※営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
“せんべろ”だけじゃない! 味へのこだわりと人の温かさもあふれる街「赤羽」
今回は、庶民的な居酒屋がひしめく”吞んべえ天国”、JR赤羽駅東口をクローズアップ。昨今は時短営業対策として昼飲みを始める店が増えているが、赤羽では終戦直後から夜勤明けの工場労働者やタクシー運転手などのために、午前中から開けている居酒屋が多かったという。
そんなやさしさ、温かさも赤羽の魅力。また安さだけでなく味へのこだわりも強く、隠れた逸品も多い。そんな赤羽の居酒屋の魅力を堪能できる居酒屋を一挙にお届けしよう。
目次
1.『鯉とうなぎのまるます家 総本店』
2.『海里(みさと)』
3.『まるよし』
4.『ニュー大衆酒場 火一刀(ひーと)』
5.『赤羽大衆肉ビストロLit』
6.『大衆居酒屋のんべえ 赤羽本店』
7.『大衆肉酒場 赤羽ふじ屋』
【1】赤羽独自の美学を、店もお客も大事に守り続けている『鯉とうなぎのまるます家 総本店』
赤羽の居酒屋の魅力は、赤羽でもっとも古い老舗『鯉とうなぎのまるます家 総本店』(以下『まるます家』)を抜きには語れない。
『まるます家』が創業したのは、戦争中に焼け野原になった赤羽駅東口エリアの再開発が進んでいた1950年(昭和25年)。赤羽駅前のメインストリートとしてにぎわう一番街に店を構え、まだ物資不足が続いていた当時としては珍しく、本物の焼酎を出す店として人気を集めた。やがて近隣に工場が増え始めると、夜勤明けの労働者の空腹と疲れを癒すために朝から営業するようになり、さらに人気が高まる。
朝11時のオープン前からお店の前にできる行列は、一番街の名物風景。オープンと同時に、常連客で店内はほぼ満席になる。コロナ対策も万全で、並んでいる間にてきぱきと検温し、入口でアルコール消毒を済ませてからでないと席にはつかせない。カウンター席にはアクリル板が設置されているが、邪魔に感じないのはそもそもほとんどのお客が一人で訪れて、注文以外はあまり声を発しないからだろう。
メニューは多彩だが、注文の声が圧倒的に多いのは、看板である鯉料理とうなぎ料理。鯉は群馬県の養殖場から新鮮なものを取り寄せていて、刺身でも食べられるのが特徴だ。
透明感のある薄紅色の身が美しい「鯉生刺し」(写真上)。一般的な白身魚の刺身にはない野生的な弾力があり、薬味の生姜をつけると甘みが、ニンニクをつけるとうまみが引き立つ。鯉のおいしさに開眼し、「鯉あらい」、「鯉こく(みそ汁)」など他の鯉メニューも食べてみたくなる。
鯉、うなぎと並ぶ創業時からの人気メニューが、「牛すじ煮込み」(写真上)。一般的な居酒屋では小鉢に盛られることが多いが、『まるます家』では小丼ほどの器にたっぷり入って出てくる。
具が大ぶりで汁もたっぷりなので、見た目はまるでポトフ。汁の味付けは味噌だが、風味付け程度のやさしい味わいで、肴というより家庭料理のよう。この煮込みといっしょに、お新香と白飯を注文している男性もいる。夜勤明けの朝食代わりなのかもしれない。
もうひとつ気になるのが、オープンと同時に入った常連らしき人たちが口々に注文していた「なまず唐揚げ」(写真上)。こちらは、白身魚の淡白さと鶏肉の力強いかみごたえがあり、魚と肉のいいとこ取りのような味わい。食べやすく、おいしく、ボリュームたっぷりでチューハイやビールによく合う。人気が高いのも納得だ。
開店直後から「ぬる燗1本!」「ビール大瓶」などのアルコールの注文が飛び交うが、最近始めたモヒート風にアレンジしたチューハイ「モヒート酎ハイ」の人気も高まっているという。若女将の松島和子さんが家飲みをしていた時にひらめいた飲み方で、年配の男性客も多く頼んでいる。
まるます家オリジナル「モヒート酎ハイ」(写真上)。瓶入りのハイリキのプレーン味に、ライムとミントの「モヒートセット」が付いてきて、自分で注いで混ぜるスタイル。甘みの少ないすっきりしたハイリキのプレーン味にほどよい爽快感が加わり、料理の後口がさっぱりする。男性に人気なのも納得。
そしてこの店のもうひとつの楽しみが、持ち帰りの「うなぎ弁当」(写真上/2,500円と3,000円の2種類があり、上の写真は3,000円)。ひっきりなしに買い求める人が訪れるので、店内には常にうなぎの蒲焼きのたまらない香りが満ちている。
うなぎは脂がよく乗っていてふっくらやわらかい。うなぎを焼く香りが満ちている店内で熱々をかきこむうまさは格別だが、持ち帰ってしっかり味が染みこんだご飯のおいしさも捨てがたい。
お酒も料理もおいしく、雰囲気も最高で、1日中この店でだらだら飲んでいたくなるが、それはご法度。「お酒は1人3杯まで、ジャン酎(1リットル入りのハイリキ)は1本まで」「滞在時間は90分まで」の貼り紙があり、入口には「酔っ払っての来店は固くお断りします」の札も…。
女性一人でも安心してお酒を楽しめる健康的な雰囲気があるのは、満席でも大声で話す酔客が一人もいないからだろう。
店を出る時、年配の女性スタッフが母親のようにごく自然に「気をつけて帰ってね」と声をかけてくれ、ふとこの店が自分の家の続きであるかのような錯覚をおぼえる。それこそが、赤羽の居酒屋の真髄なのかもしれない。
【メニュー】
鯉生刺し 600円
鯉あらい 400円
鯉こく(みそ汁) 400円
牛すじ煮込み 450円
なまず唐揚げ 600円
うなぎ弁当 2,500円/3,000円
モヒート酎ハイ 瓶入りのハイリキのプレーン味 400円/ライムとミントの「モヒートセット」 100円
■平均予算
昼 2,000円前後
夜 2,000円前後
鯉とうなぎのまるます家 総本店
- 電話番号
- 03-3901-1405
- 営業時間
- 11:00〜19:00
- 定休日
- 月曜日 ※月に1回連休あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【2】地元愛あふれるアイデア料理で、赤羽を盛り上げる『海里(みさと)』
一番街の喧騒を抜けたエリアにある居酒屋『海里(みさと)』は、赤羽で生まれ育ち、現在は一番街商店街の理事も務めている若林勇さんの店。オープンして今年で27年目になる。代表作「東京都北区赤羽」で有名な漫画家の清野とおるさんのイラストが目をひく。
店内に入ると手前にテーブル席、奥にお座敷席。木のぬくもりが感じられる落ち着いた雰囲気で、家庭的な親しみやすさもあるくつろげる空間だ。
若林さんは六本木のステーキハウスで14年間働いた後、海外に渡りフレンチやイタリアンの腕も磨いた実力派。フレンチのシェフなど多くの選択肢があったが、「地元・赤羽で飲食店をやりたい」という夢をかなえて出店。だが、ちょうどその頃から、赤羽で古くから愛されていた店がどんどん閉店していくのを目にする。
「今にぎわっているのは、一番街のごく一部のエリアだけ。昔のような、街全体のにぎわいを取り戻したいんです」(若林さん)。そのために赤羽になにかひとつ名物料理を作りたいと、さまざまなアイデア料理を考案している。そのひとつ「とん豚まぶし」は、まだ名古屋名物「ひつまぶし」が今のように一般的になる前に、3回味が変化する食べ方に興味を持ったことから生まれたオリジナル料理。うなぎに負けないおいしさを目指し、試行錯誤し完成させたという。
こちらがその「とん豚ひつまぶし」(写真上)。豚肩ロース肉を特製ダレで5時間煮込んでから冷まし、香ばしく炙ってご飯に乗せている。
おすすめは最初に四等分し、一膳目はトッピングの海苔の香りを楽しみながら、二膳目はネギとわさびを添えて混ぜご飯のようにして、三膳目は薬味を混ぜてだしをかけてお茶漬けとして楽しむ食べ方。
「最後の四膳目は、三膳の中で一番気に入った食べ方で楽しんでください」(若林さん)。箸で持つと、くずれそうなほどやわらかく煮込まれた豚肉はしっかりとたれの味が染みこみ、確かにうなぎに負けないおいしさ。豚肉をおつまみにして飲んだ後に、味が染みこんだご飯にだしをかけてシメるなど、いろいろな楽しみ方ができそうだ。
「とん豚まぶし」と並ぶ人気メニューが「赤羽餃子(R)」(写真上)。皮は、水の代わりにトマトの水分で練った自家製。餡は自家挽きした鶏もも肉とキャベツで作っている。赤い皮と羽根のある鶏で「赤羽」というわけだが、面白さだけでなく、味も抜群。もちもちの皮にはトマトのうまみが感じられ、餡もジューシー。ニンニクを使用していないので、女性に受けそうだ。みそだれは自家製で、赤羽餃子との相性はバツグン!
そのほか「ビーフシチューの天ぷら」、「しらすバーガー」、大皿を避けて料理を個々に出す「新しい生活様式コース」(9品)など、ここでしか食べられないアイデア料理が多いが、一番人気は“日戻り漁”(漁を終了した後すぐに港に戻る漁)の新鮮な刺身だという。
人気ナンバーワンの「刺身盛り合わせ」(写真上)。日戻り漁で網にかかっても市場に出回らない魚を安く手に入れられるので、ほかでは食べられない稀少な魚がリーズナブルな価格で味わえる。
若林さんは陶芸家としての顔も持ち、店で使用している味わいのある器はほとんどが若林さんの作品。店内にも多数展示され、購入も可能だ。
日戻り漁の魚のウロコを揚げた「ウロコせんべい」(上の写真手前)はポテトチップのようにクリスピーな食感で、うまみが強い。何も言わずに出すと、「これは何?」と盛り上がるという。
ドリンクのおすすめは、横須賀発のご当地カクテル「横須賀ブラジャー」をヒントにした「飲むブラジャー」(写真上右)。ブランデーとジンジャーエール、炭酸をステアしたカクテルで、自家製ジンジャーエールを使用しているのが本家との違い。
ちなみにAカップはシングル(30ml)、Cカップはダブル、Fカップはトリプルとブランデーの量が増えていく。「ノーブラ」はブランデー抜き…と、注文をする時にちょっと照れそうだが、こちらも盛り上がること間違いなしだ。
「じっくり家族のようにつきあえる赤羽の居酒屋の本当のよさを、多くの人に知ってもらいたいですね」(若林さん)。
【メニュー】
とん豚ひつまぶし 昼1,210円、夜1,408円
赤羽餃子(R) 5個572円
ビーフシチューの天ぷら 550円
しらすバーガー 440円
刺身盛り合わせ(記事内の写真) 1,782円
新しい生活様式コース 9品3,300円
飲むブラジャー 682円
ノーブラ 561円
■平均予算
昼:2,000円
夜:4,000円~5,000円
海里
- 電話番号
- 03-5249-1558
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 火~金
ランチ 11:30~14:00
(L.O.13:30、ドリンクL.O.14:00)
火~土
ディナー 18:00~23:00
(L.O.22:30、ドリンクL.O.22:30)
新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
- 定休日
- 月曜日・日曜日
祝日
GW(2023年5月3日~2023年5月5日)
※5月3日は休まず営業いたします(営業時間:11:30~14:00、18:00~22:00)
※5月4日は休まず営業いたします
※5月5日は休まず営業いたします
年末年始
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【3】モツ焼きの誇りと、キャベツ炒めのやさしさに胸を打たれる 『まるよし』
まだ新しい店内は、中央のコの字型のカウンターのほかにテーブル席が4卓。カウンター手前のガラスケースには、串に刺された新鮮でピカピカのモツが整列している。
目移りしそうなほどメニューがあるが、やはり看板に大きく書かれている名物料理「もつ焼き」「きゃべ玉」「煮込み」から行くべきだろう。
「きゃべ玉(小)」(写真上)。大場さんによると、モツ焼きを食べていると野菜が欲しくなるので、以前はニラ玉を出していたが、ニラをキャベツに変えたところ人気が出て、看板商品になったとのこと。酒が進む濃い味という居酒屋料理のイメージを覆す、やさしくて上品な味。家庭のキャベツ炒めと一線を画しているのはしゃっきりとした炒め加減と、卵、キャベツの甘みを引き立てる絶妙な塩加減。『まるよし』を訪れるお客のほとんどが頼むという人気メニューだ。
だが本当の一番のおすすめは、開業間もない頃から提供している「モツ焼き」。「その日に仕入れたモツしか使わない」(大場さん)という言葉どおり、ネタケースの中のモツはどれも鮮度のよさを感じさせる光沢と透明感がある。とくにレバーは切り口がキリッと角が立っていて、惚れ惚れとする美しさだ。
「今は禁止になっていますが、約60年間ずっとレバ刺しを出してきたんです。本当なら生でも食べられるレバーを焼いて出しているんだから、まずいわけがない」(大場さん)。おすすめの3本を、タレにして焼いてもらった。
「モツ焼き(奥からレバー、とり皮、かしら)」(写真上)。焼いた姿も美しいレバーは、臭みが全くない澄んだ味で、かむと肝特有のうまみがあふれる。とり皮はほどよい弾力とやわらかさが拮抗していて、脂の甘みも最高。かしらは、歯切れがよく強いうまみがある。それらすべてを、やや甘めのタレがやさしく包んでいる。1本1本から、この店の歴史と誇りが伝わってくる。これが1本、たった90円とは…!
「煮込み(小)」(写真上)はモツ煮込みにしては薄味で、モツのうまみが溶け込んだ汁はどこまでもまろやか。最後の一滴まで飲み干したくなる。モツの臭みをごまかすために濃いめの味にしている店も多いが、これだけモツが新鮮なら、そんな必要はないのだろう。さまざまな部位のモツが食感を残しながらやわらかく煮込まれているので、抜群に食べやすい。
モツ焼きにぜひ合わせたいのが、下町の酒場で人気の「バイスサワー」(写真上)。「バイス」とは「梅酢」のこと。梅としその割り材と焼酎を炭酸で割ったお酒で、赤紫蘇ジュースのような爽やかな甘酸っぱさがあり、モツ焼きの脂との相性は最高だ。
老舗らしい年季を感じさせる男性スタッフが多いが、気取らない気持ちいいサービスなので、赤羽初心者でも気後れせず「赤羽飲み」の醍醐味を堪能できるだろう。
【メニュー】
きゃべ玉(小) 230円
モツ焼き(レバー、とり皮、かしら) 各90円
煮込み(小) 230円
バイスサワー 380円
■平均予算
昼:1,000円~2,000円
夜:1,000円~2,000円
まるよし
- 電話番号
- 03-3901-8859
- 営業時間
- 月~金14:00~22:30、土14:00~22:30
- 定休日
- 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【4】駅からゼロ分!和洋混交メニューが100種類以上!! 『ニュー大衆酒場 火一刀(ひーと)』
今回紹介する店はいずれも駅近だが、中でも最も近いのがこちらの店『ニュー大衆酒場 火一刀(ひーと)』。赤羽駅の高架下にあり、北口から徒歩30秒ほど。
白暖簾にくっきりと染め抜かれた「大衆酒場」の文字と、「昼呑み」の文字が呑んべえの心をたまらなくくすぐる。ただ見た目は純和風の大衆酒場なのに、メニュー名を見ると、ピザやパスタなどの洋風メニューや、フレンチのような料理名も多い。
中に入ると、トラディショナルな居酒屋のシンボルともいえるコの字カウンターがふたつ。奥には掘りごたつ式のお座敷もある。
メニュー数は、フードのグランドメニューだけでも70種類以上。壁に貼られたおすすめメニューを加えると100種類を超える。グランドメニューは居酒屋定番のメニュー「焼鳥」、「肉豆腐」などもひととおり揃っているが、同じく定番の「もつ煮」はよく読むと「イタリア下町風」とある。「めしもの」は丼もの2種もあるが、それより多いのがピザ4種。「もちもち生パスタ」(2種)やアヒージョ3種、フライやグラタンなどの洋食メニューもあり、まさにジャンルの無法地帯状態…。
店長の君家雅也さんによると、もともとは高級感のある居酒屋で、5年前に現在の庶民的なスタイルにリニューアルしたとのこと。「赤羽はシンプルなメニューで単価が低い店が多いので、他の店にはないユニークなメニューを増やし、価格を抑えました。メニュー数は多いですが、もとが本格居酒屋なので、料理のクオリティには自信があります」(君家店長)。
とくに目をひくのが、200円台以下のおつまみメニュー。その中でもとくに人気の高い3品「枝豆ペペロンチーノ」、「わさび風味のクリーミーマッシュポテト」、「メキシカンミートタコス」を君家店長にチョイスしていただいた。
ニンニクオイルとアンチョビオイル、唐辛子に漬け込んだ「枝豆ペペロンチーノ」(写真上)。本格的なペペロンチーノの風味がしっかりと染みこんでいて、ぐいぐいお酒が進む味だ。
イメージとは違うのが、「わさび風味のクリーミーマッシュポテト」(写真上)。辛い物好きな人のために強烈にわさにをきかせたジャンキーな味かと思いきや、わさびはほどよく香るのみで辛みはほとんどない。ポテトの甘みを堪能できる繊細で上品な一品で、ワインにも日本酒にも合いそう。
「メキシカンミートタコス」(写真上)は、タコス生地に葉野菜、ミートソース、チーズソースを乗せ、エスニックパウダーで仕上げたスパイシーな一品。お酒も進みそうだが、ボリュームもあるので軽食にもなる。
今の時季のおすすめは、「まぐろお刺身」(写真上)。高級居酒屋で出てきてもおかしくないクオリティだ。
オリジナルの「火一刀サワー」は、大阪出身の君家店長の考案。大阪名物の紅生姜の天ぷらをアレンジしたサワーで、ひとつかみほどの紅生姜と梅干しが入っている。紅生姜の辛みと梅干しの酸味とうまみが融合したさっぱりした味わい。グラスに残ったたっぷりの紅生姜も、おつまみになりそう。33円で追い紅生姜、55円で梅干し1個追加が可能なので、自分オリジナルのバランスを追求するのも楽しそうだ。
おつまみ3種と「火入刀サワー」を頼んでも957円。ユニークに見える料理もアイデア倒れではなく、値段を感じさせない本格的な味。ピザやパスタだけを食べに来る常連も多いそうで、そこにも料理のクオリティの高さを感じる。
【メニュー】
焼鳥 1人前539円
肉豆腐 539円
もつ煮 429円
枝豆ペペロンチーノ 110円
わさび風味のクリーミーマッシュポテト 209円
メキシカンミートタコス 209円
まぐろお刺身 319円
火一刀サワー 429円
■平均予算
昼:2,300円
夜:2,000円台前半
ニュー大衆酒場 火一刀
- 電話番号
- 050-5484-5784
- 営業時間
- 11:00~23:00(昼呑み大歓迎!)
- 定休日
- 不定休日あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【5】赤羽の新風!愉快でうまくてコスパよしの肉バル『赤羽大衆肉ビストロLit』
せんべろ酒場もいいけれど、今日はちょっといいお肉でワインをがぶ飲みしたい。そんな気分の時にぴったりハマるのが、赤羽駅東口から徒歩3分のところにある『赤羽大衆肉ビストロLit』だ。
オープンは2018年。メイン通りの一番街から少し離れた落ち着いた通りにあり、お隣も人気のイタリアンレストラン。この一角だけ、赤羽のイメージと違う雰囲気が漂っている。
楽しい黒板アートが食欲をそそる、バル風の居心地のいい空間。若くて陽気なスタッフはお料理やお酒の知識が豊富で、打てば響くように質問に答えてくれる。それもそのはず、店長の高野翔さん以下、全員があの『塚田農場』出身。おいしいものが好き、接客が好きな仲間が集まって作った、赤羽のニューウェイブ居酒屋なのだ。
初めてお店を訪れる人にぜひおすすめしたいのが、「ワイン飲み比べSET」(写真上/1,100円)。「ワインのテイステイングセット」(660円)」をオーダーした人だけが頼める「肉バルのおつまみセット(4種)」とのセットで、お店の人気メニューばかり。
左から、「ポテトサラダ」、希少部位トモサンカクを使った「牛もも肉のローストビーフ」、「豚ロースの生ハム」、お通しとしても出している「自家製だし醤油漬けクリームチーズ」。この値段が信じられない量とクオリティだ。
お店の人気ナンバーワンメニューは、「牛肉のステーキ2種盛り合わせ」(写真上)。低温調理でじっくりうまみを引き出した牛ハラミ肉と牛タンの、ボリュームたっぷりの盛り合わせだ。
かむほどにうまみが湧き出る牛ハラミ肉は、さっぱりした醤油ベースのソースがよく合う。牛タンは、この厚みなのにさっくりかみ切れる驚きのやわらかさ。結晶塩のまろやかな塩味がうまみを引き出している。最初はそのボリュームに驚いても、あっという間に食べてしまう。
「黒毛和牛の炙りユッケ」(写真上)は、脂の多いA5ランクではなくA4ランクの牛肉を使うことで、生のような食感に仕上げている。とろけるようなやわらかさが衝撃的で、まさに“かまずに飲めるユッケ”。奪い合い必至なので、1人1皿の注文がおすすめ。
「旬野菜のグリル バーニャカウダ」(写真上)は、バーニャカウダ・ソースのほかに「サクサク醤油」(フリーズドライの醤油にフライドガーリック、オニオン、煎りごまをミックスした調味料)、塩とさまざまな味変が楽しめる一皿。グリルした野菜がメインなので、野菜の甘みが引き出されている。
ドリンクのおすすめは、1人分のタンブラーで提供される「モヒート」(写真上・左)と、同店のオリジナル「赤羽サワー」(同・右)。モヒートは、スタンダードな「モヒート」、トマト酢を使った「赤羽モヒート」、「パインモヒート」、「ピーチモヒート」の4種類。上の写真はパインモヒートで、トロピカルな甘みにミントの刺激が加わった、フルーティで飲みやすいモヒートだ。右の「赤羽サワー」は、料理用のトマト酢を使用したサワー。酸味、甘み、うまみのどれもがしっかりしていて、肉料理に抜群によく合う。
「赤羽の中では価格帯は高めですが、食べていただければ『安い!』と思っていただける自信があります」(高野店長)。ちなみにお店で使用しているお肉は、赤羽の地元民や飲食店に熱愛されている精肉店『ヤマチク』から仕入れている。赤羽愛、お肉愛、仲間愛に満ちた本当に気持ちのいい店で、お客のほとんどがリピーターというのも納得だ。
【メニュー】
黒毛和牛の炙りユッケ 1,408円
牛肉のステーキ2種盛り合わせ 1,782円
ワイン飲み比べSET 1,100円
ワインのテイステイングセット 660円
旬野菜のグリル バーニャカウダ 1,078円
モヒート 704円
赤羽サワー 528円
■平均予算
昼:2000円
夜:4000円
赤羽大衆肉ビストロLit
- 電話番号
- 050-5487-6187
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月~金
ディナー 17:00~23:30
ランチ 11:30~15:00
(L.O.14:30)
土・日・祝
ランチ・ディナー 11:30~23:30
- 定休日
- 不定休日あり
毎週火曜日ランチ休み17時〜オープン
2024 10/22(火)店舗休み
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【6】コスパ最高級! 食べ放題に加え、馬肉など肉メニューも充実『大衆居酒屋のんべえ 赤羽本店』
赤羽で、予算を気にせずリーズナブルにおいしいお酒や料理を楽しみたい時におすすめなのが、2020年11月にオープンした『大衆居酒屋のんべえ 赤羽本店』(以下『のんべえ』)。
JR赤羽駅から徒歩3分、一番街の路地を入った庶民的な店が並ぶ一角の飲食ビル2階にある。1階は『串カツ田中』なのでわかりやすい。
店中にカラフルな提灯が下げられ、お祭りのようなにぎやかさとアットホームな雰囲気がある店内。フロア中央の大テーブル席、奥のソファ―席、左側の半個室席と3つのエリアに分かれていて、シーンや人数に合わせて使い分けできる。
「値段を気にせず、思いっきり食べたり飲んだりできる食べ放題メニュー・飲み放題が充実しているのがうちの店の一番の自慢です!」と店長。
「食べ放題」(3,300円)のメニュー数はなんと22品。おつまみ、サラダ、揚げ物、焼き物、お食事、デザートまで食べ放題で、串焼きや串揚げの盛り合わせが人気だ。
さらに超お得な「単品飲み放題」もあり、とくに「昼飲み放題」コースでは最大5時間飲み放題(単品)で1,400円と激安。2フード注文が必要だが、フードも329円の激安メニューが豊富なのでご安心を。単品注文だと生ビール550円、サワー439円なので、2杯以上飲むなら「飲み放題」にしたほうが絶対にお得。1人でも利用できる。
またコスパだけでなく、赤羽には珍しい馬刺しのメニューが豊富なのも、『のんべえ』の魅力のひとつ。
自慢の「馬刺し5点盛り」(写真上)は上から時計まわりにロース、赤身、こうみ(首の皮下脂肪)、霜降り、中央は赤身のユッケ。どれも鮮度抜群で、とくに”馬肉のトロ”とも呼ばれ、脂の甘みはあるのにしつこくなくあっさり食べられる「霜降り」、口に入れた瞬間にとろける脂の甘みが特徴の「こうみ」は、同店を訪れたら必ず食べて欲しい逸品。うまみが強くモチッとした食感のある赤身は、卵黄と和えて食べるユッケもおすすめ。「馬刺し3種寿司」はシメにも人気だ。
胡麻油と醤油が定番だが、おすすめは馬刺しを最高にひきたてるちょっと甘めの「馬刺のたれ」。「大人気で、このたれを持って帰りたいというお客さんもいます」(店長)。
もうひとつのおすすめが、「とろとろ牛かつ」(写真上)。肉は、そのやわらかさで赤身肉ブームの火付け役となったアンガス種を使用しており、ステーキと同じように、焼き加減を指定できる。わさび醤油とトンカツソースで、味わいがぐっと変化するのも楽しい!
「オレンジサワー」「レモンサワー」(写真上)は、氷の代わりに凍ったフルーツ入りなので、溶けても薄まらず、冷たいままよりフルーティに変化するので長く楽しめる。梅干しと赤ジソがたっぷり入った「梅サワー」も人気。日本酒、焼酎の種類も豊富だ。予算が不安、でも今日はどうしてもがっつり飲みたいという時のために、おぼえておきたいお店だ。
【メニュー】
食べ放題 3,300円
馬刺し5点盛り 1,848円
馬刺し3種寿司 638円
とろとろ牛かつ 1,078円
昼飲み放題 1,400円
オレンジサワー 439円
レモンサワー 439円
■平均予算
昼 2,000円
夜 2,000円
マグロと焼き鳥 食べ飲み放題 食べ放題専門店 のんべえ赤羽
- 電話番号
- 050-5489-4891
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月~日・祝前日・祝日
ランチ・ディナー 11:00~24:00
(L.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)
11:00~15:00は、事前ご予約頂ければOPEN致します!昼宴会もお気軽にご予約・ご相談下さい♪
- 定休日
- 年中無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
【7】超新鮮なモツの清らかな味に驚愕&感動!赤羽の新星『大衆肉酒場 赤羽ふじ屋』
今回紹介する赤羽の居酒屋の中でも一番のニューフェイスが、2021年2月7日にオープンした店『大衆肉酒場 赤羽ふじ屋』だ。
赤羽駅北口の一番街メインストリートから、アーケード街「シルクロード」寄りに進んだ先にある飲食店ビルの2階。入口は高級和食店のような雰囲気で少し敷居が高く感じられるが、心配はご無用。
店内はご覧の通り、親しみやすさいっぱいの居酒屋ワールド。本来は150席もある大型店だが、現在は半分しか使用しておらず、コロナ対応としてテーブルの間隔もかなり空けている。
こちらの店のオーナーである小柳津(おやいづ)競介さんは、六本木や恵比寿、中目黒、二子玉川などで高級ステーキ店や肉バルを展開している生粋の肉好き。だが個人的には居酒屋も大好きで、以前から自分の理想の居酒屋を出したと思っていたという。つまり高級ステーキ店や肉バルで蓄えたノウハウを、居酒屋メニューに落とし込んだのが、『赤羽ふじ屋』なのだ。
自慢は、肉の新鮮さ。10年以上のつきあいがある千葉県房総の信頼できる食肉生産者から、朝挽いたものを加工していないかたまり肉で生のまま仕入れ、店内で解体して調理することにこだわっている。
「食肉場でカットしてもらったほうが店内の調理ははるかにラクですが、カットすればするほど劣化が進むし、肉のうまみが流れ出てしまうんですよ」(小柳津さん)。
その鮮度抜群の肉をハラミ・ザブトン・肩ロースの3つの部位から選べ、、100g単位の量り売りで注文できるのが「ビフテキ」(写真上/ザブトン)。やわらかな赤身肉はかめばかむほどうまみが湧いてきて、いくらでも食べられそう。自家製ステーキソースだけでもいけるが、お好みでピリ辛の「自家製ステーキ味噌」をつけてもいい。
料理によって自家製の合わせ味噌を使い分けているのも、この店の面白さ(写真上)。上から時計まわりに、もつ皿に添えられる豚の脂に合う味の「紅生姜味噌」、もろきゅうに添えられる白味噌ベースの「ふじ屋みそ」、ピリ辛で牛の赤身肉に合う「ステーキ味噌」、「自家製キムチ味噌」。
どれも、それだけでつまみになるうまさだが、とくに「紅生姜味噌」が絶品! この「紅生姜味噌」「ふじ屋味噌」は、購入可能だ(各100g/550円)
だが『赤羽ふじ屋』の真価は、モツにある。それを堪能できるのが、「本日の肉刺し・盛り合わせ」(写真上)。日替わりの3種盛り合わせで、取材当日は左から「ガツ」「ハツ」「コブクロ」。低温調理で火を通しているが、食感は限りなく生に近い。
鮮度のよさが、透明感のある断面からも伝わってくる。かむと「清らか」という言葉が頭に浮かぶみずみずしい食感。臭みが全くなく、「モツってこんなに香りがいいものなのか」と驚く。モツ好きはもちろん、モツが苦手な人も一度味わってほしい一皿だ。
オーナーの小柳津さんがこの店を始めるもうひとつのきっかけとなったのが、ある店で衝撃的においしいもつ煮込みに出会ったこと。その味を求めていろいろな食肉場を訪ねたり、試作を重ねたりして、2年ほどかけてやっと満足のいくものを完成させたとのこと。
それがこの「もつ煮込み」(写真上)。新鮮な内臓をかたまりで買って店内で解体し、何度も水を替えてていねいに茹でこぼした後、圧力釜でやわらかくなるまで煮込んでいる。10部位以上のモツを使用し、毎日つぎ足し続けている汁はコクのかたまり。赤味噌と白味噌がさらにそのコクを引き立てている。
この汁でモツといっしょに煮込んで味が染み込んだ「玉子」(165円)「じゃがいも」(220円)「豆腐」(275円)は数量限定なので、早めにオーダーしておきたい。
こってり濃厚なこの汁を、ごはんにかけて食べてみたい! と思っていたら…。なんと「もつ煮込み カレー風」というメニューがあり、シメに人気なのだとか。
小皿で味見をさせてくれた「もつ煮込み カレー風」(写真上)。味噌、カレー、モツと相性がいい3つの素材で、カレーマニアも悶絶まちがいなしの極上カレーだ。
4種類あるデザートの中でも一番のおすすめは、「熱燗バニラ」(写真上)。その名の通り、バニラアイスに熱燗をかけて食べる、いわば居酒屋版アフォガード。
そのまま飲んでもおいしい甘口の燗酒をバニラアイスに一気にかけると、下のほうからゆっくりと溶け出す。後になるほどアイスと日本酒がトロトロに溶け合って、刻々と濃厚な味わいに変化するのが楽しい。添えられた竹塩をトッピングすると、さらに濃厚さが増す。
お酒の種類も豊富だが、一番人気は「全国カップ酒」(写真上)。定番27種類+その時々のおすすめ数種類と、30種類を常備。希望があればグラスで飲むこともでき、飲み終わったカップを持ち帰ることも可能。店長の佐藤清多(きよた)さんによると、「絵がプリントされているワンカップ容器は洗って何度も使えるため、飲み終わった後に持ち帰る人が多いんです。容器が目当てで、“ジャケット買い”する方もいますよ」とのこと。
メインストリートから少しはずれたところにあり、路面店ではないので目につきにくいが、高級店クオリティの食材を使った料理がリーズナブルに食べられ、おいしい仕掛けもいっぱい。一度入ればハマること間違いなしだ。
【メニュー】
ビフテキ・ハラミ100g 858円
ビフテキ・角切り肩ロース100g 968円
ビフテキ・ザブトン100g1,078円
本日の肉刺し・盛り合わせ 858円
もつ煮込み 495円
もつ煮込み カレー風 528円
熱燗バニラ 385円
全国カップ酒 715円~
■平均予算
昼:2,000円~3,000円
夜:2,000円~3,000円
大衆肉酒場 赤羽 ふじ屋
- 電話番号
- 050-5494-3196
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月~金
16:00~23:30
(L.O.23:00)
土・祝前日
12:00~23:30
(L.O.23:00)
日・祝日
12:00~22:30
(L.O.22:00)
- 定休日
- 無
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
赤羽というと安い金額で酔える「せんべろ」のイメージが近年強く、そこに心魅かれる人もいれば、それゆえに敬遠してしまう人もいるだろう。だがそれは赤羽のほんの一面。変らぬ古き良き赤羽、変わりゆく赤羽をぜひ、自分の目と舌で確かめてみてはいかがだろうか。