赤いドアがひときわ映えるビストロ『TATSUMI』
東急東横線・日比谷線「中目黒」駅を降りて、地元の人が行き交う商店街をゆっくり進むことおよそ8分。鮮やかな赤いドアに本場のビストロを彷彿させるレストランが佇む。
こちらが今回紹介する『TATSUMI(タツミ)』。この様相からして、おいしい料理とワインがありそうな予感が膨らむ。
店内は縦に長く、手前にテーブル席が配置され、奥のカウンター内にオーナーシェフ・廣瀬亮さんが立つ。緑の壁に飾られる絵画は、廣瀬シェフがフランスから連れて帰ってきた作品だ。
1人~2人で訪ねるなら、廣瀬シェフに近いゆったりとしたカウンター席を選びたい。臨場感たっぷりで、前のめりになること請け合いだろう!
シェフ自慢の「シャルキュトリー」を制覇する前菜
定番メニューが書かれた黒板の隅に、「本日入荷食材」がずらりと記されている。この日は、ウニ、真ダコ、桃、鴨ハツ、水ナス、トウモロコシ、万願寺。日本の旬をたっぷり感じる食材を眺め、すべて制覇したい! という思いがわいてくる。
本日入荷のもの、定番のものを盛り合わせた前菜(写真上)は、誰もが注文する一品だ。オリーブ木でできたボードに、所狭しと自慢料理が盛り付けられている。
正面から右回りに、パテドカンパーニュ(略して「パテカン」)、名物とも言えるアバジュレ、ズッキーニとベーコンのキッシュ、アンディーブとブルーチーズムースサラダ、生ハム(下にはフレッシュ野菜)、キャロットラペ、千葉県産の真ダコ(ヨーグルトのソース)、フルーツトマト等々…。盛りだくさんすぎて、これはもうワインがどんどん進む!
「料理人の僕は、安くておいしいものを作る。お客さまには、楽しく食べてワインをたくさん飲んでいただく。ただそれだけです。前菜には、スパークリングワインやリースニングワインが合いますよ」と、廣瀬シェフがおおらかに、にこやかに言う。
涼しげな冷菜は“ノンジャンル”で登場
「涼しげな冷菜はいかがでしょう」と、「ボタンエビのセビーチェ」(写真下)を仕上げる廣瀬シェフ。セビーチェとは、ペルーでは国民食の域で、ラテンアメリカの海鮮が手に入る地域で作られる名物料理だ。
ボタンエビ、フルーツトマト、水ナス、キュウリを、ハラペーニョとオリーブオイルなどで和え、スイカとフルーツトマトのガスパッチョを重ねる。
色鮮やかでプリプリのボタンエビを尾頭付で乗せて仕上げる、目にも麗しいメニューだ。
旬野菜の甘みとみずみずしさ、ハラペーニョの辛味、スイカとフルーツトマトのとろりとしたガスパッチョが口の中で混ざり合う。さらにボタンエビのミソのほろ苦く濃厚な風味が追いかけてきて、余韻がなんとも深く新鮮で、次回も絶対に食べたいと思わせる。
注文必須! 期待を超える迫力で登場する肉料理
カウンター内から、ジューシーな焼き音と香りが漂い始める。そろそろメイン料理の登場だ。「やっぱりこれを食べてもらいたいんです」と、看板メニュー「肉の盛り合わせ」(写真上)を仕上げる廣瀬シェフ。
ラムチョップ、和牛ハラミ、仔牛のタンを、それぞれに応じた調理方法で手間暇かけて仕込み、盛り合わせた贅沢なひと皿。3人でシェアしても多いほどのボリュームだ。
和牛のハラミは信頼する国産牛肉専門卸業『吉澤畜産』のセレクト。弾力ある肉々しさをゆっくり味わいたい。丸のままをコンフィする仔牛のタンは、付け根部分と先端の違いを感じるのが醍醐味。オーストラリア産のラムチョップ、その下には自家製ソーセージが。
それぞれ、ブルーチーズのソース、ラムソース、シャルキュトリーソースをあしらう。紫ジャガイモ、ミニキャロットなどじっくりローストした季節野菜とともに豪快に楽しみたい。もちろん、赤ワインをボトルで!
ワインはブルゴーニュを中心にどうぞ!
「僕がブルゴーニュ好きなので、ラインナップ的にはつい多くなります。でも、クラシックなもの、ビオワインも揃えています」
グラスは7種類、ボトルはリーズナブルなものから特別な日に開けたいものまで幅広く揃う。相談しながら選びたい。
フランス料理の枠を超えて、新しいメニューを開発
廣瀬亮シェフ(写真上)は、栃木県出身。大学在学中から料理人を目指し、栃木、東京、そしてフランスで経験を積んだ。ブルゴーニュ、アルザス、パリと、合計2年半。フランスでの経験が今につながっていると言う。
「これからは、フランスだけではなくいろんな国の料理を取り入れて、新しいメニューを開発したいですね。ほら、さっきのセビーチェのようにね」と、廣瀬シェフ。
伝統ある食材、調理法を十分に踏まえ、気の遠くなるような手間暇をかけながら、普段の暮らしに寄り添うさりげない料理。それでいて、記憶に残る刺激を与えてくれる料理。
身近なご馳走、ここにあり!
【メニュー】
前菜盛り合わせ(2名様) 2,200円
ボタンエビのセビーチェ 1,600円
肉の盛り合わせ(3〜4人分) 5,000円
きまぐれコース(オーダーは2名様〜) 4,500円
グラスワイン(泡・白・赤) 800円〜1100円
ボトルワイン 5,000円〜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税抜です
Tatsumi
- 電話番号
- 050-5487-3305
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月・水~日・祝前日・祝日
ランチ 11:30~14:00
ディナー 18:00~22:00
不定休あり
- 定休日
- 日曜日
第3月曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。