原宿の新グルメスポットに『シンシアブルー』がオープン
2020年9月、JR原宿駅から徒歩3分の場所にオープンした「JINGUMAE COMICHI(ジングウマエ コミチ)」。
東京初出店や有名店の新業態といった、話題の18店舗がひしめく、食に特化した商業施設だ。
2階にあるのがこちらの『Sincere BLUE(シンシアブルー)』。
北参道にあるフランス料理店『Sincere(シンシア)』のオーナーシェフである石井真介さんが手掛けるこちらのお店はビュッフェスタイルで楽しめるのが特徴。ミシュラン一つ星のクオリティをカジュアル&リーズナブルに味わうことができる。
ミシュラン一つ星フレンチ『シンシア』の世界観を生かした、開放感ある店内
店内はガラス張りで明るく、とても開放感! シックな『シンシア』とはまた趣が違うナチュラルな空間はカフェのように入りやすい。席も十分な広さを取っており、ソーシャルディスタンスに対応している。
とはいえ世界観は共通しており、店内装飾のフラワーアレンジは同じ作家が手掛けるなど、カジュアルなレストランとはいえ上品な雰囲気に変わりはない。
ちなみに、フラワーアレンジは魚の形をしており、そばには小さな魚たちが見え隠れしているなど、遊びゴコロも満載。ぜひ探してみて。
日本一周をした経験が、“サステナブル・シーフード”に興味を持つきっかけに
料理長の吉原誠人(よしはらまさと)さん。19歳でフランスに渡り料理修業に励み、帰国後は都内のラグジュアリーホテルで調理を担当。
しかし、日本にいながら“日本の郷土料理”に詳しくないことに気づき、見聞を広めるため日本一周の旅に出る。
2カ月半をかけ、海沿いをバイクと車で走った。港町にしばらく滞在して釣りをしたり、地元ならではの食材を見て回った。
そんな日々を過ごすうち、ある共通点に気づく。「昔に比べて魚が獲れなくなった」と話す漁師さんが日本各地にいたことだ。
もしかして海に異変が起きているかもしれない……。料理人として何かできないか。そこから、サステナブル・シーフードに注目するようになり、今に至る。
サステナブル・シーフードとは、環境や生態系を保護し、魚を減らさないよう再生産のペースを守りながら漁獲・養殖された水産物のこと。
ヨーロッパをはじめ、海外では広く知られているが、日本はサステナブル・シーフードを扱う店はわずか数店舗という現状。『シンシアブルー』は食に対する最先端の考えを知ることができるレストランでもあるのだ。
“テーブルビュッフェ”スタイルで、好きなものを好きなだけ
ディナーは、各テーブルに料理が運ばれてくる “テーブルビュッフェ” 方式を採用。1品ずつ運ばれてくるので安全安心はもちろん、できたてをいただけるのがうれしい。10種類ほどの料理が出てくるが、ビュッフェなのでおかわり自由だ。
こちらは「和歌山ビンチョウマグロと根セロリ」(写真上)。
ビンチョウマグロのなかでも希少な「もちビンチョウ」を使用しており、その名のとおりもっちりとした食感が特徴だ。もちっとした味わいとうまみは、さながら海の生ハムといったところ。
マドラスというスパイス(オイル)でカレー風味に仕上がっており、食欲がそそられる。
未利用魚って何? ふだん食べられない魚も味わえる
『シンシアブルー』では未利用魚(みりようぎょ)を使っているのも特徴だ。こちらは「未利用魚のカルパッチョ」(写真上)。
未利用魚とは漁獲量が少ない、サイズが不揃いなどの理由で一般的に流通していない魚のこと。これまで破棄されることも多かった、“もったいない”魚だ。
しかし、逆に言えば、一般的にはなかなか食べられない、珍しくておいしい魚に出逢えるチャンス。だからこそ積極的に漁港の仲買さんから直接、未利用魚を仕入れているのだ。
朝、水揚げされた魚が即送られてくるので鮮度は抜群。この日はオキアジ。あまり馴染みはないが、食通からは上品な白身で非常においしいことで知られている。
春菊のソースは香り高くてまろやかで、炙った白身のうまみを引き立てている。
「海のエコラベル」と言われるMSC認証って?
続いては「帆立と岩海苔のクロケット」(写真上)。使用しているホタテは北海道産でMSC認証のもの。
MSC認証とは、海の持続可能性に配慮して獲られた天然の水産物につけられる証なのだそう。
さて、難しいことはさておいて、驚くのはホタテの甘みとぷりぷりの食感。
表面だけさっと焼いた半生状態のホタテを団子にして揚げており、中からはなめらかな岩海苔のベシャメルソースが出てくる。これがまた、ホタテと最高に相性がいい。
ふりかけ状のものは岩海苔と、とろろこんぶを混ぜたもの。うまみがたっぷりで、これだけでお酒がどんどん進んでしまう魅惑の味だ。
真骨頂メニュー、あのたい焼きがここでもいただける
メイン料理は「ASC真鯛のたい焼き」(写真上)。『シンシア』の人気メニューがいただけるのは嬉しいかぎり。
クラシックなフランス料理として知られる「スズキのパイ包み焼き」をアレンジしたたい焼きは、ワッフルメーカーを使って一人前ずつ焼き上げていく手のこんだ逸品。
焼きあがったところで、まわりの皮をカットして形を整えていく。そして見た目にもかわいい、たい焼きができあがる。
白いソースは、ふわっふわに泡立てたミルクに貝のダシを加えたもので、たい焼きの中身はシンプルに塩コショウだけで味付けした真鯛が入っている。
真鯛は身がふっくらしてやわらか。パイ生地のサクサク感も楽しく、ソースは見た目以上に貝のうまみが濃縮されていて驚きが満載。
なお、ASC認証とは環境に大きな負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖業で生産された水産物が取得できる認証のことなんだとか。
ソムリエが厳選したワインでちょっと贅沢に
ワインは『シンシア』のソムリエがセレクトした自慢のラインナップで、フランスを中心に南アフリカなど飲みやすいものを揃えている。
なお追加3,000円でアルコール&ノンアルコールフリー、2,500円でアルコール1杯とノンアルコールフリー、1,900円でノンアルコールフリードリンクが楽しめるのも魅力。
そして、もうひとつの魅力は居心地の良さ。20代ばかりの若いスタッフたちがチームとなって働く姿は、エネルギッシュで見ていてとても気持ちがいい。
また、未利用魚やサステナブル・シーフードといった、今後スタンダードになりうる可能性がある新しい食のスタイルに果敢に挑戦していく姿にも期待と好感を抱く。
自然のものだからこそ、その日にしか出逢えない魚がある。海の未来を守ることにつながる新しい取り組みに触れつつ、他ではなかなか味わえないここだけの珍しい魚と新しい味をぜひ堪能してみて。
【メニュー】
ランチ 1,000円〜
ディナー
・テーブルビュッフェ 4,900円
*小学生以下 2,000円(小学生以下は土日のみ入店可)
ドリンク
+3,000円でアルコール&ノンアルコールフリー
+2,500円でアルコール1杯とノンアルコールフリー
+1,900円でノンアルコールフリードリンク
※コロナ対策として、席の幅を広く取り、ソーシャルディスタンスに対応。ビュッフェではマイトングを用意
※営業時間については店舗にご確認ください
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。価格は税別。サービス料は10%いただきます
Sincere BLUE
- 電話番号
- 03-6434-0703
- 営業時間
- ディナータイム 17:00~20:00(ご予約可能時間) /土日祝ランチタイム 11:00~11:30(ご予約可能時間) ※平日ランチタイムは、アラカルト料理のみ 12:00~14:00 L.O 13:30(ご予約不可)
- 定休日
- 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。