四谷三丁目に、本格中国家庭料理店のテイクアウト専門店がオープン
2021年5月19日、四谷三丁目にオープンした『本格肉まん 香包(シャンパオ/以下、『香包』)』。
東京メトロ丸ノ内線・四谷三丁目駅を出てすぐのところにある消防博物館の前を、新宿方面に1~2分歩いたところにある。
『香包』の点心をプロデュースしているのは、中国の新疆ウイグル自治区出身の料理家、小薇(シャンウェイ)さん。マニアックな中国料理が大人気だった『Rose Shanghai Tokyo(ローズ シャンハイ トーキョー)』(新宿御苑前・現在は閉店)の元オーナーシェフで、2019年に中国・大連で開かれた世界最大規模の中国料理コンテスト「魯花カップ」で華々しい成績を残すなど、その実力が広く認められている料理家だ。
2020年6月20日にオープンした『小薇点心(シャウウェイテンシン)』(中野富士見町)はそんな小薇さんがコロナ禍を機に、「今求められているのはマニアックで華美な中華料理ではなく、家庭でいつも食べられる日常的な中国料理ではないか」と考えてオープンした店だ。
自宅に持ち帰っても味わえる料理を目指して得意な点心にさらに磨きをかけ、まるで小籠包のように汁があふれるのに、皮には一切染みない独自の「爆汁ポークまん」(写真上)を完成させ、大人気となった。
「コロナで職を失った元同僚たちに、もう一度頑張るチャンスを与えたい」
『香包』オーナーの谷口正俊さんは以前から仕事を通じて小薇さんと親交があり、個人的にも小薇さんの料理の大ファン。オープンのきっかけは、独立以前に働いていた会社の元同僚たちの窮状を知ったことだった。
「みんな真面目でいい人ばかりなのに、中高年になった今になって、コロナの影響で働く場所を失って困っていました。そんな彼らに、もう一度頑張るチャンスを与えられたらと思い、小薇さんに『小薇点心』のテイクアウト専門店を出したいと相談したのです」(谷口さん)。
谷口さんの想いに感動した小薇さんは、新店オープンに全面的に協力。研究を重ねて生み出した点心の技を、店長の永田貴宏さんと女性スタッフたちに約半年間かけ、惜しげなく伝授した。
写真上左からオーナーの谷口正俊さん、スタッフ、店長の永田さん、スタッフ、小薇(シャンウェイ)さん。
スタッフ全員が料理に関してはまったくの素人だったため、最初は大変だったが、約半年たった今では全員が、小薇さんも絶賛する腕前になっている。
現在、『小薇点心』はレストラン営業と冷凍点心の宅配を行なっているが、『本格肉まん 香包』はテイクアウト専門。目の前で作りたての点心4種類を、できたての一番おいしい状態で持ち帰り、味わうことができる。
仕上げと販売を担当している店長の永田さん(写真上)。ひっきりなしに訪れるお客への落ち着いた丁寧な対応に、大手外食チェーンで販売部長を務めていた前職の名残りが感じられる。
門外不出の技が詰まった「本格肉まん」を、熱々でテイクアウトできる!
小薇さんが研究を重ねて開発した門外不出の技が詰まった「本格肉まん」(写真上)。餡に使用しているスープは、中国原産の「泰山鶏」から生まれた国産の銘柄鶏「香鶏(かおりどり)」を、時間をかけて丸ごと煮込んだもの。肉は、国産豚の肩ロースとバラ肉を粗挽きにしたもので、長ネギなどの野菜もすべて国産だ。
一見、普通の肉まんに見えるが、中にはびっくりするほど大量の肉汁が入っている。縦に持ち、上の部分をひと口かじってスープを吸ってから食べ始めないと、持っている手に熱いスープがあふれ出るのでご注意を。この食べ方に慣れていない人のために、店ではスープを吸うための太いストローを用意しているほど。
このスープに負けないほどこだわっているのが皮。小麦特有の歯ごたえの強さを味わえるよう、強力粉の割合を多くしている。日本のフワフワの肉まんとはひと味違い、かみしめるたびに麦の力強い甘みとうまみが湧きあがる。蒸したては甘酒のような発酵香がふんわり広がって、皮だけを味わってもうっとりするおいしさだが、時間がたつと皮の内側に肉汁がしみこみ、また別のおいしさになる。
人気急上昇中の「焼き小籠包」
その「本格肉まん」をしのぐ勢いで人気が高まっているのが、「焼き小龍包」(写真上)。
餡のベースは「本格肉まん」と同じだが、「本格肉まん」が醤油味なのに対し、「焼き小籠包」は塩味。餡を皮に包んで蒸しあげた後、フライパンで香ばしく焼き目をつけて仕上げている。上からたっぷりかけた白ゴマで、香ばしさがさらに引き立つ。
こちらもスープで口を火傷しないよう、最初に皮を少しだけ破ってスープを吸ってから味わうのがおすすめ。皮が薄いので、スープ、肉餡、皮の一体感が味わえる。看板商品の「本格肉まん」と並ぶ人気があり、男性ファンも多いそうだ。
たっぷりした大きさでボリューミーな「餃子」(写真上)の餡は、セロリ入り。肉汁たっぷりの餡をしっかり受け止めるのが、むっちりとした噛みごたえのある、厚めの皮だ。噛むごとに皮の豊かな麦の甘みとうまみを感じるのは、本場の点心ならでは。
ここでしか食べられない!ヴィーガン対応の「ベジまん」
こちらは『香包』限定の野菜だけで作った「ベジまん」(写真上)。旬の青菜を練り込んだ皮はもちろん、餡も干しシイタケ、旬の青菜、豆腐と植物のみ。味付けも、昆布と野菜のだしに干しシイタケの戻し汁を煮詰めたものをベースに、塩とてんさい糖、ゴマ油などで味付けをしている。
あっさりしているのに、不思議なほど深いうまみがあり、ぺろりと1個食べられる。このサイズを2個食べてもほとんどもたれず、「身体にいいものを食べた!」という満足感がある。
オープン早々から客足が途切れないほどの大人気だが、オーナーの谷口さんは今後、店舗数を増やすことは考えていないと語る。
「私は小薇さんの作る料理は、間違いなく世界で一番おいしい中国料理だと思っています。コース料理を食べる機会がない人にその味を知ってもらいたかったことも、『香包』を開いた大きな理由のひとつ。この店で、スタッフたちと一生懸命頑張って、日本一を目指したいんです」(谷口さん)。
【メニュー】
本格肉まん 1個 350円 ※2個以上は1個340円
焼き小龍包 4個 780円 6個 980円
焼き餃子 4個 680円 6個 880円
ベジまん 1個350円 ※2個以上は1個340円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込みです。
本格肉まん 香包(シャンパオ)
- 電話番号
- 03-3359-3448
- 営業時間
- 11:00〜21:00
- 定休日
- 無
- 公式サイト
- http://shanbao.jp/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。