“攻め”のフランス料理で、ブランチ&テイクアウトを楽しみたい!
緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店の営業時間の短縮要請で、ディナータイムにレストランに行くお客が激減している。そんななか、ランチメニューやテイクアウトメニューを見直して進化させ、新たなファンを獲得する飲食店も登場している。三軒茶屋『Bistro Rigolé(ビストロリゴレ)』もそのひとつだ。
『ビストロ リゴレ』があるのは、東急田園都市線・東急世田谷線「三軒茶屋」駅から徒歩7分ほどの場所。世田谷区有数の面積を誇る丸山公園に隣接した静かな通り沿いで、海をイメージさせる青いドアが目印だ。
フレンチという敷居の高さを感じさせないカジュアルで居心地のいい店内。カウンター席・テーブル席含めて本来は16席ほどだが、現在はコロナ対応のため、席数を減らしている。入口にはコロナ飛沫感染対策としてビニールカーテンが設置されている。
故郷の隠岐の島の食材を大胆にアレンジしたフレンチで、ビブグルマンに!
オーナーシェフの亀谷剛さん(写真上)は、島根県隠岐郡海士町(おきぐんあまちょう)出身。両親が営む食堂の隠岐の島の食材を使った料理の影響で料理に興味を持ち、フレンチの料理人を志すようになる。四谷三丁目にあった『スクレ・サレ』(現在は新宿御苑へ移転)を経て、単身渡仏。3年間で合計6軒のレストランで経験を積んだ後に帰国し、『ラビチュード』(神楽坂)、『スクレ・サレ 』でシェフを、『ルカンケ』(白金台)でスーシェフを務め、2014年、『ビストロ リゴレ』を開店した。故郷の隠岐の島の食材を使った、フレンチの枠にとらわれない革新的な料理が注目され、遠くからもお客が殺到する人気店に。『ミシュランガイド東京』では 2018年、2019年2年連続でビブグルマンに選出されている。
亀谷シェフの創作料理の一例、「アナゴのフリット」(写真上)。南フランスの郷土料理「ピサラディエール」をアレンジした料理で、イカスミパウダー入りの生地をまとわせて隠岐の島産のアナゴを揚げ、味噌と梅干しを合わせたソースとイチヂクを添えている。
「夜営業ができない今だからこそ、空いた時間で新メニューの開発を」
亀谷シェフが2021年1月中旬からスタートさせたのが、朝8時から夕方6時まで食べられる「ブランチタイム」営業。以前から、若い人が往来する三軒茶屋という土地柄に合わせて、カジュアルダウンしたフレンチ、日常的に食べられるフレンチを提供したいと考えていたが、これまでは夜営業の仕込みに追われてなかなか実現できなかった。
「コロナの影響を、暗く考えてばかりいてもしょうがない。ある意味、夜営業できない今こそが、新しいことにチャレンジできる絶好のチャンスだと、前向きに考えました」と語る。
ブランチメニューは日によって変わるが、取材当日はデザートを含めて20種類ほど。「フランス産鴨肉の田舎風パテ」(800円)、「タラとキタアカリのオムレツ」(800円)などは昼飲みの肴にもぴったり。また、「鴨の胸肉のロースト青胡椒ソース」(※12:00~14:30/2,800円)などの本格メニュー、「隠岐産サザエのスパイシーカレー」(1,400円)といった手軽な料理も。提供時間も長いので、ブランチだけでなく、昼飲みや早めの夕食など、いろいろな使い方ができそうだ。その中から選んだのは、以下の4皿。
カジュアルなのに、“仕掛け”がいっぱい! すべての料理に驚きがつまっている
「白和えのイメージでサラダを作りたいと思った」という、「イチゴ、ビーツの豆乳ヨーグルトサラダ ベジタブルクランチ」(写真上)。下には豆乳から作った自家製ヨーグルトとピーナッツペーストから作ったソースが敷いてあり、全体を混ぜて味わう(同・右)。豆乳ヨーグルトを作る時にできるホエー(乳清)を使ったビーツの葉の漬物が、まろやかな豆乳ヨーグルトソースに、絶妙な塩味とうまみを加えている。イチゴの甘みとみずみずしさ、ゴボウ、ジャガイモなどのベジタブルクランチとカシューナッツのカリカリ感と香ばしさ、ザクロのプチプチ感がひとつになり、混ぜ方によっても味わいが変わる。まるで万華鏡のような、不思議なおいしさのあるサラダだ。
「ブルグル」というトルコの国民食ともいわれる挽き割り小麦と豆や野菜を入れた、「具たくさん野菜とブルグルのクラムチャウダー」(写真上)。「ブルグルを入れたのは、食欲のない時でも食べやすいお粥のような料理をイメージしたから」(亀谷シェフ)。黒キャベツやタマネギ、セロリなどの野菜と新鮮なアサリでうまみを、生クリームでコクを加え、豆乳ヨーグルトのホエーでさっぱりした味わいに仕上げている。
このスープと相性ぴったりなのが、「自家製パン」(写真上)。「それだけ食べてもおいしくて、料理の味の邪魔をしないパンが欲しくて」(亀谷シェフ)、店内で生地から手作りしている。ライ麦パン特有の香ばしい甘みがあるが、酸味はほとんどなく、とても食べやすい。オリーブオイルに浸すと、オイルの味が驚くほどよくわかる。食べきれなかった分は亀谷シェフがアルムホイルに包んで持たせてくれるが、家でトーストしてバターを塗って食べると、香りと甘みがさらに際立つ。
ボリュームのある料理が食べたい時は、「ブリスケッロールドック アメリカンBBQ!!」(写真上)がおすすめ。迫力のビッグサイズの肉は、炭で燻して香りをつけながら7時間かけて低温加熱した牛の肩バラ肉。ウスターソースから手作りした自家製バーベキューソースで仕上げ、オランデーズソースにハーブとビネガー、プレスしたトマトなどを加えた複雑な味わいのソース、こんもりとトッピングされた赤玉ねぎのピクルスとともに、自家製フラットブレッドで巻いて食べる。
肉は、外側は香ばしい燻し香が付き、中はジューシーでしっとり。肉のうまみ、特製ソースのやわらかで複雑な酸味、赤玉ねぎのピクルスのパンチのきいた酸味とほのかな甘みがひとつになり、サンドイッチとは思えない重層的な味わいだ。
これにぴったりなのが、爽やかな辛みの「自家製ジンジャーエール」(写真上)。
デザートの「みかんのティラミスとカカオのマカロン」(写真上)も、意表を突くビジュアル。底に敷かれているのは、隠岐の島から取り寄せたミカンのゼリー寄せ。マスカルポーネチーズにキャラメルカフェのソースを加えてティラミス風に仕上げたジェラートを乗せ、砕いたチョコレート味のマカロンを散らしている。砕くことでマカロンが食べやすくなり、ゼリーやジェラートとも一体感が感じられる。
すべての料理のビジュアルに美しいインパクトがあるが、単なるインパクト狙いではなく、味の精密な計算がある。それは亀谷シェフ本来の料理から、少しもブレていない。そのエッセンスが、この価格、身近なメニューで堪能できるとは…!
テイクアウトして、自宅で楽しむこともできる!
ブランチメニューのいくつかは、テイクアウトも可能。専門サイト「楽天テイクアウト」から前日予約すれば、本格的なフレンチメニューもテイクアウトできる。
テイクアウト可能なロールサンドメニューのひとつ、「ハーブひまわりチキンのサラダサンド」(写真上)。すぐ隣がベンチの多い広い公園なので、できたての熱々を外で食べるのも気持ちがよさそうだ。
「自分が作りたい料理でなく、お客さんが求める料理を」
「少し前から、自分が追い求めていたイノベーティブ・フレンチは、地元の人が求めている料理とは少し違うかもしれない、と思い始め、『自分が作りたい料理より、お客さまが求めている料理を作りたい』と思うようになっています」と語る亀谷シェフ。ブランチメニューは、仕込みさえしておけば簡単に出せるものが多いので、いずれはスタッフに任せて、自分はディナーメニューに専念するのが理想の形だという。
始めたばかりなので、この夢のようなブランチメニューはまだほとんど知られていない。こんなにユニークで奥深く、楽しくておいしいブランチを食べられるのは、東京広しといえども、『リゴレ』しかないだろう。噂が広まり、お客が殺到する前にぜひ訪れてほしい。
【メニュー】
<ブランチ>
自家製パン 200円
イチゴ、ビーツの豆乳ヨーグルトサラダ ベジタブルクランチ 800円
具だくさん野菜とブルグルのクラムチャウダー 700円
ブリスケッロールドック アメリカンBBQ‼ 800円
みかんのティラミスとカカオのマカロン 650
<ドリンク>
自家製ジンジャーエール 750円
<テイクアウト>
ハーブひまわりチキンのサラダサンド 700円
※その他のテイクアウトメニューは、「楽天テイクアウト」にて受付可(毎週水〜日曜12:00~23:00)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税抜です。
※店舗情報については社会情勢によって変更する可能性があります。店舗にご確認ください。
ビストロ リゴレ
- 電話番号
- 050-5487-0956
- 営業時間
- 水~日
9:00~24:00
(L.O.22:30、ドリンクL.O.23:00)
- 定休日
- 月曜日・火曜日
不定休あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。