日本初のバスクチーズケーキ専門店の新店舗
一大旋風を巻き起こしたバスクチーズケーキブーム。ベイクドチーズケーキ、スフレチーズケーキ、レアチーズケーキに続く「第4のチーズケーキ」として登場以降、今もなおバスクチーズケーキの人気は衰えない。
そのけん引役として日本で初めてオープンしたバスクチーズケーキ専門店が東京・白金高輪の『GAZTA(ガスタ)』。オープンは2018年7月。
スペイン・バスク地方の名物バル『BAR LA VINA(ラ・ヴィーニャ)』の門外不出レシピの伝授を、世界でただひとり許されたパティシエが完成させたチーズケーキで知られる店だ。
その『GAZTA』が、姉妹店として2021年6月に新規オープンしたのが、チーズスイーツ専門店『CASA DE GAZTA(カーサ デ ガスタ)』。唯一無二のチーズスイーツを楽しめる専門店だ。
世界のグルマンに愛されるスペインのチーズスイーツを日本で再現すべく試行錯誤
看板メニューは、バスク地方の港町・ゲタリアの人気レストラン『Elkano(エルカノ)』の名物アイスを再現した「ゲタリアイス」(写真下)。
1964年創業の『エルカノ』は、世界中からグルマンが訪れることで知られるミシュラン星付きレストランだが、こちらの店のチーズアイスに惚れ込んだシェフパティシエの戸谷尚弘さんが、同店のシェフ直々にレシピを教わり、再現させた一品なのだ。
レシピを教わることができたきっかけは、『エルカノ』を訪れた際にシェフと会話したこと。気さくな人柄に緊張がほぐれ、思い切って想いを伝えたところ、製法だけでなくアイス作りに使用しているマシンまで教えてもらえたのだとか。
しかし、レシピを入手すればその味を再現できるかというとそうではなかった。『エルカノ』で使用していたフロマージュブラン(白いチーズ)は日本には輸入できないものだったし、国内で代替品を探しても同じ味には仕上がらない。
理想のフロマージュブランを作ることからスタート
試行錯誤を重ねていたあるとき、人気ベーカリー『VIRON(ヴィロン)』の西川隆博社長が経営する北海道・美瑛の酪農場でチーズ工房長を務める小熊章子さんが、理想のチーズ作りに協力してくれることとなった。
小熊さんは、戸谷さん(写真上)とのやりとりを通してコクや酸味の微調整を重ねただけでなく、フレッシュでミルク感溢れる鮮度まで追求して、フロマージュブランを再現。つまり、自家製チーズを生み出すところからスタートしたのだ。
「出来立て」にこだわり、とろりとなめらかな舌触りを追求
完成した自家製チーズを、みずみずしさを保った状態でアイスクリームマシンにかけ、空気を抱き込みながら作ったアイスクリームはため息が漏れるほどなめらかな舌触り。
アイスクリームに仕立ててから2時間以上冷凍庫に入れておくと「別物」になってしまうと、「出来立て」にこだわり、お客さまに提供する直前にマシンにかけているため、チーズのフレッシュさがぎゅっと凝縮している。一掬いごとに口の中にとろりとした感触が転がっていくことで、心の中までゲタリアイスのようにまあるく穏やかな気持ちになれそうだ。
真っ白なプレートの上に雪のように白いアイスクリーム。その美しさを際立たせているのが、プレートの底を彩るように注がれたストロベリーソースだ。国産のいちごたっぷりのフルーティな味わいが、チーズのコクや酸味をぐっと引き立ててくれているのが印象的。ソースごと口に運ぶと、口中で味わいの奥行きがさらに広がっていくことを堪能できる。
バスクチーズケーキとゲタリアイスをブレンドした”飲むチーズケーキ”
こちらは、暑い日に味わいたい、“飲むチーズケーキ”「バスクシェイク」(写真上)。スープ状にした『GAZTA』のバスクチーズケーキと「ゲタリアイス」をブレンドしたこちらのシェイクは、コクがありながらもさっぱりとした後味。絶妙なバランスで混ざり合った、ヨーロッパ産クリームチーズ、美瑛生まれの2種のフロマージュブランがすーっと喉を通り抜けていくにつれ、幸せのバロメーターがぐーっと上がっていく。
ちなみに、トッピングなしのベーシックなバージョンは年間通して提供しているが、鮮やかな彩りを目でも楽しみたいなら、季節ごとに変わるフルーツをトッピングしたタイプをぜひ。夏季限定の、宮崎県産マンゴー×パッションフルーツトッピングは夏らしさいっぱい。サクサクのクランブルと一緒に口に運ぶと食感の変化もまた楽しい。
おもたせにもぴったりな”チーズ味のカレイ”!?
おもたせやお持ち帰りで楽しめるスイーツをお探しなら、愛らしいカレイの形をした「バスクレーヌ」はいかが? カレイ型の特注金型で焼き上げたマドレーヌは、厳選したフランス産クリームチーズを配合したコク深い味わい。しっとりとしたやさしい食感で、紅茶やコーヒーのおともにぴったりだ。
金型のデザインがなぜカレイかというと、前述した『エルカノ』の名物料理が「イシガレイの炭火焼」だから。店内の床などにもカレイを発見できるほか、内装デザインは、『エルカノ』が立地する港町・ゲタリアにちなんで、船内を思わせるデザインに仕立てている。
なお、「ゲタリアイス」は店の前の公園などで楽しみたい人にはテイクアウトの容器に入れてくれる。この容器は、ゲタリアの街中に実際に展示されている真っ赤な船を模したデザイン。なんとも洒落ているではないか。
また、「ゲタリアイス」同様、「バスクレーヌ」も店内で楽しめるが、チーズスイーツに合うドリンクが豊富にそろっているので、どれにするか迷ってしまうこと必至。とくに、チーズスイーツと相性のいい紅茶は種類豊富。戸谷さんに好みを伝えて、おすすめをアドバイスしてもらうのもいいかも。
店名に込めた想いは「“チーズのおうち”でおいしいチーズスイーツを楽しんで」
最後に、店名の意味を紹介すると、『CASA DE GAZTA』の「CASA」はスペイン語で「おうち」、「GAZTA」はバスク語で「チーズ」。さまざまなチーズスイーツを楽しめる「チーズのおうち」という意味。そんなおだやかなおうちでぜひ優雅なひとときを過ごしてみてはいかが?
【メニュー】
・ゲタリアイス 750円 ※イートインは800円
・“飲むチーズケーキ” バスクシェイク 800円
・バスクレーヌ 1個380円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
撮影:佐々木雅久
CASA DE GAZTA
- 電話番号
- 03-3473-7495
- 営業時間
- 9:00~19:00
- 定休日
- 無
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。