注目の実力派パティシエが独立オープン!
2021年4月、東京の有名パティシエたちがこぞってSNSにアップしたスイーツ店があった。浅草や蔵前にほど近い稲荷町にオープンしたパティスリー ヴィエノワズリー『CONFECT-CONCEPT(コンフェクトコンセプト)』だ。
オーナーシェフは、パリでの修業経験を持ち、湯島や丸の内の人気パティスリー『タントマリー』(現在は閉店)のシェフパティシエを務めた遠藤淳史さん。噂を聞きつけたスイーツファンが、遠方からもわざわざ訪れている。
ケーキだけじゃない、ヴィエノワズリー(菓子パン)や焼き菓子もズラリ!
東京メトロ銀座線・稲荷町駅と田原町駅の中間、下町の面影を残す一角に『コンフェクトコンセプト』はある。余計な装飾のないシンプルな外観がスタイリッシュだ。
全面ガラス張りになっており、垣間見える焼き色の香ばしいパンや、色とりどりなケーキにワクワクした気分になる。
甘い香りの漂う店内では、左の棚やアンティークのテーブルに焼き菓子やヴィエノワズリー(菓子パン)が、右のショーケースに生ケーキやシュークリームが並んでいる。
季節のフルーツやチョコレートを使ったケーキは、派手なルックスではないが、形や色の層だけでなく、絞られたクリームの形まできっちりそろえられている。端正なビジュアルにうっとり見惚れてしまう。
コンクールに入賞経験を持つ実力派パティシエ
プロのパティシエたちからも賞賛されるオーナーの遠藤敦史さん。フランス料理を志し、入学した専門学校で、冷前菜やデザートの細かな仕事に魅せられ、パティシエとして名古屋のホテルに入社。その後、オープン直後の六本木「グランドハイアット東京」のペイストリー部門に入ると、何度もコンクールに入賞するなど活躍した。
やがて、もっと引き出しを広げたいと思うようになった遠藤さん。パリに渡り、パティスリーの名店『ジェラールミロ』や『デ・ガトー・エ・ドュ・パン』などで3年間修業した。
「日本とは、まるで違う世界で面白かったですね。『デ・ガトー・エ・ドュ・パン』は、パリで見た中で一番パンがきれいな店でした。ケーキのフルーツも旬のものを農家から直送してもらって。みずみずしいケーキで、味も洗練されているんですよ」と遠藤さん。
帰国後、パリで学んだ技術を生かして、『タントマリー』のシェフパティシエとして活躍。満を持しての独立となった。
厳選した素材を使ったケーキはクラシカルでありながら、軽やかな味わい
ケーキの味を決める卵や生クリーム、小麦粉は、オープンするまでの準備期間中、時間をかけて厳選。6種類の小麦粉をパンやスイーツの種類によって使い分けたり、生クリームも数種類を自分の目指す味わいにするためにブレンドしたりするなどのこだわりよう。良い素材を使って、丁寧にきちんとしたケーキを作りたいという遠藤さんの想いの現れだ。
「気軽に訪れて、楽しんでもらえたらうれしいですね」と遠藤さん。いくつもの味が絶妙なバランスで重なるケーキは、クラシカルでありながら、味わいは軽やかで、気取りのなさが魅力的だ。
まるで溶けていくかのような軽いムースにうっとり
こちらは、『コンフェクトコンセプト』の中で、イチゴのショートケーキより人気という「苺とピスタチオのシャルロット」(写真上)。パステルグリーンと赤い苺のコントラストが鮮やかで、ショーケースの中でもひときわ目を引く。
キルシュで香り付けをしたピスタチオのムースの下に、イチゴのコンポートと濃厚なピスタチオのクリームが層になっている。土台に使われているのは、サクッと軽いビスキュイ生地だ。
「ムースはとにかく軽く作ることが大事。そのほうが香りや口溶けがいいんですよ」と遠藤さん。フワッと溶けて、甘い香りが広がる繊細なムースに続いて、ピスタチオクリームの濃厚なコクと甘みが、まるでハーモニーのように広がっていく。キュンと甘酸っぱいイチゴが、ピスタチオのまろやかさを際立たせる。
毎日完売! 大人気「サヴァラン」は華やかな香りの大人のスイーツ
隠れた人気メニュー「サヴァラン」(写真上)。発酵させた生地に1日かけてラム酒の入ったシロップを打ち込むという正統派。手間と時間がかかるため1日18個しか作れないが、いつも完売してしまうという。
こだわりは、絶妙な発酵加減から生まれる生地のきめ細やかさ。たっぷりとシロップを含ませても、弾力が失われず、歯ごたえを残しつつ、トロッとほどけていく。
仕上げには、オーク樽で熟成させ、香りの高さで知られるラムの最高級品「ディロンラム」を使用。トッピングは生クリームとオレンジピールのみとシンプル。華やか香りとジュワッとにじみ出る品の良い甘さのシロップで、トリコになるおいしさだ。
キリッとした爽やかさが初夏にぴったりなライムのタルト
旬のフルーツにこだわる遠藤シェフ。初夏に向けて登場したのが、新作「ライムのタルト」だ。ライムの素材そのものを味わってもらおうと、甘酸っぱさだけでなく、ほのかな苦味も感じられるようなみずみずしいジュースを絞り、ピュレやクリームにふんだんに使っている。メレンゲの中には、ライムの皮をしのばせるなど、全体にライムの爽やかさを感じさせてくれる。
フォークを入れると、ソースのようにやわらかいピュレがトロ~リ。甘いメレンゲに負けない、まろやかな酸味と、キリッとした爽やかさが口の中に満ちていく。柑橘の清々しい余韻を楽しみたい。
大人も子供も大好き! リッチなチョコレート風味のシュークリーム
プリンやシュークリームといった、日本の洋菓子店には欠かせないスイーツも大人気。「シューグルマン」(写真上)は美食家のシューと名付けられたスイーツ。2種類のチョコレートの層に、皮にもチョコレートを使ったリッチな味わい。季節に合わせて、チョコレートを軽いホワイトチョコレートに変えている。
高々と絞られたホワイトチョコレートのクレームシャンティ(ホイップクリーム)は、生クリームよりリッチな味わい。その下には、しっかり甘さのあるミルクチョコレートのガナッシュが詰められている。シュー皮は、ザクザクした食感を出すためにクッキー生地をトッピング。皮は甘さを抑えたビターチョコレート味で、クリームの甘さを引き締めている。
ビジュアル抜群の絶品ヴィエノワズリーは必ず食べたい
パリでも有数のヴィエノワズリーがおいしい店で修業した遠藤シェフ。『タントマリー』時代から多くのファンがいるクロワッサンを中心にラインナップしている。
少し大きめの「クロワッサン」は、外側のバリバリ感と、内側のしっとり感のバランスを実現するため、このサイズになったのだとか。きれいに形作られた層をザクッとかじると、ジュワッとにじみ出るバターの風味がたまらない。
「ブリオッシュ生地のパンも出していきたいですし、アメリカや北欧で流行っているようなパンも作っていきたいですね」と遠藤さん。これからのラインナップにも期待だ。
焼き菓子もお馴染みのマドレーヌやフィナンシェのほかに、チョコレート生地の「ナンシープティ」やサクサクした食感のサブレ「ガレットナンテ」といったフランス郷土菓子もそろっている。プレゼント用の箱もあり、手土産にしても喜ばれそう。
甘い幸せに日常が楽しくなるスイーツが続々登場予定
『コンフェクトコンセプト』とは、創造を意味する“コンフェクト”と、構築を意味する“コンセプト”を合わせた造語。生地やムース、クリーム、コンフィとスイーツを作る工程一つひとつに丁寧に取り組み、フルーツやクリームの味わいの組み立ての妙にこだわるという遠藤さんの想いが込められている。
日常を楽しくするスイーツを見つけに、『コンフェクトコンセプト』を訪れてみてはいかがだろう。
【メニュー】
苺とピスタチオのシャルロット 520円
サヴァラン 540円
ライムのタルト 540円
ホワイトチョコレートのシュークリーム 470円
クロワッサン 330円
焼き菓子各種 220円/1個~
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。価格は税込みです。
CONFECT-CONCEPT(コンフェクト コンセプト)
- 電話番号
- 03-5811-1621
- 営業時間
- 10:00~19:00
- 定休日
- 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。