呑麺)」「くるみとごまのタンタンメン(胡桃担担麺)」とともに、こちらの店を訪れたらぜひ食べてほしい逸品。
ランチタイムはさらにリーズナブル!
「香港ワンタン麺」(小)と、「湯葉と干し貝柱の中華粥(3種のトッピング添え)」、「香港式えびと豚肉の焼売」のセットが、税込1,000円で食べられる。
「自分が感動した本場の味を伝えたい」という藤井シェフの熱い想いが、料理からも価格からも、ストレートに伝わってくる。
Chinese Restaurant 漢
- 電話番号
- 03-6435-4850
- 営業時間
- 月~金 11:00~14:00(L.O.14:00)、17:00~22:00(L.O.21:30)、土・日・祝 17:00~22:00(L.O.21:30) ※コロナウィルスの影響により、随時変更する可能性があります
- 定休日
- 水曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
「おいしいものを、何も考えずに夢中でお腹いっぱい食べたい…!」そんな気持ちにズバリ応えてくれるのが、中華料理。今回紹介した3店は、そんなストレートな欲望を叶えてくれつつ、中華の新しい世界を教えてくれる刺激的なお店ばかり。
しばらく我慢していた「外食したい」という欲求を放出させられるその時が来たら、ぜひ真っ先に訪れてみてほしい。
執筆協力:桑原恵美子