ヒューガルデン×ベジアペロを広尾EAT PLAY WORKSで楽しむ
近年、その言葉をよく耳にするようになった“アペロ”。
アペリティフを省略した言葉ではあるが、その言葉の意味そのものよりも、もっと文化に生活に根付いた言葉。
単なる食前酒を意味するのではなく、ディナー前の夕暮れ時に軽く一杯のお酒と軽食を楽しむ時間そのものを、フランス人たちが親しみを込めて使うこの言葉が、日本でもシーンに定着してきた。
そして、今回フランスの隣国であるベルギーを代表するヒューガルデンと合わせて楽しむのが、野菜を使った軽い料理の数々。
広尾EAT PLAY WORKSで楽しむ野菜料理のアペロ=ベジアペロの世界へようこそ。
※今回のペアリング企画では、期間限定の特製メニューは提供されていますが、酒類の提供については、情勢に伴う通達に応じて提供を適宜変更いたします。
ヒューガルデン、忘れかけていた白い陶酔。
忘れられない記憶は、いつも色彩のパレットの中にある。能舞台がある松濤の住宅地に抜けるラボで、古いフランスの友人が注いでくれたグラスの中のワイン。抜栓してから何日も経つという液体は、淡いオレンジ色に輝いていた。ゲンズブールの気怠いレゲエに溺れながら、僕の身体は新しい味覚に酔いしれていた。
それよりもずっと前、神保町から駿河台の小さなホテルに抜ける公園のそば、僕は白い覚醒に包まれていた。クレプスキュールというベルギーのレーベルを日本に紹介するため、幾たびも彼の地に訪れていた友は、いつの頃からか音楽以上に熱狂するものに出逢う。それは修道士たちが作ったという白いビールだ。
白い液体は、同じく修道士たちが作り出した黄色と緑のシャルトリューズより、緩やかに身を焦がす魅惑に満ちていた。爽やかな喉越しの向こうにある柑橘系の苦味とコリアンダーの誘惑。僕はヒューガルデンという異国の地名と、ピタパンという未知の食感に出逢った。挟まれていた羊肉にかけられたクミンの香りの中、僕はいつか出逢った沖縄の少女のショコラ色の肌を思い出した。
降り続く雨の午後、広尾の古い商店街に建つ食のラビリンス“EAT PLAY WORKS”で、シカゴ生まれのレイチェルが差し出したババガヌーシュをピタパンに挟み、グラスのビールを口に含んだ途端、僕は忘れかけていた白い陶酔に包まれた。ペルシャからベトナム、イタリアから、日本へ。ヒューガルデンを道案内にした、ベジアペロの旅の始まりだ。
中東のおいしい野菜料理の新潮流をヒューガルデンと
ベジアペロ、ひとつ目の旅はミドルイースタン、野菜料理に特化した『Salam(サラーム)』だ。
青山の人気レストラン『The Burn』で熟成肉を炭火で焼き上げる一方、ベジタリアンメニューにも力を入れる米澤文雄シェフの新しいアプローチは中東料理。エジプトやトルコ、イラン、イスラエル、レバノン辺りのヘルシーでおいしい野菜料理の新潮流は、アメリカではほぼ日常に溶け込んでいる。『Salam』で米澤シェフの思いを具現化するのは、シカゴ生まれのレイチェル・ダル。モダンアメリカンレストラン『Betty』でエグゼクティブシェフを務めた後2017年に来日、中東料理への見識が深い。
今回「ヒューガルデン」に合わせて、レイチェルが作ってくれたベジアペロは「スモークババガヌーシュ」。焼いたナスのペーストにタヒニ、オリーブオイル、レモン、ニンニク、パプリカ、スマックなどを加えて作る。タヒニは「練り胡麻」、スマックは「ゆかり」に通じる味わいがあるので、日本人にも親しみやすい。アメリカでは、フライドポテトやチップスのディップとしても浸透しているババガヌーシュ、ビールに合わない訳がない。しかも、「ヒューガルデン」の中に覗くコリアンダーの香りが、中東料理と静かなハーモニーを奏で始める。
Salam(サラーム)
- 電話番号
- 070-4230-9547
- 営業時間
- 11:30~14:00(13:30L.O.)、17:30~23:00(22:00L.O.) ※行政の要請に準ず
- 定休日
- 無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
サクサクとした抜群にクリスピーな食感と危険なほどの好相性
続いての旅先は、ベトナム。
しかし、このレストランの軒先には酒蔵でお馴染みの杉玉が掛かっている。外苑前で東京モダンベトナミーズを謳い予約困難レストランになった『Ăn Đi(アンディ)』の新業態『Ăn Cơm(アンコム)』は、よりカジュアルで、ローカルスタイルなベトナミーズを提案。食材は各地の生産者から届く旬の有機食材、ペアリングにも古酒を含む多様な日本酒やレモンサワーなども用意している。
今回「ヒューガルデン」に合わせて、青木良太シェフが作ってくれたベジアペロは「夏野菜の揚げ春巻き 山盛りハーブ添え」。現地では「チャーゾー(南部ではチャーヨー)」と呼ばれる料理だ。
トウモロコシや枝豆などの夏野菜をオカラと巻き、サニーレタスとふんだんなハーブを添える。3種のミントと大葉、ディルやパクチの花に彩られた揚げ春巻きは、サクサクとしたクリスピーな食感に驚かされる。青木シェフが神奈川のいちょう団地で出逢い、本国から取り寄せた揚げ春巻き専用の皮は、網目状になっていて抜群の食感を持つ。加えて、挽肉ではないオカラのベジ仕様が更なる食感を生む。
どこかエキゾチックな「ヒューガルデン」とベトナミーズの邂逅は危険な程に相性がいい。
Ăn Cơm(アンコム)
- 電話番号
- 03-6409-6386
- 営業時間
- 11:30~14:30(14:00L.O.)、17:30~23:00(22:00L.O.) ※行政の要請に準ず
- 定休日
- 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
ビールのためにある北イタリアの郷土料理とともに
EAT PLAY WORKSと同じ広尾商店街の人気店『メログラーノ』が、予約が取りづらくなった本店に続き、よりカジュアルで気軽なパスタハウスとしてオープンさせた『Taratatà(タラタタ)』。パスタの茹で上がりを待つ間に、軽やかに仕上げられたイタリアンの小皿をつまみながらグラスを傾けるひと時は広尾の街の新しい習慣になりそうだ。『Taratatà』とは、さまざまな国の文化や個性がぶつかり合う擬音を表し、ここEAT PLAY WORKSにぴったりのネーミングだ。
今回「ヒューガルデン」に合わせて、田淵秀介シェフが作ってくれたベジアペロは「フリウリ風フリコ あおさバター添え」。
近年日本でもファンを増やし続ける北イタリア、フリウリ地方を代表する料理のひとつだ。田淵シェフが修業したフリウリは、ドイツに近い地域でビールが安かったため、休日になると仲間たちと作ったという思い出の味だ。ジャガイモにチーズという鉄板コンビで作られた、北イタリア風ジャガイモのおやき。乗せられたアオサのバターが清涼感を呼ぶ。まさにビールのために存在するかのような「フリコ」と、「ヒューガルデン」の爽やかさが無限のループを生み出していく。
Taratatà(タラタタ)
- 電話番号
- 080-6793-5397
- 営業時間
- 平日11:30~14:30(14:00L.O)/土・日・祝 11:30~15:00(14:30L.O)、月~土17:00-23:00(22:30L.O.)、日・祝17:00~22:00(21:30L.O.)※行政の要請に準ず
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
揚げ物にビール、その王道を楽しむ
とんかつの名人として知られる日向準一氏が顧問として参画したとんかつ専門店『広尾とんかつ ひとみ』。女性やひとり客でも気軽に使いやすいカウンターで、豊富なおばんざいや、ランプやしんたまなどの希少部位を使った料理を楽しみながら、飲むもよし、しっかり食べるもよし。カジュアルにとんかつを楽しめる新様式のとんかつスタイルに人気が集まっている。南の島豚を中心にしたこだわりの肉を厳選し、リブロース、ロース、ヒレなど、部位ごとの魅力を最大限に引き出す。
今回「ヒューガルデン」に合わせて、小川るかさんが作ってくれたベジアペロは、旬の野菜3種を盛り合わせた「夏野菜3種の串揚げ」。それぞれの食材に合わせて、ナスには田楽味噌、オクラにはパルミジャーノ・レジャーノ、南の島豚のベーコンをアクセントにしたマッシュルームにはブラックペッパーが合わせられる。とんかつ屋のベジアペロという新しい体験には、「ヒューガルデン」に用いられているオレンジピールのほろ苦さが味の句読点を打ち、軽い感覚で食が弾む。このまま、ロースかヒレで〆るのか、更なるハシゴでフードコンプレックスを楽しむのか。ベジアペロの旅はまだまだ終わりそうにない。
広尾とんかつ ひとみ
- 電話番号
- 03-5422-8141
- 営業時間
- 11:30-15:30(15:00L.O.)、17:00-22:00(21:30L.O.)※行政の要請に準ず
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。