世界から日本まで! シェフが目利きした厳選食材を王道フレンチのレシピで味わう
フレンチレストランといえば、素材を生かし、ソースも控えめにしたイノベーティブなフレンチが主軸になってずいぶん経つ。しかし、いまフレンチ好きを中心にあらためて注目が集まっているのが“骨太フレンチ”というカテゴリだ。
“骨太フレンチ”とは、一皿がしっかり食べごたえがあり、味もしっかりと、ワインと合うようなフランス料理を意味することが多い。例えるなら、クラシカルだけど気取りすぎず、ビストロのような感覚でお腹いっぱい楽しめるフレンチレストラン、とでも言えるだろうか。
そんな気軽な店としてよく名前が挙がるレストランが南青山にある『レストラン タニ』だ。
こちらを切り盛りするのはシェフの谷利通さん(写真下)。
広尾で30年近く愛される『レストラン アラジン』のスーシェフを務め、数回の渡仏の際は、レストランはもとより、なんとパン屋やシャルキュトリー屋などで修業したという、超実力派のシェフだ。
そんな谷さんが作り出すフレンチとは、フランス産の食材はもとより、日本各地からシェフが信頼を寄せる生産者から選りすぐった食材を使ったフランス料理。
フランスの伝統的なレシピをベースに、日本独自の旬という持ち味を生かして作り上げた料理はどこか懐かしいようで、ここ『レストラン タニ』でしか味わえないものばかり。
今回はフレンチ初心者にもうれしい、『レストラン タニ』のランチメニューを中心に料理をご紹介いただこう。
ランチは一皿一皿食べごたえ十分! フォアグラとウサギのテリーヌの濃厚なうまみにいきなりワインが止まらない
「ディナーは皿数も多いので、食べた具合がちょうどいい一皿を提供しますが、ランチは一皿で食べごたえがある、例えるならビストロ料理のようなしっかり感のあるものを意識して提供しています」と谷さん。その言葉通り、前菜の「フォアグラとウサギのテリーヌ」(写真下)から、いきなりのごちそう感!
ソテーした濃厚なフォアグラにあえてしっかりと火を入れて煮詰め、だしを引き出したウサギ肉を合わせたテリーヌは、生クリームとホースラディッシュをベースにしたソースとの組み合わせも良く、ワインにぴったり。
ほどよい濃さの前菜に思わず食欲がそそられ、ワインも進む! 次への期待が高まる食べごたえのあるスターターだ。
季節を問わず人気の「オニオングラタンスープ」は熱々をテーブルへ!
次の料理は「オニオングラタンスープ」(写真下)。こちらは一番人気のメニューで、シェフのスペシャリテ。
フウフウしながら熱々を味わうと、じんわりと身体のすみずみにまで玉ネギの甘さが広がる感覚。たっぷりのせられたチーズの“グラタン”感も最高だ。
驚くほど深いコクと甘みがある味の秘密は、自家製のコンソメで再度コンソメを作る、「ダブルコンソメ」で煮込んでいるから。しかも、玉ネギは10時間ほどの時間をかけてゆっくり炒め、仕上げには薄くスライスしたパンにチーズ、そしてカンボジア産の手摘み完熟の黒こしょうを。
こちらの黒こしょう、まるでチョコレートを思わせるような甘く上品な香りで、スープの味を壊さず、口にするとふんわりと香りが立つ。普通のこしょうより20倍以上の仕入れ値だというが、仕上げにはこれが欠かせないという、谷さんこだわりの品だ。
また、のせられたパンは天然酵母で作った自家製。独立する際に自分の料理に合うパンを作るためパン屋で修業したキャリアを持つ『レストラン タニ』の影の主役だ。谷さんいわく、「食事に合うレシピで作っている」というパンはイースト臭も皆無で、どんな料理にも寄り添うような優しい味わい。
ここまで手間ひまかけたオニオングラタンスープはなかなか巡り会えないのではないだろうか? 絶対食べたいという方は予約時にリクエストするか、時期によってはアラカルトで追加も可能だそう。
フレンチの冬料理といえば「カスレ」! 豪快で繊細な味の秘密は食材ごとの火入れ
メイン料理は「カスレ」(写真下)を。
豚肉や鴨肉などさまざまな種類の肉やソーセージ、塩漬けの豚肉などを、白いんげん豆といった野菜類と煮込む、フランス郷土料理の「カスレ」。こちらでは食材ごとにそれぞれ火入れをし、最後に白いんげん豆を合わせ、全体に味を含ませるという作り方をしている。
通常の作り方より倍以上の手間がかかるという方法だが、この方が食材の持っている味わいが引き出せると谷さんは言う。
今回は皮付きの豚バラ肉に牛ホルモン、トリッパを使い、鶏ガラや野菜、白ワインなどを加えたスープで煮込み、軽くパン粉を振ってオーブンで数分さっと表面を焼き上げたら完成だ。
わざわざオーブンで仕上げる理由は、さらに熱を入れることで表面にゼラチン質の脂が浮き上がり、うまみが増すからだそう。
スプーンにたっぷりのせてほおばると、ホクホクした白いんげん豆にさまざまなうまみを持った肉のうまさが食べごたえ満点! しかし、その後味は驚くほどすっきりとしている。
理由はランチで提供しているカスレはディナーよりやや塩を優しくしているから。そのほうが飽きずに一皿食べきれるという、シェフの優しい心遣いだ。
一皿一皿に合わせたソムリエによるペアリングも! ワインはフランス各地のものをスタンバイ
甘みやスッキリ感、樽のきいた味わいから食材の産地をそろえることまで、さまざまな提案が楽しいワインとのペアリングも『レストラン タニ』の魅力。
扱っているワインの99%がフランス産で、値段や産地もさまざまなものがそろっているこちらは、お店の奥に広いワイン庫がある。
フロアからは小窓で覗けるのでお店に行った際はチェックするのも楽しそうだ。
「キッズデー」は子連れフレンチデビューにも! クリスマスは残席わずか
さまざまなジャンルの料理の中でも、ハードルが高いと思われがちなフレンチレストランだが、『レストラン タニ』では土・日・祝にキッズプレートを提供する”キッズデー”を提案するなど、うれしいサービスも。
ちなみにキッズプレートもすべてシェフ特製! 子どももおいしく食べられるフランス料理をベースにした品々が一皿にのるそうだ。
デイリーなランチからしっかり食べたいディナーまで、フレンチを楽しみたいときにおすすめの『レストラン タニ』。
クリスマスはテイクアウト(予約制)や残席もわずかながらあるそうなので、ぜひチェックを。
【メニュー】
▼コース
ランチ 4,200円/5,700円/7,500円
ディナー 8,500円/13,000円/18,000円
▼ドリンク
ペアリングコース 6,000円
グラスワイン 1,300円~
※そのほか、デザートワイン、ビール、ソフトドリンクなどあり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税・サ別です
レストラン・タニ
- 電話番号
- 050-5487-1344
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 火~土・祝前日・祝日
ランチ 12:00~15:30
(L.O.13:30)
月~土・祝前日・祝日
ディナー 18:00~22:30
(L.O.19:30)
- 定休日
- 月曜日
そのほか1日不定休日あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。