中野富士見町『小薇点心(シャウウェイ点心)』の中国家庭料理フルコースが圧巻! 肉まんが美味すぎた

中野富士見町の中国料理店『小薇点心(シャウウェイテンシン)』。同店を営むのは、中国の新疆ウイグル自治区出身の女性シェフ、小薇さん。マニアックな中国料理サロンが話題となり、世界最大規模の中国料理コンテストでも華々しい功績を残した彼女が『小薇点心』で提供するのは「本物の中国家庭料理」。予約必須のディナー&ランチコースのレベルの高さ、テイクアウトできる「爆汁ポークまん」のおいしさが早くも話題沸騰中!

2020年11月24日
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中野富士見町『小薇点心(シャウウェイ点心)』の中国家庭料理フルコースが圧巻! 肉まんが美味すぎた
Summary
1.中国・新疆ウイグル自治区出身の凄腕シェフが、中国家庭料理店『小薇点心』をオープン
2.ディナー&週末ランチでは、マニアックな中国家庭料理がおまかせコースで味わえる
3.焼きたて&冷凍どちらもテイクアウト可能な本格点心「爆汁ポークまん」も大人気!

マニアックな会員制中国料理店の女性シェフが開いた、小さな「点心」のお店

新型コロナウイルスによる自粛期間中、自らの店の料理の在り方を見つめ直し、新たな道を選択したシェフは多い。中国出身の料理家・小薇(シャウ・ウェイ)さんもその一人。

小薇さんは、会員制の中国料理サロンで、ごく限られたメンバーにマニアックな高級中国料理を提供していた女性シェフ。そんな彼女が2020年6月20日、本格中国点心&お惣菜の専門店『小薇点心(シャウウェイテンシン)』をオープンした。

『小薇(シャウウェイ)点心』があるのは、東京メトロ・丸ノ内線の中野富士見町駅から徒歩1分。改札を出て左前方に、かわいらしい水色の看板が見える。

この看板の絵とロゴを描いたのは小薇さんのお嬢さん。小薇さんが伝えたい“家庭料理の温かさ”を象徴しているような看板だ。

店内は、入口近くがテイクアウト用の窓口と調理スペース、奥も約半分が広いオープンキッチン。

フロアには4人掛けのテーブルと6人掛けのテーブルが各1卓あり、ランチ・ディナーともに完全予約制のおまかせコースを提供している(ランチは土日のみ)。

世界大会での入賞経験もある実力派シェフ、実は中国の元アナウンサー

オーナーシェフの小薇さんは、ウイグル(中国の新疆ウイグル自治区)出身。幼少期を祖父母のいる上海で過ごし、その後、両親の住むウイグルで育った。上海ではハイクオリティな屋台料理の味を、ウイグルでは母親の作るシンプルで力強い家庭料理を身につけて育つ。

上海東方放送で人気アナウンサーとして活躍していた小薇さんは、日本人男性と恋に落ち、結婚のために来日。ゼロから日本語を習得した後、中国語の語学教室をしていた時に生徒にふるまった家庭料理の腕が評判となり、料理教室を開くことに。

その後、中国に渡って本格的な料理修業を重ね、新宿御苑前に自身の店『Rose Shanghai Tokyo』(ローズシャンハイトーキョー・現在は閉店)をオープン。その後、マニアックな中国料理を提供する会員制の料理サロンを主宰すると、多くの日本人シェフが教えを請いに訪れるように。

2019年に中国・大連で開かれた世界最大規模の中国料理コンテスト「魯花(ルーファー)カップ」では、小薇さんがチームリーダー兼総合プロデューサーとして率いた日本代表チームが見事、団体戦総合で銀賞、主菜部門魚料理で金賞を獲得。順風満帆だった時に襲ったのがコロナウイルスだった。

小薇さんは「外食ができない今、本当に必要とされているのはマニアックな高級料理ではなく、自宅でも手軽に味わえる、本物の中国家庭料理ではないか」と考え、料理サロンの閉鎖を決意。自粛期間中にもともと得意だった点心の技をさらに磨き、中華まんシリーズ「小薇香包(シャウウェイ シャンパオ)」を開発し、自宅から歩いて通える場所に『小薇(シャウウェイ)点心』をオープンした。

▲「小薇香包」シリーズで一番人気の「爆汁ポークまん」

小薇さんの故郷の家庭料理を中心にした、おまかせディナーコース

ランチコースは週末のみ提供、ディナーは6,600円と11,000円、2つのおまかせコースがある(いずれも完全予約制)。

今回は上海とウイグルの家庭でよく作られている小薇さんの十八番(おはこ)料理を中心にした6,600円のディナーコースを紹介する。

最初に登場したのは、目にも鮮やかな前菜盛り合わせ(写真上)。

左から時計まわりに「上海蟹の蟹味噌と人参の炒め物」「ズワイガニのゼリー寄せ」「よだれ鶏」「クラゲの赤酢 レモングラス風味」「春菊の白和え」「窯焼き叉焼」「あん肝の紹興酒漬け」「酔っぱらい上海蟹」の8品。

「家庭料理中心のコースといっても前菜はやっぱり、華があったほうが盛り上がるでしょう?」(小薇さん)と、高級食材をふんだんに使い、華やかでインパクトのある味わいの小皿料理をとりそろえている。

中央には、蒸してから紹興酒のたれに3日間漬け込んだ「上海ガニ」(写真上)。紹興酒の芳醇な香りで、上海ガニの香りがさらに長く後をひく逸品!

圧巻だったのが「あん肝の紹興酒漬け」(写真上・右)。喉の奥に広がる紹興酒の香りが素晴らしく、飲み込まずにずっと味わっていたいと思うほど。

上海の家庭料理は、不思議なほどに癒される滋味深い味わい

蓋をあけた瞬間に、芳醇な香りが広がりうっとりしたのが、「獅子頭と白菜、松茸のスープ」(写真上)。

小ぶりの肉団子「獅子頭(シーズートウ)」は、上海料理の定番。箸の重みでほろりとくずれ、湯気とともに肉汁が溢れ出す。白菜のやさしい甘さをとことん抽出しただし汁のホッとする味わいは、華々しい前菜への興奮をやさしくなだめてくれる。

魚料理は、「サワラの蒸し料理 高菜と枝豆、マコモダケのソース」(写真上)。

サワラを高菜で包んでしっとり蒸しあげた後、葱と生姜を乗せ、最後に熱したピーナッツ油をかける。付け合わせとともに盛り付けた後、うまみたっぷりの蒸し汁を上からかけまわす。

「サワラは火が通りやすいので、ごく短時間で一気に蒸しあげるのが大事なんです」(小薇さん)という微妙な火入れで仕上げられたサワラは、完全に火が通っているのに、生のように強い弾力を残している。

付け合わせの「マコモタケ、高菜、枝豆の炒めもの」は、クセのある3つの食感、味わいが絶妙なハーモニーを奏でていて、淡白なサワラとメリハリのきいた取り合わせだ。

肉料理はウイグルの名物料理「風味烤羊排(ラムのスペアリブのスパイシー焼き)」(写真上)。

「骨付きのラム肉というと薔薇色のレアな焼き上がりをイメージすると思いますが、ウイグルはイスラム圏ですので、レアの肉は食べません」(小薇さん)

香味野菜とスバイスで一晩漬け、やわらかく煮込んでからオーブンで香ばしく焼いた骨付きラムは「中まで火が通っているのになぜ?」と不思議に思うほどのやわらかさ! たっぷりとかけられたクミンと唐辛子が、ラム肉のうまみを最高に引き出している。

小薇さんの本領発揮! 点心は研究を重ねた「爆汁ポークまん」の焼きバージョン

6,600円のコースでは、好みの点心を2品選べる。

はずせないのは、小薇さんが研究を重ねて完成させた『小薇点心』の看板ともいえる「爆汁ポークまん」(写真上)。今回はコースの一品として小ぶりに作ったものを、香ばしく焼いてくれた。

イメージしたのは、小薇さんが子ども時代に上海の屋台で食べた、皮に茶色くにじみ出るほど汁気たっぷりの肉まん。小薇さんは研究を重ねてそれをさらに進化させ、餡のスープが染み出さない、特殊な皮を考案した。この皮の作り方は門外不出で、仕込みは必ず休日に行っているそうだ。

小ぶりに作っている中華まんなのに、餡の量は写真のとおりたっぷり! それを秘密の皮で、一つひとつ丁寧に包んでいく。

フライパンでこんがりと焼き上げ、仕上げに白胡麻と青ネギを振る。ツヤツヤの皮ははちきれそうに膨らみ、底にはこんがりとおいしそうな焼き目がついている。

熱々を手に持って食べると、たちまち肉汁があふれだす。日本の肉まんは皮をふわふわにするため薄力粉を使っているが、小薇さんの肉まんは小麦特有の歯ごたえの強さを味わえるよう、強力粉の割合を多くしているのが特徴。じっくり焼くことで皮の内側に肉汁がしみこみ、皮のうまみがさらに増していく。

底の部分の焦げ目の香ばしさ、肉料理のようにボリュームのある餡、餡から湧き出る熱々のスープ…。食べ慣れた肉まんとは、まったくの別物だ!

この日のもうひとつの点心は、「上海風ワンタン」(写真上)。中の餡は青菜と豚肉。さっぱりとした中に奥深い滋味があり、満腹のお腹にもするりと入っていく。

締めは、「雪菜と塩漬け肉の炊き込みごはん」(写真上)。シンプルな見た目ながら、豚の塩漬け肉の凝縮されたうまみがご飯に絡まり、シャキシャキの雪菜(ゆきな)がアクセントになって、箸が止まらないおいしさ。

高級食材は使っていないが、毎日でも食べたい味わい深い料理ばかり。家庭料理だけあって本来の作り方はシンプルだが、そこに小薇さんのハイレベルなテクニックが加わり、この店でしか食べられないスペシャルな家庭料理になっている。

なお、11,000円のコースは前菜が同じで、品数が増え、小薇さんの得意とする点心を“全種類食べられる”というから驚き! 「満腹だといいながら、全種類食べてしまう人も多いんですよ」と小薇さんは微笑む。

料理に合わせた紹興酒や自然派ワインも豊富に用意

紹興酒は8年以上のものを揃えていて、最も多いのは10年から20年ほど熟成させたもの。

「紹興酒は好みが分かれるので、私の好きな、まろやかで飲みやすいものを多くそろえています」(小薇さん)

また小薇さんの料理によく合う自然派ワインも、コストパフォーマンスのいいものを数多くそろえている。

小薇さんの魂がこもった「爆汁ポークまん」は、1個350円でテイクアウト可能!

人気の「小薇香包(シャウウェイ シャンパオ)」シリーズはテイクアウト可能。調理したての熱々を店先で頬張るもよし、冷凍した状態で持ち帰って家庭で楽しむもよし。冷凍は保冷剤無料で、温め方のメモが付けられているので安心。

一番人気はやはり「爆汁ポークまん」。これだけの技術が込められていて1個350円は安すぎるように思うが、この「爆汁ポークまん」を始めとした点心シリーズには、小薇さんのもうひとつの願いが込められている。

「昔ながらの本物の点心は、手がかかる割に高い値段をつけられないので、中国でも作る料理人が激減しているんです。この技術を絶やさないためにも、日本人に本物の点心の味を知ってもらいたい。だから今は、利益のことは考えてはいけないと思っています。コロナで食べる楽しみが制限されている今だからこそ、一人でも多くの人に食べてほしいから、この価格にしているんです」(小薇さん)

中国の両親も、小薇さんのこの願いに賛同し、応援してくれている。

「コロナがおさまったら、両親に日本に来てもらって、この店で私の『爆汁ポークまん』を食べてもらいたい。きっと『おいしいものができたね』と褒めてくれると信じています」(小薇さん)

【メニュー】
▼ランチ(土日のみ)
・ランチコース(前菜3種盛り合わせほか8品) 3,180円

▼ディナー
・ディナーコース 6,600円~

▼ドリンク
・紹興酒 100ml 880円~/500ml 3,500円~
・ワイン グラス 880円~/ボトル 4800円~

▼テイクアウト
・爆汁ポークまん(2個入り)700円 ※テイクアウトは2個から

▼生冷凍
・爆汁ポークまん (4個入り)1400円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込みです


撮影:佐々木雅久

小薇点心(シャウウェイテンシン)

住所
〒166-0012 杉並区和田1-17-2
電話番号
03-6273-0399
営業時間
テイクアウト 11:30~18:00まで(売切次第終了)、ランチ 11:30~14:00(土日のみ)、ディナー 17:30~21:30(ディナーは当日14:00までに要予約)
定休日
月曜日、水曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/n2vnjhfg0000/
公式サイト
https://www.instagram.com/xiaowei1970/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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