渋谷のど真ん中にある、まるでイタリアの街角のようなレストラン
多くの店が生まれては消えていく渋谷で、30年愛され続けてきたイタリアレストランが『ビストロ ラ クッチーナ』だ。
次々と新しいスポットが登場する刺激的な街・渋谷という場所にありながら、落ち着いた空間でワインと料理をゆったりと楽しめる、大人にオススメの一軒である。
夜遅くまで喧騒の絶えない渋谷センター街。その通りの奥にあるビル地階に店がある。エレベータで降りていくと、目の前に現れるのは、渋谷のど真ん中とは思えない、イタリア街角にあるレストランのような空間。
天井が地階とは思えないほど高く、テラコッタ色の壁、ヨーロピアンアンティークの家具や調度品などが、まるで旅行に出掛けた気分にさせてくれる。
原点は新婚旅行で訪れたイタリア、海辺のレストランの味わい
息の合ったチームワークで出迎えてくれるのが、オーナーシェフの石井 和雄さん(写真下・中央)と、サービスとワインを担当するマダムの恵子さん(同・右)夫妻、スタッフのコスル(同・左)さんだ。
元船乗りだったという石井シェフ。子供の頃から料理が好きで、船で料理の基礎を身に付けた後、洋食一筋でキャリアを重ねてきたベテランだ。一方、恵子さんは元CA。洗練されつつも、気取らないサービスが、訪れた人をリラックスさせてくれる。
「新婚旅行でイタリアを訪れたのですが、有名レストランより、海辺で漁師さんがやっているような小さなレストランで食べた、地元の魚介を使った料理がおいしくて、忘れられませんでした」と石井シェフ。
旅先で知った、気取らないシンプルに素材を生かしたイタリアンの感動を届けたい。そんな想いが店の原点となっている。
日本の新鮮な食材を楽しむイタリアン
「イタリアには色々な地方の料理があって、『ビストロ ラ クッチーナ』はどの地方の料理なの? とよく聞かれるんですよ。そのときは“日本のおいしい食材を生かしたイタリアン”とお答えしています。日本には、魚介でも野菜でも質の良い食材がたくさんあります。イタリア北部や南部など地域にこだわらず、日本の食材を生かすイタリアンにしようと思いました」(恵子さん)。
日本全国から届く新鮮な魚介類や、キノコ採りの名人から取り寄せる天然キノコなど、長年培ったネットワークから飛び切りおいしい旬の食材が『ビストロ ラ クッチーナ』には集まってくる。これらの食材を使い、奇をてらわず、日本人に親しみやすい味に仕上げたイタリアンの数々。さっそく、紹介してみよう。
どれにしようか迷うこと必至! 黒板メニューから選ぶ前菜盛り合わせ
訪れた人がほとんど注文するという「前菜の盛り合わせ」(写真下)。黒板にいつも10種類ほどズラリと並ぶ前菜から好きなものを5種類、盛り合わせてもらえるというから、うれしい限り。
取材時は、奥から右回りに、「切り立てパルマ産生ハム 手きりで」、「カポナータ(冷製野菜のトマト煮)」、「8種類の野菜のテリーヌ」、「北海道産ツブ貝のガーリックバター焼き」、そして真ん中が「ホタテとエビ、ズワイガニのムース、バラの花仕立て」。
丸ごと送られてくる生ハムは手切りで厚めにカットしているので食べごたえ充分。真ん中のムースは、シェフ自身が手の甲を使って、極薄に伸ばしたパートフィロ(洋風のパイ生地)でムースを包んだもの。パートフィロは、口にした途端に、パリッ、ホロッとくずれるほどの薄さ。中から現れるホタテとエビ、カニの甘みたっぷりのムースとの食べ心地がたまらない一品だ。
マスカルポーネの味わいがまろやかな手打ちパスタ
パスタメニューには、手打ち麺や細麺フェデリーニなど7~8種類が並ぶ。定番になりがちなパスタも、ソースや麺にひと工夫を凝らし、店の個性をきちんと表現している。
「2色の自家製フェットチーネ マスカルポーネとトマトのソース バジルの香り」(写真上)もそんなメニューのひとつ。プレーンとバジルを練り込んだ2種類のパスタに、シンプルなトマトソースとマスカルポーネチーズを合わせている。
テーブルに運ばれてきたら、すぐにマスカルポーネとトマトソースを混ぜて食べてみて。チーズというより生クリームに近いマスカルポーネが、バジルとトマトソースの味わいを調和させ、クリーミーさの中にバジルが香る、奥深い味わいのパスタとなる。格別なおいしさだ。
スプーンが止まらなくなる!絶品のブイヤベース
創業以来、ずっと作り続けてきた、いわば『ビストロ ラ クッチーナ』の顔とも言うべきメニューが、「活きオマール海老のブイヤベース」だ。魚介の種類が豊富な日本。その豊かな食材を最大限に味わいたいとたどり着いたメニューだという。
オマール海老は、必ず生きたものを使わないとスープの味が変わってしまうのだとか。そのため1日に出せる数は限られている。食べたいと思ったら、予約しよう。
毎日仕入れる魚をさばいた残りのアラからとったスープに、オマール海老やムール貝、アサリ、さらにワタリガニもプラス。海の幸のうまみをこれでもか! と、てんこ盛り。さらにトマトソースと香り高いサフランを加え、グツグツとじっくり煮て、魚介のうまみをスープに溶け込ませていく。
火が通り過ぎて固くならないように、ホタテの貝柱と魚の切り身は火を止める直前に入れる。
テーブルに現れた「活きオマール海老のブイヤベース」(写真上/2人前)は、ぎっしり魚介が詰まっており、底が見えないほど。プリッと甘いオマール海老や味噌が詰まったエビなど魚介の味わいを楽しみたいが、なんと言っても絶品なのはスープ。ひと口すすると、何層にも重なりあった魚や貝、エビのうまみが波のように押し寄せてくる。まさに至福の瞬間だ。
この絶品スープは、適量残して、リゾットにしていただくのがおすすめ。とことん魚介のおいしさを味わい尽くしたい。
個性豊かなイタリア地ブドウ品種のワインを飲み比べ
『ビストロ ラ クッチーナ』のもうひとつの名物が、イタリア産ブドウ品種のワインだ。南北に長いイタリアには、その土地に根付いた固有の地ブドウ品種が何千種類もあり、フランスワインとは違った味わいのワインが多く造られている。
『ビストロ ラ クッチーナ』では、ワイナリー出荷時から徹底した温度管理を行っているインポーターと取引し、味を損なうことなくイタリアワインをストック。
リボッラ・ジャッラ種やヴェルメンティーノ種など、他では中々お目にかかれないブドウ品種を使ったワインが、リストにラインナップされている。グラスで赤白それぞれ4~5種類用意されているため、ぜひ飲み比べを楽しんでみたい。
『ビストロ ラ クッチーナ』ならではの味わいを家庭でも
同店では、人気のイチ押しメニューを中心に、前菜やパスタ、メインがセットされたコース仕立てからアラカルトまで、バリエーション豊富にテイクアウトメニューが用意されている。
石井シェフならではのアイデアがピリッと効いた前菜や、丁寧に作られた自家製ソースとの組み合わせがうれしいパスタ類など、家庭では、なかなか作れない味わいばかり。家庭でちょっと贅沢なディナーを楽しみたいときに、お薦めのメニューがそろっている。
長年愛された味を大切にしつつ、新しさへも挑戦
メニューはアラカルトのほか、季節の前菜3皿、パスタ、メインのお手頃なコース料理も用意。渋谷を訪れる若い人たちにも楽しんでほしいと、前菜とパスタの軽いコースもある。
ベテランの石井シェフは、豊富な経験を持ちながらも、新しいことへの挑戦も忘れない。いつ訪れても安心な味わいと、新しい発見があることが常連を惹きつけてやまないのだろう。ぜひ予約して訪れて、長年愛されてきた料理の数々を堪能してほしい。
【メニュー】
前菜の盛り合わせ(2人前) 3,600円
2色の自家製フェットチーネ マスカルポーネとトマトのソース、バジルの香り 1,600円
活オマール海老のブイヤベース(2人前) 5,500円
グラスワイン 700円~
本日おすすめのコース 5,500円
あじさいMenu(前菜盛り合わせ(5種類)、本日のパスタ) 3,000円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税別です
【テイクアウトメニュー例】
甘鯛(切り身)のアサリとフレッシュトマトの白ワイン蒸しのコース(前菜3品、パスタ1品、メイン1品)(お一人様)4,800円
国産BEEF100%の自家製ミートソースの自家製フェットチーネ 1,100円
※詳細は店舗にお問い合わせください。
Bistrot La Cucina
- 電話番号
- 03-3476-3636
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 11:30~15:00
(L.O.14:00)
17:30~23:30
(L.O.22:15)
- 定休日
- 月曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。