店内のオブジェもイタリアのもので埋め尽くして、大好きな世界観を演出
自由が丘駅徒歩3分の好立地に、本場イタリアの空気を肌で感じられるレストランがある。店の名は『アンティカ トラットリア チーボ』。
オーナーの三浦琢央(みうら たくお)さんは根っからのイタリア好き。小学生のころから、親が購入してきた料理雑誌などを見ては、自宅でイタリア料理作りを楽しんでいたという。
しかし、学生時代は料理を仕事にするなどとは考えていなかった。学校を卒業すると、一度は地元・福井で就職。ところが、料理している時間がやっぱり一番楽しいと気づくや、すぐさま退職。横浜のイタリアン『イルサッジオ』、等々力『OTTO(オット)』、田園調布『PASTA RI(パスタ・アールワン)』などを経て、2005年に独立した。
当時は、自由が丘で2店舗を手掛けていたが、うち1店は独立を目指していた従業員に譲渡。現在ではその店は、『スピリト リベロ』として営業しており、三浦さんは、もう1店舗の『アンティカ トラットリア チーボ』のオーナーとして好きな世界観を追求し続けているのだ。
料理の味はもちろん、食材や内装もこだわりいっぱい。店内の随所に、イタリア雑貨店で仕入れた愛らしいフィギュアやイタリア映画のポスターなどがあしらわれている。
また、天井の高い空間を広く使い、カウンターテーブルも奥行きたっぷりに構築しているので、ゆったりとした気分で食事を楽しめるのがうれしい。
前菜だけで10種類近くオーダーしてワインを楽しむ常連客も多数
料理は、グランドメニューの他に、その日入った食材を活かした料理を豊富に展開。とくに人気なのが、新鮮な魚介を使った前菜だ。
ワイン好きの常連客の中には、前菜だけで10種類近くオーダーする人もいるため、三浦さん自身、「今日はこんな料理がありますよ」と話すのが楽しい様子。たとえば魚介の産地について尋ねても、小田原や三重県・尾鷲市、豊洲から旬の魚がとりどりに入ってくるといい、旬についても意気揚々と答えてくれる。
その中から取材日にピックアップしてくれたのは、「小田原からのヒラゴイワシのタルタル キャビアのせ」と「北海道ウニのブルスケッタ」の2品(写真上)。
四川キュウリ、千葉県産の枝豆「湯あがり娘」、軽く酢〆したヒラゴイワシにたっぷりのキャビアをのせたタルタルは、食べやすいワンスプーン料理として登場。スダチがきいた爽やかなタルタルにキャビアの塩気がちょうどよく、のっけからワインがほしくなる。
炭で焼いた熱々のフランスパンに、北海道産のウニをこんもりとトッピングしたブルスケッタは、柑橘をしぼっているため、ウニの甘みが際立ってまろやかな味わい。パンはカリカリに焼き上げているので、食感の違いも楽しい。
サックリ食感のフリットは、飽きの来ないシンプルな味付けがたまらない!
新鮮な魚介を堪能したいなら、前菜の次は魚料理をどうぞ。
こちらは、「天草産アナゴのそば粉フリット」(写真上)。身がふっくらした大ぶりのアナゴにそば粉を使った粉をまとわせてフリットした一品で、さっくりとした食感が魅力だ。
味付けは、ガラムマサラを加えた「マルドン」の塩、とがった味が特徴の塩「フルール・ド・セル」、イタリアの胡椒「マリチャ」のみ。
前菜からすべての料理に共通して言えることだが、三浦さんの料理はどれも、手が込んだソースなどはほとんど使わず、素材の味を引き出すシンプルな調理法で仕立てられている。それゆえ、舌に、身体に、すっとなじんで余韻まで楽しめるだけでなく、「またあの味を食べたい」と思わせられるのだ。
ジューシーな肉のうまみを最大限引き出した炭火焼き
肉料理のイチオシは、「平牧三元豚の炭火焼き」(写真上)。“平牧”とは山形県にある『平田牧場』のことで、3つの品種の豚を掛け合わせた「三元交配豚」で最高の肉質を実現したことで知られている。
一般的な三元豚の飼育日数が約150~180日のところ、平牧三元豚は約200~250日かけて育てられているだけでなく、ストレスフリーな環境でのびのびと暮らしているため、やわらかな肉質で脂もとてもジューシーだ。
この平牧三元豚に低温のオーブンで火入れした後、炭火で仕上げたのがこちらの料理。下味はマルドンの塩のみだが、肉自体のうまみ、甘みが最大限引き出されているのでこれだけで十分うまい。
付け合わせのバナナピーマンをカットして肉とともにいただくと、ジューシーな脂身がいい塩梅で、さっぱりした口当たりなのもまた魅力的だ。
野菜の青くささがやみつきになるリゾットは、炭火焼した太刀魚と相性抜群
〆のリゾットにも、炭火を活用。
「千葉県産バナナピーマンとロケットピーマン、枝豆のリゾットと太刀魚の炭火焼き」(写真上)に使用する太刀魚を、香ばしく焼き上げている。
バナナピーマンとロケットピーマンはすりおろして、さらに輪切りにしたピーマン、枝豆と一緒に炒めたリゾットは、青い香りがとても心地よい。バターやチーズは一切使わず、味付けはアンチョビで。野菜や米のあまみが際立つ塩分控えめな仕上がりゆえ、塩気の強い太刀魚と絶妙なバランスだ。
グラスワインは赤白ともに常時5種類。ボトルは幅広いタイプをオンリスト
〆にいたるまで一貫して、素材そのものの味を堪能できる料理ばかり。じっくりと噛みしめたくなる料理ぞろいだから、言うまでもなくワインも進む。
グラスワインは、赤白ともに常時5種類程度用意しているほか、「一人ひとりの好みに合うものを選んであげたい」と、クラシックなものからナチュールまで幅広くそろえている。
「大好きなイタリア料理を、少しでも多くの人に楽しんでもらいたい」という三浦さんの想いで溢れた同電は、ワイン一杯から気軽に利用もOKだし、貸切でみんなとワイワイ過ごすのにも最適。シーンに合わせていろんなカタチで活用するうち、もっとイタリア料理が好きになることは間違いないだろう。
【メニュー】
・前菜2種 2,400円~
*記事中の2種は「小田原からのヒラゴイワシのタルタル キャビアのせ」「北海道産ウニのブルスケッタ」
・平牧三元豚の炭火焼き 2,980円
・千葉県産バナナピーマンとロケットピーマン、枝豆のリゾットと太刀魚の炭火焼き 2,000円
・天草産アナゴのそば粉フリット 2,000円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税別です。
撮影:佐々木雅久
アンティカ トラットリア チーボ
- 電話番号
- 050-5487-5832
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 火~日・祝日
ランチ 11:30~14:30
(L.O.13:00)
火~土
ディナー 18:00~23:00
(L.O.21:30)
日・祝日
ディナー 18:00~22:00
(L.O.21:00)
- 定休日
- 月曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。